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令和5年度第2回社会福祉審議会議事概要

更新日:2024年2月14日 印刷ページ表示

1 開催日時

 令和5年11月20日(水曜日)午後3時30分から5時

2 場所

 県庁29階 第1特別会議室

3 出席者

(1)委員

 江村恵子委員、片野彩香委員、川原武男委員長、杉田安啓委員、須藤英仁委員、田尻洋子委員、永井勇一郎委員、永田理香委員、信澤真由美委員、星野久子委員、峰岸嘉尚委員(五十音順)

(2)事務局

 健康福祉部長ほか6名

4 議事

(1)「群馬県福祉プラン」の点検・評価について

 「群馬県福祉プラン」(令和2年度~令和6年度)において数値目標を掲げる13の取組について、令和4年度の実績、それに対する自己評価及び今後の見通し等を事務局から説明し、各委員による審議等を行った。​

事前質問とその回答(事務局から説明)

◆質問1

 「介護予防に資する通いの場への65歳以上の参加者数・割合」をKPIとしているが、この取り組みが例えば介護認定率に影響を及ぼす等しているか?

◇回答1

 「通いの場」の参加者数については、平成30年度から令和元年度にかけて大きく伸びて以降は、コロナ禍もあり横ばいで推移している。一方、介護認定率については、平成30年度から令和3年度にかけて17.22%から17.48%と微増傾向にある。

 介護認定率の増減に対しては、「通いの場」に関する取組のみならず、様々の要因が寄与している。影響を及ぼしていないといったことは無いと思われるが、本取組によるものを特定することは難しい。

◆質問2

 成年後見制度の「中核機関」とは何か。

◇回答2

 成年後見制度を利用したい本人や家族、施設職員等の関係者から制度に関する相談を受け、必要に応じて弁護士・司法書士・社会福祉士等による専門的助言等を確保しつつ、権利擁護支援の内容の検討や支援を適切に実施するためのコーディネートを行う役割を担う機関であり、「成年後見制度利用促進法」により各市町村による設置が努力義務とされているもの。

◆質問3

 「介護職員数」の指標には、外国人人材も含まれているか。

◇回答3

 含まれている。

◆質問4

 介護ロボットやICTの活用状況は?介護人材需要に影響を及ぼしているか?

◇回答4

 介護ロボットやICT機器の活用に関しては、介護サービス事業者に対して県による導入支援を実施しているほか各事業者による自主的な導入が進められているが、必要人員を減らすというよりは、業務負担の軽減や業務の効率化を通じて、限られた人員でより質の高いサービス提供を実現することを目的としている。また、業務負担の軽減等を通じた職員の離職防止といった形で、人材の定着にも貢献しているものと考えている。

評価「不十分」の項目について(事務局から説明)

◆ナンバー5 市町村子ども家庭総合支援拠点の設置箇所数

 令和4年度末までに35市町村での設置を目標としていたが、20市町村に留まったもの。令和6年度から施行される児童福祉法の改正により、目標として掲げられている「子ども家庭総合支援拠点」と、これとは別の「子育て世代包括支援センター」の枠組を見直し、両者を「こども家庭センター」として一本化した上で、同センターの設置が市町村の努力義務とされることとなっているところ。

 一方、本KPIの出典元である子ども分野の最上位計画でも、これまで同様の目標を掲げていたが、「こども家庭センター」の設置を新たな指標とするかどうかについては検討中である。

◆ナンバー6 成年後見制度中核機関の設置市町村数

 令和6年度末までに35市町村での設置を目標としているが、令和4年度末時点で16市町村での設置に留まっているもの。

 今年度末時点では24市町村での設置が見込まれ、7割弱の進捗を見越しており、昨年度から始めている成年後見制度の専門職を各市町村にアドバイザーとして派遣するという事業や、今年度から新たに開催している圏域別情報交換会等の成果が出ているところ。これらの取組を更に活用しつつ、引き続き達成に向けて取り組みたい。

