本文
令和6年度第53回群馬県公共事業再評価委員会議事録
開催日時
令和6年10月18日(金曜日) 13時30分~14時40分
開催場所
県庁舎29階 第1特別会議室
議案討議
(議長)
対象議案は県8事業となっている。
本日の委員会の進め方は、重点討議議案を中心に討議していきたい。
重点討議議案は
第1号議案「一級河川 利根川 伊勢崎・玉村工区」
第2号議案「一級河川 井野川」
の2議案である。
重点討議事業 県事業 第1号議案 一級河川 利根川 伊勢崎・玉村工区
【議案書により説明】
【質疑・応答】
(委員)
事業費と工期が大幅な見直しとなっているが、大きな要因となっている埋蔵文化財調査のB/C評価はどのようになっているのか。
この20年程度で出水変化があり、氾濫被害の想定が難しい時期にきているため、より大きな被害が生じることを考えれば、便益は上方修正されるのではないか。
計画流下能力6,000立方メートル/sを目標としているが、下流で国が設定している計画高水流量を下回っているため、将来的に流下能力を上げていくということでよいか。
(群馬県)
B/Cの算定において、埋蔵文化財調査は事業費として計上している。
国が管理する大臣管理区間の計画と合わせるため、一次改修の目標6,000立方メートル/sについては事業着手時から変えておらず、便益の上方修正はしていない。なお、近年の気候変動影響を踏まえた改修計画の見直しについては、全国的な動きもあり、県管理河川においても順次検討を進めているところである。
二次改修の目標を8,000立方メートル/sと位置づけており、段階的に整備していく考えである。
(委員)
試掘により大規模な埋蔵文化財調査が必要となっているが、工法の比較検討や見直しを行ったのか。
竣工まで事業期間が10年近くある中で、令和元年と同規模の洪水が発生した場合の対策は講じてあるか。
(群馬県)
氾濫時のリスクや周辺への影響を検討した結果、現在の計画が妥当と判断している。水位を下げるのが治水の原則であり、堤防の高さを上げると万が一決壊した際に氾濫流による被害が大きくなることや既設橋梁の高さを上げる必要がでてくるなどの影響が大きいというのが理由である。
計画した堤防高が完成するまでの対応として、大型土のうによる仮堤防を設置しており、引き続き早期に完了できるよう進めたい。
(群馬県)
本日ご欠席の委員から、「浚渫工事の必要性はないのか」というご質問があった。
土砂堆積箇所以外で河床を浚渫する場合、水を流す勾配の確保のため、下流の河床も浚渫していく必要があり、護岸や橋梁の基礎への影響も懸念されるため、高水敷部の掘削のみで対応している。
(群馬県)
本日ご欠席の委員から、「流域治水や環境配慮等、河川整備の考え方の変化に対応しているか。」というご質問があった。
流域治水については、国の「流域治水プロジェクト」に位置付けて、国や市町と連携しながらハード・ソフト一体で対策を進めている。環境への対応は、多自然川づくりの考え方に基づいた整備を行っている。
(群馬県)
本日ご欠席の委員から、「埋蔵文化財調査の増額について、前回評価時に見込んでいた費用と作業内容、費用を見込んでいなかった場合はその理由、調査規模増大に関する文化財保護課との協議内容を示してください。」というご質問があった。
事業着手時点では、起業地内には周知の埋蔵文化財包蔵地はなく、遺跡の存在は想定していなかったことから、埋蔵文化財調査費用を見込んでいない。文化財保護課とは、事前協議にて「試掘調査で遺跡の有無を確認」すること、試掘調査にて「遺跡を確認したため発掘調査が必要」であること、発掘調査にて「年代に応じた遺構面ごとに詳細に調査」すること、発掘結果整理にて「出土遺構や遺物を文献としてとりまとめ」することを協議している。
(群馬県)
本日ご欠席の委員から、「埋蔵文化財調査費の増額根拠は人件費が主要因なのか、発掘調査は小型重機と人力作業が主体となるのか、積算根拠などを教えて欲しい。」というご質問があった。
埋蔵文化財発掘調査は、表土除去などの一部作業で重機を使用する以外、手作業による掘削が基本であり、概ね6~7割が人件費、2割前後が重機等の経費となっている。利根川では、同一箇所で幾層にもわたり調査が必要な状況のため、調査量が膨大になっている。
(議長)
それでは、第1号議案「一級河川 利根川 伊勢崎・玉村工区」の対応方針は、「継続」となっている。対応方針について、意見はあるか。
【意見なし】
(議長)
特に意見はないようなので、第1号議案「一級河川 利根川 伊勢崎・玉村工区」については、以上とする。
重点討議事業 県事業 第2号議案 一級河川 井野川
【議案書により説明】
【質疑・応答】
(委員)
整備区間下流の烏川合流点の整備は不要か。
前年度までに用地買収の進捗が0%となっているが、滞りなく進むのか。
B/Cが大幅に増加する理由は、調節池の面積を大きくしたことによる浸水被害軽減が要因なのか、どこの便益が大きく変化しているのか。
(群馬県)
整備区間の下流については、計画流量を安全に流せることを確認している。
