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平成30年 報告

更新日:2018年10月17日 印刷ページ表示

第1 職員の給与

1 職員給与の実態

 本委員会の勧告の対象となる職員は、群馬県職員の給与に関する条例(昭和26年群馬県条例第55号)、群馬県公立学校職員の給与に関する条例(昭和31年群馬県条例第41号)、群馬県一般職の任期付研究員の採用等に関する条例(平成13年群馬県条例第8号)及び群馬県一般職の任期付職員の採用等に関する条例(平成14年群馬県条例第62号)の適用を受ける職員であり、これらの職員は、その従事する職務の種類に応じ、行政職、公安職、研究職、医療職、教育職など14の給料表の適用を受けている。
 本委員会は、これらの職員について、本年4月1日現在で「平成30年職員給与等実態調査」を実施したが、その概要は、参考資料「1職員給与関係」のとおりである。
 その結果によると、民間給与との比較を行っている行政職給料表又は事務職給料表の適用を受ける職員(本年度の新規学卒の採用者を除く。以下「一般行政職員」という。)の人数は4,752人、平均年齢は44.0歳で、平均給与月額は375,297円となっている。
 (参考資料第1表~第10表)

2 民間給与の実態

 本委員会は、職員給与と県内の民間給与との精密な比較を行うため、企業規模50人以上で、かつ、事業所規模50人以上の民間事業所のうちから、層化無作為抽出法によって抽出した186の事業所を対象に「平成30年職種別民間給与実態調査」を実施した。
 この調査では、一般行政職員と類似すると認められる事務・技術関係22職種の約8,300人及び研究員、医師等の54職種約600人について、本年4月分として個々の従業員に実際に支払われた給与月額等を実地に詳細に調査した。
 また、昨年8月から本年7月までの1年間において民間事業所で支払われた賞与等について調査したほか、各民間企業における給与改定の状況等についても調査した。
 本年の調査結果の概要は、参考資料「2民間給与関係」のとおりである。
 (参考資料第11表~第22表)

3 職員給与と民間給与との比較

(1)月例給

 前記の「平成30年職員給与等実態調査」及び「平成30年職種別民間給与実態調査」の結果に基づき、職員にあっては一般行政職員、民間にあってはこれと類似すると認められる事務・技術関係職種の従業員について、役職段階、学歴及び年齢階層を同じくする者同士の4月分の給与額をそれぞれ対比し、精密に比較(ラスパイレス方式)を行った結果、職員給与が民間給与を612円(0.16%)下回っていた。

【職員給与と民間給与との較差】
民間給与(A) 職員給与(B) 較差(A)-(B)(((A)-(B))/(B)×100)
375,909円 375,297円 612円(0.16%)

(注)民間、職員ともに、本年度の新規学卒の採用者は含まれていない。

(2)特別給

 本委員会は、これまで民間における賞与等の年間支給割合(月数)を算出し、これを職員の期末手当・勤勉手当の年間支給月数と比較した上で、0.05月単位で改定を勧告してきている。
 前記の「平成30年職種別民間給与実態調査」の結果、昨年8月から本年7月までの1年間において民間事業所で支払われた賞与等は、年間で所定内給与月額の4.45月分に相当しており、職員の期末手当・勤勉手当の年間支給月数(4.40月)が民間における賞与等の年間支給割合(月数)を0.05月分下回っていた。
 (参考資料第22表)

4 物価及び生計費

 総務省の調査による本年4月の前橋市における消費者物価指数は、参考資料「4労働経済関係」のとおり、前年同月比0.9%の上昇となっている。
 また、本委員会が同省の家計調査を基礎として算定した本年4月の前橋市における標準生計費は、参考資料「3生計費関係」のとおり、2人世帯で133,000円、3人世帯で165,650円、4人世帯で198,300円となっている。
 (参考資料第23表、第24表)

5 人事院の給与に関する勧告等

 人事院は、本年8月10日、国会及び内閣に対し、職員の給与に関する報告及び勧告を行うとともに、公務員人事管理に関する報告を行い、併せて、定年を段階的に65歳に引き上げるための国家公務員法等の改正についての意見の申出(以下「意見の申出」という。)を行った。その概要は、参考資料「5人事院勧告等の概要」のとおりである。

6 本年の給与改定

 本年の職員給与及び民間給与の実態とその比較、物価及び生計費の状況並びに人事院勧告等の概要は、以上のとおりである。
 本委員会は、これらの内容を総合的に勘案し、検討した結果、職員の給与改定について、以下のとおり判断した。

(1)月例給

 本年4月における職員給与と民間給与とを比較した結果、職員給与は民間給与を612円(0.16%)下回っていることから、民間給与との較差、人事院勧告等を踏まえ、月例給の引上げ改定を行う必要がある。

