本文
令和7年度第1回社会福祉審議会議事概要
1 開催日時
令和7年7月3日(木曜日)午後11時から正午
2 場所
県庁29階 第1特別会議室
3 出席者
(1)委員
石原正人委員、江村恵子委員、大川美知子委員、大谷良成委員、片野彩香委員、杉田安啓委員、田島護委員、田尻洋子委員、中島高志委員、永田理香委員、信澤真由美委員、星野久子委員、本間弘子委員(13名、五十音順)
(2)事務局
健康福祉部福祉局長ほか4名
4 議事
(1)審議会委員長の選出
前委員長の退任に伴い、群馬県社会福祉審議会条例第5条第1項に基づき委員長の互選を行った結果、中島高志委員が委員長に選出された。
(2)次期群馬県福祉プランの骨子について
現行の「群馬県福祉プラン」(令和2年度~令和7年度)が終期を迎えることから策定に着手している次期群馬県福祉プランの骨子案について、事務局から説明し、各委員による審議等を行った。
事務局説明の概要
- 「新・群馬県総合計画」や地域共生社会の理念を勘案し、安心して暮らせるだけでなく、誰もが役割を持てることを目指すため、基本理念には、「活躍できる」の言葉を盛り込んだ。
- 現行プランでは、福祉人材の育成を想定して、3つの基本目標の1つに「人づくり」を掲げていたが、地域(住民に身近な圏域)においても人材育成の必要性が高まっていることから、「地域づくり」「仕組みづくり」の2つに「人づくり」を溶け込ませる形で見直し、基本目標を3つから2つに変更した。
- 各「施策の方向性」については、高齢・障害・児童の各福祉分野を総括的にまとめる形から、各福祉分野に共通する事項・制度の狭間の事項・各福祉分野に当てはまらない事項といった、より地域福祉にフォーカスする形に見直した。
主な発言内容
●委員
現行プランにおいては、児童・高齢・障害といった、それぞれの分野の内容が盛り込まれているが、次期プランにおいては、より地域福祉に焦点を当てて、絞っていくということになっている。まず、このことについて、特に各福祉分野の皆様の御意見をお伺いしたい。
●委員
掲げられている児童・高齢・障害以外の分野にいる方についても盛り込む対象とする内容ということだが、よろしいのではないか。
●委員
それぞれの福祉分野で努力しているところであるが、「地域共生社会」ということで、各分野が横断して共有し合いながら地域を作り上げることが、これからは必要ではないかと思う。そういう意味では、これでよいのでは。
●委員
より地域福祉にフォーカスしていくという、事務局の示した考え方について、その方向性でよいとの御意見をいただいた。
ほか、事務局からの骨子案の説明では、基本目標の1つであった「人づくり」を見直し、残り2つの基本目標に包含した旨の説明があったが、これに限らず御意見があれば。
●委員
「地域づくりのための人づくり」を考慮して、「人づくり」をそれぞれに溶け込ませることについては賛成。「人」ということだけに着目してしまうと、その人が特別なスキルをもって支援に当たる印象を受けてしまうので、「地域でどういった方が活躍するか」や、それを支援する仕組み——以前に本審議会で述べたかもしれないが、中間支援の仕組みが何かしらの形で必要だと思う。そういった仕組みとセットで「人づくり」を進めていただければ。
地域共生社会の文脈では、よくボランティアの話が出るが、今はパラレルキャリアやセカンドキャリア、プロボノといった形で現役世代が社会貢献をしている。これは、例えば、社会福祉士会の会員が、社会福祉士のスキルを使って何か社会貢献をしていく、というもの。
先日、作業療法士の方が、地域の方の健康チェックを積極的に行っている話を聞いた。そういった、現役世代の方々が本業+αで、やりがいを持って社会貢献を行うことが大事だと思う。ただ、そのやりがいを搾取するようなことが無いように、資金面や学びの場という視点から、そういった方々を支援する枠組が必要。地域で活躍する人材を育成するとなった際に、ボランティアだけではなく、一般社会人がどうやったら地域に関われるかといった点を検討してほしい。
また、地域に着目してみると、様々な仕事が地域におりてくる状況の中で、プレイヤーも減っており、地域自体が疲弊してしまっている。このような中、「地域の組織をどう支援していくのか」ということは気になっている。ボランティアやNPOであれば、中間支援組織ができてきているが、地域を支援する中間支援がなかなか無いような気がする。もしかしたら市町村社会福祉協議会がそのポジションなのかもしれない。
人材不足という地域の困り事と、それを補うために、現役の一般社会人が関わっていくといった文化が作れるといいなと思っており、そのための中間支援があればいいと思う。
●委員
高崎市の場合は小学校区ごとに協議体があり、それぞれ自治会長や区長さん、民生委員、高齢者あんしんセンター(包括支援センター)、行政、社会福祉協議会などが参画しているが、これも人がいなくなってきたという実感があり、小学校区ではなく、各行政区、町内会ごとに、その助け合い役割を担っていかなくてはいけないのではないかと思う。
高崎市では、「助け合い会議」というのを設けており、行政、社協、隣組、警察、民生委員や地域サロンの代表者、あとその親族がいれば親族の方が参画している。4年前に自分が経験したことなのだが、目が見えない、ちょっと聞こえないという大変な障害を持つ方が、夜中にコンビニまで手探りで行っていたところ、コンビニの人が警察に通報し発覚したといったケースがあり、その会議で、支援をどうするかという話があった。