用地買収不要で早期に工事着手可能な河道整備を優先させており、今年度から調節池の用地買収に着手したところである。
B/C増加の主な要因は、令和2年度に、近年の水害データをもとに被害率等を更新した治水経済調査マニュアルの改定によるものである。新しいマニュアルに基づき算定した結果、便益が増加した。
(議長)
用地買収の進捗が0%というのは、用地買収が困難だから進んでいないということではないのか。
(群馬県)
地下水位が高く、対策検討に時間を要していたことから用地調査の着手が遅れていたが、現在は用地買収に着手しており、今後は用地買収の進捗率も上がってくるものと考えている。
(委員)
調節池の面積が大きくなると地域環境に与える影響も大きいと考えられるが、平常時の有効活用については検討されているか。
(群馬県)
高崎市や地元住民等から具体的な利用希望がないため、現時点では平常時の活用の予定はない。洪水時の安全確保や、池への洪水の流入後の清掃が支障になっていると考えられるが、今後、利活用の希望があれば検討したい。
(群馬県)
本日ご欠席の委員から、「洪水対応について、河道掘削と4つの調節池で計算上問題ないか。」というご質問があった。
今回の整備によって、計算上、年超過確率30分の1程度の洪水を安全に流すことが可能である。
(議長)
それでは、第2号議案「一級河川 井野川」の対応方針は、「継続」となっている。対応方針について、意見はあるか。
【意見なし】
(議長)
特に意見はないようなので、第2号議案「一級河川 井野川」については、以上とする。
討議事業 県事業 第3号議案 一級河川 蚊沼川
【質疑・応答】
(群馬県)
委員から「放水路と河川改修によって対応する方法は良いと思う。」というご意見があった。
放水路は過去の浸水範囲の上流に計画し、全川への効果発現を図るため、優先的に整備を進めた。引き続き河道改修についても、事業推進に努めたい。
(群馬県)
委員から「用地買収が不調に終わった場合、計画変更で対応するのか。軟弱地盤については、事前調査で把握できないのか。」というご質問があった。
河道改修の用地取得に時間を要しているが、引き続き地権者に対して交渉を進めることで、計画どおりの事業推進に努めたい。補償工事の地質状況は、改修工事の地質調査からは想定できず、工事に伴う掘削で判明したものであるため、計画変更はやむを得ないと考えている。
(群馬県)
委員から「放水路の通常時の利用想定について、湿地になると周囲に悪影響をもたらすのではないか、小川等の環境をつくる考え方を入れて欲しい。」というご意見があった。
通常時の放水路には本川側の余水を流す計画であり、周辺環境への悪影響が確認された場合など必要に応じて対応を検討したい。
(委員)
用地買収が難航している地権者がいる中で事業を進めているとのことだが、懸案課題があって進んでいない状況なのか。
(群馬県)
大きな課題があって進んでいないというわけではない。放水路の効果が本川全体に寄与するため、放水路整備の早期完了を優先的に進めたことから、本川の用地交渉に遅れが生じており、これから放水路の効果説明と合わせて交渉にあたっていきたい。
(議長)
それでは、第3号議案「一級河川 蚊沼川」の対応方針は、「継続」となっている。対応方針について、意見はあるか。
【意見なし】
(議長)
特に意見はないようなので、第3号議案「一級河川 蚊沼川」については、以上とする。
討議事業 県事業 第4号議案 利根川支川 奈女沢
【質疑・応答】
(群馬県)
委員から「3つの堰堤で土砂を防ぐ工法、これで良いと思います。」というご意見があった。
本事業は、現地の測量結果を踏まえて検討した結果、3基の砂防堰堤により流出土砂を捕捉する計画としており、早期完成に向けて引き続き推進したい。
(群馬県)
委員から「能登水害のトンネル工事のように、降雨変化に伴う作業の安全管理の重点化が大事かと思うが、再検討等はされていないのか。」というご質問があった。
現地に雨量計を設置し、作業員が避難を開始する雨量条件等をあらかじめ受発注者間で確認して工事を行っている。能登半島の災害を教訓に、引き続き安全管理を徹底する。
(議長)
それでは、第4号議案「利根川支川 奈女沢」の対応方針は、「継続」となっている。対応方針について、意見はあるか。
【意見なし】
(議長)
特に意見はないようなので、第4号議案「利根川支川 奈女沢」については、以上とする。
討議事業 県事業 第5号議案 大栃地区
【質疑・応答】
(群馬県)
委員から「事業費が大幅変更しており、その半分が工法変更によるものだが、これは事前調査・計画時には想定困難な事案だったのか。」というご質問があった。
事前調査・計画時は、既存の地形図により崩壊土砂量を想定していたが、その後の詳細測量や浮石・転石調査の結果、崩壊土砂量が想定よりも多く、巨大な転石の発生源対策が必要と判明したものであり、事前には想定困難であったと考えている。
(群馬県)
