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令和7年度答申第7号

更新日:2025年9月26日 印刷ページ表示

第1 審査会の結論

 本件審査請求には、理由がないので、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第45条第2項の規定により審査請求を棄却すべきである。

第2 審査関係人の主張の要旨

1 審査請求人

 令和〇年〇月〇日、〇〇銀行ATMコーナーで〇〇(以下「〇〇氏」という。)さんが振込入金のやり方がわからないでいたので営業時間外であったため、私が自分の口座に入金してもらい、その現金はその場で返した。

2 審査庁

審理員意見書のとおり、本件審査請求を棄却すべきである。

第3 審理員意見書の要旨

 本件審査請求では審査請求人の口座へ入金された〇〇円(以下「本件入金」という。)について、生活保護法(昭和24年法律第14号。以下「法」という。)第63条に基づき返還決定することが適当であるか、以下のとおり検討を行う。

 審査請求人は令和〇年〇月〇日に預金通帳を含む資産申告書等を処分庁へ提出した。預金通帳には令和〇年〇月〇日付けで本件入金が記録されていた。このことについて、処分庁が審査請求人に確認したところ、〇〇氏は審査請求人の知人であり、〇〇氏が振込入金の方法が分からないでいたため、審査請求人の口座を利用して入金方法を教示し、本件入金については〇〇氏に返還したとしている。

 なお、処分庁が審査請求人から聴取したところ、審査請求人は現在〇〇氏と連絡を取ることはできず、面会をすることもないため、〇〇氏が立て替えたことを証明できないとのことであった。

 そこで処分庁は令和〇年〇月〇日にケース診断会議を開催し、この収入を「生活保護法による保護の実施要領について」(昭和36年4月1日厚生労働省事務次官通知。以下「次官通知」という。)第8-3-(2)イ(ア)に基づき、他からの仕送り収入として認定し、全額を返還金として取り扱うことを決定した。

 以上の経過から、審査請求人の主張を裏付ける根拠は存在せず、預金通帳の写しを確認する限りは審査請求人が〇〇氏から仕送り収入を受けたと言わざるを得ない。また、本件入金は、「生活保護問答集について」(平成21年3月31日厚生労働省社会・援護局保護課長通知。以下「問答集」という。)第8-3で示される収入として認定しないものには当たらず、収入認定すべき収入に該当するとした処分庁の判断に不合理な点はないというべきである。

 また、本件入金の時期は発見から1年程度前のことであり、扶助費の遡及変更により対応すべき内容でないため、法第63条を適用させることに誤りはない。

 以上により、本件処分は法令等の定めるところに従って適法かつ適正に行われたものであり、違法又は不当であるとはいえない。

第4 調査審議の経過

当審査会は、本件諮問事件について、次のとおり、調査審議を行った。

令和7年9月18日 審査庁から諮問書及び諮問説明書を収受

令和7年9月26日 調査・審議

令和7年10月31日 調査・審議

第5 審査会の判断の理由

1 審理手続の適正について

 本件審査請求について、審理員による適正な審理手続が行われたものと認められる。

2 本件に係る法令等の規定について

(1) 届出の義務について

 法第61条によれば、被保護者は、収入、支出その他生計の状況について変動があったときは、すみやかに、保護の実施機関又は福祉事務所長にその旨を届け出なければならないとされている。

(2) 仕送り、贈与等による収入について

 次官通知第8-3-(2)イ(ア)によれば、仕送り、贈与等による収入があった場合には、当該収入が社会通念上収入として認定することを適当としないもののほかは、全て認定することとされている。

(3)収入として認定しないものについて

 問答集「第8 収入の認定 3収入として認定しないものの取扱い」によれば、特定の金銭については、それが収入であるとしても収入として認定しないこととしており、当該金銭の性格、支給方法、使われ方を判断して総合的に決定されるものであり、概ね以下のものが認定しないものとされている。

 (1)冠婚葬祭の祝儀香典、慈善的金銭等(次官通知第8-3-(3)ア、イ、サ、シ)

 (2)弔慰金等(次官通知第8-3-(3)ス、セ、タ及びソの一部)

 (3)特定の者に対しその障害等に着目し、精神的な慰謝激励等の目的で支給されるもの(次官通知第8-3-(3)ケ、コ、ソの一部及びチ)

 (4)自立更生のために使われるもの(次官通知第8-3-(3)ウ、エ、オ、カ、キ、及びク)

(4) 費用返還義務について

 法第63条によれば、被保護者が、急迫の場合等において資力があるにもかかわらず、保護を受けたときは、保護に要する費用を支弁した都道府県又は市町村に対して、すみやかに、その受けた保護金品に相当する金額の範囲内において保護の実施機関の定める額を返還しなければならないとされている。

3 本件処分の妥当性について

 審査請求人は、令和〇年〇月〇日に預金通帳を含む資産申告書等を処分庁へ提出した。預金通帳には令和〇年〇月〇日付けで本件入金が記録されていた。審査請求人は、審査請求書において、〇〇氏がATMでの振込入金方法が不明であったため自分の口座に入金してもらい、その現金はその場で返した旨主張している。また、処分庁が審査請求人に説明を求めた際には、審査請求人が立て替えた金額が〇〇氏より入金されたとの説明があった。これらの主張から、〇〇氏と審査請求人との間の金銭のやり取りの経緯が明確ではないものの、審査請求人が主張するところは、本件入金と同額を〇〇氏に渡しており、本件入金が審査請求人の収入と判断されるのは不当であるということである。

 このことについて、処分庁が審査請求人から聴取したところ、審査請求人は現在〇〇氏と連絡を取ることはできず、面会をすることもないため、審査請求人が現金〇〇円を立て替えたことを証明できないとのことであった。また、本件審査請求手続において、審理員は審査請求人に対して処分庁から提出された弁明書への反論書を提出するよう2回に渡って求めたが、審査請求人から反論書が提出されることはなかった。

 以上の経過から、審査請求人の主張を裏付ける根拠は存在せず、預金通帳の写しを確認する限りは審査請求人が〇〇氏から仕送り収入を受けたと言わざるを得ない。また、本件入金は、問答集第8-3で示される収入として認定しないものには当たらず、収入認定すべき収入に該当するとした処分庁の判断に不合理な点はないというべきである。

 なお、扶助費の額を遡及変更する場合、その遡及変更の限度は3か月程度と考えるべきとされている(問答集問13-2)。本件入金の時期は、処分庁による本件入金の存在の確認から1年程度前のことであり、遡及変更により対応すべき内容ではないため、処分庁が法第63条の規定に基づき、審査請求人に対して〇〇円の返還を求めたことに誤りはない。

 以上により、本件処分は法令等の定めるところに従って適法かつ適正に行われたものであり、違法又は不当であるとはいえない。

第6 結論

 以上のとおり、本件審査請求には理由がないから、「第1 審査会の結論」のとおり、答申する。

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