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令和6年度群馬県感染症流行予測調査結果について

更新日:2025年1月31日 印刷ページ表示

感受性調査

 感受性調査では、さまざまな年代の方々の血液中に含まれる抗体の量を測定し、感染症に対抗できる免疫をどれくらい保有しているか調べます。
 令和6年度は、麻しん・風しん・インフルエンザ・新型コロナウイルス感染症の4疾患について、血液中に十分な抗体を持っている人の割合(抗体保有率)の調査を行いました。本調査への同意が得られた0歳から74歳の計398名を調査対象者とし、調査にあたっては、健康診断あるいは医療機関受診時に採取した血液の残余を利用しました。
 本県で実施した調査の結果は以下のとおりです。

令和6年度群馬県感染症流行予測調査(感受性調査)の結果概要 (PDF:388KB)

麻しん

  • 対象:0~74歳の398名の血清
  • 方法:酵素免疫測定法(EIA法)
  • 判定:検査キットの添付文書に従い、EIA抗体価が4.0以上の場合は陽性、EIA抗体価が2.0未満の場合は陰性、EIA抗体価が2.0以上で4.0未満の場合は判定保留としました。
  • 結果:EIA抗体価4.0以上の抗体保有率は全体の82.7%で、昨年度(80.6%)と同程度でした(図1)。年齢群別では、2-3歳、4-9歳、10-14歳、40歳以上で90%以上の抗体保有率を示しました。抗体価2.0未満の抗体陰性者の割合は全体の10.3%でした(昨年度7.5%)。抗体陰性者の割合について年齢群別でみると、0-1歳が最も多く47.6%でした。今回の調査では全ての年齢群で抗体陰性者が認められました。

図1:麻しん結果グラフ画像

風しん

  • 対象:0~74歳の398名の血清
  • 方法:赤血球凝集抑制試験法(HI法)
  • 判定:HI法ではHI抗体価が1:8以上の場合に陽性と判定しますが、1:8及び1:16では十分な風しんの発症予防ができない可能性があると考えられています。そこで、HI抗体価が1:32以上の場合を抗体保有としました。
  • 結果:HI抗体価1:32以上の抗体保有率は全体の76.1%で、昨年度(61.7%)より高い結果でした(図2)。年齢群別では、40歳以上(86.2%)で最も高い抗体保有率を示し、次いで20-24歳(84.8%)、30-34歳(84.2%)でした。HI抗体価が1:8未満の抗体陰性者の割合は全体の6.3%であり、昨年度(6.1%)と同程度でした。抗体陰性者の割合について年齢群別でみると、0-3歳が最も多く21.7%でした。また、4-9歳(8.6%)、15-19歳(5.9%)、25-29歳(2.4%)、30-34歳(2.6%)、35-39歳(8.3%)、40歳以上(7.7%)の6つの年齢群でも抗体陰性者が認められました。

図2:風しん結果グラフ画像

インフルエンザ

  • 対象:0~74歳の398名の血清
  • 方法:赤血球凝集抑制試験法(HI法)
    インフルエンザの感受性調査では、今シーズン(2024/25シーズン)のインフルエンザ流行開始前であり、かつ当該シーズンのインフルエンザワクチン接種前に採取した血清について調査を実施しました。今年度は以下のインフルエンザウイルス4種類の抗原について調査しました。これら4抗原は、いずれも今シーズンのワクチン株として選定されている抗原です。
    A/ビクトリア/4897/2022(H1N1)
    A/カリフォルニア/122/2022(H3N2)
    B/プーケット/3073/2013(山形系統)
    B/オーストリア/1359417/2021(ビクトリア系統)
  • 判定:HI法の抗体価が1:10以上の場合に陽性と判定されますが、1:40未満では重症化が予防できない可能性があると考えられるため、抗体価1:40以上の場合を抗体保有としました。
  • 結果:A/ビクトリア/4897/2022(H1N1)(図3)
    昨シーズン(2023/24)に引き続き、2年連続でワクチン株に選定されたウイルスであり、本調査株に対する全体の抗体保有率は12.6%で、昨年度(2.4%)より高い結果でした。年齢群別では、10-14歳(31.4%)で最も高い抗体保有率を示し、次いで15-19歳(20.6%)、5-9歳(12.9%)、20-29歳(12.2%)でした。50-59歳では抗体保有者を認めませんでした。

図3:インフルエンザA/ビクトリア/4897/2022(H1N1)結果グラフ画像

 結果:A/カリフォルニア/122/2022(H3N2)(図4)
 今シーズン(2024/25)からワクチン株に選定されたウイルスであり、本調査株に対する全体の抗体保有率は36.4%でした。年齢群別では、10-14歳(71.4%)で最も高い抗体保有率を示し、次いで5-9歳(61.3%)、15-19歳(44.1%)でした。

図4:インフルエンザA/カリフォルニア/122/2022(H3N2)結果グラフ画像

 結果:B/プーケット/3073/2013(山形系統)(図5)
 昨シーズン(2023/24)に引き続きワクチン株に選定されたウイルスであり(2015/16シーズンから変更されていない)、本調査株に対する全体の抗体保有率は44.5%で、4抗原の中で最も高く、昨年度(41.5%)と同程度でした。年齢群別では、30-39歳(71.6%)で最も高い抗体保有率を示し、次いで20-29歳(70.3%)、50-59歳(60.9%)でした。

