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令和6年 報告

更新日:2024年10月9日 印刷ページ表示

第1 職員の給与

1 職員給与の実態

 本委員会の勧告の対象となる職員は、群馬県職員の給与に関する条例(昭和26年群馬県条例第55号)、群馬県公立学校職員の給与に関する条例(昭和31年群馬県条例第41号)、群馬県一般職の任期付研究員の採用等に関する条例(平成13年群馬県条例第8号)及び群馬県一般職の任期付職員の採用等に関する条例(平成14年群馬県条例第62号)の適用を受ける職員であり、これらの職員は、その従事する職務の種類に応じ、行政職、公安職、研究職、医療職、教育職等14の給料表の適用を受けている。
 本委員会は、これらの職員について、本年4月における「令和6年職員給与等実態調査」を実施した。その概要は、参考資料「1 職員給与関係」のとおりである。
 その調査結果によると、民間給与との比較を行っている行政職給料表又は事務職給料表の適用を受ける職員(本年度の新規学卒の採用者を除く。以下「一般行政職員」という。)の人数は4,599人、平均年齢は42.9歳で、平均給与月額は368,781円となっている。

(参考資料第1表~第10表)​

2 民間給与の実態

 本委員会は、職員給与と県内の民間給与との精密な比較を行うため、企業規模50人以上で、かつ、事業所規模50人以上である県内の919民間事業所のうちから、層化無作為抽出法によって抽出した179事業所を対象に「令和6年職種別民間給与実態調査」を実施し、157事業所から回答を得た。
 この調査では、一般行政職員と類似すると認められる事務・技術関係22職種の約8,700人及び研究員、教員等の54職種約600人について、個々の従業員に実際に支払われた本年4月分の給与月額等を詳細に調査した。
 本年の調査結果の概要は、参考資料「2 民間給与関係」のとおりである。

(参考資料第11表~第24表)​

3 職員給与と民間給与との比較

(1) 月例給

 本委員会は、「職員給与等実態調査」及び「職種別民間給与実態調査」の結果に基づき、職員にあっては一般行政職員、民間にあってはこれと類似すると認められる事務・技術関係職種の従業員について、主な給与決定要素である役職段階、学歴及び年齢階層を同じくする者同士の本年4月分の給与額をそれぞれ対比し、精密に比較(ラスパイレス方式)を行った結果、職員給与が民間給与を1人当たり平均8,782円(2.38%)下回っていた。

職員給与と民間給与との較差
民間給与(A) 職員給与(B) 較差(A)-(B)
(((A)-(B))/(B)×100)
377,563円 368,781円 8,782円(2.38%)

(注)民間、職員ともに、本年度の新規学卒の採用者は含まれていない。

(2) 特別給

 本委員会は、これまで民間における賞与等の年間支給割合(月数)を算出し、これを職員の期末手当・勤勉手当の年間支給月数と比較した上で、0.05月単位で改定を勧告してきている。
 前記の「令和6年職種別民間給与実態調査」の結果、昨年8月から本年7月までの1年間において民間事業所で支払われた賞与等は、年間で所定内給与月額の4.61月分に相当しており、職員の期末手当・勤勉手当の年間支給月数(4.50月)が民間における賞与等の年間支給割合(月数)を0.11月分下回っていた。

(参考資料第21表)​

4 物価及び生計費

 総務省の調査による本年4月の前橋市における消費者物価指数は、前年同月比2.6%の上昇となっている。
 また、本委員会が同省の家計調査を基礎として算定した本年4月の前橋市における標準生計費は、参考資料「3 生計費関係」のとおり、2人世帯で162,940円、3人世帯で212,430円、4人世帯で261,980円となっている。

(参考資料第25表)​

5 人事院の給与に関する勧告等

 人事院は、本年8月8日、国会及び内閣に対し、公務員人事管理に関する報告を行うとともに、職員の給与に関する報告及び勧告を行ったが、その概要は、参考資料「4 人事院勧告等の概要」のとおりである。

6 本年の給与改定

 本年の職員給与及び民間給与の実態とその比較、物価及び生計費の状況並びに人事院勧告等の概要は、以上のとおりである。
 本委員会は、これらの内容を総合的に勘案し、検討した結果、職員の給与改定について、以下のとおり判断した。​

