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群馬県文化財保護審議会 令和6年度第1回開催結果

更新日:2025年4月7日 印刷ページ表示

1 日時

令和6年8月1日(木曜日)13時00分~15時30分

2 場所

県庁29階 第一特別会議室

3 出席者

戸所隆会長、村田敬一副会長、飯島康夫委員、金澤好一委員、佐藤孝之委員、染川香澄委員、野田香里委員、原田一敏委員、右島和夫委員、前澤和之専門部会委員

4 事務局出席者

新井薫地域創生部長、石橋幸子文化財保護課長、太刀川裕之次長、深澤敦仁文化財専門官、文化財活用係:笹澤泰史文化財活用係長、茂木誠主幹、森田真一主幹、岩上千鶴主幹、川口亮主任、小嶋圭主任、青木亮子主事、埋蔵文化財係:石田真埋蔵文化財係長

5 開会

13時00分

6 挨拶

群馬県地域創生部 主催者挨拶(新井薫地域創生部長)

7 会長・副会長選任・挨拶

任期満了に伴い、戸所隆会長、村田敬一副会長を選任。

群馬県文化財保護審議会長 挨拶

群馬県文化財保護審議会副会長 挨拶

8 議事録署名人選出

議長が今回の議事録署名人に村田敬一副会長・野田香里委員を指名。

9 専門部会専門委員指名

任期満了に伴い、各専門部会専門委員を指名。

10 傍聴人の報告

事務局が、2名であることを報告。

11 傍聴人制限確認

事務局から、審議事項については非公開、その他については公開とする提案がなされ、委員に承認された。

12 内容

報告事項

  1. 令和5年度文化財保護課事業報告
  2. 令和6年度文化財保護課主要事業
  3. 群馬県指定文化財の保存事業について
  4. 群馬県指定文化財の現状変更等について
  5. 国県指定等文化財数について

質疑

(議長)今までの説明、報告のところで、ご質問や何かお気づきの点があるか。

(審議委員) 文化財保護課の主要事業で、専門講座が、毎年開かれているが、埋蔵文化財の専門講座以外の文化財についての専門講座はあるか。

(事務局) 予算取りをした形での専門講座というのは、確かに開催はしてない。群馬県全体でやっている出前講座のシステム等で、講義をするということが年に何回かある。それ以外にも、(講演会等に)呼ばれて行くことで対応している。

(部長) 埋蔵文化財調査事業団においても、発掘調査の人材が不足している。教員向け行政担当者向けで、理解をしていただくと同時に、退職後等に、こういった事業に携わってもらいたいという面もある講座である。

(審議委員) 文化財の周知、いろんな専門的な事項について理解してもらうことは重要なことである。特に、行政の職員等においても、なかなか各市町村は、それほど人数がいないので、自分の専門だけをというわけにはいかないと思う。埋蔵文化財が重視されているのはわかるがやはりその出前講座という向こうの要望があってからやるというよりは、文化財保護課が主体になり、様々な文化財のそれぞれについて、何年かに1度でもいいので、取り組んだ方が、様々な文化財の理解という点では広がるのではないかと要望したい。

(議長) 各市町村で、例えばまちづくり等に関わっているときに、文化財に対する認識不足的なところは感じる時がある。そういう面からプッシュ型というか、県の方から多分野の専門講座を開設してもらいたい。予算も含めて、今後検討課題にしていただきたい。

(審議委員) 私も全く賛同する。挨拶の中で出た嬬恋村と高崎市が今、地域計画の認定を受けたが、今回の県登録になるのは、それの予備調査で出たものである。今回の地域計画の一番の目的は、未指定文化財の把握にある。それを事前に嬬恋村も動き、高崎市も動き、今回は登録を待っていたという状況。1つ地域計画をやることによって文化財行政が変わる気がする。一分野ではなく、文化財行政自体が変わってきており、専門性が弱くなっているので、市町村においては、やはり今まで以上にそういった研修計画を立てることが文化財行政の目玉になってくのではないかという気もしている。当然審議会では諮問に対して答申するのが本来だが、文化財行政のあり方を考えたときに、もう少しいろんな分野があるということについて、市町村の指導ということも視野に入れた研修講座も必要と感じている。

