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生物多様性について
生物多様性とは
生物多様性とは、生きものたちの豊かな個性とつながりのことです。
地球上では、森や里、川や海など切れ目なくつながる様々な生態系の中に、未発見の種を含むと3千万種の生き物が存在しているといわれており、それぞれが複雑に関わり合いながら生きています。さらに一つの種には、遺伝子レベルで様々な違いがあり、同じ種であっても形や大きさ、模様が異なるなど、全く同じものは存在しません。このように、生物多様性には、生きものの「種」、それを育む「生態系」、そして環境への適応や種の分化に関わる「遺伝子」という3つのレベルが存在しています。
生態系の多様性
生態系の多様性とは、森林、湿原、河川など様々なタイプの自然環境があることをいい、それぞれの場所には、その地域特性に応じた生態系が成立しています。
例えば、本県では2,000メートル級の山々や尾瀬などの湿原、多くの湖沼、吾妻渓谷をはじめとする渓谷や流域面積日本一の利根川など変化に富む環境があり、多様な動植物が生息・生育できる環境が形成されています。
種の多様性
種の多様性とは、様々な種類の生物が生息・生育している状況のことです。
例えば、本県ではツキノワグマやニホンカモシカ、クマタカやヤマドリ、ヤマメやヤリタナゴなどの動物種、ブナやコナラ、サクラソウやミズバショウなどの植物種のように、多様な種が存在しています。
遺伝子の多様性
遺伝子の多様性とは、同じ種でも、その生息・生育する場所によって、様々な違いがあることです。
例えば、貝類のアサリや、昆虫類ではテントウムシの一種であるナミテントウは、同じ種でも遺伝子の違いにより色や模様に違いがあります。
生物多様性の恵み
生物多様性の恵みは実感しにくいものですが、無意識のうちにすべての人が享受しているものです。この生物多様性の恵みは「生態系サービス」と呼ばれ、4つに分類することができます。
供給サービス
食料、水、木材、燃料、医薬品原料など、原材料の供給を行うサービス
調整サービス
水の浄化や気候調整、災害の緩和など、環境を調整・安定させ、私たちの暮らしを守るサービス
文化的サービス
精神的な充足、美的な楽しみ、科学や教育に関する知識を得ることなど、非物質的な文化面でのサービス
基盤サービス
光合成や、土壌形成、栄養循環など、3つのサービスを支える基礎的なサービス
生物多様性の危機
生物多様性には、4つの危機が迫っていると言われています。
第1の危機:人間活動による危機
- 森林伐採、開発行為等による生息・生育地の減少や環境の悪化
- 希少な野生動植物種の乱獲や盗掘など人間が引き起こす負の要因による影響
第2の危機:自然に対する働きかけの縮小による危機
- 里地里山の管理不足など、人口減少や高齢化、農業形態や生活様式の変化などにより、自然に対する人間の働きかけが縮小撤退することによる影響
- ニホンジカ、イノシシ、ニホンザル、ツキノワグマなど野生動植物種が分布を拡大したことによる農林業被害や生態系への影響
第3の危機:人間により持ち込まれたものによる危機
人間が近代的な生活を送るようになったことで持ち込まれた外来生物や化学物質などによる生態系への影響
第4の危機:地球環境の変化による危機
地球温暖化による生物多様性への深刻な影響
生物多様性ぐんま戦略
群馬県では、生物多様性保全のため、「生物多様性ぐんま戦略」を策定し、生物多様性についての説明や、現状と課題、県の取組、県民の取組、事業者の取組などを示しています。
ネイチャーポジティブ
「ネイチャーポジティブ(自然再興)」とは、生物多様性の損失を止め、回復軌道に乗せることを意味する国際的な目標です。