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令和7年度答申第6号

更新日:2025年9月26日 印刷ページ表示

第1 審査会の結論

 本件審査請求には、理由がないので、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第45条第2項の規定により審査請求を棄却すべきである。

第2 審査関係人の主張の要旨

1 審査請求人

 処分庁が行った令和6年6月26日付け生活保護変更決定処分の取消しを求めるものであり、その理由は、生活保護費の金額が下がったことに納得がいかないためである。

2 審査庁

 審理員意見書のとおり、本件審査請求を棄却すべきである。

第3 審理員意見書の要旨

(1) 処分庁は審査請求人の保護の程度を算定するに当たり、生活保護法(昭和25年法律第144号。以下「法」という。)第8条第1項に基づいて年金を収入認定した上で、保護の程度を決定している。

(2) 処分庁は、法第29条第1項に基づき、日本年金機構に対して、審査請求人の年金額の調査をしたところ、〇年〇月入金分の給付額から額の改定が行われることが判明した。

(3) 処分庁は、日本年金機構に対する調査の結果に基づき、審査請求人に支給される年金額を確認し、「生活保護法による保護の実施要領について」(昭和38年4月1日社発第246号厚生省社会局長通知。以下「局長通知」という。)第8の1(4)アに基づき、〇年〇月分の生活保護費の収入認定額を変更した。その結果、〇円の過支給が生じたため、局長通知第10の2(8)に基づき、同年〇月分の生活保護費から過支給額を減額することとし、法第25条第2項に基づいて、職権により生活保護変更決定処分(以下「本件処分」という。)を行い、審査請求人に通知した。

(4) 以上のとおり、本件処分には、違法又は不当な点はなく、本件審査請求には理由がないから、行政不服審査法第45条第2項の規定により棄却されるべきである。

第4 調査審議の経過

 当審査会は、本件諮問事件について、次のとおり、調査審議を行った。
 令和7年8月14日 審査庁から諮問書及び諮問説明書を収受

 令和7年8月22日 調査・審議

 令和7年9月26日 調査・審議

第5 審査会の判断の理由

1 審理手続の適正について

 本件審査請求について、審理員による適正な審理手続が行われたものと認められる。

2 本件に係る法令等の規定について

​(1) 法第8条第1項は、「保護は、厚生労働大臣の定める基準により測定した要保護者の需要を基とし、そのうち、その者の金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度において行うものとする。」と規定されている。

(2) 法第25条第2項は、「保護の実施機関は、常に、被保護者の生活状態を調査し、保護の変更を必要とすると認めるときは、速やかに、職権をもつてその決定を行い、書面をもつて、これを被保護者に通知しなければならない。前条第4項の規定は、この場合に準用する。」と規定されている。

(3) 法第29条第1項は、「保護の実施機関及び福祉事務所長は、保護の決定若しくは実施又は第77条若しくは第78条の規定の施行のために必要があると認めるときは、(中略)官公署、日本年金機構若しくは国民年金法(昭和34年法律第141号)第3条第2項に規定する共済組合等(次項において「共済組合等」という。)に対し、必要な書類の閲覧若しくは資料の提供を求め、又は銀行、信託会社、次の各号に掲げる者の雇主その他の関係人に、報告を求めることができる。(後略)」と規定されている。

(4) 国民年金法(昭和34年法律第141号)第18条第3項及び厚生年金保険法(昭和29年法律第115号)第36条第3項において、年金は、毎年2月、4月、6月、8月、10月及び12月の6期に、それぞれの前月までの分を支払う旨規定されている。また、年金生活者支援給付金の支給に関する法律(平成24年法律第102号)第6条第3項において、老齢年金生活者支援給付金も、年金と同様の支払期月に支払う旨規定されている。

(5) 局長通知第8の1(4)アは、「恩給法、厚生年金保険法、船員保険法、各種共済組合法、国民年金法、児童扶養手当法等による給付で、1年以内の期間ごとに支給される年金又は手当については、実際の受給額を原則として受給月から次回の受給月の前月までの各月に分割して収入認定すること。なお、当該給付について1年を単位として受給額が算定される場合は、その年額を12で除した額(1円未満の端数がある場合は切捨)を、各月の収入認定額として差し支えない。」と規定されている。

(6) 局長通知第10の2(8)は、「最低生活費又は収入充当額の認定を変更すべき事由が事後において明らかとなった場合は、(中略)当該事由に基づき扶助費支給額の変更決定を行えば生ずることとなる返納額(確認月からその前々月までの分に限る。)を次回支給月以後の収入充当額として計上して差し支えないこと。(後略)」と規定されている。

