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第2回群馬県障害を理由とする差別解消条例(仮称)検討会の議事録

更新日:2018年6月25日 印刷ページ表示

1 期日

平成30年5月17日(木曜日)

2 場所

県庁29階 第1特別会議室

3 出席者

(1)群馬県障害を理由とする差別解消条例(仮称)検討会委員

(※ 順不同。各委員の所属と役職は第2回検討会開催当時のものである。)

  • 片野清明会長(群馬県社会福祉協議会 会長)
  • 杉田安啓委員((公社)群馬県身体障害者福祉団体連合会 副会長・高崎市身体障害者団体連合会 会長)
  • 江村恵子委員((一社)群馬県手をつなぐ育成会 会長)
  • 吉田英子委員(群馬県重症心身障害児(者)を守る会 会長)
  • 中島穣委員((公社)群馬県知的障害者福祉協会 会長)
  • 真下宗司委員(群馬県身体障害者施設協議会 会長)
  • 吉邑玲子委員(群馬県精神障害者家族会連合会 会長)
  • 高森勉委員(群馬県自閉症協会 会長)
  • 樺澤洋委員(群馬県視覚障害者福祉協会 副会長)
  • 早川健一委員((一社)群馬県聴覚障害者連盟 理事長)
  • 飯島邦敏委員代理(群馬県せきずい損傷者協会 事務局・細野直久副会長の代理として出席)
  • 片山和也委員((特非)群馬県精神障害者社会復帰協議会 理事)
  • 水沼文男委員(群馬県難病団体連絡協議会 会長)
  • 船津久美委員(群馬県特別支援学校PTA協議会 会員・群馬大学教育学部附属特別支援学校PTA顧問)
  • 井上政道委員(群馬県民生委員児童委員協議会 副会長)
  • 五十嵐亮二委員(群馬県経営者協会 常務理事)
  • 高草木悟委員(日本労働組合総連合会・群馬県連合会 事務局長)
  • 大倉朋子委員(前橋地方法務局人権擁護課 課長)
  • 青木宣雄委員(群馬県人権擁護委員連合会 委員)
  • 山本聡委員(群馬弁護士会 弁護士)
  • 鈴木利定委員(群馬医療福祉大学 学長・学校法人昌賢学園 理事長)
  • 堤順一委員(群馬県市長会・太田市福祉こども部 部長)
  • 佐藤好美委員(群馬県町村会・昭和村保健福祉課 課長)
  • 小林啓一委員(群馬県健康福祉部障害政策課 課長)
  • 宮下智委員(群馬県産業経済部労働政策課 障害者就労支援係長)
  • 佐藤隆行委員(群馬県生活文化スポーツ部人権男女・多文化共生課 補佐・人権同和係長)
  • 春田晋委員(群馬県教育委員会事務局義務教育課 補佐・教科指導係長)
  • 高橋玲委員(群馬県教育委員会事務局特別支援教育課 補佐・指導係長)

(2)事務局

 女屋広之次長、都丸要障害政策課専門官、関根智子障害政策課社会参加推進係長、田中さやか障害政策課社会参加推進係主任、塚越智行障害政策課社会参加推進係主事

4 議事の概要

(1)開会

  • 午後2時00分、開会
  • 県の情報公開制度に基づき、検討会を公開とすることを説明
  • 傍聴者は1名、取材者は5社であることを報告
  • 検討内容の概要を県のホームページ等で公開することを説明
  • 議事録作成のため、会議の内容を録音することを説明

(2)あいさつ

群馬県健康福祉部障害政策課長 小林啓一

群馬県障害を理由とする差別解消条例(仮称)検討会会長 片野清明

(3)議事(議事進行は片野会長)

議事1 群馬県障害を理由とする差別解消条例(仮称)の素案について

 資料2に基づき、事務局(障害政策課社会参加推進係 田中主任)から説明した。

片野会長(群馬県社会福祉協議会)