(1) 月例給

ア 給料表

 本年4月における職員給与と民間給与とを比較した結果、職員給与は民間給与を8,782円(2.38%)下回っていることから、民間給与との較差、人事院勧告等を踏まえ、月例給の引上げ改定を行う必要がある。
 月例給の改定に当たっては、基本的な給与である給料を引き上げることが適当であり、行政職給料表は、国及び他の都道府県との均衡を考慮し、人事院勧告に準じて初任給を始めとした若年層に重点を置いた改定を行う必要がある。
 その他の給料表も、行政職給料表との均衡を基本としつつ、本県の実情を踏まえて改定する必要がある。​

イ 初任給調整手当

 医師に対する初任給調整手当について、公務に必要な医師を確保するため、人事院勧告に準じて支給上限額を改定する必要がある。

ウ 寒冷地手当

 本県の寒冷地手当制度は、平成19年の本委員会の報告において、国の制度を基本としつつ本県独自の修正を加え、その後も本県の実情に適合するよう見直しを行ってきた。今回、人事院が寒冷地手当の支給月額を11.3%引き上げるよう勧告したことを踏まえ、本県における支給月額についても、国の引上げ額に準じて引き上げることが適当である。
 また、人事院が新たな気象データに基づく支給地域の見直しについても勧告したことを踏まえ、本委員会においても当該データに基づき、所要の検討を行うこととする。​

(2) 特別給

 職員の期末手当・勤勉手当の年間支給月数が民間における賞与等の年間支給割合(月数)を0.11月分下回っていることから、民間における賞与等の年間支給割合(月数)に見合うよう、職員の期末手当及び勤勉手当の年間支給月数の引上げ改定を行う必要がある。
 年間支給月数の引上げ分は、民間の賞与等の支給状況、人事院勧告等を踏まえ、期末手当及び勤勉手当に均等に配分することが適当である。
 また、定年前再任用短時間勤務職員の期末手当及び勤勉手当並びに任期付研究員及び特定任期付職員の期末手当も、同様に年間支給月数を引き上げる必要がある。​

7 社会と公務の変化に応じた給与制度の整備(給与制度のアップデート)

 人事院は、人材の確保を始めとした国家公務員人事管理をめぐる重点課題に対し、「若年層の採用等におけるより競争力のある給与水準の設定」など6つの観点で給与制度を整備することとし、具体的な措置内容について本年の報告・勧告の中で示した。その概要は、参考資料「4 人事院勧告等の概要」のとおりである。
 本県の給与制度は、公務としての類似性や地方公務員法の給与決定原則を踏まえ、これまで基本的には国家公務員の制度に準じてきているところであり、国における人事管理上の課題については本県が抱える課題と共通している部分も多い。
 以上のことを踏まえると、今回示された措置内容についても本県の実態等を総合的に勘案した上で、本県における給与制度の整備に次のとおり取り組む必要があると考える。

(1) 給料表

ア 行政職給料表

 人事院勧告における行政職俸給表(一)の改定内容及び本県における給与制度等の実態を踏まえ、下記のとおり対応する必要がある。
(ア) 初任給層及び若手職員が在級する1級及び2級について、給与水準を大幅に引き上げることとし、本年の給与改定において先行して実施する。
(イ) 主任から所属長級職員が在級する3級から7級について、初号近辺の号給を削ることで、これらの級の初号の給料月額を引き上げる。
(ウ) 部長級の職員が在級する8級及び9級について、初号の給料月額を引き上げつつ各級間での給料月額の重なりを解消する。
 なお、人事院の示す、各級を俸給月額の刻みの大きい簡素な号俸構成とする、いわゆる号俸の大くくり化については、本県の昇給制度及び人事評価制度のあり方とあわせて検討する必要がある。

イ 行政職給料表以外の給料表

 行政職給料表との均衡を基本としつつ、本県の実情を踏まえて改定する必要がある。

(2) 地域手当

 地域手当については、これまでと同様、県外に勤務する職員及び医療職給料表(一)の適用を受ける職員については国に準じ、県内に勤務する職員(医療職給料表(一)の適用を受ける職員を除く。)については、地域による差を設けず、一律の支給割合とし、その割合は、改定後の国の支給地域及び支給割合を基礎として算出した2.8%とすることが適当である。