3 本件処分の妥当性について

(1) 処分庁は、審査請求人の保護の程度を算定するに当たり、法第8条第1項に基づいて、審査請求人に支給される年金を収入認定した上で、保護の程度を決定している。

(2) 老齢基礎年金、老齢厚生年金、遺族厚生年金及び老齢年金生活者支援給付金(以下「年金等」という。)は、毎年2月、4月、6月、8月、10月及び12月の6期に、それぞれの前月までの分を支払う旨規定されていることから、〇年〇月に審査請求人に入金された年金等は、同年〇月分及び同年〇月分の年金等であり、同年〇月分の年金等から年度改定により増額しているため、同年〇月入金分の年金等から増額している。

(3) 処分庁は、法第29条第1項に基づき、日本年金機構に対して審査請求人に支給される年金額を調査し、〇年〇月入金分の年金等から、老齢基礎年金〇円(年額)、老齢厚生年金〇円(年額)、遺族厚生年金〇円(年額)及び老齢年金生活者支援給付金〇円(月額)であることを確認した。

(4) 年金等の収入認定に当たっては、局長通知第8の1(4)アにおいて、「1年以内の期間ごとに支給される年金又は手当については、実際の受給額を原則として受給月から次回の受給月の前月までの各月に分割して収入認定すること。なお、当該給付について1年を単位として受給額が算定される場合は、その年額を12で除した額(1円未満の端数がある場合は切捨)を、各月の収入認定額として差し支えない。」と規定されていることから、〇年〇月入金分の年金等を二分割し、同月及び同年〇月の生活保護費に係る収入認定額とした。また、ひと月分の審査請求人の年金等の受給額について、老齢基礎年金〇円(月額)、老齢厚生年金〇円(月額)、遺族厚生年金〇円(月額)及び老齢年金生活者支援給付金〇円(月額)と算定した。

(5) 〇年〇月〇日付け保護決定調書によると、審査請求人の最低生活費は、〇円(うち生活扶助費〇円、住宅扶助費〇円)(月額)であり、年度改定後の年金等に企業年金を加え、特別徴収額を引いた〇円(月額)が同月以降の収入充当額であることが確認できる。

(6) 弁明書によると、年金等の年度改定前の収入充当額は〇円(月額)と、〇年〇月〇日付け保護決定通知書によると、同年〇月から同年〇月までに審査請求人に支給されていた生活保護費は〇円(月額)ということが確認できる。

(7) 年金等の年度改定により、生活保護費に係る収入認定を変更した結果、〇年〇月以降に審査請求人に支給されるべき生活保護費は、最低生活費〇円(月額)から収入充当額〇円(月額)を引いた〇円(月額)であるが、既に同月分の生活保護費として、〇円(月額)支給していたので、差額〇円の過支給が生じた。

 局長通知第10の2(8)において「最低生活費又は収入充当額の認定を変更すべき事由が事後において明らかとなった場合は、(中略)当該事由に基づき扶助費支給額の変更決定を行えば生ずることとなる返納額(確認月からその前々月までの分に限る。)を次回支給月以後の収入充当額として計上して差し支えないこと。(後略)」と規定されていることから、過支給額を返納額として、同年〇月分の生活保護費の収入充当額とし、同月分の生活保護費から返納額を減額することとした。

(8) 処分庁は、法第25条第2項に基づいて、職権により本件処分を行い、審査請求人に通知した。

(9) 法第25条第2項に基づいて、処分庁が職権により本件処分を行い、審査請求人に通知するときには、同項後段により、法第24条第4項を準用し、本件処分の理由を通知に記載しなければならない。

 この点について、本件処分の通知の「変更の理由」の部分には、年金等の認定替えである旨並びに過支給額及びその取扱いが記載されているが、どのような計算過程により、過支給額及び〇年〇月以降に支給される生活保護費が算出されたのかまでは、記載されていない。

 審理手続においては、処分庁が審査請求人から本件処分の説明を求められたときには、その都度、審査請求人の最低生活費及び年金等から、過支給額等を算出した過程を計算して説明していたことが確認されており、本件処分の理由の記載は、違法又は不当であるとはいえない。

(10)本件処分は、法令等の定めるところに従って、適法かつ適正に行われたものであり、違法又は不当であるとはいえない。

第6 結論

 以上のとおり、本件審査請求には理由がないから、「第1 審査会の結論」のとおり、答申する。

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