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群馬県インクルーシブ教育推進に係るシンポジウム

更新日:2025年1月17日 印刷ページ表示

1 期日

令和6年12月7日(土曜日)午前10時から午後12時

2 場所

県庁32階 NETSUGEN(官民共創スペース)

3 テーマ

「共生社会って何だろう~今私たちにできること~」

4 司会者・シンポジスト

司会者

 宮坂 あつこ 氏(FM桐生アナウンサー・ジョブラボぐんま代表・Mash Up!代表・教育委員)

登壇者

  • 霜田 浩信 氏(群馬大学共同教育学部 教授)
  • 山本  泉 氏(特定非営利活動法人 カウンセリング&コミュニケーション・ミュー 代表)
  • 平野 勇パウロ 氏(株式会社アルテソリューション 代表取締役)
  • 高木 沙祐里 氏(ダスキン障害者リーダー育成海外研修派遣事業 研修修了生)
  • 増田 眞次 氏(玉村町立上陽小学校長)

5 内容

(1)オープニング

宮坂あつこ氏による自己紹介及びシンポジウム開催の趣旨説明

(2)あいさつ

平田教育長によるあいさつ

(3)事業説明及び報告

配布資料により下記4点について事務局が説明した。

(ア)群馬県インクルーシブ教育推進事業説明

(イ)海外視察報告 デンマーク、スウェーデン

(ウ)モデル校実践研究報告

(4)登壇者より情報提供(要旨)

(霜田氏)

  • 群馬大学附属小学校と附属特別支援学校が行ってきた教科での交流及び共同学習をとおして考えるインクルーシブ教育について紹介。(国語科4年生:壁新聞作り)
  • 相手を知り、相手と関わりができるからこそ学び合いが生まれる。
  • 相手を知ることで、見守ったり、表現の仕方に変化が出たりする等、両校の児童の学び方が変わってきた。

(山本氏)

  • 不登校、不登校傾向の子、所属のない卒業生支援としてのアウトリーチ支援(家庭訪問)
  • 自分の中にある価値観を自己理解することで、自分の価値観を脇に置いて相手の話を聞くことができる。
  • 被支援者は、課題の克服や他者の支援のために自ら参加し力を発揮することができる。
  • 人間心理学を学び、支援活動を続ける中で、インクルーシブな価値観が育ってきた。
  • 同じ地域で困っている子供や保護者、地域の人に寄り添い、寄り添える仲間を増やしていくことが地域のインクルージョンの基底をつくる一助になると考える。

(平野氏)

  • 10歳の時、ブラジルから大泉町移住。翌年、国際教室が設けられ日本語の勉強をした。
  • いじめもあったが、同年代の子どもたちと触れあう中で、少しずつ文化を学び、日本語の能力を伸ばしていくことにつながった。
  • 多文化共生社会というテーマで講演をしているが、多文化共生という言葉はなくしていきたい。興味がある人にしか届かない。興味がない人にどう発信していくかが大事。

(高木氏)

  • デンマークのエグモント・ホイスコーレンという学校に留学して学んだこと。
  • 障害はその人全てを語るものではなく、深い関わりをもつからこそ見えてくる側面がある。その人がどんな人なのか関心をもつ大切さを学んだ。
  • 違いを「知りません」と「知ろうとする」ことには大きな差がある。トラブルもたくさんあったが多くの人と出会い、対話をすることは、相手のことを知るチャンスになることを学んだ
  • 人との繋がりは人生を豊かにし、楽しいものにしてくれる。障害のある人もない人も、生活の課題を抱えている人も、共に同じ空間にいるということがとても大切。

(5)トークセッションにおける主な意見(要旨)

(A氏)

  • 皆さんの話題提供を受けながら、この中で、インクルーシブ教育、共生社会を目指していくための軸になる考え方とは何なのかを整理したい。
  • 子どもたちや地域で暮らす人たちが、お互いに違いを感じながらも、そこにいる人たちが共通する何かを持ち得ていくことが大事。例えば、スポーツや料理、音楽等、違いを感じつつも一緒に活動できること。