(3) その他の月例手当等

ア 扶養手当

 人事院が見直しに当たって考慮した公務及び民間における配偶者に係る手当をめぐる状況の変化等は本県においても同様であることや、子に要する経費の実情及び国を挙げて少子化対策が推進されていること等を踏まえれば、国と同様に扶養手当の見直しを行うことが適当である。
 なお、配偶者に係る手当の廃止に当たっては、受給者への影響をできるだけ少なくする観点から国に準じて段階的に実施することが適当である。

イ 通勤手当

 人事院は、通勤手当の支給上限額を1か月当たり150,000円に大幅に引き上げ、新幹線鉄道等(在来線の特急、高速旅客船、高速自動車国道なども含む)の特別料金についても支給上限額の範囲内で全額支給することとし、あわせて「通勤事情の改善に相当程度資するものであると認められるものに限る」といういわゆる通勤時間の短縮要件の取扱いを廃止するよう勧告した。
 この措置については、通勤手当の実費弁償的な性質に沿ったものであり、様々な事情により長距離の通勤をする職員の負担軽減に資するものであると評価できるが、一方で、国家公務員と本県職員では通勤の実情が異なることにも留意すべきである。
 以上のことを踏まえ、新幹線鉄道等の特別料金の取扱いについては、国や他自治体との均衡や本県職員の通勤の実情等も踏まえた上で、本県においてはどのような通勤手当制度が適切なのか改めて検討する必要がある。

ウ 管理職員特別勤務手当

 時間外勤務手当が支給されない管理職員に対して、勤務実態に応じた適切な処遇を確保する観点から、国と同様、平日深夜に係る管理職員特別勤務手当の支給対象時間帯を拡大することが適当である。

(4) 特定任期付職員の特別給

 高度の専門的な知識経験又は優れた識見を有し、任期を定めて採用される特定任期付職員の特別給について、能力・実績に基づいてより高い年収水準を可能とすることは人材確保にも資することから、本県においても国と同様に改定する必要がある。

(5) 定年前再任用短時間勤務職員等の給与

 定年前再任用短時間勤務職員等の処遇を改善する必要性については本県においても同様であり、国と同様に職務に関連する手当以外の手当についても支給できるよう改定する必要がある。具体的には、医師の地域手当、住居手当、特地勤務手当(同手当に準ずる手当を含む)、寒冷地手当及び単身赴任手当である。​

第2 職員の勤務条件等

1 多様で有為な人材の確保・育成・活躍推進

(1) 人材の確保 

 地方自治体を取り巻く社会情勢が激変する中で、多様化・複雑化する行政課題に的確に対応し、県民の幸福度向上に向けた取組を進めるためには、有為な人材を安定的、継続的に確保していく必要がある。
 しかし、少子化による若年者数の減少、民間企業との人材獲得競争の激化など、地方自治体における人材確保を取り巻く環境は、より厳しさを増している状況である。本県においても、技術系・専門職種の採用困難に加え、本年度の1類試験において過去最低水準の競争倍率になるなど、更に深刻な状況となっており、任命権者とこれまで以上に一体となって人材確保に取り組んでいく必要がある。
 本委員会では、オンラインを活用した採用説明会や動画配信、SNSによる情報発信などの採用活動を行うほか、早期に県職員の仕事や魅力を知ってもらうために高等学校での業務説明機会の拡充に取り組んでいるところである。今後もより幅広く採用活動を展開していくとともに、優秀な新規学卒者や民間人材等を採用するための具体的な採用活動について、多角的な観点から議論していく必要がある。
 また、受験者数の減少傾向を受け、これまでも採用試験制度の見直しを行っているが、引き続き、多様で有為な人材確保のための見直しに取り組んでいくこととする。​

