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令和6年度 病害虫発生予察特殊報 第1号(トマトキバガ)

更新日:2024年8月2日 印刷ページ表示

令和6年度病害虫発生予察特殊報 第1号 トマトキバガ (PDF:227KB)

群馬県においてトマトキバガが初めて確認されました。

特殊報とは、新たな病害虫を発見した場合及び重要な病害虫の発生消長に特異な現象が認められた場合に発表する情報です。

1 特殊報の内容

  1. 対象病害虫名 :  トマトキバガ
  2. 学名  :  Tuta absoluta  (Meyrick)
  3. 発生植物 :  -
  4. 誘殺地域  :  群馬県中部地域

2 発生概況

(1)確認経過

 令和6年7月19日に、県中部地域の露地栽培ナスほ場に設置したトマトキバガ侵入警戒用性フェロモントラップに、本県未確認であったトマトキバガと疑われる成虫が誘殺されました(写真1)。農林水産省横浜植物防疫所に同定を依頼したところ、令和6年7月24日にトマトキバガであることが判明しました。なお、県内においてトマトキバガによる農作物被害は確認されていません(令和6年7月31日現在)。

(2)国内の確認状況

 トマトキバガは、令和3年10月に熊本県で国内初確認されて以降、令和6年7月30日までに40道府県で確認されています。このうち、11道県ではトマト、ミニトマトのみで、トマトキバガによる食害が確認されています。

 関東地方では、千葉県、茨城県でトマトキバガのフェロモントラップへの誘殺が確認され、令和5年10月に両県から病害虫発生予察特殊報が発表されています。

3  形態および生態等

  1. 成虫は翅を閉じた状態で体長約5ミリメートル(開張約10ミリメートル)、前翅は灰褐色の地色に黒色斑が散在し、後翅は一様に淡黒褐色です(写真2)。
  2. 終齢幼虫は体長約8ミリメートル、体色は淡緑色~淡赤色で頭部は淡褐色です。前胸の背面後方に細い黒色横帯があります(写真3)。
  3. 繁殖力が高く、1年に複数の世代が発生します。成虫は夜行性で日中は葉の間に隠れていることが多く、雌は一生のうち平均で約260個の卵を寄主植物の葉裏などに産み付けます。卵から成虫になるまでの期間は24~38日程度で、気温が低い時期はさらに延びます。

4  被害の特徴

  1. 主な寄主植物はトマト、ナス、ピーマン、バレイショなどのナス科植物で、マメ科のインゲンマメも寄主植物として報告があります。
  2. トマトでは、幼虫が果実にせん孔侵入して内部組織を食害するため、果実表面に直径数ミリメートルの穴が空き腐敗する(写真4)ほか、茎葉の内部にも潜り込んで食害し、葉肉内に孔道が形成され、食害部分は表面を残して薄皮状になるため、白~褐変した外観となります(写真5)。

5 防除対策

  1. ほ場内をよく見回り、早期発見に努め、見つけ次第捕殺してください。
  2. 薬剤防除を行う際には最新の農薬登録情報を確認し、薬剤抵抗性の発達を防ぐため同一系統薬剤の連用は避けてください。なお、トマトキバガに対して登録のある農薬の適用作物はトマト、ミニトマトです(令和6年7月31日現在)。
  3. 被害葉や被害果を見つけた場合、場内に放置せず、土中深くに埋没するかポリ袋などに入れて密閉し寄生した成幼虫を死滅させてください。

6 その他

 トマトキバガと疑われる食害、害虫を発見した場合は、被害果、被害葉、害虫をポリ袋などで保管し、群馬県農業技術センター又は、管轄の県農業事務所に連絡してください。幼虫の場合、餌となる果実や葉も一緒にポリ袋などで保管してください。

誘殺された成虫の写真

写真1 誘殺された成虫

トマトキバガ成虫の写真

写真2 トマトキバガ成虫

トマトキバガ幼虫の写真

写真3 トマトキバガ幼虫

トマト被害果の写真

写真4 トマト被害果

トマト被害葉の写真

写真5 トマト被害葉

※写真2~5は農林水産省植物防疫所原図。写真の無断転載は禁止とします。

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