ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 組織からさがす > 農政部 > 農業技術センター > 令和7年度 病害虫発生予察特殊報 第2号(ナガエツルノゲイトウ)

本文

令和7年度 病害虫発生予察特殊報 第2号(ナガエツルノゲイトウ)

更新日:2025年12月1日 印刷ページ表示

令和7年度 病害虫発生予察特殊報 第2号(ナガエツルノゲイトウ) (PDF:636KB)

群馬県において、ナガエツルノゲイトウが初めて確認されました。

特殊報とは、新たな病害虫を発見した場合及び重要な病害虫の発生消長に特異な現象が認められた場合に発表する情報です。

<<注意事項>>

 ナガエツルノゲイトウは特定外来生物に指定されており、保管、運搬等が禁止されています。

1 特殊報の内容

  1. 対象病害虫名 : ナガエツルノゲイトウ
  2. 学名 : Alternanthera philoxeroides
  3. 発生植物 : 水田 
  4. 発生地域 : 館林市

2 発生概況

(1)確認経過

令和7年11月6日、館林市の水田畦畔において、本県未確認のナガエツルノゲイトウと疑われる植物が発見されました(写真1~3)。国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構に確認を依頼したところ、令和7年12月1日にナガエツルノゲイトウであることが確定されました。

(2)国内の発生状況 参考文献1)参考文献2)

ナガエツルノゲイトウは、平成元年に兵庫県で国内初確認されて以降、令和7年11月までに30都府県で確認されています。関東地方では、茨城県、埼玉県、東京都、神奈川県、千葉県で発生が確認されています。(順不同)

3 生態 参考文献3)参考文献4)​

  1. 本種は南米原産のヒユ科の多年生雑草で、4~10月に開花します。
  2. 国内の系統は種子を付けず、節を含む「茎」の断片や「根」の断片から栄養繁殖により増殖します。

  3. ​​「茎」の再生力が強く、節を含む数センチメートルの断片から容易に発根して増殖します。「茎」はちぎれやすく水に浮き、節を含む断片が用水・河川を介して運ばれ、容易に拡散します。

  4. 「根」が残存するとそこから再生します。さらに、「根」の断片からも再生可能です。「根」は直根で、土中で50センチメートル以上伸びます。
  5. 水田及び水田畦畔だけでなく、河川、ため池及びそれらの法面、畑地や道路の法面の陸地でも生育し、大群落となることがあります。
  6. 霜が降りる地域では地上部は枯れますが、土中の「根」は越冬します。

4 形態(図1)参考文献3)参考文献4)​​

  1. 葉は節から1対の葉が付きます。葉の長さは2.5~5センチメートル、葉の幅は0.7~2センチメートルで、葉の先端はややとがります。
  2. 茎は空洞(ストロー状)で、節に短い毛が生え、茎の表面はなめらかです。
  3. 花は白い小さな花が集まった球状で、葉のわきから約1~4センチメートル伸びた「花柄」の先に咲きます(写真3)。

5  被害の特徴 参考文献3)参考文献4)

  1. 水田で繫殖すると、収穫量の減少の他、収穫期の刈取り作業の効率低下の原因となります。
  2. 水路で増殖すると、水路を閉塞し、取水・排水の障害となります。

6 水田における防除対策 参考文献3)参考文献4)

(1) 水田における侵入及び流出防止

  • 水口や給水栓の口に、ネット(3ミリメートル目合い程度)を被せ、用水等からの侵入を防止します。
  • 作業機等に付着した「茎」や「根」の断片から再生し拡散することがありますので、管理作業は、本種が発生していないほ場から行い、使用した作業機等の洗浄を徹底します。
  • 落水時には、水尻にザル等を置いて、茎断片の流出を防止します。

(2) 水田や畦畔におけるまん延防止

  • 本種が発生している場合、刈払い機による除草は絶対行わないでください。除草方法は根まで枯らす除草剤による管理が有効です。
  • 水田では、水稲及びナガエツルノゲイトウの生育に応じて有効成分にピラクロニルまたはフロルピラウキシフェンベンジルを含む除草剤を使用してください(別表1)。水稲移植後に同一系統薬剤の連用を避け、2~3回散布することが有効です。
  • イネ収穫後の水田では、非選択性茎葉処理型除草剤(有効成分にグリホサートカリウム塩を含む剤など)を使用してください。
  • 畦畔では、非選択性茎葉処理型除草剤(有効成分にグリホサートカリウム塩を含む剤など)を使用してください(別表2)。