(2) 組織力向上に資する人材育成

 組織のパフォーマンスを向上させるためには、職員個人の成長を組織力の向上につなげていく必要がある。
 職員個人の成長には、職務を通じて幅広い業務経験の機会を提供するとともに、自律的・主体的なキャリア形成への支援も重要であり、職員の将来イメージの構築と能力開発を支援することで、職員の意欲と能力の向上が期待できる。また、能力・実績に基づく人事管理は、職員の士気を高め、その能力を最大限に発揮させるなど、職員個人の成長と組織力を向上させるためにも重要である。
 こうした取組では、職員の能力・実績を的確に把握し、公正な人事評価を実施するとともに、職員の将来イメージと能力に応じたきめ細かな指導・助言を行い、職員の納得感を向上させることが重要である。
 任命権者においては、引き続き制度の趣旨を踏まえた効果的な研修の実施など、公平性・透明性の確保等の取組が求められる。​

(3) 多様な人材の活躍推進

 多様な人材の活躍推進は、県政へ多様な視点や価値観がもたらされ、県政を変革する力となるとともに、受験者にとって魅力的な要素となり、多様で有為な人材の確保にもつながる重要な取組である。
任命権者においては、すべての職員が属性にとらわれず、その能力を十分に発揮できる環境を整備していく必要がある。

ア 女性職員の活躍推進

 本県では、「群馬県職員の女性活躍推進・子育て応援プラン」で設定した県全体での管理職に占める女性職員の割合の数値目標を達成するなど、女性活躍を着実に推進しているところである。
 性別に関わらず職員がその能力を十分に発揮するには、育児や介護等のライフステージに合わせた柔軟な働き方を選択できる環境を整備することが前提である。その上で、女性の活躍推進では、管理職登用に限らず、職員自身の意向を踏まえ、将来イメージの構築や昇任等への不安の解消などキャリア形成への支援を実施していく必要がある。
 また、安定的・継続的に多様性のある組織を構築するためには、女性の採用拡大も重要であるため、引き続き取組を進める必要がある。

イ 高齢層職員の活躍推進

 令和5年度から、職員の定年年齢が段階的に引き上げられ、原則として65歳定年となることから、役割の変化等によって生じる高齢層職員の不安を解消し、その知識・経験を組織力の向上につなげていく取組、環境整備が必要となってくる。
 本県では、高齢層職員へ求める役割の明確化や職員が培ってきた知識・経験を活かせる業務への配置に向けた意向確認、高齢期を見据えたキャリア形成に関する情報提供や研修を実施しているところである。
 新たな定年制度を本人と組織の双方が満足できるものとするために、任命権者においては、定期的に職員や職場から意見を聴取するなどし、適宜取組を見直していくことが重要である。

2 時間外勤務の縮減

 時間外勤務の縮減は、職員の心身の健康保持や仕事と生活の両立支援の推進の観点から極めて重要な課題であるとともに、公務能率の向上にもつながることから、強くその実現が求められている。
 任命権者においては、これまでも機動的な人員配置、既存業務の徹底した見直しや、デジタル技術の活用による業務の効率的な執行等に取り組んできている。また、教育委員会では、教職員の多忙化解消に向けた協議会からの提言を受け、関係者の理解と協力を得ながら、学校における業務の廃止・縮小・ICT化等の具体例を示すなど改善に取り組んでいるところである。
 これらの継続的な取組により、知事部局における令和5年度の職員一人当たりの時間外勤務時間数は前年度に比べて減少している。一方で、本委員会への事前申請対象である時間外勤務命令の限度時間(月100時間未満や複数月平均80時間以下)を超えて勤務する事例や学校現場における教員の長時間労働も依然として見られるところである。
 限度時間を超える時間外勤務命令については、原則として大規模災害等に緊急的に対処する場合などに限定的に許可されるものである。管理監督職は、制度の趣旨を理解し、職員の日々の勤務状況を適切に把握し、自らが先頭に立って業務の削減、仕事の進め方の見直し、所属内の業務の平準化等の取組を継続的に推進していくことが重要である。
 任命権者においては、様々な取組を進めてもなお恒常的な長時間の時間外勤務が見込まれる所属に対しては、臨機応変な人員配置や必要な人員の確保などの措置を早い段階で講ずる必要がある。
 加えて、職員の健康確保に最大限の配慮を行うことを、本委員会としては引き続き求める。

