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群馬県コンベンション施設整備基本計画改訂版
1 はじめに
群馬県では、平成24年5月に高崎競馬場跡地にコンベンション施設を整備する方針を定め、平成25年3月に施設の基本コンセプト、施設の内容や規模などを取りまとめた「群馬県コンベンション施設整備基本計画」を策定した。
その後、本県が整備する施設について、平成26年度に詳細な需要調査を実施するとともに、県議会での議論や経済界や学界等の代表者で構成される「群馬県コンベンション推進協議会」における議論、県民との意見交換などを進めてきた。
「群馬県コンベンション施設整備基本計画改訂版」は、需要調査の結果や県議会における議論等を踏まえて、平成25年3月に取りまとめた基本計画を改訂したものである。
2 コンベンション施設整備に関する経緯
群馬県では、平成16年の高崎競馬場の廃止以降、地元の高崎市と連携しながら、高崎競馬場跡地の利活用に関する検討を進めてきた。
平成21年2月には、高崎競馬場跡地の利活用に関する県民アンケートを実施し、その結果を受けて、平成21年3月から平成22年3月にかけて「高崎競馬場跡地利活用有識者検討委員会」による検討を行った。
平成22年度には、「展示施設(コンベンション施設)」、「教育・学術施設」、「サッカースタジアム」、「健康増進・福祉関連施設」、「公園施設」の5つの機能について、市場ニーズや経済効果など実現可能性の調査を行い、「展示施設(コンベンション施設)」は都市間競争に資する、多様な分野の人々の集客につながるなど、最も大きな経済効果を得られるという結果であった。
この調査結果や長年にわたる検討の結果を踏まえて、平成24年5月に高崎競馬場跡地に複合一体型コンベンション施設を整備する方針を定め、平成25年3月に、施設の基本コンセプト、施設の内容や規模などを「群馬県コンベンション施設整備基本計画」として取りまとめた。
その後も、コンベンション施設の具体的な内容を検討する概略設計や整備手法に関する調査を行いコンベンション施設整備に関する準備作業を進め、平成26年度には、コンベンションに関するより詳細な需要調査を行うとともに、県内の経済界や学界等との意見交換や、「群馬県コンベンション推進協議会」における議論などを行いながら、コンベンション施設整備に関する検討を進めてきた。
また、県議会においては、「コンベンション対策特別委員会」が設置され、平成25年度の「社会基盤づくり特別委員会」に続き、2年にわたり幅広い議論が進められてきた。
群馬県では、県議会の提言や「群馬県コンベンション推進協議会」の意見等を踏まえ、平成26年度に実施した需要調査等に基づき、コンベンション施設の整備内容に関する方針を定め、その方針に基づき、平成25年3月に取りまとめた「群馬県コンベンション施設整備基本計画」の改訂を行った。
3 コンベンション施設整備の意義と必要性
人口減少社会にあって、2040年の本県の人口予測は約160万人となり、今よりも約40万人減少するとされており、人口減少対策が喫緊の課題となっている。人口減少による労働力の減少や経済需要の縮小によって、近い将来、経済の後退を招くことが懸念されている。
このような状況にあって、50年先の将来を見据えて、ビジネスチャンスの拡大による企業の活性化や新たな産業の創出を促すとともに、県外から人を呼び込み交流人口を増加させ、新たな経済需要を喚起して、産業経済の維持・発展を図る取組が求められている。また、人口減少の大きな要因として指摘されている若者や女性の東京への流出に歯止めをかけるために、若者や女性の雇用の場を創出していく必要がある。
コンベンションは参加する企業に新たなビジネスチャンスをもたらすとともに、コンベンション関連産業における新たな需要の創出や、若者や女性が活躍できる雇用の場の創出も期待される。さらに、多くの人が集まるコンベンションをはじめ、これまで県内で開催できなかった幅広い年齢層を対象にしたイベントやコンサート(ライブ)等の開催により、本県の魅力を高めるとともに、観光や物産品の販売等の県内各地への経済効果も期待される。
このように、人・モノ・情報の交流を促し、新たな活力を生み出すため、これから50年の群馬県を牽引する社会インフラとして、コンベンション施設を整備する。
4 施設の基本コンセプト
(1)これから50年の群馬県をはばたかせる社会インフラ
コンベンションの開催は、地域社会に大きな経済効果や交流人口の増加をもたらす。
本施設は、大規模なコンベンションを本県で開催可能とする施設であり、人・モノ・情報が交流し、新たな活力を生み出す、これから50年の群馬県を牽引するための社会インフラとなる。
(2)首都圏、東北、北陸・信越、東海のハブとなる大規模なコンベンション施設
新幹線や高速道路など高速交通が整備され、本県は交通の結節点としての拠点性が飛躍的に向上した。さらに、高崎競馬場跡地は、交通の要衝であるJR高崎駅から徒歩10分という市街地に位置する。
これらの恵まれた条件を最大限に活かし、多目的に使用できる大規模な展示施設や会議施設を整備し、人・モノ・情報が集まるハブとなる施設を目指す。
(3)高崎駅周辺の都市機能をはじめ県内各地域との効果的な連携
本施設の近接地には高崎市が計画する都市集客施設や「高崎アリーナ」の建設も予定されており、相互に連携することにより、多彩なイベントに対応できる可能性がある。
また、高崎駅周辺には、商業施設やホテル、オフィスなどが集積しており、本施設の整備にあたっては、これら周辺の都市機能との連携や、前橋・高崎を含む県央広域都市圏をはじめ県内各地域との広域的な連携を図ることにより、集客の一層の向上を目指す。
(4)災害時における防災拠点としての機能
平成23年に起きた東日本大震災は、災害時の対応や防災に対する考え方を改める契機となった。
本施設は、災害時に必要となる物資の備蓄、非常用自家発電設備や非常時における通信機器等を備え、災害時における防災拠点としての機能を有する施設を目指す。
5 施設戦略(基本的な考え方)
(1)多目的利用が可能な展示施設
BtoBの展示会やBtoCの即売会だけでなく、コンサート(ライブ)など多目的に利用できる、音響等への配慮を施した展示施設を整備
(2)大規模会議・国際会議に対応可能な会議施設
参加者5,000人規模までの学術会議、国際会議や各種試験の開催を想定し、分割利用による多様な利用が可能な会議室等を有する会議施設を整備
6 施設規模
施設 | 面積(平方メートル) | 備考 |
---|---|---|
多目的展示施設 | 10,000平方メートル | 最終目標を20,000平方メートルとする |
施設 | 面積(平方メートル) | 収容人数 | 室数 | 合計(平方メートル) |
---|---|---|---|---|
メインホール | 1,300平方メートル | 1,000人 | 1室 | 1,300平方メートル |
大会議室 | 600平方メートル | 500人 | 1室 | 600平方メートル |
中会議室 | 300平方メートル | 200人 | 4室 | 1,200平方メートル |
小会議室 | 75平方メートル | 40人 | 4室 | 300平方メートル |
計 | 2,460人 | 10室 | 3,400平方メートル |
7 概算事業費
約280億円(施設整備費、駐車場整備費、外構整備費)
8 事業効果の想定
年間来場者数:96万人
経済効果:128億円
9 事業スケジュール
平成29年度中の工事着工、平成31年度中の完成、平成32年度の開所に向け事業を推進していく