ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 組織からさがす > 人事委員会事務局 > 人事委員会事務局 > 令和5年 報告

本文

令和5年 報告

更新日:2023年10月10日 印刷ページ表示

第1 職員の給与

1 職員給与の実態

 本委員会の勧告の対象となる職員は、群馬県職員の給与に関する条例(昭和26 年群馬県条例第55 号)、群馬県公立学校職員の給与に関する条例(昭和31 年群馬県条例第41 号)、群馬県一般職の任期付研究員の採用等に関する条例(平成13 年群馬県条例第8号)及び群馬県一般職の任期付職員の採用等に関する条例(平成14 年群馬県条例第62 号)の適用を受ける職員であり、これらの職員は、その従事する職務の種類に応じ、行政職、公安職、研究職、医療職、教育職等14 の給料表の適用を受けている。
 本委員会は、これらの職員について、本年4月1日現在における「令和5年職員給与等実態調査」を実施したが、その概要は、参考資料「1 職員給与関係」のとおりである。
 その結果によると、民間給与との比較を行っている行政職給料表又は事務職給料表の適用を受ける職員(本年度の新規学卒の採用者を除く。以下「一般行政職員」という。)の人数は、4,656 人、平均年齢は、43.2 歳で、平均給与月額は、368,270 円となっている。

(参考資料第1表~第10表)

2 民間給与の実態

 本委員会は、職員給与と県内の民間給与との精密な比較を行うため、企業規模50 人以上で、かつ、事業所規模50 人以上の民間事業所のうちから、層化無作為抽出法によって抽出した179 の事業所を対象に「令和5年職種別民間給与実態調査」を実施した。
 この調査では、一般行政職員と類似すると認められる事務・技術関係22 職種の約5,900 人及び研究員、教員等の54 職種約400 人について、本年4月分として個々の従業員に実際に支払われた給与月額等を詳細に調査した。
 本年の調査結果の概要は、参考資料「2 民間給与関係」のとおりである。

(参考資料第11表~第24表)

3 職員給与と民間給与との比較

(1) 月例給

 本委員会は、「職員給与等実態調査」及び「職種別民間給与実態調査」の結果に基づき、職員にあっては一般行政職員、民間にあってはこれと類似すると認められる事務・技術関係職種の従業員について、役職段階、学歴及び年齢階層を同じくする者同士の本年4月分の給与額をそれぞれ対比し、精密に比較(ラスパイレス方式)を行った結果、職員給与が民間給与を2,932 円(0.80%)下回っていた。

職員給与と民間給与との較差
民間給与(A) 職員給与(B) 較差(A)-(B)(円)
(((A)-(B))/(B)×100)(%)
371,202 円 368,270 円 2,932 円(0.80%)

(注)民間、職員ともに、本年度の新規学卒の採用者は含まれていない。

(2) 特別給

 本委員会は、これまで民間における賞与等の年間支給割合(月数)を算出し、これを職員の期末手当・勤勉手当の年間支給月数と比較した上で、0.05 月単位で改定を勧告してきている。
 前記の「令和5年職種別民間給与実態調査」の結果、昨年8月から本年7月までの1年間において民間事業所で支払われた賞与等は、年間で所定内給与月額の4.49 月分に相当しており、職員の期末手当・勤勉手当の年間支給月数(4.40 月) が民間における賞与等の年間支給割合(月数)を0.09 月分下回っていた。

(参考資料第21表)

4 物価及び生計費

 総務省の調査による本年4月の前橋市における消費者物価指数は、参考資料「4 労働経済関係」のとおり、前年同月比3.3%の上昇となっている。
 また、本委員会が同省の家計調査を基礎として算定した本年4月の前橋市における標準生計費は、参考資料「3 生計費関係」のとおり、2人世帯で128,790 円、3人世帯で174,880 円、4人世帯で221,110 円となっている。

(参考資料第25表、第26表)

5 人事院の給与に関する勧告等

 人事院は、本年8月7日、国会及び内閣に対し、公務員人事管理に関する報告及び職員の勤務時間の改定に関する勧告を行うとともに、職員の給与に関する報告及び勧告を行ったが、その概要は、参考資料「5 人事院勧告等の概要」のとおりである。