◆ナンバー10 包括的な支援体制の構築市町村数

 令和8年度当初までに14市町村での体制整備を目標としているが、令和4年度末時点で6市町村に留まっているもの。

 包括的な支援体制を構築するためのツールとして、国が「重層的支援体制整備事業」という国庫補助事業を実施している。現在、これに取り組む市町村が6つあるため同数を実績としているが、このほか5市町村で実施を見込んでいると聞かれており、11市町村での実施までを見越しているところ。

 また、昨年度の審議会で議題とさせていただいたとおり、「重層的支援体制整備事業」以外の取組により市町村が包括的な支援体制を構築することもできるものとなっていることから、引き続き、市町村の支援に取り組みたい。​

主な発言内容

●委員

 「通いの場」の取組について、県全体の状況を数字で表すとこのような傾向となるのかと感じたところ。介護保険の関係は市町村が主となって取り組んでいるため、おそらく市町村ごとに差があるものとは思う。また、この「差」が市町村によってだいぶあるため、積極的に実施している市町村においては、認定率が低くなったり、健康な高齢者が増えたりしているのではないかと思っている。

 以前、元気な高齢者を増やすにはどうすれば良いかいう議論の中で、高齢者には「きょういく」と「きょうよう」とが必要だという話があった。「きょういく」とは「今日、行くところ」、「きょうよう」とは「今日、用があるところ」。つまり、体を動かして頭を使うことが、高齢者の健康には良いという話を聞いた。

 その意味で、「通いの場」の取組は、個人的には非常に良いと思っており、取組の効果はどうかと思い、質問させていただいた。

●委員

 「通いの場」の取組について、平成30年から令和元年で、参加者数が大きく伸びたというのはどのような理由があったのか。

○事務局

 確認の上、後日回答させていただきたい。

●委員

 「通いの場」についてはサロン活動等、社協の方でも取り組み進めているところ。特にコロナ禍ではかなり参加者が減ったかなという感じはあったが、現在は、コロナ禍も落ち着いて参加者が少しずつ増えてきている。

 一般的に、高齢者が「通いの場」に通う等、色々な活動することは介護予防に資するとは言われているが、なかなかエビデンスと結びつきづらいという部分で難しい。

 また、年々、75歳以上、85歳以上の人口がどんどん増えていることもあり、65歳以上を対象とする介護認定率という指標自体は、何をしても高くなっていくのではないか。このため、それを踏まえながら、相関関係を分析するということは非常に難しいところ。ただ、参加者数を増やすこと自体は、大きな目標になるかと思う。

●委員

 通所介護に関することなのだが、ロングの通所とショートの通所、つまり短期リハと長期のものとで見ていくと、短時間リハの希望者がすごく多いという状況がある。

 そのデータを追っていった場合に、短時間リハを利用する人の介護度がどう変わっているか、といったことを分析していくと、「どのようなリハが効果があるのか」ということも分かるのではないかと思うがどうか。

○事務局

 本プランにおいては「通いの場」の取組を指標としている一方で、通所介護に関する事項については県高齢者保健福祉計画にて取り扱っており、同計画に関する協議体(県高齢介護施策推進協議会)において議論しておりますので、只今いただいた御意見については、同協議体事務局へお繋ぎさせていただきたい。

●委員

 成年後見制度の中核機関については、昨年度実績としては進捗状況が思わしくないとされているが、今年度末には16市町村から24市町村まで取組が進む見込みであるとされている。これは、今年度かなり大きく取組が行われたということでよろしいか。

○事務局

 市町村における中核機関の整備に関しては、群馬県社会福祉協議会(以下、「県社協」)に事業を委託して実施しているが、今年度に関しては、中核機関未設置の市町村に対してかなり細やかに伴走支援を行っていただいているところ。このほか、県内を5ブロックに分け、圏域別に各市町村職員同士の情報交換会の行う取組を今年度から新たに始めている。これらの取組の成果が出ていると思われるところ。

