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芳ヶ平湿地群ミニブック
群馬県では、平成30年から芳ヶ平湿地群を舞台にした環境学習に取り組んでいます。
「芳ヶ平湿地群ミニブック」はその学習教材として作成した小冊子で、芳ヶ平湿地群の環境学習を行う学校等に、無償で配布します。
芳ヶ平湿地群ミニブックの掲載内容
1 芳ヶ平湿地群ってどんなところ?
「芳ヶ平湿地群」はどこにある?
「芳ヶ平湿地群」はわたしたちが住んでいる群馬県の北西部、中之条町と草津町にまたがっていて、草津白根山の火山活動の影響を受けてつくられたと考えられています。
芳ヶ平湿地群には、「芳ヶ平湿原」や「大平湿原」などの湿原や、美しいエメラルドグリーンの水をたたえた白根山の火口湖である「湯釜」、酸性の水を好んで生育するチャツボミゴケの群生地「チャツボミゴケ公園」などがあります。
芳ヶ平湿地群をつくり出した「草津白根山」
草津白根山は、白根山、逢ノ峰、本白根山の3つの山をまとめた呼び名で、長い火山活動の歴史を持つ火山です。これらの山は、噴火によって噴き出した岩石などが積み重なってできたもので、「火砕丘」と呼ばれます。
大むかしから続く火山活動によって噴き出した溶岩が土台となり、長い時間をかけて芳ヶ平湿地群はつくられました。
2 エリアガイド
芳ヶ平湿原ってどんなところ?
芳ヶ平湿原(標高1,832メートル)には、私たちのすんでいるところでは見られない植物がたくさんあります。
また、湿原には「池塘」と呼ばれる池のようなものがたくさんあり、モリアオガエルやクロサンショウウオがくらしています。
チャツボミゴケ公園ってどんなところ?
チャツボミゴケ公園(標高1,250メートル)では、むかし、鉄鉱石が掘られていたなごりを見ることができます。「群馬鉄山」としての役目を終えた後、公園としてチャツボミゴケが育ちやすい環境が整備され、現在は国内最大のチャツボミゴケ群生地となりました。
3 自然を守るための施設
“環境にやさしい”トイレ
富士山に代表される高い山には、水道や電気の設備がないところが多いため、ふだん私たちが使っている水洗トイレとはちがうトイレが設置されています。
たとえば、芳ヶ平湿原の近くに建っている芳ヶ平ヒュッテには、微生物の働きで排水をきれいにするトイレが設置されています。
“湿原”と“人”を守る木道
芳ヶ平湿原やチャツボミゴケ公園などに行くと、木道がしかれています。この木道の上を歩くことによって湿原へ踏みこむことがなくなって、湿原の自然を守ることにつながり、同時に、訪れる人たちが自然の中で安全に活動することができるのです。
4 私たちができること~芳ヶ平湿地群でのルール~
芳ヶ平湿地群の自然を守るため、また、みんなが安全に活動できるように、芳ヶ平湿地群を訪れるときには次のルールを守って行動しましょう。
- 決められた登山道や木道を歩き、湿原には立ち入らないようにしましょう。
- 動物や植物を採取しないようにしましょう。
- ごみは持ち帰りましょう。
- 外来植物を持ちこまないようにしましょう。
- 安全を確保して活動しましょう。
5 「自然を守る」とは
私たち人間がくらしている場所には、国と国の境界や、県や市、町や村の境界があります。しかし、自然の中でくらす生き物たちにとってはそのような境界はなく、生きものたちはあちこち自由に行き来しています。
自然の中には境界がないので、すべての場所がつながっていて、私たちもまたその自然の一部といえます。
芳ヶ平湿地群の自然を守るために私たちができること、そして自分たちの身近な自然を守るためにできることを、みんなで考えてみましょう。