 条例の条文をイメージした形で素案をお示しいただいた。県の考え方、第1回検討会でお示ししたたたき台からの変更点を含めて、前回の検討会での委員の御発言をだいぶ踏まえた検討をしていただいたとの印象である。逐条でやるような議論もあるが、時間の関係もあるので、第1回検討会と同じく、全体を通してそれぞれの委員の興味、関心をもとに御発言いただきたいと思う。それでは挙手の上、質問、感想、更に訴えたいことなど御発言をお願いする。

高森委員(群馬県自閉症協会)

 条例が制定された後に我々が認識しなければいけないことについて教えていただきたい。県の責務や市町村の役割の中で「連携」という言葉を使っているが、実際にあった事例をお話しさせていただく。ある市町村に御相談に伺った時に、自閉症協会から要望が上がっていないからと受け付けてもらえなかった。我々は群馬県に毎年要望書を提出している。なるべく簡潔に、要点を絞って要望している関係で、全てを網羅しているわけではないが、非常に多岐に渡る要望事項を毎年群馬県に提出している。しかしそれが市町村に上手く伝わっていない。我々が各市町村に対しても各地域特性に合わせた要望を出していかないとならないのか。県と市町村の連携が取れてないと判断をしていいのか。我々の動き方に問題があるのか。この条例で言うような連携にうまくはまっていないのか、どのように捉えたらいいのかをお聞きしたい。

片野会長(群馬県社会福祉協議会)

 条例の案とは少し離れた制定後の取扱いを念頭に置いて、市町村と県との連携がどのようになっているのかとの趣旨の御質問であった。いかがか。

小林委員(群馬県健康福祉部障害政策課)

 要望は宛名を定めて行うのが通常である。受け取る側としては個別具体的に要望いただいて受け止めるというのが通常である。自閉症協会からは生活全般や教育に渡る色々な要望を県の各分野に応じて頂いている。それを県内市町村に広くつないで欲しいということであると思う。要望の場では県庁内各課の担当者が必要に応じて出席し、意見交換をさせて頂いている。場合によっては市町村におつなぎすることも必要かと思うが、要望の際に具体的なお話がなかったので市町村への情報提供はしなかった。県として決めたことが市町村に影響するのであれば、当然、県としてこのように変更するので市町村でも御配慮頂きたいとおつなぎする流れになる。案件ごとに扱いは異なると思うが、要望書の写しを市町村に送付するようなことはしていない。市町村に要望を出す際には、改めて市町村に趣旨を御説明いただく方がよい。県に話をしてあるから説明しないということでは、少し説明不足であろう。県も信頼関係でざっくばらんにお話しさせていただいているところもあるので、市町村にも必要に応じて伝えたいと思うが、現状では市町村にはおつなぎしていない。

堤委員(群馬県市長会 太田市福祉こども部)

 県とも情報共有したいと思うが、市町村にも来て直接お話ししていただくのが問題解決のためになるのかと思う。県にお願いしたから市町村が全部知っているということではなく、直接来ていただくのがよいと思うのでお願いする。

小林委員(群馬県健康福祉部障害政策課)

 条例に「県と市町村が連携して」との文言があるとのことで高森委員からご質問があった件について、補足させていただく。差別解消推進に係る施策について、県と市町村が連携して取り組むことを条例で示すことで、積極的に県と市町村で意見交換をするきっかけになると考えている。条例で示すことで、県と市町村の連携を進める方向に向かうはずだと考えて、県と市町村は対等な関係であるけれども、県と市町村との連携・協力は必要だと考えて、敢えて、市町村の役割を規定させていただいた。よい方向に向かうと私どもは確信している。

樺澤委員(群馬県視覚障害者福祉協会)

 合理的配慮について、たたき台と比べると勢いが少しなくなってきたと感じる。合理的配慮というが、県の合理的配慮はどうなっているのか。この合理的配慮ができていれば障害者はかなり楽になると思う。県で相談窓口を作ったと言っているが、その相談窓口は担当者が決まっているのか。条例の中にすばらしい文言がたくさん出てくるが、これを実行していくのは障害者団体もかなり頑張らないとならない。県内に住んでいる人達に対しても、県でよいパンフレットか何かをつくって啓発していくのだと思うが、周知していくとか、理解してもらうとか、かなり難しいと思う。事業者は、障害者差別解消法に則ったやり方で、合理的配慮は義務ではなくなった。自分の中で理解しかねる。自分も福祉の分野で活動しているが、何を広報しても見てくれる人が本当に少ない。それも含めて県の取り組み方を伺いたい。差別解消のすばらしい県条例ができても、かなり一生懸命に取り組まないと、無駄になってしまう。