●委員

 県社協としても、県や家庭裁判所と連携して取り組む中で、実績が顕れてきたといったところだろうか。

 昨年度の本審議会でも、成年後見については、「様々な課題があり利用しづらいといったことから、国でも検討が始まっている」といったところで議論を終えていたと思うが、成年後見制度に関して、御意見等があれば。

●委員

 県社協では、「日常生活自立支援事業」といって、成年後見に移行する前の、まだ少し認知力のある方の金銭管理等の事業を行っているが、県内すべての市町村社協で利用できるようになった。そのようなこともあり、成年後見制度の利用も大分進むと思うが、過疎化の進んだ地域で日常生活自立支援事業の利用者がいないといった話を聞いた。

 同事業を実施することとなっても、利用する方がいないというのが現状らしく、人口減少・過疎化で、そのような制度があっても使えないという現状が見えてきている。そういった中で、成年後見の方も、やはりそれとリンクするのではないかなと思っている。

 そういった中で、先ほど圏域別の話し合いがあると聞かれたが、そういった取組が非常に大切になるのかと思う。

 35市町村で中核機関が整備されたとしても、やはりその人口減少ということに対しての、利用率というのが、大きく違ってくると思う。

●委員

 当初、一部の基幹社会福祉協議会で実施されていた日常生活支援事業だが、昨年度から35市町村に拡げて実施され、地域共生社会といった観点からそれぞれの市町村の中で取組が進められるようになった。しかし、まだ課題としては江村委員がおっしゃった部分があろうかと思う。

 むしろ、群馬の場合は、人口当たりで見たときの日常生活自立支援事業の利用者が全国に比べて多く、成年後見は低いという状況がある。どちらかというと、本来、成年後見制度に移行しなければならない方が、日常生活自立支援事業にとどまってしまっているのかなと感じる。社会福祉協議会が実施しており、利用料も高くなく使いやすいという声は聞いているが、本来の人権擁護の考え方からすると、いかがなものかという部分もある。

 また、成年後見制度の中核機関については、今年度末に35市町村中、24市町村の見込みである旨、説明があったが、最後の方になってくるとなかなか厳しい町村が残るように思われる。最終的に中々進まない地域については、ある程度広域的に中核機関を整備する方策もありなのではと思うがどうか。

○事務局

 県内における広域的な中核機関の整備については、令和4年度に2地区で協議を進めてきたが、各市町村とも単独で設置する方針を取ることとなり各々整備を進めていただいているところ。

●委員

 地域共生社会といった観点から各市町村でしっかりと対応するという部分もあると思うが、その結果、本当に制度利用を必要とする人に届かないとなると、中核機関は市町村ごとに置くにしても、広域的にノウハウを共有するなどの取組も必要では。日常生活自立支援事業においても、そういった点を念頭に置き進めて参りたいと思っている。

 昨年度の審議会で、成年後見制度そのものの見直しについて、国の方で検討するための審議を始めたといった話があったが、その後の趨勢は県で掴んでいるか。

○事務局

 国の専門家会議ではまだ結論に達しておらず、引き続き検討するとされているところ。

○唐木健康福祉部長

 先ほど峯岸委員からお話いただいた『通いの場』と介護認定率の件について、国立長寿医療研究センターの近藤先生よる資料が、令和元年に公表されている。

 同資料によれば、通いの場に3年程度通った人であったりするとフレイルの発症率が抑制できているとか、通いの場への参加がフレイルや要介護リスクの発生確率を半減させている等のデータが出てきている。

 今回の審議会資料から、本県では令和3年度に6.3%の方が通いの場に参加しているが、これについては全国平均と同程度となっている

 次に、須藤委員からお話いただいたリハビリの関係について、訪問リハも通所リハも短期集中のリハビリテーション加算というのが介護保険で評価されているが、訪問リハだと34%くらいで、通所リハだと51%くらいが加算の適用を受けており、正に短期集中ということをかなりやっている。

 多くの事業所で加算の適用を受けるようになると、それをスタンダードにして基本点数の中に含めようかとかっていうそういった議論が、出てくるような気がするが、ただ、長期間で行った方が良いのか、短期で行った方が良いのかというのは、やはりまだ議論があるようなところ。多くの事業所が加算の適用を受けているところではあるが、それが今後どうなるかは介護給付費分科会等の国の議論によることになると思われる。