6 本年の給与改定

 本年の職員給与及び民間給与の実態とその比較、物価及び生計費の状況並びに人事院勧告等の概要は、以上のとおりである。
 本委員会は、これらの内容を総合的に勘案し、検討した結果、職員の給与改定について、以下のとおり判断した。

(1) 月例給

ア 給料表

 本年4月における職員給与と民間給与とを比較した結果、職員給与は民間給与を2,932 円(0.80%)下回っていることから、民間給与との較差、人事院勧告等を踏まえ、月例給の引上げ改定を行う必要がある。
 月例給の改定に当たっては、基本的な給与である給料を引き上げることが適当であり、行政職給料表は、国及び他の都道府県との均衡を考慮し、人事院勧告に準じて若年層に重点を置いた改定を行う必要がある。
 その他の給料表も、行政職給料表との均衡を基本としつつ、本県の実情を踏まえて改定する必要がある。

イ 初任給調整手当

 医師に対する初任給調整手当について、公務に必要な医師を確保する必要があることから、医師の適切な給与水準を確保するため、人事院勧告に準じて支給上限額を改定する必要がある。

(2) 特別給

 職員の期末手当・勤勉手当の年間支給月数が民間における賞与等の年間支給割合(月数)を0.09 月分下回っていることから、民間における賞与等の年間支給割合(月数)に見合うよう、職員の期末手当・勤勉手当の年間支給月数の引上げ改定を行う必要がある。
 年間支給月数の引上げ分については、民間の賞与等の支給状況、人事院勧告等を踏まえ、期末手当及び勤勉手当に均等に配分することが適当である。
 また、定年前再任用短時間勤務職員の期末手当及び勤勉手当並びに任期付研究員及び特定任期付職員の期末手当についても、同様に年間支給月数を引き上げる必要がある。

7  その他

(1) 会計年度任用職員の勤勉手当 

 会計年度任用職員に対する勤勉手当については、本年5月に地方自治法が改正され、令和6年度から支給できることとされた。本県においても、法改正の趣旨を踏まえて、会計年度任用職員に対する勤勉手当の取扱いについて検討する必要がある。
 なお、当該手当を支給する場合には、その支給対象者の範囲や支給月数、人事評価の方法等については、職務内容や勤務実態等を踏まえた上で、常勤職員との権衡を考慮したものとする必要がある。

(2) 給与制度のアップデート

 人事院は、令和6年に向けて、多様で有為な人材の確保を始めとする現下の人事管理上の重要課題に対応するため、「社会と公務の変化に応じた給与制度の整備(以下「給与制度のアップデート」という。)」の方向性や骨格案について、本年の公務員人事管理に関する報告の中で示した。
 本県の給与制度は、公務としての類似性や地方公務員法の給与決定原則を踏まえ、これまで基本的に国家公務員の制度に準じてきている。給与制度のアップデートの骨格案で示された検討事項については、本県においても同様に検討する必要があるため、今後の国の動向等を注視し、本委員会としても調査研究していく。

第2 職員の勤務条件等

1 多様で有為な人材の確保・育成・活躍推進

(1) 人材の確保

 地方自治体を取り巻く社会情勢が激変する中で、質の高い県民サービスを提供し続けるためには、有為な人材を安定的、継続的に確保していく必要がある。
 しかし、少子化による若年者数の減少、民間企業における採用活動の強化など、地方自治体における人材確保を取り巻く環境は厳しい状況である。
本県においても、技術系・専門職種の採用困難に加え、本年度の1類試験において過去最低水準の競争倍率になるなど、深刻な状況が続いており、任命権者とこれまで以上に一体となって人材確保に取り組んでいく必要がある。
 本委員会では、オンラインを活用した採用説明会や動画配信、SNSによる情報発信などの採用活動を行っているが、より幅広く採用活動を展開していくとともに、優秀な新規学卒者や民間人材等を採用するための具体的な採用活動のあり方を、多角的な観点から議論していく必要がある。
 また、受験者数の減少傾向を受け、これまでも採用試験制度の見直しを行っているが、引き続き、多様で有為な人材確保のための見直しに取り組んでいくこととする。

