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令和7年度答申第11号
第1 審査会の結論
本件審査請求には、理由がないので、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第45条第2項の規定により審査請求を棄却すべきである。
第2 審査関係人の主張の要旨
1 審査請求人
処分庁が行った令和6年9月20日付け生活保護変更決定処分の取消しを求めるものであり、その理由は次のとおりである。
(1) 審査請求書による主張
支給額が減額されて生活できない。〇〇への返済がある〇年間は、変更前の〇円(月額)が欲しい。
(2) 反論書による主張
処分庁から、新規の借金はしないように言われたので、〇〇からの借入金の返済が終了する〇年〇月までは、毎月の返済額分の〇円(月額)は支給されるべきである。
生命保険について、2つは駄目なので1つは解約するように言われ、1つ解約した。解約していない方の保険料〇円(月額)分を加算して支給をお願いしたい。
2 審査庁
審理員意見書のとおり、本件審査請求を棄却すべきである。
第3 審理員意見書の要旨
(1) 処分庁は、審査請求人の保護の程度を算定するに当たり、生活保護法(昭和25年法律第144号。以下「法」という。)第8条第1項に基づいて老齢基礎年金及び老齢厚生年金(以下「年金」という。)並びに老齢年金生活者支援給付金(以下「給付金」という。)を収入認定した上で、保護の程度を決定している。
(2) 処分庁は、法第29条第1項に基づいて行った日本年金機構に対する調査の結果を踏まえ、「生活保護法による保護の実施要領について」(昭和38年4月1日社発第246号厚生省社会局長通知。以下「局長通知」という。)第8の1(4)アの方法により、生活保護費の収入認定を行った。なお、収入認定に当たっては、局長通知第8の1(4)イも踏まえている。
(3) 処分庁は、法第25条第2項に基づき、職権により審査請求人の収入認定額を変更し、〇年〇月分以降の生活保護費の支給額を〇円に変更することとして、生活保護変更決定処分(以下「本件処分」という。)を行い、審査請求人に通知した。
(4) 以上のとおり、本件処分には、違法又は不当な点はなく、本件審査請求には理由がないから、行政不服審査法第45条第2項の規定により棄却されるべきである。
第4 調査審議の経過
当審査会は、本件諮問事件について、次のとおり、調査審議を行った。
令和7年9月25日 審査庁から諮問書及び諮問説明書を収受
令和7年11月14日 調査・審議
令和7年12月19日 調査・審議
第5 審査会の判断の理由
1 審理手続の適正について
本件審査請求について、審理員による適正な審理手続が行われたものと認められる。
2 本件に係る法令等の規定について
(1) 法第8条第1項は、「保護は、厚生労働大臣の定める基準により測定した要保護者の需要を基とし、そのうち、その者の金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度において行うものとする。」と規定されている。
(2) 法第25条第2項は、「保護の実施機関は、常に、被保護者の生活状態を調査し、保護の変更を必要とすると認めるときは、速やかに、職権をもつてその決定を行い、書面をもつて、これを被保護者に通知しなければならない。前条第4項の規定は、この場合に準用する。」と規定されている。
(3) 法第29条第1項は、「保護の実施機関及び福祉事務所長は、保護の決定若しくは実施又は第77条若しくは第78条の規定の施行のために必要があると認めるときは、(中略)官公署、日本年金機構若しくは国民年金法(昭和34年法律第141号)第3条第2項に規定する共済組合等(中略)に対し、必要な書類の閲覧若しくは資料の提供を求め、又は銀行、信託会社、次の各号に掲げる者の雇主その他の関係人に、報告を求めることができる。(後略)」と規定されている。
(4) 国民年金法第18条第3項及び厚生年金保険法(昭和29年法律第115号)第36条第3項において、年金は、毎年2月、4月、6月、8月、10月及び12月の6期に、それぞれの前月までの分を支払う旨規定されている。また、年金生活者支援給付金の支給に関する法律(平成24年法律第102号)第6条第3項において、給付金も年金と同様の支払期月に支払う旨規定されている。