●委員

 介護ロボットやICTの活用状況に関して、そもそもここで言う「介護ロボット」は、どのようなものを指しているのか。

○事務局

 ここで言う「介護ロボット」については、国庫補助事業の実施要綱上の定義となるが、まず、目的要件として、「移乗支援」「移動支援」「排泄支援」「見守り・コミュニケーション」「入浴支援」「介護業務支援」に用いられるものであることと、技術的な要件として、「センサー等による外界等を認識し得られた情報を解析し、その結果に応じた動作を行う技術」が用いられていることの2点を満たすものとされている。

●委員

 当初はパワースーツのようなものを装着して利用者さんを、お風呂に入れるとか、移動させるというのがイメージされたが、介護現場ではなかなか不評、進まなかったかというところで、今はセンサーのようなものが中心になっているのでしょうか。

 介護、福祉の現場でも、人材不足や重労働といった課題がある中で生産性の向上を図っていくことが求められていると思うが、実際の現場ではどうか。

●委員

 自法人で介護ロボットに関して検証したところ、施設内全てに見守り機器を入れてるところとそうでないところでは、職員の能力的な負担が10%ほど軽減されていると検証された。併せて、職員からの聞き取りを1年間ほど実施したが、「心配ではなくなった」「1人夜勤の時に不安感がなくなった」といった話が聞かれている。

 介護ロボットというと、移乗支援するようなものがイメージされがちだが、おそらく最も必要なのは見守り機器なのではないかと思う。これがあると本当に安心できる。

 また、施設で「看取り」を行っているが、25%ほどの方が施設内で亡くなっている。その際にも、この見守り機器が必要とされる。

●委員

 資料は、県行政報告の令和4年度の実績になるが、今年度も同じ程度の予算が確保されていたかと思う。人材確保にも資するということであるので、予算の確保をお願いしていただければと思う。

●委員

 包括的な支援体制や重層的…の取組について、言葉からイメージが沸いてこないのだが、ここで言う「包括的な支援体制」構築というのは、どういうものを指しているのか。

○唐木健康福祉部長

 今の国の仕組みは、高齢、障害、子ども、生活困窮者と全部縦割りになっているが、例えば、高齢者で低所得等の複合的な問題抱えている方が高齢者の相談窓口に行っても、十分な対応ができなかったりすることがある。

 「包括的な支援体制」というのは、そういった複合的な課題も含めてひとまず受けとめ、その方が持っている様々な課題に対応できる体制を指している。これを実現する上で新たに作られた事業が「重層的支援体制整備事業」である。同事業を実施する市町村では、高齢・障害・子育て等といった垣根が一定程度取り払われ、高齢・障害・子育て等のどの窓口でも相談を受けられるといった仕組みとなっている。

 「重層的支援体制整備事業」を実施していれば、「包括的な支援体制」が整備できていると言えるのではないかということで、本県では「令和8年度当初に14市町村」という目標を掲げており、現在は6市町村だけ同事業を実施しているというところ。

 市町村においては、分野横断的に取り組むことや庁内の意識差を埋めていく難しさもあるが、役場の内部だけでなく、NPOや市町村社会福祉協議会等といった外部の機関とも十分な共通理解を図っていく必要があり、中々すぐに実現可能になるところまではいかないので、できるところから段々と進めてもらうことを想定している。

 また、「重層的支援体制整備事業」のほか、同事業への移行準備事業というものがあるため、県では、市町村がこれらの事業に取り組めるよう支援・働きかけを行っている。

●委員

 「重層的支援体制整備事業」については、断らない相談支援ととしてどんな相談でも受けとめられるような体制を作るということで、そこではもちろん社会福祉士という資格を持った者が多分野にわたって連携をしていくことが想定されるが、社会福祉士会としては、そういったことをできる人材を育成すべく、勉強会や研修会を実施している。色々な分野で横の繋がりを作ることを心がけており、もしかしたらそういった部分で貢献できるのではないかと思う。