自分はそのとき民生委員だったのだが、聞こえないというので、大きな字で手紙を書いて置いてきたのだが全然対応して貰えず、たまたまその近所の飲み屋に行ったときに、そこの奥さんが知り合いだというので間に入って貰ったことがあった。結果的に、認知症サポーターの方や高齢者あんしんセンターに支援をお願いすることができ、その方が救われたということがあったのだが、近所の支え合いが大事だと感じた。
そういった仕組みを本気で考えていかなきゃいけないと思うため、地域が地域の人を助けるということを、県として全市町村に対して言っていただけるよう、計画に盛り込んでいただければと思う。
●委員
人材育成関連で少し発言させていただければ。
まず、俯瞰してみると、基本目標1(3)「地域づくりのための人材育成」は、いわゆるインフォーマルな社会資源という括りで、2(4)「福祉人材の確保・定着・育成」はフォーマルな専門職という位置付けかと思う。表記の問題だと思うのだが、「地域づくりのための人材育成」という表現をパッと見たときに、専門職が含まれるように思われてしまうと思う。例示を見れば分かるが、ここではインフォーマルな担い手を指すものだと思うので、その辺りの表記・定義を明確化することが必要かと思う。
次に、インフォーマルな社会資源の方々という形で、地域の担い手育成に触れているが、その方たちをコーディネートする人材も必要になってくると思う。中間的な支援という話もあったが、地域福祉に焦点を当てていくということになると、やはりコミュニティソーシャルワークの機能は外せないと思うので、様々な地域の担い手の方々をコーディネートしたり、繋げたりする人材の育成が、基本目標2(4)に入っても良いのでは。
また、インフォーマルな担い手の方々においても、コミュニティソーシャルワークの視点は有益かと思うので、そういった視点を獲得できるような研修の場や勉強会などは必要だと思う。
一方、基本目標2(4)の専門職の育成の方には、コミュニティソーシャルワーカーの育成が入ってくるのかなと思う。以前、県社協が、市町村社協向けに実態調査をされ、コミュニティソーシャルワーカーさんのカリキュラムを作ったという話もあるため、そういったものを活用できるとよいと思う。
福祉人材育成に関しては、現行計画だと、KPIに「県福祉マンパワーセンター研修参加者数」というものがあったが、骨子案の想定では、「介護職員数」「県福祉マンパワーセンター紹介者採用数」のみとなっている。育成についても、KPIに入れていただければと思う。
福祉人材育成で一番大事なのは、職場が主導して推進できるような人材育成の仕組みづくりであり、その方法を伝えていく研修が、今、非常に求められている。全国的に見ても専門的な研修は多く開催されているが、教育目標の設定の仕方、いわゆるキャリアパスを策定するような研修会等が非常に少なく、教育目標を設定しキャリアパスを構築する研修と、OJTによる教育方法の研修を組み合わせて展開していく必要があるかと思う。群馬県でも、キャリアパスを策定する研修は、今まで単発で実施していたが、県社協の担当者と相談して、今年度から継続的に進めていくこととなった。
OJTに関しても、一昨年に県社協が実施した実態調査では、初任者に対するOJTは多くの職場で行われているが、初任者を指導する中堅職員や、中堅職員を指導するリーダーに対してのOJTが実施されておらず、離職につながったというケースもあった。そのため、県社協と協働して段階的なOJT研修プログラを開発し今年度から実施する予定である。
こうした実態を踏まえ、人材育成に関しては、職場が主導して実施できるような人材育成方法に関する研修プログラムを、研修体系の中にコアカリキュラムとして位置付けていただけるとよいと思う。
また、県社協だけで研修事業を展開している訳ではなく、老施協、保育協といった種別協議会も研修を実施しているため、県レベルでどのような研修を実施しているのかが分かる、受講者の目線で研修を選択できるような仕組みがあると良い。長野県だと「きゃりあねっと」というポータルサイトが構築されているので、そういったものを群馬県でも作っていただけると、受講者の学習環境の整備ができるのではないかと思う。
●委員
1つ、私から委員の皆様の御意見をいただければと思う。現行プランでは、「安心できる地域共生社会を目指して」という基本理念を掲げていたが、次期プランでは、「安心・活躍できる地域共生社会」を目指すということで、「活躍」という新しい文言が入っている。
これは、それぞれの方に役割があるとった方向性を示しているのかなと思うのだが、一方で、「活躍」という文言だけを見ると、ある意味、「過度な期待」や「画一的な価値観」というものが含まれるようなイメージもある。
特に、重い障害のある方にとっては、プレッシャーになるのかといった見方もできるかと思うのだが、この「活躍」という新しい文言が入ったことについて、御意見を伺えれば。
●委員
重度の障害があってもやはり、地域で支える仕組みがあれば、支援を受けながら、活躍できるのではないかと思う。やはり、地域共生社会を目指すに当たっては、障害があろうがなかろうが、ということを謳っているので、そこのところはよろしいかと思う。