(事務局) 市町村の職員向けでは、保存管理等の説明会という形で、文化財担当の職員向けのリアルでやる会議は開いている。説明会ではなく、講座となるような内容の検討は、これからしていきたい。

【審議事項】

(1)文化財の新登録について

(2)文化財の新指定について

【質疑】

(1)文化財の新登録について

 1.有形文化財(建造物)吉井郷土資料館 1棟

(審議委員) 吉井町郷土資料館は、価値付けとしては、現在使用されている資料館専用建物としては県内最古級である、つまり専門に建てられたものとしては最古級であるというところか。最古級ということは他にもそういうものはあるのか。県立近代美術館は確か昭和47年だったと思うが。

(事務局) この時期は博物館、郷土資料館の建築が相次ぎ、5年後には県立歴史博物館等の建築もある。その中で、吉井町は日本三古碑として有名な多胡碑を有しており、非常に文化財保護に対する姿勢が高かった。この一環として吉井町史の編さんを受け、機運が盛り上がり、吉井町史の中で収集されたものの展示、町の歴史を町民に知ってもらう施設として造られた。そのような歴史的な経緯も含め価値を有していると捉えている。

(審議委員) もう一点は、やはり近現代、戦後の登録ということで意味がある。群馬県が今まで寺社や民家であるとか、近代和風をやってきたが、今、文化庁も全国レベルで近現代を県別にやっており、今年度は群馬県が対象になっている。建造物部会としては、県登録の対象をどう考えるかといろいろ議論したが、価値がありそうだがまだ未調査なものが多く、本格的な価値付けができていない。国登録の場合も間違いなく専門家の方に調査依頼をして委託をして、数十万、何百万かけてやっていた。そうではなくて、市町村担当者と、県の担当者レベルで、多少の専門の指導を受けながら、登録ができるという、ある意味では、ハードルを低くしている。近現代建築としても、今50年経ったところで、これがまた100年経つ。そういう意味では国レベルでやるものに先駆けて、県登録してこれができるということはすごく意義あることだろうと思う。その点も価値に加えてほしい。

(議長) それはよろしいか。

(審議委員) 例えば戦後でやると、50年を経過した建築は結構たくさんある。その中でやはり資料館専用建築として最古級であるというのが、大きいかと判断したが、他は、無いのか。

(審議委員) 例えば県立歴史博物館、県立近代美術館、高崎の群馬音楽センターも当然そうなるが、狙うのは逆に国指定であり、国の重要文化財であり、国の登録有形文化財であるということになるので、我々もそこをある程度使い分けている。調査に対しても相談があったときにはそう伝えている。市町村でできるものであれば、市町村指定がよいが、できないのであれば、県登録ならどうかという流れで進めている。

(議長) もう1つは。

2.有形文化財(建造物)旧三原郵便局舎 1棟

(審議委員) 次はこの郵便局。登録に異存はないが、活用でカフェみたいにするようなことがあるが、その場合、郵便局から変えたときになくなったポーチをまた復元する計画はあるか。

(事務局) 個人の持ち物で、まだ計画段階。また具体的なところは相談に乗っていただきながら、考えていければというところ。

(審議委員) カフェにするのであれば、元の形を再現できればいいなと希望する。

3.有形文化財(歴史資料)上毛かるた関係資料 354点

(審議委員) 上毛かるたの原版が残っているのは、新しくなった昭和40年代か。最初の原画は残っていないのか。

(事務局) 調査をしたところ、新版で描き換えたものしかないという状況である。

(審議委員) それは残念である。大分変わっているので、写真等あるが、旧版があると活用の点では非常に面白いと思ったので。

(審議委員) 県立歴史博物館にある原画資料は、当初のものに近い。そこから今のかるたの部分でかなり描き換えをしているような状態だと思う。

(審議委員) そうすると博物館には、その古いのが残っているのか。

(審議委員) 当初ではないが、さらに同じ人がさらに描き換えをしたその原画が全部残っている。

(審議委員) 変遷がある程度追えるということ。

(審議委員) そうである。

4.有形文化財(歴史資料)相澤忠洋関係資料 5,601点

(審議委員) 相澤忠洋関係資料は、国の登録有形文化財になっている資料と、名称の上でかなり混同するのではないかと危惧がある。この資料名称については区別できるようにならなかったのか。今後いろいろなところで使われたときに、混乱を招くという危惧がある。