 また、前回も共同募金会の話をさせて貰ったが、民間のNPO等が、どの分野にも属さないような、制度にも乗っからないような活動をしっかりなさってる団体が増えてきているので、包括的支援体制の構築を担う組織には、そういう民間の地道にやってる団体さんの情報もぜひ掴んでいただき、支援していただければありがたい。

●委員

 正に、そういった団体間の垣根を超えた連携というものも重要になってくる。

 包括的な支援体制の構築市町村数が目標であって、その手段として重層的支援体制整備事業があるところ、県としても「同事業を実施していなくても、包括的な支援体制が構築できれば良い」ということで、独自の達成指標を設けて令和4年度から進めていた。今回の6市町村の中には入っていないが、今後はそういった市町村が入ってくることとなるかと思う。

●委員

 前回の審議会の中でも少し話しさせていただいたが、やはり高齢者の方、生活困窮世帯、子育て支援、障害者と、それぞれ色々な複合した課題を抱えた方の対応をしなくてはいけないという状況がある。それぞれ分野で地域の住民の方が中心になって、様々な居場所づくりが進められているが、そこには垣根なく色々な方が、地域の住民の方が集まって、そこから支援に繋がるケースなんかも、ここのところ幾つか聞いている。

 今般、私も様々な地域の居場所に訪問し、どのような方が来て、どのようなことをして帰るのかというのを見学させてもらった。普段、地域のサロンや寄合、そういったものに参加されてない比較的若い世代の方や、訪問しても中々お会いできなかった方と行き会えたりと、普段、行政が関わってる団体・サークル等とは全く異なる方が来ていた。

 今、吉岡町では、災害の関係で要支援者の個別避難計画の策定も進めているが、実際に避難をする際に誰が支援をするのかが、すごく大きな課題。自治会の防災役員や防災ボランティア、民生委員といった方に支援していただくことが多いのだが、やはり人数に限りがあるので、中々全員を網羅できない。そういう中で、普段の近所づきあいとか、要支援者の方がどういった生活をしてるのかということを自治会役員や民生委員が掴めない方がいる。

 そういった方々ともサロンとか、居場所でお会いできる場合があるので、そういった情報のネットワークが地域の中で増えることによって、避難支援を必要とする方にどういった形で寄り添うことができるのか、普段寄り添ってる方がいるのかどうか、災害時に避難行動を手助けする方が地域の中にいるかどうかといった貴重な情報を、通いの場でも見つけることができるのではと思う。

 そのようなこともあり、今後、吉岡町では避難支援マップや行動計画を作る際には、地域の居場所づくりに関わってる方にもぜひ参加してもらい、情報が少ない方への情報提供を呼びかけてもらったり、あるいは見守り活動に参加してもらったりということも検討していきたいと考えている。

 また、本プランのKPIの1つに、生活困窮世帯等への学習・生活支援実施市町村数というものがあるが、吉岡町でも、県の事業で生活困窮世帯に対しての集団学習支援というものを実施している。

 これに関して参加者の方に意見を聞き取ったところ、夜に実施している事業ということで保護者の送迎ありきになってしまっているのだが、送迎ができない保護者がいたり、集団学習が苦手な子どももいたりといった話が聞かれたことから、今年度からリモート学習の支援を開始した。

 匿名で、顔も名前も出さずに参加できるという触れ込みにしたところ、あまりPRをしている事業ではないのだが、やはり、生活困窮世帯に対する支援の場に来ていることを同級生とか知り合いに知られたくない等の問い合わせが多く寄せられた。子どもにとってはデリケートで多感な時期でもあるので、そういったプライバシーに配慮した形で事業を進めつつ、事業拡大していきたいと思うので、生活困窮世帯への支援含め色々な情報提供などをしていただけると大変ありがたい。

