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がん対策推進特別委員会委員長報告

更新日:2011年1月1日 印刷ページ表示

平成22年11月定例会がん対策推進特別委員会委員長報告(平成22年12月16日)

がん対策推進特別委員会 委員長 原富夫

がん対策推進特別委員会 委員長 原富夫の画像

 がん対策推進特別委員会における審査の経過と結果について、ご報告申し上げます。

 まず、6月11日開催の委員会での審査について報告いたします。

 県がん対策推進計画策定に当たっての県民意見の反映や、県がん対策推進協議会の委員構成の状況、条例制定に伴う財源措置の必要性、がん予防の経済効果などが質疑されました。

 次に、県民全体のがん医療費負担額や、本県における年間がん罹患数の状況、がんの75歳未満年齢調整死亡率の推移、市町村のがん検診受診率が向上していない状況に対する県の受診率向上対策が質疑され、今年度から開始される民間企業との連携事業により受診率はどのくらい上がるのか、当局の見解が求められました。

 続いて、がんの再発率の状況が質されるとともに、がん登録については、群馬県健康づくり財団に委託している事業の状況や、本県の5年生存率の状況、追跡調査の重要性などの質疑が行われました。

 次に、喫煙対策について、県内医療機関の受動喫煙防止対策の状況や、未成年者に対する禁煙治療費助成事業の内容、喫煙者に対する啓発の状況が質され、子宮頸がん予防ワクチン接種については、県内でのワクチン接種費用の公費助成をしている自治体の状況や、接種費用、ワクチンを接種した人数、県の費用負担の必要性について議論が交わされました。

 続いて、重粒子線治療について、これまでに実施した治療の状況や今後の治療見込み、今後の課題、県民への普及広報の実施状況の質疑が行われました。

 次に、本県の骨髄バンク登録者及び移植数や、PET(ポジトロン・エミッション・トモグラフィー)検査に対する県の助成の可能性や、保険適用の状況について議論が交わされました。

 続いて、緩和ケアについて、医療従事者の専門的な資格や研修の開催状況、県立がんセンターの緩和ケアの状況、県内の緩和ケア提供施設の状況が質疑され、がんセンターに緩和ケア病床を設置することについて当局の見解が求められました。

 さらには、県立がんセンターでのがん薬物療法専門医等の資格はどう生かされているのか質疑されました。

 続いて本委員会では、「群馬県がん対策推進条例」制定の参考とするため、委員会調査を実施しました。7月30日に実施した「県内調査」では、群馬大学医学部附属病院、群馬県がん患者団体連絡協議会、県立がんセンターの3か所を調査し、特に「群馬県がん患者団体連絡協議会」の調査では意見交換会を実施し、がん患者の声を条例に反映させることに努めました。

 9月15日から17日までの3日間にかけて実施した「県外調査」では、全国初のがん対策推進条例を制定した島根県を中心にして5か所の調査を行い、先進的ながん対策の状況の調査を実施しました。

 次に、10月14日開催の委員会での審査について申し上げます。

 まず、がん対策基本法と条例との関連性や、がん診療連携拠点病院の連携、日常の診療における地域連携クリティカルパスの整備による連携が質疑されました。次に、がん検診受診率の向上が進まない理由が質疑され、自己負担額を無料にするなどの発想転換の必要性について意見が述べられました。

 続いて、条例の中に「財政上の措置」や「事業の優先順位」を明記すべきなのか、当局の見解が求められるとともに、在宅療養支援診療所の施設数や24時間対応の状況が質疑されました。

 次に、緩和ケアについて、疼痛緩和ケアに係る本県の現状や、県立がんセンターに緩和ケア病床を設置するための手続きや課題について、活発な議論が交わされました。さらには、県ホームページ上でのがん対策の情報提供の取組が質疑されました。

 続いて、本委員会では、群馬県がん対策推進条例の制定に向けて、10月14日、11月2日、11月22日、11月30日の4回にわたる委員会において、委員相互による活発な「委員間討議」を実施し、実効性のある条例づくりを進めてきました。

 また、群馬県医師会、群馬県歯科医師会、群馬県薬剤師会などの関係団体との調整や、委員長主催による「群馬県がん診療連携拠点病院」を対象とした説明会を開催して、条例案に関係団体等の意見を反映するよう努めました。

 以上の審査等の経過を踏まえ、12月13日の委員会では、「群馬県がん対策推進条例」議案が提案されましたので、その概要を申し上げます。

 条例案は、まず、前文を設けて「県民の疾病による死亡の最大の原因となっているがんに対して正面から向き合い、互いに支え合いながら、がんに負けないという強い信念を持って、安心して暮らすことができる群馬を目指す」ことを規定しました。

 次に、第1条は「目的」、第2条から第5条にわたって、県、保健医療関係者、県民、事業者のそれぞれの責務を規定しました。第6条の「がんの予防及び早期発見の推進」は、まず「がん検診の受診率の向上のための普及啓発」を規定し、受診率の大幅なアップを目指す県の施策の後押しをしており、続いて、「女性に特有のがん及びそのがんの発生しやすい年齢を考慮したがんに関する正しい知識の普及啓発」の規定や、「がんに関する正しい理解及び関心を深めるための教育」などの規定を設けております。

 第7条「がん医療の充実」では、がん診療連携拠点病院及び群馬県がん診療連携推進病院の機能強化や、重粒子線治療の推進、第8条では、医師等の医療従事者の育成及び確保を規定しました。第9条「緩和ケアの充実」では、がん治療の初期の段階からのがん患者の状況に応じた緩和ケアの推進や、緩和ケアに必要な病床の確保など、多岐にわたった緩和ケアの充実に取り組むこと、第10条では「在宅医療の推進」を規定しました。

 第11条「がん登録の推進」では、地域がん登録の実施を規定するとともに、院内がん登録への支援、がん患者の追跡調査に当たる「予後調査」の実施など、特徴的な規定を設けました。第12条では「がん医療に関する情報の提供」を規定し、第13条「がん患者及びその家族等に対する支援」では、がん患者及びその家族等に対する相談支援体制の整備や、がん患者団体が行う活動への支援などを規定しました。第14条では「骨随移植の促進」を規定し、第15条「群馬県がん対策推進協議会」では、がん対策の推進及び評価に関する事項を協議するため、同協議会を設置し、協議会の組織及び運営に関し必要な事項は、知事が規則で定めるようにしました。第16条では「県民運動の推進」、第17条では、県が施策推進に必要な「財政上の措置」を講ずる規定を設け、附則として、施行期日は「公布日施行」とし、3年毎の見直し条項を設けました。

 また「群馬県がん対策推進条例」は、「群馬らしさ」を打ち出した条例となっています。例えば、

  • 前文を設けたこと。
  • 他県のがん対策推進条例では「努めるものとする」と規定されている項目の多くが、本県条例では「講ずるものとする」と規定されていること。
  • 重粒子線治療の推進を規定したこと。
  • がん登録の推進について、県の責務を具体的に規定したこと。
  • 「事業者の責務」「県民運動の推進」「財政上の措置」などの規定を設けたこと。

など、特徴的な内容となっています。

 この「群馬県がん対策推進条例」議案を、12月13日の委員会で採決した結果、全会一致で委員会発議することに決定いたしました。

 以上で、付議事件について審査を終了し、12月13日に「委員会報告書」の内容審査を行い、同日議長あて提出いたしました。

 以上、申し上げて、委員長報告といたします。