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第3回群馬県障害を理由とする差別解消条例(仮称)検討会の議事録

更新日:2018年12月20日 印刷ページ表示

1 期日

平成30年8月24日(金曜日)

2 場所

県庁29階 第1特別会議室

3 出席者

(1)群馬県障害を理由とする差別解消条例(仮称)検討会委員

(※順不同。各委員の所属と役職は第3回検討会開催当時のものである。)

  • 片野清明会長(群馬県社会福祉協議会 会長)
  • 杉田安啓委員((公社)群馬県身体障害者福祉団体連合会 会長)
  • 江村恵子委員((一社)群馬県手をつなぐ育成会 会長)
  • 吉田英子委員(群馬県重症心身障害児(者)を守る会 会長)
  • 中島穣委員((公社)群馬県知的障害者福祉協会 会長)
  • 真下宗司委員(群馬県身体障害者施設協議会 会長)
  • 吉邑玲子委員(群馬県精神障害者家族会連合会 会長)
  • 高森勉委員(群馬県自閉症協会 会長)
  • 和泉俊子委員(群馬県視覚障害者福祉協会 理事)
  • 早川健一委員((一社)群馬県聴覚障害者連盟 理事長)
  • 細野直久委員(群馬県せきずい損傷者協会 副会長)
  • 片山和也委員((特非)群馬県精神障害者社会復帰協議会 理事)
  • 水沼文男委員(群馬県難病団体連絡協議会 会長)
  • 船津久美委員(群馬県特別支援学校PTA協議会 会員・群馬大学教育学部附属特別支援学校PTA顧問)
  • 井上政道委員(群馬県民生委員児童委員協議会 副会長)
  • 五十嵐亮二委員(群馬県経営者協会 常務理事)
  • 高草木悟委員(日本労働組合総連合会・群馬県連合会 事務局長)
  • 大倉朋子委員(前橋地方法務局人権擁護課 課長)
  • 林耕平委員(群馬県人権擁護委員連合会 高齢者・障がい者人権委員会 委員長)
  • 山本聡委員(群馬弁護士会 弁護士)
  • 堤順一委員(群馬県市長会・太田市福祉こども部 部長)
  • 佐藤好美委員(群馬県町村会・昭和村保健福祉課 課長)
  • 小林啓一委員(群馬県健康福祉部障害政策課 課長)
  • 宮下智委員(群馬県産業経済部労働政策課 障害者就労支援係長)
  • 西優也委員代理(群馬県生活文化スポーツ部人権男女・多文化共生課 佐藤隆行補佐・人権同和係長の代理として出席)
  • 春田晋委員(群馬県教育委員会事務局義務教育課 補佐・教科指導係長)
  • 高橋玲委員(群馬県教育委員会事務局特別支援教育課 補佐・指導係長)

※鈴木利定委員(群馬医療福祉大学 学長・学校法人昌賢学園 理事長)は欠席

(2)事務局

女屋広之次長、都丸要障害政策課専門官、関根智子障害政策課社会参加推進係長、田中さやか障害政策課社会参加推進係主任、塚越智行障害政策課社会参加推進係主事

4 議事の概要

(1)開会

  • 午後2時00分、開会
  • 県の情報公開制度に基づき、検討会を公開とすることを説明
  • 傍聴者はなし、取材者は6社であることを報告
  • 検討内容の概要を県のホームページ等で公開することを説明
  • 議事録作成のため、会議の内容を録音することを説明

(2)あいさつ

群馬県健康福祉部障害政策課長 小林啓一
群馬県障害を理由とする差別解消条例(仮称)検討会会長 片野清明

(3)委員交代の報告

 群馬県視覚障害者福祉協会及び群馬県人権擁護委員連合会から推薦された委員に交代があったので、群馬県視覚障害者福祉協会の和泉委員と群馬県人権擁護委員連合会の林委員を紹介した。

(4)議事(議事進行は片野会長)

議事1 第2回検討会の主な意見について

 資料1を参照しながら、第2回検討会でいただいた意見のうち、その場で回答しなかったもの及び第2回検討会後に提出された意見について、事務局(障害政策課社会参加推進係 田中主任)から説明した。
 まず、資料1の「1 素案について」について回答した。

事務局(障害政策課社会参加推進係 田中主任)

イ 「県民の役割」に係る片山委員からの意見に対する回答

 個人情報の重要性を念頭に置き、障害のある方のお気持ちに配慮した取り組みとなるよう、十分注意して条例を運用していく。

ウ 「県民の役割」に係る山本委員からの意見に対する回答

 「受けられる」社会が理想であると考えるが、本条例では合理的配慮の提供について事業者は努力義務とし、県民については規定しないこととしたことから、「求めやすい」社会との表現とする。

エ 「県民の役割」に係る中島委員からの意見に対する回答

 条例全体に係る「基本理念」として、「全ての県民は、障害及び社会的障壁に係る問題が、障害のない者も含めた全ての人に関係する問題であることを認識し、その理解を深める必要があること。」と規定している。

オ 「障害を理由とする差別の定義」に係る山本委員からの意見に対する回答

 第1回検討会でお示しした案では「障害を理由とする差別」の定義を置いていたが、第2回検討会でお示しした素案ではこの定義を削除した。「差別」の定義を置いてしまうことで、かえって差別の範囲を狭めてしまう恐れがあるとの御意見をいただき、そのとおりであると考え、第2回検討会でお示しした素案のまま、「差別」の定義規定は置かないこととした。

ク 「相談体制」に係る山本委員からの意見に対する回答

 相談事例の整理は現在も担当課で行っている。公表については、個人情報の問題等もあるので今後の県と課題とさせていただく。

ケ 「啓発」に係る樺澤委員からの意見に対する回答

 条例の内容を具体例も交えて分かりやすく説明して周知していくことが重要だと考えている。条例制定後は、障害に対する理解を深め、障害を理由とする差別の解消を推進するため、条例の解説や各障害の特性と必要な配慮、様々な場面における対応例などをまとめた手引きを作成したり、研修を実施したりするなど、様々な機会を捉えて啓発していく。

コ 「教育」に係る鈴木委員からの意見に対する回答

 学校教育法上の「幼児」とは、幼稚園・幼保連携型認定こども園と特別支援学校の幼稚部に通う子どものみを指し、保育所等に通う子どもは含まれない。しかしながら、当然、小学校に上がる際は、現に通っているのが幼稚園か保育所かは関係なく、全ての子どもと保護者に対して必要な配慮をしていく。「幼児」と入れることによって、幼稚園児のみが対象かのような印象を県民に与える恐れもあることから、「幼児」は加えないこととする。幼稚園か保育園にかかわらず啓発を行っていきたいと考えている。

シ 「地域協議会」に係る山本委員からの意見に対する回答

 障害者差別解消法に基づき既に設置済であり、改めて条例で規定する必要はないことから、本条例では規定しない。

 次に、資料1の「2 名称について」について回答した。

事務局(障害政策課社会参加推進係 田中主任)

 条例の内容を端的に表す名称がよいと考え、パブリックコメントで示したとおり、「群馬県障害を理由とする差別の解消の推進に関する条例」とする。条例の啓発に当たっては、障害当事者にも分かりやすい内容となるよう工夫する。

 次に、資料1の「3 前文について」について回答した。
 「「誰もが障害を有する可能性があること」と入れて欲しい。」という水沼委員の意見と、「「誰もが障害になりえる(年齢に問わず)」と入れて欲しい。」という樺澤委員の意見について、次のように回答した。

事務局(障害政策課社会参加推進係 田中主任)

