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令和7年度答申第1号

更新日:2025年5月23日 印刷ページ表示

第1 審査会の結論

 本件審査請求には、理由がないので、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第45条第2項の規定により審査請求を棄却すべきである。

第2 審査関係人の主張の要旨

1 審査請求人

 処分庁が行った令和6年5月21日付け生活保護変更決定処分(障害者加算削除)(以下「本件処分」という。)の取消しを求めるものであり、その理由は、家庭に影響があるためである。

2 審査庁

 審理員意見書のとおり、本件審査請求を棄却すべきである。

第3 審理員意見書の要旨

 審査請求人は、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けているが、国民年金障害基礎年金(以下「障害年金」という。)は不支給となっている。処分庁は、「生活保護法による保護の実施要領について」(昭和38年4月1日社発第246号厚生省社会局長通知。以下「局長通知」という。)及び「生活保護法による保護の基準」(昭和38年厚生省告示第158号。以下「告示」という。)別表第1第2章2に基づき、障害者加算の要件に該当しないものとして決定しており、本件処分に違法又は不当な点は認められない。

 なお、「精神障害者保健福祉手帳による障害者加算の障害の程度の判定について」(平成7年9月27日社援保第218号厚生省社会・援護局保護課長通知。以下「平成7年保護課長通知」という。)1(2)において、年金の裁定が却下された後、手帳の交付又は更新を受けた者については、年金の再申請を行った上で、再申請に係る年金の裁定が行われるまでの間、当該手帳に記載する障害の程度により加算を認定できるとされている。ただし、処分庁は、年金の裁定がされた後も障害者加算を計上し続けていたほか、本件処分に当たり、再申請の指示をしていない。今後、同様のことがないよう留意すべき旨を付言する。

 以上のとおり、本件処分には違法又は不当な点はなく、本件審査請求には理由がないから、行政不服審査法第45条第2項の規定により棄却されるべきである。

第4 調査審議の経過

 当審査会は、本件諮問事件について、次のとおり、調査審議を行った。
 令和7年4月10日 審査庁から諮問書及び諮問説明書を収受
 令和7年4月18日 調査・審議
 令和7年5月23日 調査・審議​

第5 審査会の判断の理由

1 審理手続の適正について

 本件審査請求について、審理員による適正な審理手続が行われたものと認められる。

2 本件に係る法令等の規定について

(1) 局長通知第7の2(2)エにおいて、

「(ア)障害の程度の判定は、原則として身体障害者手帳、国民年金証書、特別児童扶養手当証書又は福祉手当認定通知書により行うこと。(イ)身体障害者手帳、国民年金証書、特別児童扶養手当証書又は福祉手当認定通知書を所持していない者については、障害の程度の判定は、保護の実施機関の指定する医師の診断書その他障害の程度が確認できる書類に基づき行うこと。」

 とされている。

(2) 告示別表第1第2章2(2)において、

「障害者加算は、次に掲げる者について行う。

ア 身体障害者福祉法施行規則(昭和25年厚生省令第15号)別表第5号の身体障害者障害程度等級表(以下「障害等級表」という。)の1級若しくは2級又は国民年金法施行令(昭和34年政令第184号)別表に定める1級のいずれかに該当する障害のある者(症状が固定している者及び症状が固定してはいないが障害の原因となつた傷病について初めて医師又は歯科医師の診療を受けた後1年6月を経過した者に限る。)

イ 障害等級表の3級又は国民年金法施行令(昭和34年政令第184号)別表に定める2級のいずれかに該当する障害のある者(症状が固定している者及び症状が固定してはいないが障害の原因となつた傷病について初めて医師又は歯科医師の診療を受けた後1年6月を経過した者に限る。)。ただし、アに該当する者を除く。」

 とされている。

(3) 「生活保護法による保護における障害者加算等の認定について」(昭和40年5月14日社保第284号厚生省社会局保護課長通知。以下「昭和40年保護課長通知」という。)において、

「標記のことについては、保護の基準及び保護の実施要領の定めるところによるほか、次の点に留意のうえ管内実施機関を指導されるよう通知する。(中略)