ア 給料表
 月例給の改定に当たっては、基本的な給与である給料を引き上げることが適当であり、行政職給料表は、国及び他の都道府県との均衡を考慮し、人事院勧告に準じて改定する必要がある。
  その他の給料表も、行政職給料表との均衡を基本としつつ、本県の実情を踏まえて改定する必要がある。

イ 初任給調整手当
 医師に対する初任給調整手当について、公務に必要な医師を確保する必要があることから、医師の適切な給与水準を確保するため、人事院勧告に準じて支給上限額を改定する必要がある。

(2)特別給

 職員の期末手当・勤勉手当の年間支給月数が民間における賞与等の年間支給割合(月数)を0.05月分下回っていることから、民間における賞与等の年間支給割合(月数)に見合うよう、職員の期末手当・勤勉手当の年間支給月数を0.05月分引き上げる必要がある。
 年間支給月数の引上げ分については、民間の賞与等の支給状況、人事院勧告等を踏まえ、勤勉手当に配分し、平成31年度以降においては、6月期及び12月期の勤勉手当が均等になるよう配分することが適当である。
 また、再任用職員の勤勉手当並びに任期付研究員及び特定任期付職員の期末手当についても、同様に年間支給月数を引き上げる必要がある。
 このほか、平成31年度以降においては、人事院勧告に準じて6月期及び12月期の期末手当が均等になるよう配分することが適当である。

7 その他

(1)人事評価の給与への活用促進

 昨年、本委員会は、各任命権者において上位の区分の昇給への反映について全ての職員への実施に向け検討する必要があると報告したところである。
 能力及び実績に基づく人事管理は、職員の士気を高め、その能力を最大限に発揮させるとともに、組織活力を保つためにも重要であり、今後予定されている定年の引上げに関連する取組の一つともされていることから、引き続き、国や他の都道府県の状況も踏まえながら、全ての職員への実施に向けた取組を進めていく必要がある。

(2)昇給制度

 平成24年、本委員会は、50歳台後半層における昇給制度について、基本的に人事院勧告の内容を踏まえ改正を行う必要があるとした一方、国と制度の運用が一部異なる本県の実態を踏まえ、改正に当たり必要な措置について検討する必要があると報告したところである。
 本県の50歳台後半層における昇給制度については、標準の勤務成績で昇給停止としている国家公務員の制度とは異なり、標準の勤務成績でも1号昇給としている状況にある。
 本県の昇給制度は、基本的に国家公務員の制度に準じてきたところであり、国や他の都道府県の状況等を踏まえ、見直す必要がある。

(3)宿日直手当

 宿日直手当については、人事院勧告の内容等を踏まえ、本県職員の勤務等の状況を考慮して、所要の検討を行う必要がある。

(4)定年の引上げに係る給与制度の在り方

 定年の引上げに係る給与制度の在り方については、人事院の「意見の申出」を踏まえ、国及び他の都道府県の動向や本県の実態を十分考慮しながら、検討していく必要がある。

第2 職員の勤務条件等

1 意欲と能力のある人材の確保

 若年人口の減少や民間企業における高い採用意欲等を背景に、県職員採用試験等の受験者数が減少傾向にある中、意欲と能力のある人材の確保は重要な課題である。
 これまで本委員会においては、県ホームページやSNSを活用し広報活動の充実を図るとともに、業務内容説明会や就職説明会等を開催し、本県職員の職務内容や仕事のやりがい等を積極的に伝えるなど受験者確保に向けた取組を行ってきた。
 特に、群馬県職員の女性活躍推進プランに基づき、女性職員のキャリア形成や働きやすい職場環境等について積極的に広報するなど、女性の受験者確保に向けた取組を行ってきた。
 今後も、こうした取組を継続するとともに、一人でも多くの学生等に本県職員の魅力ややりがいを幅広く発信できるよう、任命権者と連携し、受験者確保に向けた取組を一層進めていく必要がある。

2 能力及び実績に基づく人事管理の推進

 平成28年4月に改正地方公務員法が施行されたことを受け、本県においても、人事評価制度の見直しを実情に即して行い、能力及び実績に基づく人事管理を推進しているところである。
 適切な人事管理は、職員の士気を高め、その能力を最大限に発揮させるとともに、人材育成に資するものであり、組織活力を保つためにも重要である。
 能力及び実績に基づく人事管理を一層推進していくためには、公正で信頼性の高い人事評価制度の運用や管理職員のマネジメント能力の向上が求められる。
 任命権者は、評価者等に対し、引き続き効果的な研修の実施に努めるとともに、より適切な人事評価が行われるよう、今後も適宜見直しを行う必要がある。

