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令和7年度群馬県感染症流行予測調査結果について
感受性調査
感受性調査では、さまざまな年代の方々の血液中に含まれる抗体の量を測定し、感染症に対抗できる免疫をどれくらい保有しているか調べます。
令和7年度は、麻しん・風しん・インフルエンザ・新型コロナウイルス感染症の4疾病について、血液中に十分な抗体を持っている人の割合(抗体保有率)の調査を行いました。本調査への同意が得られた0歳から74歳の計410名を調査対象者とし、調査にあたっては、健康診断あるいは医療機関受診時に採取した血液の残余を利用しました。
本県で実施した調査の結果は以下のとおりです。
令和7年度群馬県感染症流行予測調査(感受性調査)の結果概要 (PDF:353KB)
麻しん
- 対象:0~74歳の409名の血清
- 方法:酵素免疫測定法(EIA法)
- 判定:検査キットの添付文書に従い、EIA抗体価が4.0以上の場合は陽性、EIA抗体価が2.0未満の場合は陰性、EIA抗体価が2.0以上で4.0未満の場合は判定保留としました。
- 結果:EIA抗体価4.0以上の抗体保有率は全体の73.8%で、昨年度(82.7%)より低い結果でした(図1)。年齢群別では、2-3歳、40歳以上で90%以上の抗体保有率を示しました。抗体価2.0未満の抗体陰性者の割合は全体の12.0%でした(昨年度10.3%)。抗体陰性者の割合について年齢群別でみると、0-1歳が最も多く63.0%でした。今回の調査では、2-3歳、40歳以上の年齢群では抗体陰性者が認められませんでした。

風しん
- 対象:0~74歳の410名の血清
- 方法:赤血球凝集抑制試験法(HI法)
- 判定:HI法ではHI抗体価が1:8以上の場合に陽性と判定しますが、1:8及び1:16では十分な風しんの発症予防ができない可能性があると考えられています。そこで、HI抗体価が1:32以上の場合を抗体保有としました。
- 結果:HI抗体価1:32以上の抗体保有率は全体の57.8%で、昨年度(76.1%)より低い結果でした(図2)。年齢群別では、40歳以上(75.7%)で最も高い抗体保有率を示し、次いで10-14歳(72.5%)、35-39歳(61.0%)でした。HI抗体価が1:8未満の抗体陰性者の割合は全体の7.1%であり、昨年度(6.3%)と同程度でした。抗体陰性者の割合について年齢群別でみると、0-3歳が最も多く34.6%でした。また、4-9歳(2.0%)、15-19歳(5.6%)、30-34歳(4.7%)、35-39歳(4.9%)、40歳以上(6.8%)の年齢群でも抗体陰性者が認められました。

インフルエンザ
- 対象:0~74歳の407名の血清
- 方法:赤血球凝集抑制試験法(HI法)
インフルエンザの感受性調査では、今シーズン(2025/26シーズン)のインフルエンザ流行開始前であり、かつ当該シーズンのインフルエンザワクチン接種前に採取した血清について調査を実施しました。今年度は以下のインフルエンザウイルス4種類の抗原について調査しました。B/プーケット/3073/2013(山形系統)を除く3抗原は、いずれも今シーズンのワクチン株として選定されている抗原です。
A/ビクトリア/4897/2022(H1N1)
A/パース/722/2024(H3N2)
B/オーストリア/1359417/2021(ビクトリア系統)
B/プーケット/3073/2013(山形系統) - 判定:HI法の抗体価が1:10以上の場合に陽性と判定されますが、1:40未満では重症化が予防できない可能性があると考えられるため、抗体価1:40以上の場合を抗体保有としました。
- 結果:A/ビクトリア/4897/2022(H1N1)(図3)
2023/24シーズンから3年連続でワクチン株に選定されたウイルスです。HI抗体価1:40以上の抗体保有率は全体の12.8%であり、昨年度(12.6%)と同程度でした。年齢群別では、15-19歳(44.4%)で最も高い抗体保有率を示し、次いで10-14歳(23.5%)、5-9歳(22.5%)、20-29歳(13.8%)でした。40-49歳、60歳以上では抗体保有者を認めませんでした。

結果:A/パース/722/2024(H3N2)(図4)
今シーズン(2025/26)からワクチン株に選定されたウイルスです。HI抗体価1:40以上の抗体保有率は全体の32.7%でした。年齢群別では、10-14歳(86.3%)で最も高い抗体保有率を示し、次いで5-9歳(65.0%)、15-19歳(55.6%)でした。

結果:B/オーストリア/1359417/2021(ビクトリア系統)(図5)
2022/23シーズンからに4年連続でワクチン株に選定されたウイルスです。HI抗体価1:40以上の抗体保有率は全体の17.2%であり、昨年度(14.3.%)と同程度でした。年齢群別では、50-59歳以上(46.4%)で最も高い保有率を示し、次いで60歳以上(34.8%)、5-9歳、10-14歳(共に27.5%)でした。

