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植物レッドリスト(2024年部分改訂版)

更新日:2024年5月30日 印刷ページ表示

1 背景・目的

 ​群馬県では2022(令和4)年に絶滅のおそれのある野生動植物種の一覧を改訂し(以下2022年レッドリスト)、解説を加えて報告書(以下レッドデータブック2022年度版)を作成しました。
 その後の調査や最新の分類学的知見の蓄積により、県内初記録分類群の出現や種の細分化といった事例も少なくなく、また、災害、開発、不法な採取・捕獲などの突発的な事象による状況悪化も想定されます。このため、迅速かつ機動的な種の保全対策を行うためには、部分的であっても短い周期でレッドリストを見直していくことが必要だと考えられます。
 群馬県では2022年レッドリストを短い周期で見直し、より現状に即した種の保全対策のための基礎資料を作成するため、2022(令和4)年よりレッドリストの部分改訂作業を始めました。

2 結果

(1)改定の概要(維管束植物)

 2022年のレッドデータブック改訂後、新たな絶滅危惧種の発見や、絶滅危惧種の生育地の破壊や環境変化に迅速に対応するため、群馬県では、昨年度よりレッドリストの随改訂を行っています。ベニドウダンは、2001年版レッドリストに掲載されていましたが、県内産地の確実な記録がないため、2012年版レッドリストでは対象から外されました。今回、少数個体の県内での生育が確認されたため、本年再び評価対象種として調査を行い絶滅危惧1A類として評価しました。シキンカラマツは、観光開発がさかんな地域に分布する上に、近年採取圧が高まっていることから、新たに絶滅危惧2類に評価しました。

 以上2種の新規評価に加えて、他3種についてもランク変更がありました。カワラアカザは、その生存記録がある地点の標本を見直した結果、複数地点で誤って同定されたことが判明したため、同種を絶滅危惧1A類にランクアップしました。2022年時点では情報不足となっていたエビラシダは、その分布域のほぼ全域がニホンジカによる激しい食害の影響を受けており、加えて、豪雨災害による土壌流出・崩壊も近年頻発しています。このため、複数の地点で生育が確認できない状態になり、絶滅危惧1A類に評価しました。一方、絶滅に評価されてきたトリゲモは、今回その新たな生育地が確認されましたが、1水域の狭い範囲にあり、改修工事等の影響が危惧されるため、絶滅危惧1A類として評価しました。この結果、群馬県全体での植物版レッドリスト(維管束植物)掲載種類数は668種類となりました。その内訳は表1の通りです。特に、絶滅の危険性が最も高いランクである絶滅危惧1A類が4種増える結果になりました。

注:ランクの正式名称は「絶滅危惧(ローマ数字の)1、2類」ですが、ウェブページの閲覧環境によってはローマ数字の表示ができないため、ここでは便宜上1及び2を使用します。以下同様。

表1 2024年部分改訂版レッドリストランク内訳
ランク 種類数
絶滅 53
野生絶滅 2

絶滅危惧1A類

264
絶滅危惧1B類 134
絶滅危惧2類 133
準絶滅危惧 48
情報不足 34

668

(2)改定の概要(コケ植物)

 今回、新たに植物レッドリスト(コケ植物)を作成しました。これまで、県内のコケ植物については、過去の信頼できる記録が少なく、コケ植物を専門とする研究者も少ないため、レッドリストを作成していませんでしたが、今回、比較的調査が進んでおり、環境の変化に弱い湿地生および水生の種を中心に選定を行いました。この結果、群馬県全体での植物版レッドリスト(コケ植物)掲載種類数は53種類となりました。その内訳は表2の通りです。
 なお、今後の調査の進行により、湿地生および水生の種以外も含み、随時改定する予定です。

表2 2024年部分改訂版植物レッドリス ト(コケ植物)ランク内訳
ランク 種類数
絶滅 0
野生絶滅 0
絶滅危惧1類 13
絶滅危惧2類 15
準絶滅危惧 21
情報不足 4
53

(3)新規掲載・ランク変更種解説資料及び植物レッドリスト

 解説資料は2024年部分改訂版植物レッドリスト(維管束植物)の新規掲載種とランク変更した種の現状と絶滅のおそれの要因について解説したものです。解説資料の科名、及び上位の分類群の取り扱いは『群馬県の絶滅のおそれのある野生生物植物編 2022年版』に準拠しています。また、解説資料の各項目についても、記述要領は『群馬県の絶滅のおそれのある野生生物植物編 2022年版』に準拠しています。各項目の詳細については同書の調査方法を参照してください。
 なお、コケ植物の評価については、同定にあたって顕微鏡観察が必要な種が多く野外での同定や再確認が難しいこと、過去の生育状況について信頼できる記録が少なく減少率などについての定量的解析が難しいことなどにより、定性評価としています。
新規種解説資料 (PDF:267KB)
ランク変更種解説資料 (PDF:278KB)
新規種リスト(維管束植物) (PDF:237KB)
ランク変動種リスト(維管束植物) (PDF:414KB)
全種リスト(維管束植物) (PDF:536KB)
全種リスト(コケ植物) (PDF:284KB)

3 評価区分および基本概念

 今回の部分改訂における評価については、「群馬県の絶滅のおそれのある野生生物(レッドデータブック)植物編 2022年改訂版」と同様、次の区分を用いました。
 なお、これは環境省のレッドデータブック及びレッドリストで用いられている「レッドリストカテゴリー(環境省,2020)」を準用したものです。

絶滅 Extinct(Ex)

 我が国ではすでに絶滅したと考えられる種

野生絶滅 Extinct in the Wild(Ew)

 飼育・栽培下、あるいは自然分布域の明らかに外側で野生化した状態でのみ存続している種

絶滅危惧 Threatened

絶滅危惧1類(Cr+En)

 絶滅に瀕している種:現在の状態をもたらした圧迫要因が引き続き作用する場合、野生での存続が困難なもの。

絶滅危惧1A類 Critically Endangered(Cr)

 ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの。

絶滅危惧1B類 Endangered(En)

 1A類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの

絶滅危惧2類 Vulnerable(Vu)

 絶滅の危険が増大している種:現在の状態をもたらした圧迫要因が引き続き作用する場合、近い将来「絶滅危惧1類」のランクに移行することが確実と考えられるもの。

準絶滅危惧 Near Threatened(Nt)

 存続基盤が脆弱な種:現時点での絶滅危険度は小さいが、生育条件の変化によっては「絶滅危惧」として上位ランクに移行する要素を有するもの。

情報不足 Data Deficient(Dd)

 評価するだけの情報が不足している種

群馬県の絶滅のおそれのある野生生物 植物編(2022年改訂版)評価区分及び基本概念 (PDF:209KB)