図5:インフルエンザB/プーケット/3073/2013(山形系統)結果グラフ画像

 

 結果:B/オーストリア/1359417/2021(ビクトリア系統)(図6)
 昨シーズン(2023/24)に引き続きワクチン株に選定されたウイルスであり(2022/23シーズンから変更されていない)、本調査株に対する全体の抗体保有率は14.3%で、昨年度(2.2%)より高い結果でした。年齢群別では、60歳以上(40.9%)で最も高い保有率を示し、次いで50-59歳(39.1%)、5-9歳(19.4%)、0-4歳(18.0%)でした。

図6:インフルエンザB/オーストリア/1359417/2021(ビクトリア系統)結果グラフ画像

新型コロナウイルス感染症

  • 対象:0~74歳の386名の血清
  • 方法:中和試験法
    新型コロナウイルス オミクロン(XBB.1.5)株を用いて、血清中の新型コロナウイルスに対する中和抗体価を測定しました。
  • 判定:中和抗体価が1:5以上の場合を抗体陽性としました。
  • 中和抗体価1:5以上の抗体保有率は全体の95.6%でした(図7)。年齢群別では、20-29歳、50-59歳で100%の抗体保有率を示し、他の年齢群でも高い抗体保有率を示しました。

図7:年齢群別新型コロナウイルス 結果グラフ画像

感染源調査

 感染源調査では、人や動物の体中あるいは環境中に病原体(感染症の原因)が存在しているか、存在している場合にはどのような種類かを調べます。
 令和6年度は、県内産のブタを対象に、日本脳炎について調査を行いました。
 本県で実施した調査の結果については以下のとおりです。

日本脳炎(ブタ)

 日本脳炎とは、主にコガタアカイエカが日本脳炎ウイルスに感染したブタを吸血し、その後ヒトを刺すことによって起こる感染症です。ヒトが発症した場合は、重篤な急性脳症を起こすこともあります。
 日本脳炎の抗体価が高い場合は、そのブタが日本脳炎に感染している可能性が高いと考えられます。全体のブタの抗体保有率が上昇している場合、感染したブタを蚊が吸血し媒介することによって、ヒトに感染するリスクが高くなります。

  • 対象:県内のと畜場へ出荷された県内産肥育豚(6ヶ月齢)計82頭の血清
  • 調査期間:令和6年6月7日から9月30日まで(計8回)
  • 方法:赤血球凝集抑制試験法(HI法)
  • 判定:HI法の抗体価が1:10以上の場合を陽性と判定し、さらに1:40以上の場合には2-メルカプトエタノール(2-ME)処理をします。なお、2-ME感受性抗体(IgM抗体)を保有している場合、そのブタは直近で日本脳炎ウイルスに感染したと考えられます。
  • 結果:82頭について調査を実施したところ、HI抗体価1:10以上を示したブタは5頭(6.1%)でした。5頭とも、1:40以上を示したため、2-ME処理を実施したところ、1頭が2-ME感受性抗体陽性となりました。(表1)
表1 ブタの日本脳炎ウイルスHI抗体・2-ME感受性抗体保有状況
採血日 頭数 HI抗体価 2-ME感受性抗体
※注2
<10 10 20 40 80 160 320 640≦

陽性数
※注1

抗体陽性率 処理数 陽性数 抗体陽性率
6月7日 10 10               0 0.0%      
6月24日 11 11               0 0.0%      

7月8日

10 10               0 0.0%      
7月29日 10 10               0 0.0%      
8月5日 10 10               0 0.0%      
8月23日 10 9           1    1 10.0% 1  0  0.0% 
9月9日 9 9                 0 0.0%      
9月30日 12 8       1  3     4 33.3% 4 1 25.0%
合計 82 77 0 0 0 1 3 1 0 5 6.1% 5 1 20.0%

※注1 抗体価1:10以上を陽性とする。
※注2 2-メルカプトエタノール(2-ME)処理は、HI抗体価1:40以上で実施する。2-ME感受性抗体(IgM抗体)を保有している場合、そのブタは直近で日本脳炎ウイルスに感染したと考えられる。2-ME処理を行った血清の抗体価が未処理の血清と比較して3管(8倍)以上低かった場合を陽性、2管(4倍)低かった場合を疑陽性、不変または1管(2倍)低かった場合を陰性と判定する。 

 

謝辞

 感受性調査の実施にあたり、調査へ同意し検体を御提供いただいた0~74歳の398名の対象者の皆様、及び検体収集に御尽力いただいた各学校の先生方、公立藤岡総合病院、地域医療機能推進機構群馬中央病院、国立病院機構高崎総合医療センター、前橋赤十字病院、SUBARU健康保険組合太田記念病院、県立小児医療センター、公益財団法人群馬県健康づくり財団、その他各関係機関の皆様に厚く御礼申し上げます。
 また、感染源調査の実施にあたり、ブタの検体採取に御協力いただいた株式会社群馬県食肉卸売市場及び群馬県食肉衛生検査所の皆様に深謝いたします。

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