結果:B/プーケット/3073/2013(山形系統)(図6)
2015/16シーズンから2024/25シーズンまでワクチン株に選定されたウイルスです。HI抗体価1:40以上の抗体保有率は全体の30.0%であり、昨年度(44.5%)より低い結果でした。年齢群別では、30-39歳(52.4%)で最も高い抗体保有率を示し、次いで20-29歳(45.0%)、50-59歳(39.3%)でした。

新型コロナウイルス感染症
- 対象:0~74歳の409名の血清
- 方法:中和試験法
新型コロナウイルス オミクロン(JN.1系統)株を用いて、血清中の新型コロナウイルスに対する中和抗体価を測定しました。 - 判定:中和抗体価が1:5以上の場合を抗体陽性としました。
- 中和抗体価1:5以上の抗体保有率は全体の98.5%でした。年齢群別では、0-4歳(93.5%)、20-29歳(97.5%)を除く年齢群で100%の抗体保有率を示しました。

感染源調査
感染源調査では、人や動物の体中あるいは環境中に病原体(感染症の原因)が存在しているか、存在している場合にはどのような種類かを調べます。
令和7年度は、県内産のブタを対象に、日本脳炎について調査を行いました。
本県で実施した調査の結果については以下のとおりです。
日本脳炎(ブタ)
日本脳炎とは、主にコガタアカイエカが日本脳炎ウイルスに感染したブタを吸血し、その後ヒトを刺すことによって起こる感染症です。ヒトが発症した場合は、重篤な急性脳症を起こすこともあります。
日本脳炎の抗体価が高い場合は、そのブタが日本脳炎に感染している可能性が高いと考えられます。全体のブタの抗体保有率が上昇している場合、感染したブタを蚊が吸血し媒介することによって、ヒトに感染するリスクが高くなります。
- 対象:県内のと畜場へ出荷された県内産肥育豚(6ヶ月齢)計81頭の血清
- 調査期間:令和7年6月16日から9月29日まで(計8回)
- 方法:赤血球凝集抑制試験法(HI法)
- 判定:HI法の抗体価が1:10以上の場合を陽性と判定し、さらに1:40以上の場合には2-メルカプトエタノール(2-ME)処理をします。なお、2-ME感受性抗体(IgM抗体)を保有している場合、そのブタは直近で日本脳炎ウイルスに感染したと考えられます。
- 結果:81頭について調査を実施したところ、HI抗体価1:10以上を示したブタは6頭(7.4%)でした。1:40以上を示したブタは確認されなかったため、2-ME処理は実施しておりません。(表1)
| 採血日 | 頭数 | HI抗体価 | 2-ME感受性抗体 ※注2 |
|||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| <10 | 10 | 20 | 40 | 80 | 160 | 320 | 640≦ |
陽性数 |
抗体陽性率 | 処理数 | 陽性数 | 抗体陽性率 | ||
| 6月16日 | 10 | 10 | 0 | 0.0% | ||||||||||
| 6月23日 | 9 | 9 | 0 | 0.0% | ||||||||||
|
7月4日 |
10 | 7 | 3 | 3 | 30.0% | |||||||||
| 7月28日 | 10 | 9 | 1 | 1 | 10.0% | |||||||||
| 8月4日 | 10 | 8 | 2 | 2 | 20.0% | |||||||||
| 8月29日 | 11 | 11 | 0 | 0.0% | ||||||||||
| 9月5日 | 10 | 10 | 0 | 0.0% | ||||||||||
| 9月29日 | 11 | 11 | 0 | 0.0% | ||||||||||
| 合計 | 81 | 75 | 6 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 6 | 7.4% | 0 | 0 | |
※注1 抗体価1:10以上を陽性とする。
※注2 2-メルカプトエタノール(2-ME)処理は、HI抗体価1:40以上で実施する。2-ME感受性抗体(IgM抗体)を保有している場合、そのブタは直近で日本脳炎ウイルスに感染したと考えられる。2-ME処理を行った血清の抗体価が未処理の血清と比較して3管(8倍)以上低かった場合を陽性、2管(4倍)低かった場合を疑陽性、不変または1管(2倍)低かった場合を陰性と判定する。
謝辞
感受性調査の実施にあたり、調査へ同意し検体を御提供いただいた0~74歳の410名の対象者の皆様及び検体収集に御尽力いただいた各学校の先生方、公立藤岡総合病院、地域医療機能推進機構群馬中央病院、国立病院機構高崎総合医療センター、前橋赤十字病院、伊勢崎市民病院、県立小児医療センター、公益財団法人群馬県健康づくり財団、その他各関係機関の皆様に厚く御礼申し上げます。
また、感染源調査の実施にあたり、ブタの検体採取に御協力いただいた株式会社群馬県食肉卸売市場及び群馬県食肉衛生検査所の皆様に深謝いたします。