●委員

 吉岡町は、社会福祉協議会とも連携されて様々な取り組みを先進的に進めていただいてるところ。今、話があったように、たしかに生活困窮者の支援は、支援を受ける世帯がなかなか出てきづらい中で、オンラインが活用されており、工夫されてるなと感じた。

●藤委員

 つい最近、私がよくゴルフ場のキャディーさんが、下仁田で民生委員になったと言っていたのだが、ヤングケアラーのことを問題視されていた。ヤングケアラーが結構大変ですよということを、つい最近民生委員になった人が実感として言っているのだが、本プランのどこかにその辺りのことは入っているのか。

●委員

 隣接分野の計画である「子ども・若者ビジョン」の中で、進んでいるということでよいか。

○事務局

 お話のとおり子ども分野の最上位計画の進捗管理において触れられているところであり、昨年度、県では庁内外連携連絡会議が設けられており、県児童福祉・青少年課を中心にヤングケアラー支援対策が取り組まれている。

●委員

 先ほど、包括的支援体制に関して個別避難計画の話が出たが、地域共生社会をイメージするに当たっては災害支援が一番分かりやすのではないか。

 個別避難計画の作成を終えた市町村は、県内ではまだ6市町村であり、かなり難しい取組ではあるが、そもそも「どういう被支援者がいるのか」から始まり、先ほど話があったように「誰が支援するのか」、また、定期的にそれをブラッシュアップしないと、最初は支援者だった方が、半年後には被支援者に回ってくるといったこともある。

 誰しも、災害に遭えば支援される側になるし、災害に遭わなければ支援する側にもなるという中で、この計画ができてくれば、正に包括的な支援体制と言え、地域共生社会が近づくのかなと思う。

●委員

 KPIのナンバー12「群馬県福祉マンパワーセンター研修参加者数」について、県福祉マンパワーセンターで実施する研修に携わっており、目標達成には貢献できたかと思っているところ。

 昨年度は、Zoomを活用して研修を開催したのだが、キャリアパスを実際作るワークを盛り込んだ人材育成担当者研修会については、学習効果を考え今年度は対面で実施している。

 現在実施中の人材育成に関する状況調査では、「キャリアパスはある程度は作っているが、OJTや研修事業等とリンクしていない」といった実態が見て取れ、まだまだ人材育成の推進ができているとは言い難い状況であるため、具体的な方法論を伝えられる研修の充実を図る必要があると思う。

 また、人材育成等に取り組む介護事業者の認証評価制度に関して、本県では介護事業者に特化した認証評価が行われている。その受審を増やすことも大事だが、将来的には介護以外の事業者にも範囲を広げた制度ができれば良いと思う。長野県での制度運用に携わっているが、長野県では全分野対象で認証評価制度が行われており、それをサポートするためのアドバイザー派遣制度や、施設長及び人材育成担当者向けの研修等が実施されている。県の研修カリキュラムと認証評価制度を連動させていくと、人材育成の更なる推進に繋がるものと考える。

(2)「群馬県福祉プラン」の計画期間の延長について

 「新・群馬県総合計画」(計画期間:令和3年度~令和12年度、5年経過時に見直し)との一体的推進等を目的に、「群馬県福祉プラン」の計画期間を、5年間(令和2年度~令和6年度)から6年間(令和2年度~令和7年度)に延長することについて事務局から説明し、各委員による審議を行った。

主な発言内容

 特になし(事務局案どおり決定。)

5 報告事項

孤独・孤立に関する取組について

 令和5年度第1回社会福祉審議会において議題となった「孤独・孤立対策」に関して、直近の国の動向や本県の取組の方向性について、事務局から報告した。

主な発言内容

●委員

 私どものように病院をやっていると、年に数名、死後何日も経ってるような人が見つかったという話をいただくことが結構ある。

 現在、101歳の方の訪問診療をしているが、その方の娘さんに絶対毎日電話かけるよう伝えたり、近所の方にちょっと見に来てくれるよう言ったりしている。

 そういった対応を取れる場合であれば良いが、そういう情報をどのぐらい把握できるかということがとても大事ではないだろうか。

 例えば、ゴミ屋敷に住んでいて本当に孤立していて、もう危ないと感じさせるような状況の方を、どのように引っ張り出して、このプラットフォームに乗っけていくのか。資料を見て、そういった作業がすごい大変なんじゃないかなと感じた。