片野会長(群馬県社会福祉協議会)

 合理的配慮について具体的なイメージも含めて、第1回の時から比べてトーンダウンしたというのは、おそらく法規審査が入ってきて、やや難解な表現が入ってきたこともあると思う。合理的配慮の観点、それから相談窓口の観点、そして県民理解、障害者当事者の理解も含めて、県の取組姿勢についての御質問である。いかがか。

事務局(障害政策課社会参加推進係 田中主任)

 まず、相談窓口だが、群馬県身体障害者福祉団体連合会に専門の相談員を1名置いている。この団体には障害者110番という別の窓口を置いているが、その相談員と一緒になって相談を受けて頂いている。ただ、県外部への委託になるので、国の所管省庁や事業者に連絡を取る際にやりづらい場合には、相談窓口から県に連絡をいただき、県から、連絡をしている。例えば、先日、タクシーの運行について差別されたという相談があったときには、県から陸運支局に情報をつないで指導をしていただいたりとか、バス会社にも色々な情報をおつなぎしたりとか、県と委託先の相談窓口で連携をして取り組んでいる。
 合理的配慮については、単語としてわかりにくいとは感じている。先ほど素案の説明の中でも申し上げたとおり、当県ではこの条例をきっかけにして、配慮する必要があるのだということ、他人事ではなくみんなでやっていかなければならないのだということを、色々な人に知っていただくために、パンフレットを作ったりして啓発していきたい。ただそのパンフレットも手にとってもらわなければ意味がない。県では現在でも、差別解消法の出前講座を行っているが、これを積極的に県民の方に向けて行ったり、事業者については、基本的には国がやると差別解消法ではなっているが、やはり県でも何かしら、マニュアルではないが、例えば障害当事者の皆さんから、こんな配慮をして頂きたいというようなことを伺って、県でまとめて事業者につないだりなど、具体的に何をやるかは、まだ担当として考えていることではあるが、もちろんしていかなければいけないとは考えている。
 理解促進のための取組については、特に今回、教育委員会から社会教育関係団体と連携してとの文言を条文に入れていただいている。社会教育関係団体、例えばPTAや青少年育成協議会や、婦人会など色々な団体があると思う。今でもそういった団体に出前講座をしていたりするが、地道な活動で取り組んでいくしかないかと思っている。
 また、たたき台では「障害を理由とする差別」に「合理的配慮をしないこと」も含まれると定義していたのを、素案ではこの定義をなくしてしまった件についてだが、県としては、基本理念に合理的配慮が必要であることを入れたことで、むしろ県の姿勢が明確になったと考えている。合理的配慮の提供について、事業者を努力義務にした件については、担当の意気込みで、たたき台に書いたとおりで進めていきたいと思ったが、やはり差別解消法との兼ね合いもあり、法規審査の関係や第1回検討会での意見も踏まえ、大きいところも小さいところも含めた全ての事業者に合理的配慮が義務であると頭から言ってしまうのは、現時点ではまだ無理があると考え、現段階で、現実的な条例にするという意味で、少し後退したように見えるかもしれないが、現実的な書きぶりに変えさせていただいた。ただ、合理的配慮は進めていかなければならない。そのことを基本理念で書くことで、対応させて頂いた。

山本委員(弁護士会)