(事務局) 審議の過程でもそのような話はあった。歴史資料部会としては、ほとんど国登録のものと、切り離せないものだろうというような思いもある。

(審議委員) 相澤忠洋さんの資料は、国がなぜ一緒に登録しなかったかと、大変疑問に思っている。それを今回群馬県の登録第1号として、速やかに取り上げることには大変意義がある。やがては国登録で一体化するという可能性も秘めているのではないか、それ位の価値があるんじゃないかと考えている。名称は、相澤忠洋関係資料という特定できないぐらい幅広い資料があるので、これを使っている。

(議長) 将来的には国と一体化を目指して今後も努力すると。

(審議委員) そうである。県がこのことを取り上げ、価値について、研究すべき内容がまだまだ含まれている。相澤さんが小さなノートに、日誌らしいものを、たくさん書き残している。今までほとんど知られてない。こういったものが、これから公の資料と扱われることになるので、その分析をしていく。国登録になったものの価値付けに、非常に強力なバックアップになると思う。その暁には、一体になれば望ましいと願っている。

(議長) 専門的な縦割りで審議すると、難しいというところが出てくる。

(審議委員) 登録制度が今年度から開始され、県から国登録という道があるので、ぜひ制度的に、それを積極的に進めるような方向で考えていければよい。

(審議委員) 登録の記念物に、天然記念物はどう入るのか。

(事務局) 動物、植物、地質鉱物といった文化財が、指定になると天然記念物という名称になるという整理である。登録では、登録記念物となる。

(審議委員) 承知した。

(審議委員) 晴れて登録が答申されるが、国、県、市町村の指定文化財、そして登録文化財の区分は、非常に一般の人にとってわかりづらいというところが、どうしても出ると思う。

登録制度の中には少しファジーな部分、緩みを残している部分もあるが、これを一般の人にきちんと理解してもらい、応援してもらい、一緒に考えてもらうことが大事。

新たに県の登録制度が、動き出す中で、住み分けと言うか、制度的な中で、わかりやすく、理解してもらってほしい。実際の文化財そのものは、社会の中にいろんな形で、個人や、地域にあるわけだから、かなり協力してもらわないと、維持管理、活用という部分まで繋がらない。やはりこの制度自体をうまく伝える工夫をする必要がある。

(議長) これから文化財行政として、検討していただきたい。今まで関わって感じることは、専門家なり有識者、関心を持った方には、説明をして御理解いただく必要があると思う。一般の方に、国の指定と県の指定と市町村の指定の区別、文化財の指定と登録も理解していただくのは大変難しい。でも、文化財と言われれば大切なものだと思う。国宝だと変わるかもしれないが、国の重文と登録ではどうか。例えば榛名神社といっても、みんな同じ気持ちどこにでもある神社と思うだろう。ただ、それが、文化財となると同じように、大切にしようという気持ちは出てくるようだ。その辺りが専門家や、中心となる人達には御理解いただく必要があるというのが現場的なところの発想だが、行政としてどうするかという点を御検討いただきたい。