 この文言は入れないこととする。その理由は、中途障害の方にとっては、自身の経験から、今、自分に障害がなくても、いつ自分も障害を有することになるか分からない、その可能性は誰に出でもある、だから人ごとではない、自分のこととして考えて欲しい、との警告のような意味も込めたメッセージを前文で伝えたい、という趣旨であると理解している。
 しかしこの文言を読んで生まれつき障害がある方やその御家族がどのように感じるかを考えると、前文にこの表現を加える事には抵抗があると考えた。
 この条例は障害を理由とする差別をなくし、「障害の有無によって分け隔てられることなく(中略)共生する社会の実現」を目的としている。前文の中でも「障害の有無にかかわらず、安全にかつ安心して暮らせる共生社会の実現を目指す」と決意したいと考えている。
 前文の中にこのような文言を入れてしまうと、「障害者でない者」と「障害者」を分ける考えが入ってしまうように感じる。
 そのため、この文言は、前文に加えないこととする。
 なお、「基本理念」において、「全ての県民は、障害及び社会的障壁に係る問題が、障害のない者も含めた全ての人に関係する問題であることを認識し、その理解を深める必要があること。」と規定しているので、この部分で御意見の趣旨は読めると考えている。

 次に、資料1の「4 その他」について回答した。

事務局(障害政策課社会参加推進係 田中主任)

 障害を理由とする差別の解消を確実に前に進めていけるよう、関係部署、関係機関とも連携・協力して、具体的な取り組みにつなげていきたいと考えている。

片野会長(群馬県社会福祉協議会)

 前回までの御意見のうち、県行政が回答していなかったものについて、県の見解が示された。ただいまの説明について質問や意見を受けたいと思うが、全体としてはこの後の議題の中で話があると思うので、特に、今の説明について質問があれば伺いたい。

山本委員(群馬弁護士会)

 障害者差別解消支援地域協議会は、法に基づいて設置済なので条例では規定しないという回答であり、第2回検討会の説明では、この地域協議会に相当する「群馬県障害者虐待防止・差別解消ネットワーク会議」が設置されているとの説明であった。このネットワーク会議の設置は承知しているが、実際に法に基づいて設置した、という扱いになっているのか。

事務局(障害政策課社会参加推進係 田中主任)

 「参考資料6 群馬県障害者虐待防止・差別解消ネットワーク会議設置要綱」を御覧いただきたい。山本委員御指摘のとおり、差別解消法に基づくという文言はこの設置要綱に記載は無いが、当県ではこのネットワーク会議が地域協議会に相当する会議であると認識している。この後の議事で説明をさせていただくが、同じく障害者の人権に関わる会議であるということで、虐待防止と差別解消とが一体となったネットワーク会議にしている。予算の関わる話なので予算が確保できればの話になるが、差別解消支援地域協議会であることがわかりにくいということもあり、差別解消を独立して、障害者差別解消法に基づいた会議であることを明記した会議にしたいと考えている。

片野会長(群馬県社会福祉協議会)

 条例には障害者差別解消支援地域協議会は規定しないけれど、既にある組織を明確に分けて、その趣旨を活かしたいという説明であったと思う。
 議事1について、他に質問がなければ、議事を進め、議事2と議事3で積極的な御意見をいただきたい。

議事2 パブリックコメント結果について

 まず、資料2-1に基づき、パブリックコメントの概要について事務局(障害政策課社会参加推進係 田中主任)から説明した。
 次に、資料2-2を参照しながら、パブリックコメントに対する県の考えについて事務局(障害政策課社会参加推進係 田中主任)から説明した。

事務局(障害政策課社会参加推進係 田中主任)

 団体(1)から提出された「相談体制」に係る意見「条例よりもさらに上位に位置するはずの法律の中に「障害者を理由とする差別に関する紛争の防止又は解決を図ることができるよう必要な体制の整備を図るものとする。」と規定されているにもかかわらず、条例にこれについて明記した規定が見当たらない。しかも県の考えとして、「紛争解決については、既存の紛争解決機関を活用する」との考えを基本にしているのは、明らかに本法律の趣旨に反し、行政側の責任回避的姿勢、傍観者的姿勢の印象を持たざるを得ない。本条例には「紛争の防止又は解決」に関する取り組みを確実に明記願う。」に対する県の考え方を申し上げる。
 群馬県は、紛争の防止又は解決の取り組みを含む障害を理由とする差別の解消に関する取組において重要なことは、県民一人ひとりが障害に関する正しい知識を取得して理解を深めること、障害者との建設的な対話により相互理解を促進すること、障害者も含めた各主体がそれぞれの立場において主体的・自主的に取り組むことであると考えており、「相談体制」もこの考えに基づいて規定している。
 障害者差別解消法では、障害のある方からの相談や紛争解決に関して、基本的には、既にある機関(行政相談委員による行政相談やあっせん、法務局、地方法務局、人権擁護委員による人権相談や人権侵犯事件としての調査救済等)などを活用し、その体制の整備を図ることになっている。
 相手の理解が得られないなど相談では解消できない事案等の紛争解決については、既存の制度や権限のある機関を十分に活用することが、時間的にも効果の面でも有効であると考える。現在も、必要に応じて関係機関に事例をつないでいるが、今後も関係機関と連携しながらこれらの取組を継続して進めていきたいと考えている。

 次に、同じ団体(1)から提出された意見「本条例には「障害者差別解消支援協議会」の位置づけや必要性も確実に明記願う」。に対する県の考え方を申し上げる。
 群馬県では、既に法に基づき障害者差別解消支援地域協議会を設置済である。また、市町村に対しては、必要な情報提供を行っている。

 次に、個人の方から提出された「パブリックコメントの参考資料として提示した条例制定検討の背景と趣旨に対する意見」に対する県の考え方を申し上げる。
 この参考資料は前文を引用して書いたもので、県として様々な取組を進めてきたが、まだ差別があるので、差別解消を進めるための条例を制定する、という趣旨を説明している。これに対し「精神障害者が地域で安心して生活できるようにするための仕組みや制度にはいくつもの問題があると考えている。しかしこの参考資料は「障害者が地域で安心して生活できる仕組み作りはほぼ完了した。今後は、差別解消に取り組む」というようにも読み取るので改めていただきたい。」との意見であった。この御意見は県の意図とは異なる読み取りをしているようだが、県としても今の制度で十分であるとは考えていない。今後も様々な取り組みにより、障害のある方が地域で安全に安心して自分らしく自立して生活できる環境づくりを進めていく。様々な取組を進める上で重要である障害を理由とする差別の解消の推進に関して本条例で定めることにより、その取り組みをより一層確実なものとしていきたいと考えている。
 次に、同じ個人から提出された「雇用及び就労の促進」に係る意見「精神障害者の中には、働く意欲のない人や働く意欲はあるが能力不足の人たちがいる。こういう状態であっても、地域で安心して生活できる仕組みと制度が必要だ。また、働く意欲や能力向上心の醸成も必要だ。しかし素案の書きぶりだと「働く意欲と能力のない障害者は、社会で生き生きと生活できない」というようにも読みとれるので改めていただきたい。」に対する県の考えを申し上げる。
 これも県の意図とは異なる読み取りをしているようだが、群馬県では、障害のある人が職業に就くことは、給与収入等による経済的な自立を促進するだけでなく、就労を通じて社会参加していくことで、生きがいや自己実現につながると考えており、障害のある人が、個々の状況やその意欲、適性・能力に応じて就労できるよう、様々な取り組みを進めている。また、障害のある人の自立や就労機会の拡大を図り、労働の基礎的技術を身につけられるよう、職業能力の向上に向けた取り組みも推進している。本条例で障害者の雇用及び就労の促進について定めることにより、これらの取り組みをより一層確実なものとしていきたいと考えている。

 次に、団体(2)から提出された「相談体制」に係る意見「他県の条例でも定められている、あっせん、勧告、公表の手続きを明記すべきではないか。群馬県の条例(素案)においては、「助言その他の必要な支援」と規定されているのみで、救済システムとしては極めて弱いと感じる。県民の役割として、「障害当事者が、自らの障害の特性や社会的障壁の除去に必要な支援について可能な範囲で周囲に伝えることにより障害及び障害者に対する理解の促進が図られるよう努める」と規定されているが、これを全うするためにも、相談だけではなく、あっせんの申立てや勧告などが保障されている事を明記する必要があると考える。」に対する県の考えを申し上げる。
 これについては、先ほど群馬県精神障害者社会復帰協議会に回答したとおりである。他県条例においてあっせん等について規定していることは十分承知しているが、群馬県では、既存の機関を活用することが時間的にも効果の面でも有効であると判断し、あっせん等の規定は設けないこととする。