 「障害を理由とする差別」について定義規定があったものが、今回の案ではなくなっていることについて、前回の検討会では是非書いたらいいのではないかと意見したが、結論としては定義規定を置かないことに賛成したい。前回は「障害を理由とする差別」に「不当な差別的取扱い」と「合理的配慮の提供をしないこと」の二つの類型があると申し上げたが、「障害を理由とする差別」は本当にその2つだけかと考えると、私も断言できない。例えば、「障害を理由とする差別」というのはAとBですと言ってしまうと、もうCとかDといった話が出てこない。AとBまでが差別なのだということで、差別の範囲を絞ってしまうことにもなってしまう。障害者差別解消は、最近になってようやく動きだしたこと。不当な差別的取扱いをすることと合理的配慮をしないことが差別に当たるのは当然のことであるが、これ以外にも出てくる類型があるかもしれない。「障害を理由とする差別」というのは、これとこれだけだ、という定義を置くこと自体も、もしかするとここから先の取組の道を閉ざしてしまうものになるかもしれない。障害者差別解消法にも定義が置かれていないのは、そういった理由なのではないかと考え、今回の素案のように、定義規定を置かないことにしても、やむを得ないと考える。

早川委員(群馬県聴覚障害者連盟)

 第4で不当な差別的取扱いの禁止と合理的配慮の提供についてお話をいただいた。予算については関係部署と検討していきたいと、第1回検討会でもお話し頂いた。先日、県主催の古文書の入門講座のチラシをいただいて申込みをしたが、最終的に抽選で外れたと言われた。それは不当な差別的取扱いなのではないかと少し感じた。予算などの問題で合理的配慮を講ずることができなくて、聴覚障害者ということで外れたのではないかと思った。主宰者側で合理的配慮を考えて、通訳の予算とかを取っていただく必要があると思う。また、防災につても、小さい問題が起こったときに、今後それが大きな問題になる可能性が出てくる。そういったことを考えると、差別解消のお金をできる範囲でやりますと書いてあるが、そうではなく、予算を「講ずるよう努める」という文言ではなく、「講ずるものとする」としていただきたい。「努める」では、努められなければ排除されてしまうと考えてしまうので、はっきりと「予算を講ずる」としていただきたいと考えている。

水沼委員(群馬県難病団体連絡協議会)

 条文の内容については、このような内容でやむを得ないと思うが、この後が大事である。いかに、どのような施策をしていくのか、その具体的な施策が一番大事になってくる。具体的な施策をしっかりやっていただくこと、具体的にどのようなものが出てくるのかを、これから我々は注視していかなければならない。
 我々難病については、10万人に1人など希少疾患が多いので、どうしても注目され、意外な目で見られる方が多い。普通の人とは違うというふうに見られてしまう人が多く、若干、内に向かう方が多い。最近はフェイスブックでALSなどの方が表に出てくることも多くなってきたが、それでもまだまだ内に向いている方が多く、外に我々のことを知られたくないという方もずいぶんいる。このような方のためにも、この差別解消条例についての具体的な施策がしっかりできて、これなら自分が外に出ても大丈夫なのだと、こういう優しい群馬県になったのだなと、そのように見ていただけるような、そういう施策をしていただければ、難病の患者も外に出られると思う。しっかり取り組んでいただきたい。

真下委員(群馬県身体障害者施設協議会)

 確かにこの条例はできた後が課題。一番は相談事業と地域協議会。私も長年障害福祉に関わってきたが、基幹型など色々な相談機関ができてきて、障害を持っている方がどこに相談に行ったらいいのかがわからなくなるような状況である。我々は連携をしていかなければならないが、色々な専門家がいて、その専門家にどうつないでいくかが見えてこない。最初に差別の相談を受ける窓口がしっかりとやっていかなければいけないと思う。
 地域協議会については、設置済なので条例では規定しないとのことだが、設置済であることを知らなかった。

事務局(障害政策課社会参加推進係 関根係長)

 古文書入門講座の申込みの件について、開催する文書館から当課へ相談があった。予算措置ができなかったのではなく、古文書入門講座にたくさんの申込みがあったので、あくまでも抽選で漏れてしまったというのが事実であり、合理的配慮ができなかったということではないと判断している。
 予算の問題については、この場で答えは出せない。このまま持ち帰って関係部署と相談して決めていきたい。
今後どのように取り組むかについては、この条例をきっかけに、きちんと施策として取り組んでいきたいというのが県としての考えである。
地域協議会については、現在、群馬県障害者虐待防止・差別解消ネットワーク会議を開催しており、それが地域協議会である。この会議は元々虐待防止のためのネットワーク会議である。この条例を制定した暁には、この会議を差別解消の地域協議会としてきちんと運用していけるよう、会議の内容を少し見直していきたいと考えている。