3 勤務環境の整備

(1) 心と体の健康づくりの推進

 長期の病気休暇の取得や休職をしている職員の数は依然として多く、また、定年引上げにより高齢層職員が増加していることや職員の多様化により様々な事情を有する職員が今後も増えていくことが見込まれる。こうした状況を踏まえれば、職員誰もが心身ともに健康を保持し、生き生きと働くことができる勤務環境づくりを推進していく必要がある。
 管理監督職においては、日頃から、職員との意思疎通を積極的に図り、職員の心身の状況等を適切に把握することが一層求められる。
 任命権者においては、これまでもストレスチェックや巡回健康相談等の各種取組を総合的・体系的に推進しているところであるが、今後も、職員自身のストレスへの気付きを促し、職員のメンタル不調の未然防止に資する取組を推進していく必要がある。
 特に、長時間労働等により休息時間が不足すると、判断力の低下などによる事故やけがのリスクが高まるとともに、長期間の疲労の蓄積は心身の不調を招くことが知られている。このため、職員の健康確保の観点から、時間外勤務を縮減するほか時差出勤などの柔軟な働き方を活用し、国と同様に11時間を目安に勤務間インターバルを確保できるよう努めることが重要である。

(2) 多様で柔軟な働き方の推進

 価値観が多様化する中、個々の職員の事情に応じた多様で柔軟な働き方の推進は、職員がやりがいを持って生き生きと働くことにより、職員の能力を最大化し、組織における公務能率の向上に資するものであり、更に推進していくことが求められる。
 本県では、これまでも時差出勤やフレックスタイム制、テレワーク等の各種制度の充実に努めてきたところであるが、任命権者においては、引き続き行政サービスの提供に支障を与えないことを前提に、勤務時間管理も含めた適正な制度運用と利用しやすい環境づくりに努めていく必要がある。

ア フレックスタイム制の拡充

 フレックスタイム制については、今年度任命権者において、対象職員を原則全職員に拡充して試行導入したところであり、アンケート等を通じて明らかになった課題等を踏まえ、制度の見直しと適切な運用について検討していく必要がある。

イ テレワークの推進

 本県においては、これまで県庁ネットワークの整備等テレワークに適した勤務環境の整備を進めてきたところであるが、引き続き推進・定着を図ることが適当である。なお、国や一部自治体で導入している在宅勤務等手当については、本県職員の勤務実態等を踏まえた上で、導入の必要性も含めて引き続き検討していくこととする。

(3) 仕事と生活の両立支援

 育児・介護を始めとした様々な事情に関わりなく、職員の仕事と生活の両立を支援し、誰もが能力を十分発揮できる勤務環境を実現することは、優秀な人材の確保や職員のキャリア形成支援の観点からも重要である。
 また、人事院は、国家公務員の育児休業等に関する法律の改正についての意見の申出を行ったところであるが、これは、本年5月に改正された民間労働法制の内容も踏まえたものであり、子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置を拡充し、職員の希望や事情に対応した勤務の実現に資するものである。
 任命権者においては、これまでも各種休暇・休業制度の充実を図ってきたところであるが、引き続き必要な制度の見直し及び職員への周知、意向確認を推進するとともに、職員が円滑に両立支援制度を選択できるよう、人員配置や業務分担の見直しも含め、職場としての支援体制を整備する必要がある。

(4) ハラスメント防止対策

 近年、社会全体でハラスメントに対する対応に関心が高まっているところであるが、特に職場におけるハラスメントは、職員の尊厳を傷つけ、その能力の発揮を妨げるとともに、職場の活力と機能の低下をもたらすものである。
 職員をハラスメントの加害者にさせないことはもちろん、近年注目を集めているカスタマーハラスメントも含め、職員をあらゆるハラスメントから守ることが組織の重要な責務と考える。
 このため、任命権者においては、引き続き、ハラスメント防止セミナーや研修等の実施による意識啓発、ハラスメントに係る相談体制の充実等、各種のハラスメント防止対策を充実・強化することにより、ハラスメントの発生を防止することを求める。

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