 次に、団体(3)から提出された「意見の聴取・相互連携」に係る意見「障害者その他の関係者の意見」とあるが、その他の関係者とは、誰か。保護者や障害者を支える支援者、資格保持者、心理士、担当医等々は含まれるのか。もう少し具体的に明示したほうが良いのではないかと考える」に対する県の考えを申し上げる。
 「障害者その他の関係者」には、御指摘の「保護者や障害者を支える支援者、資格保持者、心理士、担当医」といった方々も幅広く含まれ、幅広い方々と連携していきたいと考えている。

 次に、同じ団体(4)から提出された「教育」に係る意見「「本人及び保護者に十分な情報提供を行う」という文言は重要に感じます。加えてください。」に対する群馬県教育委員会の考えを申し上げる。
 本人及び保護者に十分な情報提供を行うとともに、可能な限りその意向を尊重しながら、学びの場や進路先を決定していくという取組が極めて重要であると認識している。現在も、子どもとその保護者への情報提供に努めているところだが、今後はより一層市町村と連携しながら、必要な情報が行き渡るよう、具体的な施策の中で取り組んでいく。

 次に同じ団体(4)から提出された同じく「教育」に係る意見「「県は教育する立場である学校教職員への障害や障害者、差別に対する理解、支援対応方法の知識技術を深める義務がある」という項目を追加してもらいたい」に対する群馬県教育委員会の考えを申し上げる。
 御指摘のとおり、適切な教育には、教員自身が障害に対する理解・知識を深め、対応方法や支援方法に係る技術を向上させることが不可欠であると認識している。そこで、平成30年2月に策定した「第2期群馬県特別支援教育推進計画」において、基本目標の1つとして「すべての教員の特別支援教育に関する専門性向上の実現」を掲げており、この目標の達成に向け、特別支援学校教諭免許状取得の促進や教員向け研修の充実を推進している。今後も、引き続き、教員はもちろん、児童生徒や保護者に対しても、障害に対する理解が深められるよう、取り組んでいく。

 次に、同じ団体(4)から提出された同じく「教育」に係る意見「「共に学ぶ機会が充実」とあるが、それは、まず差別感情が無くなってからの話では無いのか。無理やり形だけそのような場を設けて「充実」したと解釈できても、実際の障害者本人の感情は、果たしてそれが真に幸せかは、わからない。好奇な目で見る人がいるかもしれない。自分はみんなのようにできない、蔑まれていると感じるきっかけになってしまうかもしれない。健常な人々の自己満足にならないよう十分注意研究して施策する必要があると感じる」に対する群馬県教育委員会の考えを申し上げる。
 御指摘いただいたように、障害者と障害のない方が、差別感情なく「共に学ぶ」ことができる社会を目指すことが大変重要であると考えている。そのためには、「差別感情をなくすこと」と「共に学ぶ機会を充実させること」を並行して進めることが望ましいと考える。そこで、県民が「差別の解消の重要性について認識することができるよう社会教育における学習機会を確保」するとともに、後段で「障害者と障害のない者の共に学ぶ機会の充実」を規定した。差別感情を無くすことは極めて重要であると考えており、現状においても様々な施策に取り組んでいるところだが、御指摘の点をふまえながら差別解消に向け具体的な施策を進めていきたいと考えている。

 次に、同じ団体(4)から提出された意見「「居所」についての項目は無くていいのか。「県は、障害者の居所が不足しないようにする義務がある」等の内容の条項である。この条例に、「居所」についての条項追加を希望する。」に対する県の考えを申し上げる。
 障害のある方の「居所」の確保は、本条例の目指す障害の有無によって分け隔てられることなく誰もが安全にかつ安心して暮らせる共生社会を実現するために重要であると考える。本条例は共生社会の実現に資することを目的として、障害等に対する県民の理解を深め、障害を理由とする差別の解消を推進するための取り組みについて基本理念を定めるものであることから、御指摘の「障害者の居所が不足しないようにする義務」のような個別具体的な施策の規定は設けていないが、貴重な御意見であり、今後施策を進める上での参考とさせていただく。

 次に、同じ団体(4)から提出された意見「具体的にどうなるのかよくわからない。条例の制定により今後どうなるか、違いをわかりやすく説明してもらいたい。」という意見、それから「未就学時期からの取り組みも大事だ。誰でもわかりやすく、理解出来る、障害を理由とする差別の解消につながる条例の制定をお願いする。」に対する県の考えを申し上げる。
 条例という法規であるためわかりにくい表現があるが、御指摘のとおり、条例の内容を具体例も交えて分かりやすく説明して周知していくことが重要だと考えている。条例制定後は、障害に対する理解を深め、障害を理由とする差別の解消を推進するため、条例の解説や各障害の特性と必要な配慮、様々な場面における対応例などをまとめた手引きを作成したり、研修を実施したりするなど、様々な機会を捉えて啓発活動に力を入れていきたいと考えている。
 また、御指摘のとおり、未就学時期からの取り組みは障害を理由とする差別の解消の推進において重要であると考えている。貴重な御意見であり、今後施策を進める上での参考とさせていただく。

 次に、団体(5)から提出された「相談体制」に係る意見「当事者が知事に対して解決のために求める「あっせん」、相手が正当な理由がなくあっせん案を拒否したときの「勧告」、勧告に従わなかった相手の「公表」について規定をしてください。特に、行政の職員が該当者になった場合、公平な審議や処置がなされるのか疑問に思う。また、障害者特有の課題や背景を理解した上で審議されるかどうかが心配される。障害者団体代表者を含む第三者委員会を設置し、ここで公平な審議や処置をすべきと考える。」に対する県の考えを申し上げる。
 先に説明した内容と同じになるが、先ほど説明した既存の機関は、例え対象が行政であっても、障害者特有の課題や背景に留意して公正・中立の立場から相談に応じ、紛争解決に当たるものと考えており、心配には及ばないと考えている。

 次に、同じ団体(5)から提出された意見「施行1年後に執行状況や紛争等の経過や実績等を議会に報告することを規定すべき」に対する県の考えを申し上げる。
 条例施行後は、先ほども説明した障害者差別解消支援地域協議会に条例の施行状況等を報告し、今後の取り組みを御検討いただきたいと考えている。

 次に、同じ団体(5)から提出された意見「本条例の施行後3年を経過した時点において、執行状況、社会情勢の変化等を考慮しつつ、規程の見直しを行うことを規定してください。その際は、それぞれの当事者団体代表者が出席する検討会議を設け、それぞれの意見をまとめて、よりよい条例にしていくことを努めるべきと考える。」に対する県の考えを申し上げる。
 他県条例では見直し規定を設けている県もあるが、当県においては、知事提案の条例において、このような見直し規定は設けないこととなっている。知事が提案した条例については、様々な状況を勘案して必要があれば見直しを行うのは当然のことであり、敢えて附則で規定することではない、と法規審査部門で整理をしており、これまで知事提案の条例で見直し規定を設けたことはない。そのため、この条例についても見直し規定は設けないと整理をさせていただきたいと考えている。社会環境の変化、障害者差別解消法や条例の施行状況等を踏まえ、必要があると認められるときは、条例の規定について、障害者差別解消支援地域協議会において検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講じる。

片野会長(群馬県社会福祉協議会)

 パブリックコメントで出された意見とそれに対する県の考え方を口頭で説明いただいた。御意見等の発言をお願いしたい。

早川委員(群馬県聴覚障害者連盟)

 第1回検討会の場で川原健康福祉部長の御挨拶の中で「全国色々なところで条例があるが、群馬でもすばらしい条例を作りたい」という話をいただいた。これを非常に強く覚えている。今このパブリックコメントの回答を聞くと、なんだか弱いような気がする。相談体制についてももっと強い言葉で出していただけないかと思う。気を引き締めて各企業なりが障害者をきちんと支援できる、そういう気持ちになるような条例を作ってほしいと思う。または、群馬に住みたい、この条例があるからいいねと言われるような条例にしていただきたい。この条例では弱いような気がするので是非もう少し考えていただければありがたいと思っている。

