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令和7年度 病害虫発生予察特殊報 第1号(Xanthomonas cucurbitae によるニガウリ褐斑症状)
更新日:2025年11月18日
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令和7年度病害虫特殊報 第1号 Xanthomonas cucurbitae によるニガウリ褐斑症状 (PDF:189KB)
群馬県において、ウリ類の病原細菌である Xanthomonas cucurbitae(ザントモナス・ククルビタエ)によるニガウリの病害が初めて確認されました。
特殊報とは、新たな病害虫を発見した場合及び重要な病害虫の発生消長に特異な現象が認められた場合に発表する情報です。
1 特殊報の内容
- 対象病害虫名 : Xanthomonas cucurbitae によるニガウリ褐斑症状
- 学名 : Xanthomonas cucurbitae (ex Bryan 1926) Vauterin,Hoste, Kersters & Swings 1995
- 発生植物 : ニガウリ
- 誘殺地域 : 県東部地域
2 発生概況
(1)発生確認の経過
令和7年7月に県東部地域の露地ニガウリほ場において、葉に斑点症状が確認されました(写真1、2)。
現地ほ場で採取した葉から農林水産省横浜植物防疫所が分離した細菌について、同所で病原性、形態観察、細菌学的性質の確認及び遺伝解析を行ったところ、同年9月に Xanthomonas cucurbitae と同定され、10月に褐斑症状の病原性が確認されました。
(2)国内の確認状況
本細菌による褐斑症状は、国内でカボチャ、スイカ、メロン、キュウリ、ユウガオにおいて報告されています(引用1)。
一方、国内のニガウリにおける病害の報告については、現在まで確認されていません。
3 病徴
- 葉に黄色の小斑点が生じ、次第に褐色の病斑となります(写真1)。
- 病斑は葉脈に囲まれた角型となり、病斑部分は破れそうなほど薄くなります。
- 病徴が進行すると葉や葉縁が褐変・枯死するなどの症状が現れ(写真2)、株全体に病徴が広がることもあります(写真3)。
4 防除対策
ウリ科植物(キュウリ2)、ユウガオ3))では、次の1~5の防除対策が示されています。
- 無病の種子の使用を推奨します2,3)。
- 育苗時には、無病土を用いましょう2)。
- 本症状が発生した土壌に、葉が触れると発病する可能性があります。株元をマルチで被覆するなどの対策をしましょう3)。
- 被害茎葉はすぐにほ場外に持ち出し適切に処分しましょう2)。
- 低温多湿条件で多発します。施設栽培では施設内の湿度が高くならないよう加温しましょう。露地栽培においても湿度が高くならないよう管理しましょう2,3)。
- 現在、ニガウリの本病害に対する登録農薬はないため、上記1~5を参考に耕種的防除により発病を防ぎましょう。

写真1 葉の斑点症状

写真2 病徴が進行し縁が枯れた葉

写真3 症状が進行した株
引用
- 瀧川ら(1987) 関西病害虫研究会報(29) 11-15
- 高知農業ネット 高知県 病害虫・生理障害台帳 キュウリ褐斑細菌病https://www.nogyo.tosa.pref.kochi.lg.jp/info/dtl.php?ID=3653
- 木嶋(1980) 栃木農試研報(26) 93-104