(2) 組織力向上に資する人材育成

 組織がパフォーマンスを最大限に発揮するためには、職員個人の成長を組織力の向上につなげていく必要がある。能力・実績に基づく人事管理は、職員の士気を高め、その能力を最大限に発揮させるとともに、人材育成に資するものであり、職員個人の成長と組織力を向上させるためにも重要である。また、人事評価により職員の能力・実績を的確に把握し、メリハリのある人事管理を行っていくことも必要である。
 こうした取組の前提として、公正な人事評価を実施し、きめ細かな指導・助言を行い、職員の納得感を向上させることが重要である。任命権者においては、引き続き制度の趣旨を踏まえた効果的な研修の実施など、公平性・透明性の確保等の取組が求められる。

(3) 多様な人材の活躍推進

ア 女性職員の活躍推進

 本県では、「群馬県職員の女性活躍推進・子育て応援プラン(以下「女性活躍・子育てプラン」という。)」において、管理職に占める女性職員の割合の数値目標を設定し、その登用を推進しているところである。
 女性職員の活躍推進は、県政へ多様な視点や価値観がもたらされ、県政を変革する力となるとともに、受験生にとって魅力的な要素となり、多様で有為な人材の確保にもつながる重要な取組である。
 任命権者においては、性別にとらわれず、能力と実績に基づく人事管理を徹底し、職員がその能力を十分に発揮できる環境を整備していくと同時に、すべての職員にとって働きやすい職場環境づくりを推進する必要がある。
 加えて、真に多様性のある組織を目指すためには、女性職員の採用拡大も重要であり、より一層の女性受験者の確保のため、ホームページや説明会等を活用し、女性にとって活躍できる、魅力ある職場であることを積極的に広報していくことが必要である。

イ 高齢層職員の活躍推進

 本年度から、職員の定年が段階的に引上げられ、原則として65 歳定年となることから、高齢層職員の意欲と能力を引き出し、組織力の向上につなげていく取組、環境整備が必要となってくる。
 そのためには、高齢層職員へ求める役割の明確化や職員がこれまでに培ってきた知識・経験を活かせる業務への配置が重要である。
 60 歳到達後の働き方も多様になってきており、高齢期を見据えたキャリア形成を早期から意識できるよう、情報提供や研修等も必要である。
 新たな定年制度を本人と組織の双方が満足できるものとするために、定期的に職員や職場から意見を聴取するなどし、制度を築き上げていくことも重要である。

2 多様で柔軟な働き方の推進

 価値観が多様化する中、個々の職員の事情に応じた多様で柔軟な働き方の推進は、職員がやりがいを持って生き生きと働くことにより、職員の能力を最大化し、組織における公務能率の向上に資するものである。
 本県においては、これまで各種制度の充実に努めてきたところであるが、任命権者においては、引き続き、行政サービスの提供に支障を与えることなく、適正な制度運用と利用しやすい環境づくりに努めていく必要がある。

ア テレワークの推進

 テレワークにより働く場所を柔軟化することは、職員の能力発揮及びワーク・ライフ・バランスの充実につながるとともに、災害時等における行政機能の維持や公務職場の魅力向上等に資することから、更に推進・定着を図っていく必要がある。
 なお、人事院は、一定期間以上、月10 日を超えて在宅勤務等を行う職員を対象とした在宅勤務等手当の新設について勧告したところである。本委員会としても、国の運用や他の都道府県の動向等も注視しつつ、本県職員の勤務実態等を踏まえ、手当導入の必要性も含めて検討していくこととする。

イ フレックスタイム制の活用

 本県では、育児介護等の事情を有する職員や試験研究機関の研究員に限定してフレックスタイム制を実施しているところであるが、人事院は、フレックスタイム制を更に柔軟化するため、勤務時間の総量を維持した上で週1日を限度に勤務時間を割り振らないことを可能とする勤務時間法の改正を勧告したところである。
 任命権者においては、引き続き、現行制度の周知や適正な勤務時間管理のもとで制度の運用に努めるとともに、国における制度改正の概要や他の都道府県の動向を注視し、必要に応じて制度の見直し等を検討していくことが必要である。