片山委員((特非)群馬県精神障害者社会復帰協議会)

 第7の県民の役割についてだが、障害者が必要な支援について可能な範囲で周囲に伝えることにより理解の促進が図れるよう努めることは、理解の促進という部分で、とても意味のあることであると思うが、御自身で可能な範囲内で周囲に伝えるということは、個人情報をさらけ出すことでもあると思うので、その点に関しては、本当に勇気のある言動なのかと思う。この部分を県民としても絶対に忘れてはいけない。誰もが簡単に話せることではない、個人情報というのは本当に大切な部分だと思うので、重々頭に入れてやっていただきたい。

片野会長(群馬県社会福祉協議会)

 大変重要な指摘であったと思う。カミングアウト的な部分について、会議録にもきちんと残していただいて、このような指摘があったことを押さえておいていただきたい。

江村委員((一社)群馬県手をつなぐ育成会)

 第18防災に関して、昨年度開催された防災のセミナーに参加して、県の取組を拝見した。しかし実際に地域に帰ってみると、福祉避難所が本当に進んでいない状況である。条例で防災についてうたっていただいているが、現状が進んでいないので、すぐ浸透しないのではないかと思う。福祉だけの問題ではなく、防災が絡んでくるので、連携が非常に大切。1カ所でまとめてやるのは恐らく不可能。地域の保護者から心配だとの話が出ている。第1避難所は各地域で決まっていて、第2避難所、福祉避難所も各地域で設置されていると思うが、福祉避難所として名前は挙がっているが、実際にその施設に問い合わせると、全然認識がない。そのような状況である。ではどうしたらいいのかと、我々も迷っているところである。条例に障害者の個々の特性を把握して、それに応じた対応をするとうたわれているので、福祉避難所が機能するよう、条例を踏まえながら進めていただくのは非常に大切だ。もう進んでいるものに加えて、この項目を入れていただけたのは非常にありがたいことであり、更にこれを防災と絡めながら進めていっていただければありがたい。

山本委員(弁護士会)

 第17社会参加活動の推進については、「よくここまで言った」との感激を残したい。第1回検討会で示されたたたき台では、「参加できる機会を確保するよう努める」となっていた。ところが今回示された素案では、単なる参加の機会の提供ではなく、「参加をすることができるよう必要な施策を講ずる」とし、一歩踏み込んでいる。この条文を見ただけでも、この条例に向かう担当課の意気込みを感じている。単純に「機会を確保する」というのは機会は確保されているのであるからよい、というのであるが、そこを群馬県では一歩進んで、単なる機会ではなく、それができるように「施策を講ずる」、と規定しようという。社会参加に限られた部分ではあるが、この部分は是非維持していただき、今後他の分野にも広げていただきたいと思う。
 第7の県民の役割について、先ほどの事務局からの説明では、障害者の社会的障壁の除去に必要な支援を求めやすい社会というのは、障害を理由とする差別の解消の推進の一例であると説明があった。もし一例であるとすれば、「支援を“求めやすい”社会」ではなくて、「支援が“受けられる”社会」としてはどうか。求めやすいかどうか、支援を受けられるような社会が理想的である。言いたいことの趣旨は変わらないと思うが、せっかくなので「支援が“受けられる”社会」としてはいかがか。
 第19の地域協議会を削除するとの判断について、群馬県では障害者虐待防止・差別解消ネットワーク会議として、虐待防止と差別解消がセットになっているのは、私もネットワーク会議の委員になっているので承知している。このネットワーク会議について、既に設置基盤が条例レベルであるのであれば、わざわざこの条例で規定することはないと思うが、地域協議会がせっかくあるのであれば、規定を置くこと自体はかまわないのではないか。むしろ地域協議会を条例で定めるのだという姿勢を示すことができると考える。ここは最終的には学事法制課などとの絡みもあると思うのでお任せするが、是非、御検討いただきたい。
 第11相談体制について、県の相談窓口に入ってくる事案を既存の相談機関等につなぐ、あるいは、自分で処理することもあるかもしれない。こういった事案について、このような相談があった、内容は概ねこのような話であった、ということを整理して公表して、それを次年度にこうしますというような、公表などの予定はあるのか。この件については、次回検討会で教えていただければ結構だ。