7 水路等における対策

対策については、ナガエツルノゲイトウ駆除マニュアル 参考文献3)を参照してください。

8 注意事項等 参考文献3)参考文献4)​

  1. 本種は「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」により「特定外来生物」に指定されており、拡散を防ぐために保管、運搬、放出等が禁止されています。適切な手続きをとらずに生きた個体を保管、運搬すると法律違反となりますので、注意してください。
  2. 本種と疑われる雑草を発見した場合は、県農業技術センター(県病害虫防除所)又は、管轄の県農業事務所に連絡してください。
  3. 防除、駆除を行う場合、「ナガエツルノゲイトウ駆除マニュアル 参考文献3)」、「水田におけるナガエツルノゲイトウの防除マニュアル 参考文献4)」等を参考に適切に行ってください。
  4. 農薬の使用に際しては、必ず農薬のラベルに記載されている使用方法、注意事項等を確認して適正に使用してください。特に、成分ごとの総使用回数に注意してください。
  5. 畑などに侵入することもあるので、注意してください。

9 参考文献

参考文献1)侵入生物データベース  ナガエツルノゲイトウ(国立研究開発法人 国立環境研究所)<外部リンク>https://www.nies.go.jp/biodiversity/invasive/DB/detail/81140.html (令和7年11月11日閲覧)

参考文献2)特定外来生物ナガエツルノゲイトウの防除について(大分県) <外部リンク>
 https://www.pref.oita.jp/soshiki/13070/nagaeturu.html(令和7年11月27日閲覧)

参考文献3)ナガエツルノゲイトウ駆除マニュアル(農林水産省、環境省、農研機構)

参考文献4)水田におけるナガエツルノゲイトウの防除マニュアル(農研機構)

発生した畦畔の様子の写真

写真1 発生した畦畔の様子

 発生した畦畔の様子(拡大)の写真1 発生した畦畔の様子(拡大)の写真2

写真2 発生した畦畔の様子(拡大)

確認された花(花柄が長い)の写真

写真3 確認された花(花柄が長い)

 ナガエツルノゲイトウの見分け方の図の画像

図1 ナガエツルノゲイトウの見分け方

出典:ナガエツルノゲイトウ駆除マニュアル(農林水産省、環境省、農研機構)

(別表1)水稲栽培中(本田)におけるナガエツルノゲイトウに登録のある主な除草剤 (令和7年11月20日時点)参考文献4)
農薬の名称 有効成分
(成分ごとの総使用回数は脚注を参照)
使用時期 本剤の
使用回数
ピラクロン1キロ粒剤 ピラクロニル(注1) 移植時 1回
植代後~移植7日前又は
移植直後~ノビエ1.5葉期
ただし、移植後30日まで
1回
バッチリLX1キロ粒剤 イマゾスルフロン(注2)
オキサジクロメホン(注3)
ピラクロニル(注1)
ブロモブチド(注4)
移植時 1回
移植直後~ノビエ2.5葉期
ただし、移植後30日まで
1回
ウィードコア1キロ粒剤 フロルピラウキシフェンベンジル(注5)
ペノキススラム(注6)
ベンゾビシクロン(注7)
移植後7日~ノビエ4葉期
ただし、収穫60日前まで
2回以内
ロイヤント乳剤 フロルピラウキシフェンベンジル(注5) 移植後20日~ノビエ5葉期
ただし、収穫45日前まで
2回以内

注1:ピラクロニルを含む農薬の総使用回数:2回以内  
注2:イマゾスルフロンを含む農薬の総使用回数:2回以内     
注3:オキサジクロメホンを含む農薬の総使用回数:2回以内   
注4:ブロモブチドを含む農薬の総使用回数:2回以内  
注5:フロルピラウキシフェンベンジルを含む農薬の総使用回数:3回以内
注6:ペノキススラムを含む農薬の総使用回数:2回以内
注7:ベンゾビシクロンを含む農薬の総使用回数:3回以内

(別表2)水田畦畔におけるナガエツルノゲイトウに登録のある主な除草剤 (令和7年11月20日時点)参考文献4)
農薬の名称 有効成分
(成分ごとの総使用回数は脚注を参照)
使用時期 本剤の
使用回数
ロイヤント乳剤 フロルピラウキシフェンベンジル(注8) 収穫45日前まで(雑草生育期) 2回以内
ラウンドアップマックスロード グリホサートカリウム塩(注9) 収穫前日まで(雑草生育期) 3回以内
カソロン粒剤6.7 DBN(注10) 秋冬期~春期(雑草発生前~発生始期) 1回

注8:フロルピラウキシフェンベンジルを含む農薬の総使用回数:2回以内
注9:グリホサートカリウム塩を含む農薬の総使用回数:3回以内
注10:DBNを含む農薬の総使用回数:1回

農業技術センターへ

病害虫発生予察情報一覧へ