片野会長(群馬県社会福祉協議会)

 具体的な御提案があるか。

早川委員(群馬県聴覚障害者連盟)

 相談体制のところである。やはり、あっせん、勧告、公表、これについて記載がない、こういうものをきちんと保障していただきたいと思っている。実際にはっきり言葉として載せていただければ、何か気がつくところがある。何かもやもやしたところで、曖昧なままだと弱い印象があって、どう進めていくのか、進められていくのか、ということがはっきりしないような感じがする。そこのところをお願いしたい。

片野会長(群馬県社会福祉協議会)

 少し他の委員の皆様にも御発言いただいた上で、総括的に県から回答いただければと思う。
 ただいま、群馬らしい条例のPRポイントが少し弱いのではないかとのお話があった。いかがか。

山本委員(群馬県弁護士会)

 相談体制についての意見が出たので、その点について申し上げる。
 既存の相談体制を活用していくということは、前回、前々回の検討会でも話が出ており、そのこと自体に反対があるわけではない。既存の体制というのは、上手く使われていない面もあり、上手く回ってない面もあるが、体制としてはそれなりのものが整っていると考える。あっせん等の話があったが、あっせんをする、あるいは何か仲裁的なことをするとなった場合、当然その委員達が、例えば何があったからこれは違反である、何があったからこれは適法であり不当ではない等の基準が明確になっていないと判断できないものである。差別の解消というのは、差別があるという「ふわっ」とした意識は間違いなくあっても、どこまでが、どの行為が、どういう意味で、どういう程度ダメだ、というのが、正直なところまだ共有ができておらず、そのような強い判断を示すようなものを作ることは現状では難しいだろう。今後の大きな課題になるとは思うが、とにかくあっせん等の仕組みを作ってしまう、という形にしてしまうよりは、今後深く研究していく課題とすべきではないかと思っている。
 ただ、そうは申し上げるものの、パブリックコメントに対する県の考え方として、過去2回の検討会での説明に対する私の理解が違っていたのかと思うところがあるので、パブリックコメントへの回答の趣旨について確認したい。既存の体制を利用するというのは不十分でないかという質問に対して、「県の基本方針としては各当事者が各立場において主体的・自主的に取り組むというのが基本方針」という話があったが、「主体的・自主的に各当事者が取り組むから既存の体制でよい」というようにミスリードして伝わってしまうと、これはまさに傍観者的な印象になってしまう。過去2回の検討会の中でおっしゃっていたのは、むしろ時間・効果の面でも、今これだけのものがあるのを使わない手はない、そういったものが十分あるから、是非そこに効果的に繋いでいくのだという回答になると思っていた。そういったことでよいか。

小林委員(群馬県健康福祉部障害政策課)

 早川委員の質問に関連して山本委員からも御意見をいただいたので回答させていただく。既存の相談体制を活用するのは、県が他力本願でやっていくということではない。あっせん等の委員会を作って問題の解決を図るというのは、山本委員がおっしゃったように、その委員会できちんと議論をした中で、これにどのように対応するかという議論を踏まえた対応になると思う。ただ、それを県がするとなると、例えば電動車椅子の方がタクシーに乗せてもらえなかったという事案について、県がタクシー業界にこうしてくれと言ったとしても、タクシー業界としても何の権限で言うのかという話になってしまう。こうした事案については、県から陸運局の差別解消担当部門につなぎ、乗車拒否はいけない、その理由は差別であるから、ということをきちんとはっきり申し上げて、その事案に対し陸運局がどのように対応してくれたかということまで見届けて、相談者に伝えている。また、入浴施設で入浴を拒否されたという事案についても、即、施設管理者に事情を聞いて差別になる可能性がある旨を伝え、対応についてアドバイスをしている。こうした相談について、一つ一つ委員会の中で議論するということになると、年に1・2回開かれる委員会で委員の皆様にきちんと説明をして、基準はどうなのか、関連法令等に照らして正当な理由に当たるのか、実際に差別に当たるのか等々、色々調べた上で説明をすることになる。相談事案については、現在も庁内の専門部局に確認をしたりしながら、県として丁寧に対応している。他の県とどこが違うと、群馬県がこれをやっているとPRするのもおこがましいが、県としてはそういったこれまでの事例の積み重ねをきちんと踏まえ、県としてもきちんとやっているということを踏まえた上での回答である。
 例えば、山本委員からも障害者差別解消支援地域協議会の設置について明確にすることがよろしいとの意見がされた。条例施行後3年目に条例を見直すことを明確にした方がいいのではないかという御意見もあったが、県では障害者差別解消支援地域協議会で、毎年皆様方の御意見をいただきながら、1年経ったけれどもできていないとの御意見があれば、それも協議会の場で十分御議論いただいて、では条文を直しましょうということで、3年を待たずに動くことも必要だと承知しているので、敢えて3年先ということではなく、協議会の中で身のある議論を進めながら、条例を生きた形で扱っていきたいと考えている。

片野会長(群馬県社会福祉協議会)

 早川委員から群馬らしい条例という意見があり、小林委員から文言ではなく実態で見てほしいとの説明があった。それから早川委員からあっせん、勧告、公表という相談体制を裏付けする規定をしてほしいとの意見については、山本委員から今後の研究課題であるとの話があった。小林委員からも県もそのような考えであるとのことであったと思う。

水沼委員(群馬県難病団体連絡協議会)

 パブリックコメント等の中でも啓発活動を是非やっていただきたいとの話もあった。県民の関心と理解を深めるというところも実は大切なところである。私も以前お話ししたが、施策をしっかりするのも啓発が大切だと思うので、啓発をどのようにしたらいいかをしっかりと考えていただきたい。我々の難病についても、今年5月23日を難病の日として制定させていただいた。こういったことを一つの契機として、群馬県の中で5月23日は難病の日であると、この日は県民の皆さんに難病のことを一生懸命お知らせして分かっていただく日にしていただければと思う。そうして県民の皆さんに難病のことを分かっていただく、これが大事であり、一つの啓発になると思うので、よろしくお願いしたい。

和泉委員(群馬県視覚障害者福祉協会)

 私も前々から自分たちで啓発をすることがとても重要だと常々思っている。例えば、視覚障害はほぼ全盲と健常者の方は思っているようだが、弱視の人もいるし、それぞれ見え方も色々ある。盲導犬や介助犬と一緒にお店を訪れても拒否される。それは差別です。しかし、中には、お店の方も色々知らないでそのような対応をしている、障害の立場を知らないで、差別しているつもりはなく差別をしていると受け取れる行為もままあると思う。私たちも、今後の課題として、やはり自分たちはこういうことをしてもらいたい、こういうことができないから協力していただきたいということを分かってもらう働きかけもしなければいけないのではないかと思う。
 例えば視覚障害者で見えない人はこういうふうだ、こういうことをしてもらえるとすごくありがたいということを、小学校に行って紹介している。その教育を受けた4年生が、私が白状を持って歩いていたら「何かお手伝いすることはありませんか」と尋ねてくれた。私は好意に甘えてお願いした。小学校などに行って、私たちはこういう障害があります、こういうことを協力していただけるとありがたいですというのをPRしていくのが、差別解消にもなるのではないかと考えている。
 この条例は弱いところがあるという意見の方がいらっしゃるので、群馬県では見直し規定を設けないと言っているが、1年、2年とは限らず、今おっしゃったように1年目でも見直すことがあるのであれば、「後で見直すこともある」などといった文言を付け加えていただけるとよいのではないかと思う。

片野会長(群馬県社会福祉協議会)

 事務局からは、後でまとめて回答をお願いする。今、大事な今後の取り組みについての話があったが、特に体験的なDET研修等がこれに該当するのではないかと思う。当事者が学校にお邪魔してお話をするのは非常に効果的であると、今後の取り組みについての提案であったと思う。

片山委員(群馬県精神障害者社会復帰協議会)