3 要保護者であって関連年金等の受給手続中である等のため保護の実施機関として加算の適否を認定する必要があると認められる者については、身体障害者更生相談所、知的障害者更生相談所、児童相談所、精神保健福祉センターその他実施機関の指定する医師の診断により認定を行うこと。

ただし、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた精神障害者であって当該手帳の交付年月日又は更新年月日が当該障害の原因となった傷病について初めて医師の診療を受けた後1年6月を経過しているものについては、医師の診断に代えて当該手帳により認定を行って差し支えないこと。この場合において、初めて医師の診療を受けた日の確認は、当該手帳発行の際の医師の診断書(写しを含む。以下同じ。)を確認することにより行うものとすること。

なお、当該傷病について初めて医師の診療を受けた日の確認は、都道府県精神保健福祉主管部局において保管する当該手帳を発行した際の医師の診断書を確認することにより行うものとすること。

おって、保健所において当該手帳を発行した際の医師の診断書を保管する場合は、当該診断書を確認することにより行うこととして差し支えないこと。

4 3により障害者加算等を認定した被保護者についてその障害等が関連年金等の支給要件に該当しない旨の裁定又は認定が行われたときは、当該裁定等のあった月の翌月から生活保護法による保護における障害者加算等の認定を取り消すものとすること。

ただし、当該裁定等に係る医師の診断の後、精神障害者保健福祉手帳の交付又は更新を受けることとなった者であって当該手帳の交付年月日又は更新年月日が当該障害の原因となった傷病について初めて医師の診療を受けた後1年6月を経過しているものについては、再度年金の受給に必要な手続をとるよう指示するとともに、年金の裁定が行われるまでの間に限り、当該手帳により障害者加算等の認定を行うものとすること。(後略)」

 とされている。

(4) 平成7年保護課長通知において、

「精神障害者の障害者加算の認定に係る障害の程度の判定は次のとおり行うことができるものとしたこと。

1 障害基礎年金の受給権を有する者の場合

(1) 障害の程度の判定は原則として障害基礎年金(以下「年金」という。)に係る国民年金証書により行うが、精神障害者保健福祉手帳(以下「手帳」という。)を所持している者が年金の裁定を申請中である場合には、手帳の交付年月日又は更新年月日が当該障害の原因となる傷病について初めて医師の診療を受けた後1年6月を経過している場合に限り、年金の裁定が行われるまでの間は手帳に記載する障害の程度により障害者加算に係る障害の程度を判定できるものとしたこと。

(2) 年金の裁定が却下された後、手帳の交付又は更新を受けた者については、年金の裁定の再申請を指示するとともに、再申請に係る年金の裁定が行われるまでの間は、当該手帳に記載する障害の程度により障害者加算に係る障害の程度の判定を行うことができるものとしたこと。(後略)」

 とされている。

3 本件処分の妥当性について

 審査請求人は、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けているが、障害年金は不支給となっている。処分庁は、局長通知及び告示に基づいて、審査請求人が障害者加算の要件に該当しないものとして決定しており、本件処分に違法又は不当な点は認められない。

4 付言

 昭和40年保護課長通知4において、「障害者加算等を認定した被保護者についてその障害等が関連年金等の支給要件に該当しない旨の裁定又は認定が行われたときは、当該裁定等のあった月の翌月から生活保護法による保護における障害者加算等の認定を取り消すもの」とされている。また、平成7年保護課長通知1(2)において、「年金の裁定が却下された後、手帳の交付又は更新を受けた者については、年金の再申請の指示を行った上で、再申請に係る年金の裁定が行われるまでの間、当該手帳に記載する障害の程度により加算を認定できる」とされている。

 しかし、処分庁は、障害年金の裁定が却下された後も障害者加算を計上し続けていたほか、本件処分に当たり、障害年金の再申請の指示をしていない。今後、同様のことがないよう留意すべき旨を付言する。

第6 結論

 以上のとおり、本件審査請求には理由がないから、「第1 審査会の結論」のとおり、答申する。

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