(B氏)

 外国籍の多い学校において、言葉は分からないが喧嘩していて、休み時間になるとまた仲直りしてサッカーをしている姿を見た。共通の遊びの土台があるからこそ、軋轢が生まれても元通りになることを見て驚いた。共通の土台を意図的に教育活動に入れ、さらにそこを進めて行くことがヒントになるかと思う。

(A氏)

 共通項目を活動の中に落とし入れていく。そこがスタートではあるが、そこには互いの考え方、価値観の違いは生じる。だからこそ喧嘩も生じる。喧嘩で終わるのでなく、相手が何を楽しんでいるのか、何を一緒にやりたいのかがあるからこそ、また次に進んでいける。

(C氏)

 いろいろな価値観とか考え方の違いがあり、喧嘩になっても、そこでその人とのつながりが切れてしまうかというとそうではなく逆に深まっていく。そこに障害の有無は全く存在しない。

(D氏)

 支援する側、される側の領域を越えて対等平等。人と人、小学生でも大学生でも人と人との関わりをつくっていくことに心をつかっていく。つかうだけでなく、その人の人となりや歴史、経験値等、相手を知る中で、もらうこともたくさんある。

 支援をする側、される側がいつしかなくなり、相手ができること、したいこと、自分ができること、したいことを共有していく。

(A氏)

  • 相手の価値観を知る前に相手を思い、知る。相手のフィールドに入って、何が好きで、どんなことを楽しみにしているのか、どんなことに苦しんでいるのかも含め、互いに相手を知り合う。そこから価値観として何を大事にしているのかが分かってくると、どうするかを一緒に考えて進んでいける。
  • 学校フィールドでいえば、学習の場、関わりの場をつくっていくことは可能。場を整えるだけでなく、子どもたちが互いに共通する活動を何でもっていくか、その活動をとおして相手を知る機会があるからこそ、影響し合って、そこから学んでいける。楽しかったと自分の中で感じる満足、思いにつながっていく。そんなエッセンスが登壇者の方たち全てに含まれていたと感じる。

(E氏)

 国際教室で日本語を学ぶことができたのは、先生の温かい言葉だった。日本語は全く理解できていなかったが、教室の中では一切外国人扱いされず、他の子どもたちと平等に接してくれた。卒業式に先生が外国籍の子だけに色紙をくれ、つらいことがあっても踏ん張って乗り越えてほしいという思いの言葉が色紙の中にたくさん入っていて、それが今でも励みになっている。

(A氏)

 自分が成長を感じられる場所が前提としてあり、そこには支えてくれる人がいて、みんなと過ごす場所があり、互いの違いを感じながらも共通の何かを見出して、また学んでいける。その学びが、それぞれの学びではなく、相乗効果的に互いに関わり合うからこそ何かを見出していける、そんなことが軸となる考え方となるのではないか。

(D氏)

 シンポジストの方々は、所属も活動も異なるが、目指しているところは同じだということが分かった。

(6)会場より意見、感想等(要旨)

(会場より)

 教育と福祉、地域、医療機関、各福祉関係と密接に連携してほしい。

(A氏)

 インクルーシブ教育を進めていく、共生社会を目指していくためにも、縦、横のつながりをどう進めていくか、ここは大きな課題となってきている。行政の中でも、教育の中でも重々考えていく必要がある。

(会場より)

 インクルーシブ教育に反対するつもりはないが、一般の多くを占める児童生徒の教育支出を念頭においてインクルーシブ教育を行わなければ本末転倒になってしまう。

(A氏)

 障害がある、ないや、お金があるからできる、お金がないからできないので二分した考え方ではない考え方を今後我々の中で見出していくということが次に進んでいくためにはとても大事なことだと思う。

(7)クロージング

宮坂あつこ氏による感想及びインクルーシブフェスタ2024の紹介