3 高齢層職員の能力及び経験の活用

 前記の「意見の申出」では、「若年労働力人口の減少が続く中で、公務において質の高い行政サービスを維持していくためには、高齢層職員を戦力としてその能力及び経験を本格的に活用することができるよう、所要の環境整備を図りつつ段階的に定年の引上げを行う必要がある。」と言及している。
 定年の引上げは、雇用と年金の接続が確実に図られる一方で、能力及び実績に基づく人事管理の徹底や組織活力を維持するための方策等、検討すべき課題もあることから、任命権者においては、国の動向を踏まえながら、定年の引上げに係る諸課題について、具体的な検討を進める必要がある。
 併せて、現在運用されている再任用制度についても、高齢層職員の能力及び経験を一層有効に活用できるよう環境整備に努める必要がある。

4 勤務環境の整備

(1)時間外勤務の縮減等

 時間外勤務の縮減は、職員の心身の健康保持や公務能率の向上の観点から極めて重要な課題であるとともに、仕事と家庭の両立支援の推進や人材確保にも資するものであり、強くその実現が求められている。
 任命権者においては、これまで長年にわたり様々な取組を実施してきているところであり、特に教育委員会では、引き続き教職員の多忙化解消に向けた協議会を開催するなど、学校現場における具体的な取組について検討が行われている。
 今後も、任命権者においては、既存業務の積極的な見直し・減量化など徹底した事務・事業の見直しや、業務の効率的な執行など更なる仕事の進め方の見直しを図った上で、その業務量に応じた人員の確保や適正な人員配置を行うなど、より実効性のある取組を実施していく必要がある。
 また、時間外勤務の縮減と同様の観点から、年次有給休暇の計画的、連続的取得の促進についても、休暇の計画表の活用等により、引き続き積極的に取り組んでいく必要がある。
 なお、本年6月に成立した「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」では、長時間労働の是正や多様で柔軟な働き方の実現等の措置が盛り込まれているところであるが、本県職員への対応については、国家公務員や他の都道府県の動向を踏まえ、検討する必要がある。

(2)心の健康づくりの推進

 職員が心の健康を保持することは、職員本人やその家族にはもちろんのこと、公務能率を向上させ、質の高い県民サービスを行っていく上でも、重要な課題である。
 メンタルヘルス対策については、これまでも任命権者において、メンタル不調の発生予防、早期発見・早期対応、円滑な職場復帰と再発防止を総合的・体系的に推進しているところである。
 今後も、ストレスチェック制度の有効活用により職員自身のストレスへの気付きを促すとともに、職場環境の改善につなげ、働きやすい職場づくりに取り組んでいく必要がある。

(3)仕事と家庭の両立支援の推進

 職員が男女を問わず育児や介護に取り組みやすい職場環境づくりの推進は、優秀な人材の確保やキャリア形成を支援していくことによる公務能率の向上等の観点から極めて重要な課題である。
 また、少子高齢化という構造的な問題を背景に、誰もが活躍できる社会の実現が重要課題となっている中で、公務においても限られた職員数で複雑・高度化する行政需要に対応することが求められており、職員一人一人の多様なニーズを柔軟に受け止め、その能力を最大限に発揮できるようにする必要がある。
 これまでも、育児休業や介護休暇などの制度の充実が図られてきたところであるが、男女を問わず、職員が両立支援制度を利用しやすくなることが重要であることから、任命権者においては、引き続き、制度の普及・啓発や職員が置かれている状況の適切な把握など、職場としての支援体制の整備を行っていく必要がある。
 なお、フレックスタイム制については、昨年4月から制度の拡充が図られたところであるが、同制度は両立支援の有効な取組の一つであることから、任命権者において適切な公務運営を確保した上で、対象職員の拡大など、更に制度の拡充を検討する必要がある。

(4)ハラスメント防止対策

 職場におけるハラスメントは、職員の尊厳を傷つけ、その能力の発揮を妨げるとともに、職場の活力と機能の低下をもたらすものである。
 職員の勤務意欲の向上や心身の健康、働きやすい職場環境を実現するため、ハラスメント防止対策について、その実情に応じ、国の取扱いを参考にしながら必要な措置を講じていく必要がある。

5 会計年度任用職員制度の整備

 昨年5月に地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律(以下「改正法」という。)が成立し、地方公務員の特別職非常勤職員及び臨時的任用職員の任用要件が厳格化されるとともに、一般職の会計年度任用職員制度が創設されたところである。
 国においては、同制度の適正かつ円滑な実施を確保するため、会計年度任用職員制度の導入等に向けた事務処理マニュアルを作成するなど、円滑な制度導入に向けた支援がなされている。
 任命権者においても、平成32年4月の改正法の施行に向け円滑に制度導入できるよう所要の準備を計画的に進める必要がある。

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