委員から「法枠工内の植生をすることで景観との調和を図るとあるが、どのような種類の植生にする予定か。」というご質問があった。
外来草本類と在来草本類の2つの草本類を採用しており、短期的には外来草本類による植生回復が優先するが、中長期的には在来草本類や周辺植生の自然侵入が増えてくると考えている。
(群馬県)
委員から「公民館や人家など、将来的に移転・付け替えの可能性はないのか。人口減少化では、移転・付け替えによる減災対策も検討が必要ではないか。」というご意見があった。
現時点で公民館の移転や道路の付け替え予定はなく、人家の将来的な移転の可能性については、県の立場としてお答えできない。人口減少下における減災対策は、非常に難しい課題であると認識している。
(議長)
法枠工内の植生に関する質問に対し、外来種も選択するという回答であったが、一般に外来種は駆除する対象であり、好ましくないイメージがある。外来種を使うというのは、一般的な考え方なのか。
(群馬県)
早期緑化を図るため一般的なものである。在来種を駆逐するほど繁殖する恐れはない。
(議長)
それでは、第5号議案「大栃地区」の対応方針は、「継続」となっている。対応方針について、意見はあるか。
【意見なし】
(議長)
特に意見はないようなので、第5号議案「大栃地区」については、以上とする。
討議事業 県事業 第6号議案 阿能川地区
【質疑・応答】
(群馬県)
委員から「計画通りに進んでいるので、遅れが生じないよう管理して完成させて下さい。」というご意見があった。
引き続き、事業の進捗管理を適切に行い、計画通り令和9年度の完成を目指したい。
(群馬県)
委員から「化粧型枠を用いる事業と表面処理を施さない事業が混在しているが、景観配慮の基準は何か。」というご質問があった。
景観への配慮は、群馬県で作成したチェックシートを参考に現場ごとに判断している。第4号議案の砂防堰堤は県道からも視認でき、自然豊かな周囲の風景に溶け込むよう、化粧型枠を採用している一方、本事業箇所については、事業費の一部を市町村が負担していることから経済性も考慮して表面処理のない工法を採用している。
(議長)
ほかの公共事業でもチェックシートを参考にして、景観に配慮しているということか。
(群馬県)
そうである。
(議長)
それでは、第6号議案「阿能川地区」の対応方針は、「継続」となっている。対応方針について、意見はあるか。
【意見なし】
(議長)
特に意見はないようなので、第6号議案「阿能川地区」については、以上とする。
討議事業 県事業 第7号議案 草喰八丁河原線
【質疑・応答】
(群馬県)
委員から「B/Cが増加している要因は、コスト増を上回る便益の増加によるものだが、これは森林の公益的機能便益評価の変化によるものか。」というご質問があった。
「森林の公益的機能便益」の増加額が最も大きいものとなっており、効果額算定の根拠となる「治水ダムの減価償却費」や「堆積土砂の撤去費」が上昇したこと等により、便益が増加している。
(委員)
治水ダムというのは、本事業を実施しないことによって森林が整備されない場合に必要となる施設という意味か。
(群馬県)
そうである。
(議長)
それでは、第7号議案「草喰八丁河原線」の対応方針は、「継続」となっている。対応方針について、意見はあるか。
【意見なし】
(議長)
特に意見はないようなので、第7号議案「草喰八丁河原線」については、以上とする。
討議事業 県事業 第8号議案 梅田小平線
【質疑・応答】
(議長)
事前の意見は出ていないが、誰か改めて意見はあるか。
【意見なし】
(議長)
それでは、第8号議案「梅田小平線」の対応方針は、「継続」となっている。対応方針について、意見はあるか。
【意見なし】
(議長)
特に意見はないようなので、第8号議案「梅田小平線」については、以上とする。
(議長)
議案については以上となるが、ほかに何か意見はあるか。
(議長)
今回の議案は、全体的に発掘調査で期間と費用が膨らんでいるように感じるが、事前に発掘調査の要否を知る手段はないのか。
(群馬県)
文化財保護課の地図情報で埋蔵文化財包蔵地の想定される範囲が示されており、計画が決まった段階で事前にある程度把握できるようになっている。重要度に応じて、工事に着手した段階で試掘を行い、調査規模を判断している。
今回の利根川については、地図情報に位置付けがなかったことに加えて、遺構面数が5層にわたるという想定外が生じた事例となっている。
【ほか意見なし】
(議長)
これで議案討議を終了する。
今回の資料のうち委員名簿及び参考資料については、非公表とさせていただく。
そのほかに公表を差し控える資料はあるか。
【特になし】
(議長)
それでは、群馬県公共事業再評価委員会運営要領第5条に基づき、今回の委員会資料等の公表については、委員の意見を踏まえ事務局で判断いただければと思う。
以上で、「議事」は終了した。進行を、事務局に返す。
(事務局)
委員の皆様には、長時間にわたりご議論を頂きありがとうございました。
以上をもちまして閉会とします。
閉会(14時40分)