 相談については既存の機関を活用するとのお話だが、せっかくこのような話が出たので、当事者、障害をお持ちの方がどこに相談したらいいか、もっと寄り添って分かるような形でやっていただけるのがよいと思う。障害の特性によっては、相談することもとても大変で、誰に相談したらいいか分からなくて、言葉も上手く表せないという方がとてもたくさんいらっしゃると思うので、その部分で、県民一人ひとりが理念に基づいて、もう少し明確にしてもいいのかと思うのでお願いする。

片野会長(群馬県社会福祉協議会)

 パブリックコメントの関係についての御質問はこれでよろしいか。条例本文を確認した上で御議論いただきたいと考えるがいかがか。今の議論について、この時点で事務局から答えるか。

事務局(障害政策課社会参加推進係 田中主任)

 条例本文の説明の中にも今の議論に関する部分が出てくるので、条例本文を御覧いただいてからまとめて回答することとしたい。

議事3 条例の原案について

 資料3及び資料3の参考を参照しながら、条例の原案について事務局(障害政策課社会参加推進係 田中主任)から説明した。説明の概略は次のとおり。

事務局(障害政策課社会参加推進係 田中主任)

 前文の2段目、「地域で生活する重い障害者の支援に重点的に取り組んできた。」の部分について、障害者が地域で生活するための支援は重度の方以外に対しても取り組んでいるため「重い」を削除し、教育、就労と同じ並びにした。
 第2条の定義について、事業者の定義と合理的配慮の定義を追加した。合理的配慮の説明は条文に直接書き込んでいたが、非常に長くわかりにくいので、条文の中に書くのではなく、言葉としてここに定義した方が分かりやすいと判断し、定義規定を置いて説明することとした。内容は法の文言そのままである。
 第3条の基本理念について、素案の1号の規定は2号以下の前提となる規定であるため、障害者基本法第三条の表現と合わせ本文に入れた。また、「障害を理由とする差別を受けず」は目的にも書かれており、基本的人権の享有と重なる部分があるので、敢えて入れなくてもよいと考え、基本法の表現と合わせてその部分は削除した。
 素案では4番目に「不当な差別的取扱いの禁止及び合理的配慮の提供」の規定を置いていたが、この規定は県の責務や市町村・県民・事業者の役割より後で規定した方がよいと判断し、「財政上の措置」の後、「相談体制」の前に移動した。
 素案の9番目にあった「意見の聴取・相互連携」について、「県の責務」に統合した方がよいと考え、「県の責務」に統合した。
 第6条の市町村の役割について、通常、市町村と県とは対等な関係になるので県の条例において「市町村の役割」について規定することは通例ではない。ただ、他県の条例でも市町村の役割を敢えて規定しているところもあり、群馬県でも、通例は県の条例で市町村の役割を規定しないことは承知の上で、差別解消においては身近な市町村において取組をし、県と連携していただきたいという気持ちがあり、敢えてこの市町村の役割の規定を置いた。ただ、この件について、念のため対象となる市町村に照会して御意見を伺ったところ、やはりこれは県の条例であるので、市町村の役割の規定を置くのではなく、県は市町村が施策を行うときには連携協力するという、県の責務として書くべきであるとの意見をいただいている。法規部門からもその方がよいとの意見が出ており、今後、法規部門との調整で、この市町村の役割の規定を、「市町村が」という書きぶりではなく、「県は市町村に協力する」という書きぶりにして県の責務に統合することも考えられることを承知いただきたい。
 第9条の不当な差別的取扱いの禁止と第10条の合理的配慮について、素案では4番目に規定していたものをこの位置に移動した。また、「障害を理由とする差別の禁止等」の章を立てるとともに、「不当な差別的取扱いの禁止」と「合理的配慮」について条を分けた方が分かりやすいと判断し、条を分けた。「不当な差別的取扱い」については、群馬の特徴として、何人にも禁止する。合理的配慮については、事業者も法的義務にすべきという意見が第1回検討会から継続してあったが、先ほど山本委員の話にもあったとおり、どこからが差別になるかの判断基準や具体例がはっきりしていない状況で、事業者についても法的義務にすることは今の段階では無理があると整理し、差別解消法と同じく、県・市町村については法的義務、事業者については努力義務とした。
 第11条の相談体制の整備について、先ほど端的な書きぶりになっていて弱いとの御意見をいただいた。書きぶりは確かに簡潔なものになっているが、県として何もしないというわけではなく、今現在も、検討会の委員も御推薦いただいた群馬県身体障害者福祉団体連合会に委託する形で既に相談窓口を設け、この窓口で色々な相談を受けている。先ほどのお話にもあった、精神障害があって相談がしにくいといった方からも相談をいただき、相談員は障害当事者の方に寄り添って親身になって色々な相談を受け付けている。委託先の窓口では処理できない事案については障害政策課に繋いでいただき、先ほど小林課長の話にもあったとおり、タクシーの乗車拒否の案件については、よく聞き取りをした上で陸運局に繋ぎ、陸運局で指導権限に基づいて大変細かな調査をしていただいた。この案件については差別には当たらないという整理がされたが、接客態度としていかがなものかということがあったので、陸運局からタクシー会社に指導をしていただいた。タクシー等については県には全く権限がない。障害者差別解消法の規定では、事業者に対しては指導権限を持っている省庁がその指導監督権限に基づいて指導するとされている。事業者に対しては法の規定により指導を行った方が、より強力に調査をし、指導することができると群馬県では考え、群馬県では紛争解決についてのあっせん等の規定は置かないと整理をした。
 また、先ほど山本委員から御指摘のあった「主体的・自主的に」という言葉について、説明が足りなかったが、「それぞれでやってください、県は関知しません」ということでは決してない。群馬県身体障害者福祉団体連合会に委託している相談窓口で相談を受けた場合も、障害政策課に直接相談があった場合も、きちんとお話を伺っている。先ほども御意見にあったとおり、一般の方には、どこが相談窓口になって、どこが適した受け皿になるのかは分からないと思うので、県できちんとお調べした上で、相談窓口や県から事案を関係機関に直接おつなぎしてもいいのか、それとも御本人が直接相談したいのか、色々なことをきちんと聞き取っておつなぎしている。つないだ後もつなぎっぱなしではなく、その後どのように処理したかをきちんと確認して、それを障害者差別解消支援地域協議会に報告するという仕組みも既にできあがっている。あっせん等の仕組みがあった方がいいという御意見があることは承知しているが、何が差別に当たるか基準が明確でない中で、県があっせん等の仕組みでもって細かいことを調査し、差別に当たるか否かを判断するのは困難であり、効果的ではない。既にある仕組みを十分に活用していけば、十分対応していけるとの判断の下で、あっせん等の仕組みについての規定は置かないと整理した。
 また、先ほど見直しについての御意見があったが、条例には見直し規定を置かないということであって、条例がきちんと運用できているか、この条例で足りているのかいないのか、常に改正の要否を検討していくということである。何年度の見直しといった規定を置くのではなく、いつでも検討していくという意味である。障害者差別解消支援地域協議会は年に1回ないし2回、既に毎年開催しているので、その中で御意見を伺って、どうしてもあっせんが必要ということであればもちろん検討していくことにはなるかとは思う。それはこの条例を制定した後に、条例を運用してみて、皆さんの御意見を伺いながら一緒に考えていきたいと考えている。
 第12条の啓発活動について、「県の責務」で県の責務として「障害及び障害者に対する県民及び事業者の理解を深めるとともに」と規定しているので、ここでは重複する部分は削り、「障害を理由とする差別の解消を妨げている諸要因の解消を図るため、必要な啓発活動」に絞った。
 第16条の情報の取得及び意思疎通の手段の確保について、「障害の特性に応じた多様な対応が必要であることを認識し」は、後ろにある「障害の特性に配慮」するということは「特性に応じた多様な対応が必要であることを認識」しているから行うものであり、意味が重複するので削った。
 第17条のスポーツ等への参加の促進について、条文の中に「社会参加活動の推進」という言葉は出てこないので条分中に出てくる言葉を使って「スポーツ等の促進」に修正した。
 第18条の防災について、第16条と同様に文言を整理した。
 附則について、今まで条例の施行日を公布日施行として12月の下旬を予定していると説明してきたが、通常、公布から施行まで一定の周知期間をおくことから、短期間ではあるが周知期間を置くこととし、施行日は平成31年1月1日とした。