中島委員((公社)群馬県知的障害者福祉協会)

 第7県民の役割の2項の文章で気になるところがある。この文章を見ていると障害者自らが困っていることを周囲に伝えなければならないというように受け取れてしまう。それよりは、県民の役割ということで、もちろん障害を持っている方も県民ではあるが、そういった困りごとを、県民の方々は人ごとにしないで、自らのことのように受け止めるような社会であって欲しいと思うので、ここの文言に、続きの文章入れるなど、工夫をしていただきたい。

鈴木委員(群馬医療福祉大学)

 第14教育の中で、「県は、学校教育において、障害のある児童及び生徒と障害のない児童及び生徒が共に学び」とある部分について、「児童」「生徒」に「幼児」も加えたよいのではないか。
また、参政権については、入っているか。

小林委員(障害政策課)

 色々な意見があり、時間がなくて申し訳ない。後でまとめて委員に回答する方法を考えたい。また、中島委員がおっしゃるように、例えば障害者が申し出をしなければいけないのか、とか、片山委員から個人情報についていかがなものか、という御意見もあった。また、条例が成立した後にどのようなPRをしていくのかという御質問もあった。これらについては、まだ内々の話ではあるが、積極的な啓発活動が大事であると思っている。この条例の目的は共生社会の実現であるから、何かを義務付けるとか、何かを規制するとか、そういった形で仕切るのではなく、非常に息の長い話にはなるが、お互いを尊重しあう社会を作りたいということである。そういったことをPRするチラシを作っていきたい。それから東京に赤地に白い十字とハートマークが書かれたヘルプマークというものがあるが、それがJIS規格になったので、これを群馬県として積極的に取り入れようということになっている。条例の制定に合わせて、啓発には、そういったものを広げる段取りをしているところである。ヘルプマークは、例えば外見は障害があるかどうか分からないけれども、それを付けていると配慮して欲しいという印なのだということであり、難病の方なども、希少な病気かもしれないが、ヘルプマークがあれば、内部疾患があったりして配慮が必要だということを示せることになる。これは今回条例ができる中での我々が打ち出していく一つの具体的な施策であると考えている。ただそういった施策に予算が付くかどうかは別の話。早川委員から「財政上の措置を講ずる」と義務付けして欲しいとの要望もあったが、条例にどのように規定しても、施策の内容がよくなければ財政担当は予算を付けない。条例に予算を付けなければいけないと規定したとしてもそれは変わらない。財政課にはこれは大事な施策だと、きちんと説明した上で予算を付けてもらうのが役所のルールである。役所も湯水のごとく予算があるわけではないので、全体の中できちんと査定して予算を付ける。この条例は我々が差別解消の予算を積極的に要求するという心意気でもあるが、条文ができたからといって、全ての予算が付くわけではない。
 先ほど、手話通訳が付けられないから講座の受講を断られたとの話があったが、そういうことではない。手話通訳の予算を確保して手話に配慮するということと、障害があるから講座の受講を断ることとは、話が違う。障害者だから断れたということであれば「不当な差別的取扱い」であり、絶対してはいけないことであると認識している。役所の中でそうした認識がしっかりできるように、障害政策課が一生懸命旗を振って、職員1人1人がきちんと対応できるようにしたいと思っている。
 以上、ざっとした説明ではある。一つ一つの質問に答えていない場合もあるので、よく確認をして、後ほど、皆様方に御説明させていただきたい。

片野会長(群馬県社会福祉協議会)

 条例素案について、まだまだ直接御発言いただきたいところであるが、このあと「名称」と「前文」の2つの議題が残っているので、次に、条例の名称について、事務局から説明をお願いする。

