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鳥獣被害対策支援センター調査研究係の報告書
大型囲いわなによるシカ捕獲実証試験
大型囲いわなによるシカ捕獲実証試験 (PDF:1.32MB)
ICT機器を利用した大型囲いわなによるシカ捕獲実証試験 (赤芝)
ICT機器を利用した大型囲いわなによるシカ捕獲実証試験 (赤芝) (PDF:1.83MB)
トレイルカメラによる群馬県の野生イノシシ調査報告書
要旨
群馬県では、飼育豚における豚熱(家畜伝染病)の発生が2020年以降に9事例確認されている(2024年5月現在)。豚熱ウイルスは野生イノシシにも感染することができるので、豚熱の発生を防ぐためには、農場での防疫対策に加えて野生イノシシ間の蔓延を防止することが有効である。群馬県は、野生イノシシにおける豚熱対策のため、感染状況の把握、捕獲の強化、経口ワクチンの散布、生息状況調査などに取り組んできた。ここでは、トレイルカメラ調査から把握された野生イノシシの動向を考察する。
県内8市においてイノシシの生息が期待される里山周辺の林内38か所を選定し、トレイルカメラを設置した。10秒間の動画撮影モードに設定し、撮影のインターバルは1分とした。2021年10月5日から2023年12月19日までの805日間に撮影されたイノシシの個体数を記録した。
その結果、1日当たりのイノシシ撮影個体数は平均で0.273頭であった。その値はカメラごとに大きく異なっており、最小で0.010頭、最大で1.202頭であった。各月の撮影個体数は、0.125頭から0.402頭の間で推移していた。性年齢で区分して集計すると、5月から11月頃には幼獣が撮影される割合が高くなっていた。イノシシの出産のピークは5月から6月とされていることから、この結果は既知のイノシシの繁殖生態に合致した。一方で、秋に出産したと思われる個体も撮影されることがあり、春に繁殖に失敗するケースがあることが推測された。
また、ニホンジカその他の動物もカメラで撮影されたので、それについても記録を記載した。