●委員
意義とすれば、「誰も排除されずに、その人らしく社会の中で関わっていくことができる」というものかと思うが、その点をしっかり定義づけていただければ、これは差し支えないということで、皆様もよろしいでしょうか。(一同、異議なし)
もう1つ、私からお尋ねしたいのだが、今回、市町村の地域福祉計画を分析して、なるべく市町村の地域福祉計画に盛り込まれているような内容を中心に、県の地域福祉支援計画という立場から、そこを強調していこうと考え、これらを盛り込むという話だったか思う。
ただ、県の地域福祉支援計画が、市町村の地域福祉計画を支援するという位置づけである一方、この計画によって市町村の地域福祉計画を、ある意味、リードしていく観点も必要かと思う。
特に、多様な主体の参画というところでは、福祉の課題が多様化・複雑化する中で、福祉分野の専門家だけではなかなか解決ができないような課題というのが本当増えてきていると思っており、本会でも、特に民間団体との連携を進める中で、解決を図っていくというような方向性もある。
おそらく、他の都道府県の地域福祉支援計画の中にも、「多様な主体」の中に企業を入れ、そことの連携を進めるような方向性を出している。その辺りを、市町村の地域福祉計画に向けて、メッセージとして出すというような考え方もあるのかと思う。
●委員
全く同感で、現在、個人的に災害に関する支援ネットワークを作ろうっていうことを何人かのメンバーと進めているところなのだが、やはりそこで言われるのは、「普段の繋がりが災害の時に活きる」という考え。
災害が起きたときに、急に企業さんにお願いできるという、そんな都合のいい話は無いと思うので、普段から企業さんにとってもメリットのある地域との関わり、そしてもちろん地域にとっても有意義なもの、といったWIN-WINの関係を築いていくのがとても大事だと思う。そういった関わりの中で、本当に困ったときに助け合うということが生まれると思うので、次期プランのどこかには、そういったことが入っていた方がいいかと思った。
●委員
骨子案を作る過程で、県内市町村の地域福祉計画の分析をし、トレンドを捉え、まとめていただいた部分については、大変感謝したい。
市としては、住民の方に一番身近な自治体ということで、ある意味、福祉の最前線で働かせていただいている部分もあるので、こういった県の地域福祉支援計画を参考にしながら、よりよい福祉のため、市の地域福祉計画に落とし込んでやっていきたいと思う。
●委員
今、成年後見制度の見直しについて、国において早いスピードで検討が進められている。今まで、三士会等の専門職に後見人お願いした場合には、将来に渡って後見人を変えることができないという制度であったと思うが、スポット利用という形に変わってくるという情報を伺っている。
ただ、そのスポット利用が終わった後のフォローを誰がするのかというところで、やはり市町村で協議会を立ち上げないといないと思うが、国の検討結果より先に、次期プランを策定することとなるかと思うので、そこのところはどうなるのかなという思いがある。
○事務局(地域福祉課)
成年後見制度については、「地域共生社会の在り方検討会議 中間とりまとめ」において、お話のあった成年後見制度そのものの見直しに対して、「中核機関の段階的な法制化」などが言及されている。
この法制化は、具体的には、「家庭裁判所が後見等の終了の審判を行うに当たって、後見等の終了後に本人がどのようなフォローを受けられるのかを確認するための照会先」として、市町村が整備する成年後見制度の「中核機関」を位置づけようとすること等を目的とするものだが、成年後見制度のネットワーク的な役割を担う「中核機関」には、現在、法的根拠がないことから、これを法定化することが提言された。スポット利用が終わった後のフォローについては、このような形で検討が進められているところ。
●委員
委員の意見に対しては、方向性は出ているものの、国の方ではいつどんな形でというところまでは決定はしてない、ということかと思う。
この点については、身寄りのない高齢者対策についても同様かと思うが、次期プランが先に策定されてしまうため、計画見直しについては国の状況を見ながらということか。
○事務局(地域福祉課)
必要に応じて対応したい。
●委員
ボランティアに関して、実際にボランティアで活動されている皆さんにお聞きするところでは、先ほどのお話にもあったように、コーディネーター等の形で連携を取ってもらえればと思う。次期プランについては、市町村や市町村社協に対して、うまく周知してもらえるとありがたい。
●委員
本日は、様々なお立場から御意見いただきありがとうございました。時間の都合上、御意見いただけなかったものについては、事務局資料のとおり専用フォームからお寄せいただくこともできるため、お気づきの点があれば、お寄せいただきたい。また、事務局においては、本日寄せられた御意見を参考に、計画策定を進めていただきたい。
5 結論
議事1 審議会委員長の選出
中島高志委員が委員長に選出された。
議事2 次期群馬県福祉プランの骨子について
次期群馬県福祉プランの骨子について、出席した委員による意見交換が行われた。