議事2 条例の名称について

 資料4に基づき、事務局(障害政策課社会参加推進係 関根係長)から説明した。

片野会長(群馬県社会福祉協議会)

 条例の名称について、この場で決を採るのではなく、事務局からお示しした3つの候補について御意見をいただきたいとのことである。いかがか。

中島委員((公社)群馬県知的障害者福祉協会)

 私個人のお願い事としては、やはり共生社会の実現を一番にしたいと思う。この条例は我々関係者に限る条例ではなくて、県民一人ひとりのための条例であるとのことであるので、そのように考える。

真下委員(群馬県身体障害者施設協議会)

 条例の最大の目的は共生社会の実現であるが、色々な議論の中で、候補3にある「障害を理由とする差別の解消の推進」と「障害及び障害者に対する理解の促進」、まだこれが進んでない状況を踏まえて検討した方がよい。差別解消の推進と理解の促進というのは、本当にできているのかというところであるので、そちらに重きを置くと、候補3になり得るかと思う。

早川委員((一社)群馬県聴覚障害者連盟)

 障害のあるなしに関係なく一緒に暮らせる幸せなまちづくりのための共生社会というのがとてもいいと思うが、仮称とはいえ、第1回検討会から、この条例の検討会の名称として「障害を理由とする差別解消条例」とうたわれているので、これが条例の名称になるのかと思っていた。初めから書かれているこのままの名称がよいと私は思う。障害を理由とする差別の解消条例というと、一人ひとり障害を解決するための条例という感じになっていくので、この仮称の名称のまま、候補2の名称が目的にあっているのではないかと思う。

樺澤委員(群馬県視覚障害者福祉協会)

 私も聴覚障害の方も実際に周りの人と携わっているので、やはり「差別解消」がメインに出ていた方が私はよいと思う。これは恐らく、早川委員も私も直接、周りの人に感じていることだと思う。

吉邑委員(群馬県精神障害者家族会連合会)

 共生社会というのはとてもきれいであるし、本当はそれを目指したい。しかし検討会での議論を考えると、具体性を持っていた方がよい。候補2でも候補3でもいいが、敢えて言うと、候補2がよいと思う。障害者団体の皆さんの気持ちを考えると、やはり障害者団体の皆さんの思いを入れていただければと思う。

山本委員(群馬弁護士会)

 候補3がふさわしいと思う。共生社会が目指すべきものであることは間違いない。ただ、差別解消法であるとか、あるいは虐待防止法もそうだか、なぜそのような法律ができたかを考えると、差別があることを認識した上で、その芽を摘むことがとても重要であるという基本的な考え方が背景にある。タイトルは条例の顔、看板。そこに差別を解消するという文言が出てくるのは非常に意義深いことである。加えて、第1回の検討会でも意見が多く出たが、理解が進まなければならないということがその根っこにあり、これも共有できる問題点である。とすると、理解の促進のための条例でもあるということを明示した方がよいのではないか。長くなってしまって分かりづらいというのはあるが、差別の解消の推進と理解の促進は2枚看板として掲げるべきことであると思う。であるから、私は候補3がふさわしいと思う。

高森委員(群馬県自閉症協会)

 発達障害は知的障害の有無に関わらず起こりうることで、言葉の意味を理解しにくい障害のある方もいる。障害をお持ちの当事者本人の目にも触れる機会があることを考えると、そういった障害をお持ちの当事者本人が見ても分かる文言もあってもいいのかなと思う。これは検討の中に是非お含みおきいただければと思う。

水沼委員(群馬県難病団体連絡協議会)

 条例の名称は長いと覚えにくいので、長い名称は簡略して言われる。それを考えると「差別の解消の推進」をしっかりやっていくという意味で、候補2がいいと思う。もちろん共生社会も、障害のある人もない人も共に暮らしやすい群馬県というのも、優しい言葉でよいと思うが、今回、差別の解消をしっかり出していただければと思うので、候補2がよいと思う。

片野会長(群馬県社会福祉協議会)