(審議委員) 現在、国宝と重文で建造物は2,805件ある。国の登録が平成8年にスタートし、登録は5倍の1万4000件、そのうちの98.5%は建造物である。テレビでも例えば群馬県で「旅館」で登録されているものは指定文化財と言っている。一般の方は指定、登録、選定の区別はつかない。でもその違いについて、説明しなければいけないと思う。今回の三原郵便局は、平成2、3年に近代化遺産として、10件、調査対象にしたが、その時は漏れていた。その時一番古かったのが、中里の平原郵便局で大正5年だった。今現在国で最古の指定文化財としては、明治43年が最古である。今回は明治42年の資産台帳に載っているので全国レベルで見れば、単独ですごく古い。報告書22ページを見ると、郵便馬車で動いているのがある。実はこの2階建てで道路と平行のところが1階で郵便局だが地下1階の方は、実は厩がある。郵便局で、その郵便馬車の厩があり、また使用人がそこにいた。写真が残っていて現物の建物で見るのは初めてである。今までの国の調査にも全く引っかかってなかったところ、今回それが引っかかっている。これは、身近な建物について非常に興味が増す上に、文化財保存活用地域計画をやることによってますます進むので、今後増えることが期待できる状況である。

(審議委員) やはり登録制度は本来市町村がやるべき仕事じゃないか。どうも制度設計もそのようになっているように感じる。そのために地域計画作成は非常に重要になってくる。ただそこに至らない段階で、県の登録制度の中で、今回の私どもの歴史資料部会で上げた上毛かるた、相澤忠洋関係資料というのは、知名度が非常に高いものがある。登録制度或いは文化財全体に対する県民の理解を深めるのに非常に役立つのではないか。そういう意味で今回の登録は、私どもにとっては大きな意味があると思う。

例えば上毛かるたは何で上毛とつけたか。群馬かるたではなくて、上州かるたではなくて。そういう疑問も出てくると思う。残された資料を丹念に読み解くと、例えば昭和21年の段階で上毛という名前が使われ、そして東国文化発祥の地であった由緒ある上毛の地という言葉が使われている。当時の歴史認識等々もここに反映されている。そのようなことも含めて、県民の方に関心を持ってもらう上で、今回の登録となる歴史資料2件は、大いに意味があると感じている。

(審議委員) 一般の人たちからすると、どこかに行ったときに、国宝と書いてあれば、すごくすばらしいんだろうな、重要文化財と書いてあれば、国宝よりもそうでもないだろうなっていうような意識だと思う。今回こちらの登録、指定の矢印の方向は、上から決まりましたというものではなく、ボトムアップ的に決まっていく流れというのがはっきりしている気がする。間違っていたら教えていただきたいのだが、そうであれば、わかりやすい提示の仕方としては、地域の人々が大切に思っているものを、市町村なりその地域の方々発で今、登録に押し上げているものなんだというようなイメージで、発信していけば、わかりやすいのではないかと。ありがたくお墨付きをいただくという今までの流れではなくて、地域の方々が大切にしているものを、ボトムアップで、声を吸い上げた結果、県で登録しているといったことでどうか。

(審議委員) 上毛かるたの件で、私は関西から、埼玉に引っ越してきたときに埼玉のかるたを姪たちが競技でやっていて、変わったものがあるなと思った。それは上毛かるたの影響がある。おっしゃっていたようにボトムアップをメインにしながらも、マクロな視点で。上毛かるたはニューヨークの群馬県人会がかるた大会やっているとか、いろんなところに広がっている。実際に群馬でやっていた人たちが全国に散らばり、その場で愛用して、そこで遊んでいる、或いはそれに影響を受けているという、広がりを感じる。外から来ると余計に皆さんが群馬で、上毛かるただ、と中でおっしゃっているが、こんなに外に影響しているのがすごく面白かった。多分そういうこともちょっと数行入れると、外から来ている人にも自分がやってることと繋がるんじゃないかと思う。

(審議委員) 吉井郷土資料館の建物は正倉院をイメージしたっていうのが非常に面白いなと思った。内部の写真を見ると、木製ののぞきケースとか、かなり古い時期のものが使われているようだが、これをこのまま将来展示施設として使っていく場合には、いわゆる収蔵品とか展示作品の保存保管に関して、劣化するとかそういう問題はこれから先、起きる可能性は十分ある。それが物だけではなくて、このケースそのもの自体が耐用年数を過ぎ、壊れてしまう。この建物をこのまま、存続するのはいいんですけど、このまま資料館として、使っていけるかどうかっていうのを、まず、将来的に考えなければならないと思う。町立、県立市立の単位でも、40年を過ぎて60年経つと、壊していたり、大幅な内部改造をしたりして使っている場合が、最近は見受けられるが、この点に関して、県側はどういう心づもりでいるのか。或いはこのまま建物として景観がいいということで残して、それから新たに、施設を別のところに新造し、作品を収集、保管、保存して、公開していくかということも十分考えなければいけないと思ったのだが。