片野会長(群馬県社会福祉協議会)

 条例原案について説明いただいた。御意見を伺いたい。

真下委員(群馬県身体障害者施設協議会)

 条文については特に異論はないが、3点申し上げる。
 1点目、条例の見直しについて、私の今までの経験から、条例が邪魔をすることがたくさんある。条例で規定されているから、条例があるからこれができない、ということが市の条例でも県の条例でもある。そうすると条例を直すしかないが直せない。積極的に差別解消のことを考えていくのであれば、見直しを必ずするという規定を入れた方が私はよいと思う。確認して見直しがなければそれはそれでよいと思う。地域協議会でやっていくとの話であったが、今までの経験から、それでは「なあなあ」になってしまう。「なあなあ」になって条例を直さない。なぜ直さないかというと、議会にかけなければいけないという一つのプロセスがあるから。絶対とはいえないが、やはり積極的にこの部分が群馬県だと言えるものがあった方が私はよいと思う。見直しがなくても、1年か2・3年に1回くらいは、地域協議会で見直すか否かを検討するという規定を置いた方が、私はよいと思う。
 2点目、相談窓口について、条文はこれでよい。今県で窓口を置いていて、各市町村でも差別解消の窓口を置いている。ここの整理をきちんとしなければならない。差別の窓口を、市は市で置いているが市民は知らない。するとどこに相談したらいいかと考え、障害者110番だと、そういったことになる。色々な相談があるので、そこを県で整理していただきたい。市町村に差別相談の窓口を置いているが、そこがきちんと機能しないと、障害者110番があってもダメではないかと思う。条例の条文にも出てくるが、最終的に市町村との連携が必要。市民・県民に、明らかに上手く理解できるような仕組みを見せていかないといけない。こういう窓口があるからここに相談してくださいということを整理していただきたい。
 3点目、障害者就労について、今、障害者雇用の水増しについて新聞で取り上げられているが、群馬県は大丈夫なのか。

早川委員(群馬県聴覚障害者連盟)

 群馬県身体障害者福祉団体連合会に相談窓口があるが、手話通訳者がいても話が通じないことが起きている。ろう者への意思疎通が難しい場合がある。この問題は、スムーズに相談できるよう、考えていただきたい。

江村委員(群馬県手をつなぐ育成会)

 スポーツ等への参加の促進を入れていただいたが、私の地区ではスポーツへの参加を実現している。今までは障害者だけの単体の事業が多かった。しかし共生社会に向けて考え始めたときに、健常者と障害者の交流がキーワードになってくるので、スポーツを通して交流を図ろうと地区で行事を始めている。片野会長と小林委員にも視察いただいた。法務省の副大臣がお越しになって車座トークを開催した。こういったことを実現していくと、ごく自然になじみやすいことがある。条例の「教育」の条文の中でも触れているが、やはり小さい幼児期からのふれあいというものがとても大切だと知ったので、条文に入れていただいてありがたく思う。

吉邑委員(群馬県精神障害者家族会連合会)

 啓発活動について、私たちの目からすると、発達障害の分野は県や市町村が関わって一生懸命やっていて、同じ精神の分野でもじくじたる思いがあった。しかし、つい先日、学校関係の子ども達に対して精神障害の啓発のためのパンフレットを作りたいという話があり、参考意見を求められた。今年度作っていただけるような話であったので、とてもありがたいことだと思っている。
 もう一つお願いになるが、PRについて。差別相談窓口があるとしても、一般県民は知らない。一昨年から私も県下の看護学校の学生対象に話をしに行ったりしている。家族会としても昨年から個別相談を始めた。電話相談も来所もずいぶん増えているが、その相談者から行政への相談の懐疑的な思いを聞く。たらい回しにされたりする。なぜ家族会の相談に来るのかとも思っている。やはり職員の方の研修の充実や窓口の方の対応について、PRをお願いしたい。

佐藤委員(群馬県町村会・昭和村保健福祉課)

 私は実際に行政として実務をしている立場である。色々な場面に関わることが多々ある。先日も障害を持った方について色々な問題があり、その保護者の方と御相談したが、その保護者の方に納得いただくのが非常に難しいなど、色々な壁にぶつかることがある。であるから、この障害者差別解消条例が是非生きたものになってほしい。市町村の役割はわずかな文言になっているが、地域で色々な問題を抱えているのが現実である。それを何とか一つずつ解決していかなければと思いながら努力しているが、なかなか思うようにいかない。県と連携しながらとあるが、是非、色々な研修会、我々職員の研修会の場を設けたり、このような会議を今後も続けて、色々な意見交換の場があるとありがたい。先ほど山本委員から地域協議会を是非作ってほしいとの御発言があった。いろいろな協議会や委員会があるが、こういった組織が更に協議会となって更に充実したものになっていけば、条例改正をするときにも現実を踏まえながら条例改正ができると思う。この会議と条例が実になるように、条例を作っておしまいではなく、条例が第一歩となって、群馬県として、群馬県は障害に対してとても認識のある県であるということになっていけばありがたいと思う。

事務局(障害政策課 都丸自立支援専門官)

 皆様から色々なお話をいただいたが、大きく分けて2点の話があった。一つは規定の部分、見直しを含めて条例を今後どのようにしていくかということ、もう一つは、県の対応、あっせん、相談機関といったものをどのように運用していくか、大きく分けてこの二つであったと思う。
 まず1点目、見直しについて。先ほどから御説明させていただいているとおり、本条例の制定の目的が、世の中の差別を完全になくすことに向けての一つの旗印とすること、法律はあるがそれだけではなくて、条例を元に県としても皆さんの総意として差別の解消を進めていこうという意味で、条例を作っていると認識している。そうした意味で、当県においても知事を初め条例の必要性を認めたということからこの条例を作っていくと決め、進んでいるところである。その意味でも、この条例が何を目的としているかを考えるとき、内容を満たせない条例では全く意味が無い、この条例は差別の解消に向かっていくべきものというのが大前提である。
 そこで、障害者差別解消支援地域協議会についてだが、これは今までの話にも出てきたように、法定の協議会である。差別を解消しようという法律の中で、それをいかにして進めていくかということで各地域に置かれているのが地域協議会である。協議会においても条例においても同じ方向を向いているわけで、協議会の中でも当然、その差別をなくすためにどのように我々が行動していくべきか、ということを相談する場所になっている。その中でツールとしての条例といったものについて、改正が必要だということも出てくることも十分にあると思う。条例については、何年経ってこれを見直して、という観点ではないと我々は捉えている。あくまでも条例は目的を達成するための一つのツールなので、必要に応じて見直しをしてくべきであり、その意見を言うところが全くないということでは意味がないので、それについては協議会の場を活用して皆さんからの意見をどんどん聴いていく、そのようなスタンスで考えている。であるから、ここに見直し規定、見直しますということを書いていないから見直しをしないのではなくて、協議会等を通じて皆さんにどんどん意見を言っていただき、その中で必要に応じて悪いところは直していく、また、我々もそこは必要ないということであれば、それは遠慮無くお話をさせていただく、そういったものとして、協議会が生きたものとして活用できればいいと我々は考えている。
 2点目、あっせんについて、これについては原則として先ほどの話にもあったとおり、あっせんは非常に難しい。既存の法律、制度の中で、障害者の権利は本来認められている。法律に則って世の中が動いているのであれば差別はなくなっているはずだが、現実としてなくなっていない。では差別とはどのようなものか。合理的配慮はどのようなものか、これが明確でない中で、これを県で判定していくのはなかなか難しい。ただ、現状として既存の法律と制度があって、それをきちんと運用していけば差別は解消に向かって進んでいくというのが本来の法の状態であると思う。皆さんがおっしゃるとおり、その中で十分に窓口が知られていないであるとか、窓口に行ってもそこの窓口で相談をするすべがない、どのようにしたらいいのか、相談したくてもできないではないかとの話もいただいたことは実際にあると思う。そのような意味からも周知啓発をしていく、この窓口をこのように活用してくださいということを知らせて使っていく、これは既存の制度をどのように使うかということを皆さんにいかにお知らせするのかが重要であると思う。条例の中で個別の法律とは別に違うものを作ったからといって、それが十分に動くというものではなく、今あるきちんとした制度については、時間的にも費用の面でも、これをきちんと活用して、それを皆さんが不自由なく使える、これなら制度としてよいと思えるようにするように周知啓発をしていく、そのための条例だと捉えている。
 また、先ほどから出ている、主体性の問題だが、これも「県に主体性がない、傍観者である、全く県が皆さんにお任せします」という言い方であれば、そのようになってしまうかもしれない。ただ、この条例でいう主体性は、「個人に責任を求める、皆さんが頑張ればいい」、そういう意味での主体性ではないと考えている。よく国でも「我が事と・丸ごと」という言葉が出ているが、皆さん一人ひとりが自分のことだと捉えていただく、障害は他人の問題だ、障害のある人がかわいそうだから何かをする、そういう問題ではない、主体性を持って、障害のある人たちが一個の個人として安心かつ安全に生活を送っていくためにどうしたらいいのかということを我々が常に頭に置いて活動していく、そういう意味での、主体的な、という事が県の趣旨だと考えている。群馬県では県民一人ひとりがそのように考えていただければ条例の目的が達成できる、そのための条例であるということで、社会を、群馬県を、どのようにしたらそのような主体的な意識を持つような県としていけるのかという意味で、主体性が中心という、皆さんの意識が中心ですという考え方をしている。