 資料にあるような県の取組で本当にできるのかという思いもあり、やはり市町村の問題なのではとふと思うのだが、その辺りはどうなのか。

●委員

 「地域協議会」が、市町村の実施する取組として位置付けられており、これがある意味中核的な部分になってくるのだと思う。いずれにしても、かなり難しい取組ではある。

 前回の審議会でも、客観的に見て孤立の状態にはあるが、本人が孤独だと思ってない場合もあったり、たとえゴミ屋敷でも本人がその状態が良いといった場合もあったりして、中々切り込んでいきづらい等の色々な話が出ていたと思う。

 法の趣旨としては、福祉や医療だけではなく、社会全体で取り組むということで、まず、プラットフォームが全国単位で構築され、今度、県の方でもプラットフォームをまず県単位で作っていくという方向かと思う。また、市町村については、その後に市町村独自の取り組みをという部分があろうかと思う。

 今回、出席されてる委員の皆様や様々な団体の皆様も、当然そのプラットフォーム乗っかって、ということになってくると思うが、これを進めていくというのが、まず県の取り組みになってくるのでは。

○事務局

 孤独・孤立対策については、各市町村の取り組みがどうしても重要なポイントになってくくる。法律には「市町村支援」という文言はどこにも出てこないが、県としては、プラットフォームの設置だけでなく、市町村に対する丁寧な情報提供や伴走支援というようなバックアップも含めて、孤独・孤立対策かなと考えている。今後、プラットフォームの立ち上げも含め、各市町村を交えて支援を実施していければ。

●委員

 ガイドライン案を見たところ、地域協議会もプラットフォームと同じで市町村、あるいは広域での取組として盛り込まれていたので、県との連携・協力、必要に応じて広域的な取組というものも必要になってくるのかと思う。

 また、国の取組では、「孤独・孤立サポーター」というものが想定されている。このサポーターについては、今回のガイドライン案の中には盛り込まれていないので、まずは国がモデル事業的に取り組むものかと思っているが、社会福祉法人や様々な団体、関係機関に相談員がたくさんいるので、そういった機関がサポーターとして繋がっていけば良い。

●委員

 ケース会議的な協議会については市町村単位で、プラットフォームについては、まだその辺りが流動的という話だが、たしかに市町村が対象の方には最も近い窓口だとは思うが、例えば依存症支援やDV支援等、県域もしくは県域も越えて連携していかなければ支援できない分野については、難しい案件もたくさん出てくるかと思う。市町村単位が基本だとは思いつつも、分野ごとの課題に取り組んでいらっしゃる方もたくさんいるので、ぜひそういった方々を捉まえて、プラットフォームの方に参加いただきたいと思うとともに、そういうアドバイスをできる方たくさんいらっしゃるので、そういった方々拾ってていただけたらと思う。

●委員

 まさに関係者の総力を挙げて取り組んでいく課題だと思うし、先ほどの重層的支援体制と方向性は重なっている部分なので、そういった取り組みも必要かと思う。

●委員

 若い方が悩みを持っている場合に、ポータルサイトで検索するということが多いと思うが、県のホームページなどを見ると、「情報が出てきても、そこから先に進めない」ということがたまにある。

 そのため、例えば相談支援窓口の一覧を公開するような場合には、その先にきちんと飛べるようにしていただく、そしてその先のホームページも、きちんとした形で運営していただくようにするということが、相談者が安心感をもって利用することができるかと思うので、そのような対応をしていただけたらと思う。

●委員

 資料では「地方において計画の策定は不要」とあるが、県においては正に『群馬県福祉プラン』の中に含めていくべきものであり、市町村においては地域福祉計画に盛り込んでいき、生活困窮者支援や自殺対策等の様々な分野で、「孤独・孤立」というエッセンスをそれぞれ入れていくイメージがある。