(審議委員) 高崎市は、今回登録となれば9月15日にイベントを用意しており、これの価値付けの講演をやり、内部の説明も考えている。地元の方が意外にこのことについて理解していないので、まずはこの建物の重要性、おっしゃる部分で、やはり見てもらうとそういった話も出る気がする。今すぐこれを建て替えるとか。今、高崎市では考えていないと思う。現段階では、これをずっと残して改修し使っていきたいという意向はあると思う。

(審議委員) 建て替えるのではなく、この建物でよい。古い美術館・博物館がどんどん壊されていく状況で、これを保存するのは大賛成だが、このままの状態で作品を展示していくのが将来的にわたってできるかは甚だ疑問である。

(審議委員) (上記の)ご意見を、私からも市の担当には伝えて、なるべく委員のご希望に沿うような形で、もっていけるような形でお話をしてみたいと思う。

審議の結果、新規登録案件4件を全委員賛同で群馬県登録文化財とすることが適当と知事へ答申することにした。

(2)文化財の新指定について

『冠稲荷神社』 指定種別 重要文化財(建造物)3棟

【質疑】

(審議委員) この建物は近世後半ということでいいか。

(審議委員) 建築史の区分で言うと、本殿は江戸中期。後期になって、彫刻がはめ込まれたと理解している。

(審議委員) かなり財力が投じられているわけだが、あの辺りの地域にそういう、冠稲荷が、この近世中期以降に浮上してくる背景みたいなのがある。その辺りが実はポイントになる。

(審議委員) 装飾建築では、先日、国指定重要文化財になった桐生天満宮。これは間違いなく、織物というものがある。太田尾島地区というのは、財政的に銅街道があり、最終的には民間でやっていることなので、寄付が集まったということだと思う。本来はその背景がどうだというところまで説明できればいいのだが、基本的に今の県下でその装飾が非常に素晴らしいものは、ほとんどやっぱり財政的なものがある。例えば南牧村の砥石。そこでもその時代では飛び抜けた形で、やはり装飾をしている。その社会的背景まで含めて、この建物で語れることができるので、御指摘の通りである。

(審議委員) 棟札の説明のところで、本殿と推定されるということだが、寛暦4年とあるが、宝暦4年と推定ということでよろしいか。

(審議委員) 1つは改修において、屋根が大体30年とか40年で替えられるので、その間隔で言うと宝暦となるが、はっきり断定はできないので推定している段階。しかしそれをやはり附にしておく必要はある。今後の研究待ちという部分である。

(議長) 今後の検証に、資するようにして、今のご指摘を尊重する形で進められればと思う。

審議の結果、冠稲荷神社3棟を全委員賛同で群馬県指定重要文化財とすると答申することとした。

『牛田廃寺跡』 指定種別 史跡

【質疑】

(議長) これは道路の設計変更というか、場所を変えたということか。

(審議委員) 今、工事が一部供用開始していて、その周辺も間もなく始まる。

(議長) ここは保存されるということでよいか。

(審議委員) 個人の方の土地か。

(事務局) 公有地化する予定。

(審議委員) 遺物は瓦以外は?