片野会長(群馬県社会福祉協議会)

 人権の観点から御発言があるか。

林委員(群馬県人権擁護委員連合会)

 行政相談という立場で、実際に相談に当たっている者としてお話ししたい。今、全市町村とも社会福祉協議会が各市町村から委託されて心配事相談を開いている。行政相談、人権相談、弁護士も入って法律相談を行っている。皆で組んで月に何回か実施している。人権相談は法務局でも行っている。他に市町村窓口での日常相談がある。しかし、チラシ等で日にちと時間、場所くらいしか広報していないので、相談がないときの方が多い。具体的にこんな相談も受け付けます、ということも知らせるとよいのではないか。私たち人権相談員としても色々と啓発をし、学校に行ったり、スポーツをしたりしているが、敷居が高いようである。前橋市など大きい市になると毎日相談する方もいて、それの対応も大変だそうである。愚痴を言う場所という感じで相談される方もいる。町村になるとほとんど来ない。2時間、3時間、相談を待っているのも退屈である。障害者の団体など皆さんからも声をかけていただいて、愚痴を言いに行ってもいいという感じで相談を利用していただければと思う。行政相談はちゃんと町にものをいっていただける。人権は差別など色々な人権問題を法務局につなぎ、色々な法の中で解決できるものもある。法律相談は相談した後、弁護士が引き受けてくれれば問題解決まで持っていってくれる。そのようなことも含めて、啓発の方法や開催方法などを、研究していく余地があると感じた。

山本委員(群馬県弁護士会)

 条例の最新版を拝見したが、合理的配慮という言葉の定義をしっかり定義規定において、第10条で「合理的配慮をしなければならない」あるいは「合理的配慮をするよう努めなければならない」としたことで、この条文を非常にすっきりさせた。これは、非常に画期的なことだ。とても分かりやすくなった。国の法律は「合理的配慮」の部分の説明が長く、読んでいてよく分からない。パブリックコメントにも分かりやすくしてほしいとあったように、何かをしなくてはいけないということがとても伝わるよい条文に仕上がっているのではないか。
 また、先ほど事務局の都丸専門官から力強い御発言があった。要は、相談にせよあっせんにせよ、何か紛争があったときに困った人が、主体的に相談に来たときにきっちりつなぐ、今ある、優れた機関に対してきっちりつないでいく、という御決意をいただいたと理解している。

高草木委員(日本労働組合総連合会・群馬県連合会)

 先ほど色々と御回答いただいたが、連合としては、相談体制について意見させていただいた。皆さんに御意見をいただき、もっともだと思った。ただ、この意見を出したのは、何もそこを細かく書けばよいというものではなく、やはり先には障害を持たれた方、持ってない方も含めて安心して暮らせる群馬を作らなければならないという思いが私にはあった。そのためには、具体的にこういったことをしてはいけないとか、こういった制度を設けなければならない、設けた方がいいのではないか、と考え書かせていただいた。先ほど事務局から思いも含めて御回答をいただいたので、私も理解をさせていただいた。決して簡素化したから手を抜くということではなくて、しっかりとやっていただけるということを確認したので、私からは特に意見はない。

議事4 今後の取組(予定)について

 今後の取組(予定)について事務局(障害政策課社会参加推進係 関根係長)から説明した。説明の概略は次のとおり。

事務局(障害政策課社会参加推進係 関根係長)

 今後の取組について口頭説明。
 今後、この障害者差別解消条例を進めて行くに当たって、どのような取組を進めていくか、現時点で障害政策課が考えている取組について説明する。
 まず、条例制定後、今年度平成30年度中に予定している取組として、条例を皆様に御説明できるようなチラシやパンフレットを作成する予定である。また、条例普及啓発のための講演会もしくは研修会を開催したいと考えている。30年度については以上について予算化しているので、条例制定後にこれを進めていきたい。
 平成31年度以降の予定については、これから予算策定作業に入るところであり、現段階では予算の裏付けのない、あくまでも障害政策課で考えている進めていきたい方向の予算ではあるが、現在の群馬県虐待防止・差別解消ネットワーク会議として開催している障害者差別解消支援地域協議会を、虐待防止ネットワーク会議から切り離し、単独設置にしたいと考えている。その中で議題として条例の施行状況等を報告して検討していく場として行きたいと考えている。また、障害等への理解を深めるための県民向けの研修を開催したいと考えている。また、職員向けにも研修を開催したいと考えている。また、障害等への理解を深めるための手引きを作成したいと考えている。現在もハンドブック等を作成しているが、更にこの条例制定後に条例を進めていくに当たって使えるような手引きを作成したいと考えている。また、引き続き障害者差別解消相談窓口を設置する。また、現在、市町村との連絡調整会議を開催しているので、市町村と情報を共有し、意見交換をする場を引き続き持っていきたいと考えている。また、ヘルプマークとヘルプカードを導入してほしいとの御意見を多くいただいているところだが、それについても条例制定後、啓発普及に向け、ヘルプマークとヘルプカードの導入も検討していきたいと考えている。

片野会長(群馬県社会福祉協議会)

 今後の予定について説明があったが、それも含めてまだ御発言をいただいていない委員を中心に御発言をお願いしたい。

中島委員(群馬県知的障害者福祉協会)

 私は事業所の者なので、どのようなことが差別に当たるのかということを真剣に考えていく必要があると思う。この検討会の1回目の会議の時にも意見として出させていただいたが、関わる全ての人たちのハンドブックとなるようなマニュアル的な要素も含めていただけるといいと思った。よかれと思って声をかけてあげたり、代わりに手を差し伸べてあげたり、色々なことをする。しかし、それが結果的に相手の人によかったのか悪かったのか、特に言葉のない方や意思表示すらなかなか上手くできない方にはどのようにしたらいいのかさえもよく分からず、こちらがいいと思ったことを勝手にやってしまうこともままあると思う。先ほどチラシなどのお話もあったが、どんなことが差別に当たるのかということが分かるような、ちょっとしたマニュアルのようなもの、事例等も少し触れていただけると、県民の人たちにもより分かりやすい条例になるのではないかと思うのでお願いする。

高森委員(群馬県自閉症協会)