 「孤独・孤立対策」という1つのものとして見るのではなくて、福祉分野の様々な課題の根底に「孤独・孤立」があるということで、関係機関・団体のみならず、県でも部局横断的な取り組みが試されているものと思うので、正に地域共生社会の試金石になるような取り組みになるのかと思う。

○唐木健康福祉部長

 孤独・孤立の関係は様々な御意見をいただいたが、そちらに関してはしっかりと受け止め対応していきたい。

 先ほど、ヤングケアラーのお話があったが、こどもまんなか推進監でもあるため最後に少しお答えしたい。

 ヤングケアラー支援に当たっては、支援対象である子ども自身が、どうしていいか分からず助けを求めないというのが、非常に大きな問題とされている。この問題が顕在化して以降、県教育委員会では、スクールカウンセラーの追加配置を行っている。また、県でも昨年6月にヤングケアラーの相談窓口を設置し、社会福祉士2名を常時配置して相談体制を整えているところ。

 このような相談の受け皿の整備と並行して、ヤングケアラーの家庭にヘルパーを派遣する国の事業があり、ヤングケアラーのいる家庭を把握した際に、関係機関の協働により支援方針を決める取組を行っている。ヘルパー派遣自体も非常に安い利用料が設定されており、低所得世帯であれば自己負担部分も補助する枠組みとなっている。

 県内では、実施している自治体とそうでない自治体があり、下仁田町で実施しているかどうかは分からないが、高崎市などでは実施しているところ。各市町村で必要に応じて事業化してもらい、実施していただく形となる。

●委員

 下仁田の事例の話では、当事者の子どもたちは、自分たちがヤングケアラーだとあまり思ってないというか、あまり理解してないというような感じであった。高齢者であれば、隣組などで話にでるため意外と問題にはならないが、子どもについては、その子自身が直接言える訳ではないから、周りが気付けない。そのため、気が付いてくれる方がいれば支援の途が拓けるが、その子に気づいてあげられる仕組みがないと、窓口があったとしても中々そこに行き着かないということもあるかと思う。なので、そのようなケースの拾い出しがかなり重要なのではと思う。

○唐木健康福祉部長

 学校等で、例えば部活をいきなり辞めただとか、少し様子がおかしいといった場合に、担任の先生やスクールカウンセラーが声掛けをすることで把握できたというケースが、顕在化のパターンとしては多いようである。

 色々な課題、御意見いただいたので、県でもそういった意見を今後の取り組みに活かしていただければ。

●委員

 最後に、先週、上毛新聞で紹介されていた映画「渇水」について紹介したい。前橋が舞台となっている映画で、生田斗真さんが前橋市水道局の職員役として主演をしており、前橋の見慣れた風景が多く出ていたんで面白く見たのだが、孤独、貧困、ネグレクトといった問題に切り込んでいる作品だった。

 作中、水道局職員は、水道料金の滞納者であるお母さんに会えず、ネグレクト状態の幼い子ども2人だけがいる家庭に毎日通うのだが、最終的に子どもたちの目の前で水道を止めることとなる場面がある。そこで、「生きていけるのだろうか」という水道局職員の葛藤が描かれているのだが、まさに孤独、困窮の狭間の事例だと感じた。

 児童相談所や生活保護を実施する福祉事務所といった機関がどこも絡んでいないようなケースでは、もちろん本来的な機能ではないかと思うが、もしかしたら水道局による給水停止が、何かそういった、最後の発見の場所になるのかもしれない。今だと、有料動画サービスで見られるので、もし気になる方がいれば、ぜひ見てほしい。そんなに派手な映画ではないのだが、とても衝撃的だったので参考にお話をさせていただいた。

6 結論

議事1 「群馬県福祉プラン」の点検・評価について

 「群馬県福祉プラン」の数値目標に関する進捗状況及び自己評価について、出席した委員による点検・評価を実施した。

議事2 「群馬県福祉プラン」の計画期間の延長について

 事務局案のとおり決定した。