(審議委員) ほぼ瓦とほんの少し土器が検出された。寺院では、普通は、基壇に建物は乗る。牛田廃寺跡では、基壇の一番下の部分ぐらいまでが全部削平されていたが、そこから下へ非常に厳重に基礎工事をしているのがわかった。上にあった建物も、基壇の構造からも、非常に念入りな建物が建っていたということが予測される。

(議長) それだけの土に埋設されたっていうことはかなり、洪水とか何かで、土砂が来るようなところか。

(審議委員) 歩いていってすぐ神流川になるぐらいなので、その後も、いろんな洪水等があったと思う。

(議長) この時代では、そういう危ないところにはあまり寺院的なものは造らなかったのではないか。

(審議委員) 河岸段丘の第一段の面ですけど、そこはずっとあまり利用されていなかったが、そこへ大きく展開するような時期に、寺院もできている。

(審議委員) この写真からしても、ここへ行ったとしても何かが地面にあるという形で、今後はどういうふうに。

(審議委員) おそらく、これで晴れて県指定史跡になった暁には、そこから保存管理活用となる。この遺跡をどうしていくかという計画策定、その実現の方向へ、具体的に進むと思う。

審議の結果、牛田廃寺跡1件を全委員賛同で群馬県指定史跡とすると答申することとした。

【各専門部会の活動について】

(審議委員) 新たな課題があるなと思った。文化財保護は、指定を続けていって、今後もずっと指定を続けていくが、やはり人材づくりが課題。人材づくりにもどのように文化財指定を役立てていけるのか課題があるなと聞いていた。

例えば毎年描かれている絵。非常にうまくいっているので、ずっと同じように取り組みをされている。そこをもう1歩、進めてみる時期になるんじゃないかなと思う。例えば、人材づくりでは、どうしても研修をするとかそういったことだと思うが、群馬県の場合、住んでいる皆さんが人材なので、その方たちをいかに引き出すか。絵を描く、綺麗だ、すばらしい、というところから1歩進めて、その子供たちが例えば知っている方に聞き取り、作文などに進めるのもいいのかなという気がした。まだ課題ばかりだが、人材づくり、場づくり、文化財が場づくりの場になったらよいと思った。

(議長) 今言われたことについては、大切だなと私自身も思う。文化財に対するそういう感覚があると、例えば、建物を造ったり、何かしたりするときに、最初はこれが1歩で、この建物を100年後文化財にするんだという気持ちを持って造るかどうかは、まず1歩から始まる。より多くの人たちが、そういう気持ちであれば、結果として、やっぱり50年後100年後には、いい地域ができてくるんだろうなと。その辺を、1歩から始めてやっていければなと。

文化的景観について話があったが、今後調査していくというところはあるのか。

(事務局) 文化的景観は部会が組織されていないので、天然記念物部会の委員が、板倉町のところで委員に入って、一緒に検討いただいたので、今回紹介した。特に計画はない。

(議長) 文化的景観を調査するときは、総合的に捉えていかないとできない。実は地理の方で、文化庁でやったのがあるので、その辺も含めて。しかし、群馬も文化的景観的なものが、まだまだあるなと思っていた。他の部局とも連携しながら、お願いしたい。

(審議委員) 美術工芸部会で、吉岡町の長松寺の、欄間が出ていたが、実は今回、寺社調査を2年間やった中で、天井画とか、襖絵とか出てきた。その辺りがほとんど注目されず、逆に指定をどういう形で持っていくか、あまり例がない。彫刻だけやった例があるが、最近はやはり建物全体としてやるべきだというようなこともある。今後美術工芸部会とも情報共有をして、やっていく方がいいと感じている。本当に天井画も先ほど新田の道純のものが出ていたが、襖絵も結構ある。軸物ではなくとも、あそこにあるよと。昨年、指定した雙林寺あたりも金井烏洲の襖絵がある。今後どう拾って、リストを作るとかしていかないと、と感じている。一緒に連携を取ってやらせていただこうと思っている。

【取り組み中の事業】

群馬県文化財保存活用大綱について

(議長) 皆さんにご審議いただいて、作ったものがもう5年経つ。

今回の文化財登録制度は、当時なかった制度なので、これを入れ込む。先ほど、指定制度と登録制度の違いやその候補の要件など、このあたりが明記されると、各市町村が非常に理解できる。またそれを見ながら、県民も理解してくれると思うので、そのあたりをわかりやすい形にしてほしいと思う。

13 閉会

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