 本日色々な委員のお話を伺っていて、みんなうなずくお話ばかりであった。一つ一つ色々と考えるところがあり、条例の見直しの件も含めて、事務局から非常に熱意ある御説明をいただいた。ただ、文言として残らないことで、勘違いされやすいことがあるということは是非御認識いただきたいと思う。今日初めて出席した委員さんがそのように捉えられるということがあるということなので、それはそれで認識していただいた方がよい。また、真下委員さんがおっしゃった中に関連するが、条例として挙がることで、やらない理由できない理由の後ろ盾にはしてほしくない。それは本当に日々感じることなので、よろしくお願いする。また、市町村と県との連携ということでいえば、全ての市町村民は全ての県民なので、連携という言葉が逆にものすごく曖昧にしているのかなというところもある。連携という言葉だけで済んで、たらい回しにされるケースが非常に多い。そこはもう少し掘り下げてもいいのかなと思う。また、先ほどのタクシー会社の件を双方の立場になって考えてみたが、運転手さんも乗車される人は見るからに電動車椅子に乗られていて、利用したい側は利用したいにもかかわらず、それが実現しなかった理由は何なのかと考えた。タクシーの運転手は会社からタクシーの車を預けられている中で、電動車椅子を載せられない事実があって、だから申し訳ないけど断ったのかなと思う。実際のところは分からないが、もし、自分が運転手だったらそうかもしれないと思う。それが差別に当たってしまうことすらも運転手さんは知らないのかもしれない。先ほど中島委員がおっしゃったように、何が差別に当たるのかということや、障害の困難さがどのようなことなのか、ということを、障害をお持ちでない方がまだまだ理解されてないと思う。我々の協会は障害政策課から啓発活動にたくさん力を借りている。かなりお力添えをいただいている方なのかと思う。条例制定の年度はものすごくインパクトがあると思うので、全ての障害に関して、この障害にどういった困難さがあるのかということを、もっともっと分かりやすく啓発できるようにまとめてイベントをするとか、啓発活動を行ってほしい。その困難さが分からないから、差別だとは思っていない人がたくさんいると思うので、そこを考えていただけたらといいのかなと思う。

和泉委員(群馬県視覚障害者福祉協会)

 条例検討会は今日で最後ということだが、条例を作るのは第一歩だ。差別を解消するという大きな目標を目指すのであれば、本当にこれが第一歩だ。これからどうやって差別のパーセンテージを減らしていくかが非常に重要だと私は思っている。今後のやり方等を是非引き続いて検討をお願いしたいと思う。
 人権擁護委員の相談について気になったのだが、一日市町村にいて誰も相談がないというのは、相談者が会場に伺うシステムになっているのか。電話などでの対応はしていないのか。

林委員(群馬県人権擁護委員連合会)

 電話での対応もしている。

和泉委員(群馬県視覚障害者福祉協会)

 視覚障害者は出かけていくのは大変なので、電話で相談できるとありがたいと思った。

片野会長(群馬県社会福祉協議会)

 時間が過ぎてしまったので、この検討会はとりあえずこれで締めくくりとなるが、今後が大変だ、大切だ、と全ての委員さんの御発言にあった。条例制定後の取組がいかに大切かとのお話が続いたと総括したいと思う。検討会で出た意見について、是非行政で受け止めていただき、条例案、それから条例の運営に当たって、生かしていただければありがたいと思う。
 最後にまとめとして小林課長からお願いする。

小林委員(群馬県健康福祉部障害政策課)

 これからの取組が大事だと、和泉委員から御意見をいただいた。まさに私もそのように思う。先ほど事務局の関根から今後考えている取組を申し上げた。今現在は「心をつなぐハンドブック」を今年作ったばかりで、非常に評判がよい。これを来年は条例を踏まえた内容にして、新たに作りたいと考えている。イラストが色々あり、中は障害種別にこういった配慮が必要だといったこと、障害って何だろう、差別をなくすために私たちにできること、そういうやわらかい形でハンドブックを作っている。このハンドブックの他に更にパンフレットやチラシのようなものを作成して条例ができたということを幅広く啓発していきたいと考えている。また、ヘルプマークについて、これは赤地に白い十時がついたタグで、東京都の都営地下鉄が最初に作り、外見では障害があるかどうか分からない方が付けて配慮をお願いしますということを周囲に伝えるために使うマークであるが、こういったものも積極的に取り入れて予算を付けて配付させていただきたいと考えている。なかなか申し出がしにくいとか、中島委員さんがおっしゃったように、余計なことにならないような配慮が必要だということもあるので、こういったものがコミュニケーションの一つのツール、きっかけになるのではないかと思っている。早川委員や高草木委員から相談体制についてもう一度よく考えてもらいたいという話があった。真下委員がおっしゃるように役所というのは担当が変わると変わってしまうという部分もある。今は県も一生懸命やっているが、だんだん、一生懸命やらなくなるのではないか、そういう意味で、きちんとあっせんとか調停とかそういう仕組みを作っておいてもらいたいのだということも、仕組みが大事だという部分ももっともだと思う。これから、きちんと見直しをする中で絶えず皆様方から御意見をいただきながら、謙虚な気持ちで対応させていただきたいと思う。見直しをするということを規定しておくようにと真下委員はおっしゃったが、法規審査の中で、今まで知事提案の群馬県条例で見直し規定を設けたことがないと指摘された。こういったことも含めて、見直しすると言っていたではないかと真下委員からも口を酸っぱくして言っていただけるとありがたい。県としても非常に謙虚な気持ちで対応したいと考えている。そのようなことで、色々な御意見をいただいて、更にまた事務局から説明したが、本日言い足りなかったことについては後ほど意見票で提出いただければと思う。重要なことについては、このようにしましたという形で、場合によっては県から御連絡させていただきたいと考えている。
 最後に、真下委員から御質問のあった障害者雇用についてであるが、中央省庁で障害者の雇用率について非常に問題になっている。マスコミの「水増し」という言い方は、我々としては非常に不本意な言い方であるが、障害者雇用についてのガイドブックというマニュアルがあり、原則として障害者手帳を持っている方と書いてあり、採用の時にはきちんと障害者手帳を確認しているが、場合によっては現役で働いている人が障害の認定になるとか、後ほど障害者手帳の該当となる人もいる。そういった中で障害者雇用率を絶えず確認しなければならないが、そこを人事課で今精査している状況である。障害政策課の所管ではないが、障害政策課としては障害者雇用率を上げようという立場なので、もし県庁で障害者雇用率が守られていなければ、それはおかしいのではいかと皆様の立場に立って意見を言うという考えでいる。今精査しているとのことであるので、人事課の対応を待たなかればならない。行政は民間企業よりも高い雇用率を設定しているが、行政は民間に先んじて率先垂範して障害者を雇えということである。障害者雇用率を達成したからといって自治体が国からお金をもらうわけではないし、守らなかったからといってペナルティがあるわけではない。だからなおのこと姿勢を示さなければいけないという部分だ。精査中であるということで、障害政策課からは申し上げることができない。障害政策課としては施策を推進していくという立場である。
 皆様方のこれからの引き続きの御協力をお願いしてあいさつとする。よろしくお願いいたします。

片野会長(群馬県社会福祉協議会)

 今後の協議においても当事者の皆さんが積極的に参加して意見を申し上げるような機会を行政当局でも是非設けていただきたいということを申し上げて、進行を事務局にお返しする。

 ここで、進行を片野会長から障害政策課社会参加推進係関根係長に移した。

事務局(障害政策課社会参加推進係 関根係長)

 委員の皆様、大変お疲れ様でした。また、貴重なご意見をいただき、誠にありがとうございました。
 本日お示しした条例の原案等に対して、御意見等があれば、本日お配りした意見票に御記載いただき、8月30日までに御提出ください。
 最後に、今後の予定を説明させていただく。本検討会は、本日の第3回をもって終了の予定である。本日の意見を受けて条例案を作成し、11月下旬から開催される平成30年第3回後期定例県議会に条例の議案を上程予定である。この定例県議会で議決されれば、12月下旬に条例を公布し、平成31年1月1日に施行する予定である。

(5)閉会

  • 午後4時12分、閉会

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