 条例の名称に関しては、賛否様々な御意見があるかと思う。色々な御意見をいただいたところで、名称に関しては一区切りとさせていただく。
 次に議事の3番目に入らせていただき、その中で本日まだ御発言いただいていない方にも御発言いただきたいと思う。
 次に、条例の前文について、事務局から説明をお願いする。

議事3 条例の前文について

 資料5に基づき、事務局(障害政策課社会参加推進係 関根係長)から説明した。

片野会長(群馬県社会福祉協議会)

 この前文は、パブコメにはのせないということなので、第3回検討会で条例案が全体として出されるときに改めて出てくるのだと思う。この場で委員の皆様に御意見があれば伺いたい。

水沼委員(群馬県難病団体連絡協議会)

 我々の協議会の中で以前からよく話をするのだが、4段目の「このような状況において」の後に、このような文言を入れていただきたい。「このような状況において、誰しもが障害を有することとなる可能性があること、そして、誰もが安心して暮らせる共生社会を実現するためには」というような文言を入れていただけるとありがたい。「誰しもが障害を有することとなる可能性があること」誰しも障害を持つ可能性があるのだということ、障害は決まった人がなるものではないのだということ、そのことをしっかり入れていただきたいと思う。

片野会長(群馬県社会福祉協議会)

 委員の皆様に、本日意見票をお配りしている。本日時間が足りず御発言できなかった意見もたくさんあろうかと思うので、別途御意見があれば、今月中に意見票を提出いただければと思う。
 素案、名称、前文と検討いただいたが、全体を通して、感想でも結構なので、御発言いただければと思う。船津委員、いかがか。

船津委員(群馬県特別支援学校PTA協議会)

 貴重な場に参加させていただき、ありがとうございます。素案の中に「支援を受けられる社会」という文言がありました。私ども小・中・高校生の小さな子ども達をこれから世に送り出す親として、そのような社会に出してあげたい。その言葉にとても共感した。将来これからの就労に向けて今頑張っているところである。できるだけ皆様の理解を得て明るい社会に向けて歩んで行かせてあげたいというのが、親の気持ちである。皆様の本当に温かい気持ちを今日は受け取ることができた。ありがとうございました。

片野会長(群馬県社会福祉協議会)

 以上で、議題についての検討は終了させていただく。
 私から、まとめとしてひと言を申し上げる。それぞれの委員の御発言を全体として受け止めると、条例の素案については、概ね評価していただける内容になっているとかと思う。個別には財政的な支援の問題も含めて、端的に書いた方がいいのでは、との要望なり御意見もいただいた。たくさんの御意見をいただいているが、それについては、この後事務局に受け止めていただいて、パブリックコメントも含めて、原案の段階で御検討いただければと思う。

 ここで、進行を片野会長から障害政策課社会参加推進係関根係長に移した。

事務局(障害政策課社会参加推進係 関根係長)

 委員の皆様、大変お疲れ様でした。また、貴重なご意見をいただき、誠にありがとうございました。
 本日お示しした条例の素案、名称、前文に対して、御意見等があれば、本日お配りした意見票に御記載いただき、御提出ください。
 最後に、今後の予定を説明させていただく。本日席上に配付した「今後の日程について」と書かれた資料を御覧いただきたい。
 まず、本日の御意見を受けて素案を修正し、6月下旬から7月下旬にかけてパブリックコメントを実施する予定である。パブリックコメントの実施に合わせ、別途、検討会委員を御推薦いただいた団体に対しても、条例素案についての意見を照会させていただく予定である。
 次に、8月24日(金曜日)に第3回検討会を開催予定である。開催1ヶ月前を目処に、開催通知を送付する。第3回検討会の議題は、「パブリックコメントの結果の報告」、「これまでの検討のまとめ」、「条例原案の検討」を予定している。
 その後、第3回検討会での意見を受けて条例案を作成し、11月下旬から開催される平成30年第3回後期定例県議会に条例の議案を上程予定である。
 この定例県議会で議決されれば、12月下旬に条例を公布する予定である。

(4)閉会

 午後4時00分、閉会

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