3 勤務環境の整備

(1) 時間外勤務の縮減

 時間外勤務の縮減は、職員の心身の健康保持や公務能率の向上の観点から極めて重要な課題であるとともに、仕事と生活の両立支援の推進にも資するものであり、強くその実現が求められている。
 任命権者においては、これまでも機動的な人員配置、既存業務の徹底した見直しや、デジタル技術の活用による業務の効率的な執行等に取り組んできた。教育委員会では、教職員の多忙化解消に向けた協議会からの提言を受け、関係者の理解と協力を得ながら、具体的業務の廃止・縮小・ICT化等の業務改善に取り組んでいるところである。
 しかし、知事部局における令和4年度の一人当たり時間外勤務時間数は前年度に比べて増加しているほか、学校現場における教員の長時間労働も依然として見られるところである。
 これらの状況を踏まえ、管理監督職においては、自ら先頭に立って仕事の進め方の見直しや、所属内の業務の平準化を継続的に推進していくことが重要である。
 任命権者においては、様々な取組を進めてもなお恒常的な長時間の時間外勤務が見込まれる場合には、業務量に応じた柔軟な人員の配置や必要な人員の確保に努める必要がある。加えて、職員の健康確保に最大限の配慮を行うことを、本委員会としては引き続き求めたい。

(2) 心と体の健康づくりの推進

 長期の病気休暇の取得や休職をしている職員は増加傾向にあり、職員が心身の健康を保持することは、引き続き重要な課題である。
 任命権者においては、これまでも各種取組を総合的・体系的に推進しているところであるが、今後も、ストレスチェック制度の有効活用等により職員自身のストレスへの気付きを促し、職員のメンタル不調を未然に防止するよう努めていくことが重要である。
 管理監督職においては、日頃から、職員との意思疎通を積極的に図り、職員の心身の状況等を適切に把握することに努め、心の健康づくりを一層推進していくことが求められる。
 なお、人事院が報告した、終業時刻から始業時刻までの間において一定時間以上の休息時間(インターバル時間)を設けることにより、睡眠時間を含む生活時間を十分に確保することは、職員の健康確保の観点からも有効と考えられる。
 さらに、今後は定年引上げにより高齢層職員が増加していくことや、職員の多様化により様々な事情を有する職員がいることも考慮し、身体的な健康にも目を向け、職員が心身ともに健康を保持し、生き生きと働くことができる職場環境づくりを推進していく必要がある。

(3) 仕事と生活の両立支援

 育児・介護をはじめとした様々な事情に関わりなく、職員が仕事と生活を両立できるよう支援することが、優秀な人材の確保や職員のキャリア形成支援の観点からも重要である。
 任命権者においては、これまでも各種休暇・休業制度の充実を図ってきたところであるが、今後も職員が必要に応じて円滑に両立支援制度を利用できるよう、制度の周知や職場としての支援体制を整備する必要がある。
 また、国の「こども未来戦略方針(令和5年6月13日閣議決定)」を受け、本県においても「女性活躍・子育てプラン」を改定し、男性職員の育児休業取得率の目標を大きく引き上げたところである。このため、男性職員の育児に伴う休暇・休業の取得については、その意義を踏まえた上での計画的な取得及び更なる取得率向上に努めることが必要である。

(4) ハラスメント防止対策

 近年、社会全体でハラスメントに対する対応に関心が高まっているところであるが、特に職場におけるハラスメントは、職員の尊厳を傷つけ、その能力の発揮を妨げるとともに、職場の活力と機能の低下をもたらすものである。
 各種ハラスメントでは、加害者がハラスメント行為について理解が乏しく、「加害」の意識がないままに行為を行っているケースも見られることから、管理監督職をはじめ職員一人一人の意識向上が重要である。
 このため、任命権者においては、引き続き、ハラスメント防止セミナーの実施や相談体制の充実等、各種のハラスメント防止対策を充実・強化し、有効に機能させる必要がある。

令和5年職員の給与等に関する報告及び勧告へ戻る