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令和6年度 群馬県立病院におけるインシデント等の発生状況について

更新日:2025年10月2日 印刷ページ表示

 群馬県病院局では、4つの県立病院(心臓血管センター、がんセンター、精神医療センター、小児医療センター)において、患者さんが安心して安全な医療を受けられるよう、医療の安全を確保するための取組を行っています。

 さらに、医療の透明性を高め、医療や県立病院に対する県民との信頼関係を築くことを目的に、毎年度、県立病院におけるインシデント等の発生状況について公表を行っています。

令和6年度の概況

 県立4病院全体の報告件数は4,540件(前年度比176件増加)で、インシデントが4,470件(前年度比153件増加)、アクシデントが70件(前年度比23件増加)でした。レベル別の割合は、インシデントが全体の98.5%を占めており、アクシデントは1.5%でした。
 発生がやむを得ないと考えられる場合でも、積極的にアクシデントとして報告するよう促したことなどから、アクシデントの報告件数が増加しました。
 引き続き、職員には些細なこと、軽微なことでも積極的に報告することを求め、事故等の実態や潜在的なリスクの把握に役立てていきます。

※印刷して御覧になる場合は、次のPDFファイルを御利用ください。

 令和6年度 群馬県立病院におけるインシデント等の発生状況について:報道提供資料 (PDF:1.43MB)

インシデント及びアクシデントの定義

  • インシデント

 日常の診療過程で患者に被害を及ぼすことはないもの又は軽度な影響にとどまるが、医療従事者がヒヤリとしたり、ハッとした事例で、「4 医療事故等のレベル区分」に定めるレベル0~3aの事例。

  • アクシデント

 疾病そのものではなく、医療に関わる場所で、医療の過程において患者に影響を及ぼした事象象で、「4 医療事故等のレベル区分」に定めるのレベル3b~5の事例。
 医療行為や管理上の過失の有無を問わず、下記に掲げる場合を含む

  1. 死亡、生命の危険、病状の悪化等身体的被害並びに苦痛及び不安等の精神的被害が生じた場合
  2. 患者が転倒し負傷した場合等、医療行為とは直接関係しない場合
  3. 注射針の誤刺等により、医療従事者に被害が生じた場合
  4. 院内感染が生じた場合
  5. 医薬品の盗難又は紛失等、人身事故につながる可能性のある場合
  6. 無断離院、対人暴力、器物破損等が発生した場合

1 レベル別報告件数

レベル別報告件数一覧(単位:件)
区分 レベル 4病院合計 心臓血管センター がんセンター 精神医療センター 小児医療センター
令和5年度 令和6年度 増減 令和5年度 令和6年度 増減 令和5年度 令和6年度 増減 令和5年度 令和6年度 増減 令和5年度 令和6年度 増減

インシデント

0 1,292 1,299 7 162 211 49 346 322 -24 398 342 -56 386 424 38
1 1,984 2,160 176 506 598 92 729 659 -70 323 352 29 426 551 125
2 932 883 -49 301 285 -16 389 375 -14 119 91 -28 123 132 9
3a 109 128 19 27 38 11 28 32 4 23 34 11 31 24 -7
小計 4,317 4,470 153 996 1,132 136 1,492 1,388 -104 863 819 -44 966 1,131 165

アクシデント

3b 46 70 24 12 30 18 30 30 0 1 2 1 3 8 5
4a 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
4b 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
5 1 0 -1 1 0 -1 0 0 0 0 0 0 0 0 0
小計 47 70 23 13 30 17 30 30 0 1 2 1 3 0 5
合計 4,364 4,540 176 1,009 1,162 153 1,522 1,418 -104 864 821 -43 969 1,139

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2 レベル別報告割合

R7レベル別報告割合(円グラフ)の画像

R7レベル別報告割合(棒グラフ)の画像

3 内容別報告割合

  • 内容別では、県立病院全体において「観察(構成比:12.2%)」、「与薬(内服・外用)(構成比:10.5%)」、「ドレーン・チューブ類の使用・管理(構成比:10.4%)」の順に報告が多くなりました。
  • 病院別では、心臓血管センターにおいては「処置」に関する報告が最も多く、がんセンターにおいては「検査」が、精神医療センターにおいては「観察」が、小児医療センターにおいては「ドレーン・チューブ類の使用・管理」に関する報告が最も多くなりました。
報告内容及び具体的事例
内容 具体的事例
観察 皮膚の損傷・発赤・床ずれ等を発見した、患者の暴力行為や器物損壊があった等
与薬(内服・外用) 薬の飲み忘れ、不要な休薬、過剰内服、休薬忘れ、薬剤アレルギーの発症等
ドレーン・チューブ類の使用・管理 患者が自分でチューブを抜いた、固定不十分によりチューブが抜けた、点滴治療の際に血管外に薬液が漏れた等

4 医療事故等のレベル区分及び公表基準

​(1)群馬県病院局医療安全管理に関する規程による取り扱い

医療事故等のレベル区分及び公表基準一覧

区分 レベル 継続性 程度 内容 公表基準
重大事案(※注) 重大事案以外
インシデント 0     エラーや医薬品・医療用具の不具合が見られたが、患者等には実施されなかった   包括公表
1 なし   患者等への実害はなかった(何らかの影響を与えた可能性は否定できない)   包括公表
2 (一過性) 軽度 処置や治療は行わなかった(観察の強化、バイタルサインの軽度変化、安全確認のための検査などの必要性は生じた)   包括公表
3a (一過性) 軽度 軽微な(簡単な)処置や治療を要した(消毒、湿布、鎮痛剤の投与など)   包括公表
アクシデント 3b (一過性) 中等度~高度 濃厚な処置や治療を要した(バイタルサインの高度変化、人工呼吸器の装着、手術、入院日数の延長、外来患者の入院、骨折など)   包括公表
4a (永続的) 軽度~中等度 永続的な障害や後遺症が残ったが、有意な機能障害や美容上の問題は伴わない   包括公表
4b (永続的) 中等度~高度 永続的な障害や後遺症が残り、有意な機能障害や美容上の問題を伴う 個別公表 包括公表
5 死亡   死亡(原疾患の自然経過によるものを除く) 個別公表 包括公表

(※注)明らかに誤った医療行為が原因となって発生した場合など

(2)群馬県立病院医療事故等公表基準による取り扱い

  • 包括公表 対象事例について、当該年度1年分を一括して翌年度に公表する。
  • 個別公表 対象事例について、群馬県立病院医療事故等公表基準により個別に公表する。

<参考> 各病院における医療安全に係る活動事例

 県立4病院では、ゼネラルリスクマネージャーを中心に、院内医療安全管理委員会や下部組織の各種委員会において事例分析や対策の立案を行い、日々、医療安全対策を実施しています。令和6年度の活動事例は次のとおりです。

(1)心臓血管センター

安心・安全な医療の提供のためのカンファレンス開催

 医療カンファレンスとは、医療従事者(医師・看護師・薬剤師・リハビリ技師など)や関係者(患者・家族など)が、患者の治療やケアに関する情報を共有し、意見交換を行う会議である。当院でも、術前カンファレンスや症例カンファレンスは日常的に行われている。

 更に、患者の安心・安全な医療提供のため、通常行われているカンファレンスに加え、インシデント・アクシデント発生報告から情報共有が必要であると考えられる事例を医療安全管理室が抽出し、多職種で合同カンファレンスを開催している。多職種が意見交換を行うことで、次の治療へ繋げている。

 チーム医療を推進し、より安全で質の高い医療を提供できるように、多職種による合同カンファレンスを積極的に行い、情報共有を深めている。医療安全意識の醸成に向けて今後も継続して取り組みたい。

(2)がんセンター

医療安全キャンペーン開催方法の変更(医療安全に関する各部署やチーム活動の取組報告)

当院では安全で安心できる医療を行うための取組として、医療安全キャンペーンを実施している。例年、患者さんやご家族に向けて医療安全啓蒙ポスター掲示や動画案内を行い、各部署の医療安全取組報告を職員エリアに掲示していた。

今年度より1階外来周辺に21件の取組報告ポスターや川柳等を掲示し、患者さんやご家族にも院内各部署の安全に対する活動について理解を得られるように開催方法を変更した。また、職員向けに、取組報告を含めた医療安全動画を作成、多くの職員が視聴することで医療安全文化の醸成に努めている。

(3)精神医療センター

ImSAFER分析

ImSAFERとは、ヒューマンエラーに関係した事象分析手法のひとつである。

その目的は、何が起こったのか、どのように起こったのか、そして、なぜそれが起こったのかを明らかにして、二度と事故が発生しないように、具体的に有効な対策を導き出すことにある。患者誤認や繰り返される事案などの場合には分析を行い、原因を特定して再発防止策を実施している。

(4)小児医療センター

Team STEPPS(R)定着に向けた取組

 「誰もが、誰にでも、なんでも提案し、指摘することができる環境を作る」「個人の気づきをチームの行動に繋げる」を目標にあげ、一方的なコミュニケーションではなく、お互いの発言や行動を尊重し、積極的に発信する。良い点も悪い点も共有し、より良い結果を出せように働きかけられるよう実施した。

 結果チェックバックが習慣化されるようになり、声をかけ合い指示を実施できるようになった。今後はコミュニケーション能力を高め、連携の強化を図れるようにしていく。

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