(5) 「生活保護法による保護の実施要領について」(昭和36年4月1日厚生省発社第123号厚生事務次官通知。以下「次官通知」という。)第8の3(2)ア(ア)は、収入の認定について、「恩給、年金、失業保険金その他の公の給付(地方公共団体又はその長が条例又は予算措置により定期的に支給する金銭を含む。)については、その実際の受給額を認定すること。(後略)」と規定されている。
(6) 局長通知第8の1(4)アは、「恩給法、厚生年金保険法、船員保険法、各種共済組合法、国民年金法、児童扶養手当法等による給付で、1年以内の期間ごとに支給される年金又は手当については、実際の受給額を原則として受給月から次回の受給月の前月までの各月に分割して収入認定すること。なお、当該給付について1年を単位として受給額が算定される場合は、その年額を12で除した額(1円未満の端数がある場合は切捨)を、各月の収入認定額として差し支えない。」と規定されている。
(7) 局長通知第8の1(4)イは、収入の認定について、「老齢年金等で、介護保険法第135条の規定により介護保険料の特別徴収の対象となるものについては、特別徴収された後の実際の受給額を認定すること。」と規定されている。
3 本件処分の妥当性について
(1) 処分庁は、審査請求人の保護の程度を算定するに当たり、法第8条第1項に基づいて、審査請求人に支払われた年金及び給付金を収入として認定した上で、保護の程度を決定している。
(2) 年金及び給付金は、毎年2月、4月、6月、8月、10月及び12月の6期に、それぞれの前月までの分を支払う旨規定されており、局長通知第8の1(4)アによると、1年以内の期間ごとに支給される年金及び給付金は、受給月から次回の受給月の前月までの各月に分割して収入認定することとされていることから、〇年〇月〇日に審査請求人に支払われた年金及び給付金は、審査請求人の同月分及び同年〇月分の収入に認定される。しかし、審査請求人のケース記録票によると、審査請求人が生活保護を申請した同年〇月〇日には、同月〇日に支払われた同月分の年金及び給付金を消費していたため、処分庁は、年金及び給付金の次回支給月である同年〇月分から収入認定することとした。
(3) 処分庁は、〇年〇月〇日から審査請求人の生活保護を開始したことから、審査請求人の同月分の生活保護費について、審査請求人の最低生活費〇円(月額)を日割りで計算し、同日から同月〇日までの〇日分に相当する〇円とした。同年〇月分の生活保護費は、同年〇月分の生活保護費と同様に、年金及び給付金による収入がないので、〇円とした。
(4) 処分庁は、法第29条第1項に基づいて日本年金機構に対して調査を行い、審査請求人の年金の年額が〇円であること及び給付金の月額が〇円であることを確認した。処分庁は、局長通知第8の1(4)アなお書により、年金の年額を12で除して月額を〇円と算定し、年金及び給付金の月額を〇円と算定した。
(5) 介護保険料台帳によると、審査請求人の介護保険料は、偶数月に特別徴収されており、〇年〇月に審査請求人に支払われる年金から天引きされる介護保険料は、〇円であることが確認できる。処分庁は、次官通知第8の3(2)ア(ア)及び局長通知第8の1(4)イにより、収入の認定に当たっては、特別徴収された後の実際の年金の受給額を収入として認定するため、隔月で特別徴収される介護保険料を2分割し、同月及び同年〇月に特別徴収される介護保険料の月額を〇円と算定した。これにより、処分庁は、年金及び給付金の月額〇円から〇円を差し引いた〇円を同年〇月以降の審査請求人の収入と算定した。
(6) 処分庁は、審査請求人の最低生活費〇円(月額)から、〇年〇月以降の審査請求人の収入〇円(月額)を差し引いた〇円(月額)を同月以降の審査請求人の生活保護費と算定した。
(7) 処分庁は、法第25条第2項に基づいて、職権により本件処分を行い、審査請求人に通知した。
(8) 法第25条第2項に基づいて、処分庁が職権により本件処分を行い、審査請求人に通知するときには、同項後段により、法第24条第4項を準用し、本件処分の理由を通知に記載しなければならない。
この点について、本件処分の通知の「保護変更理由」の部分には、年金及び給付金の収入認定による、介護保険料控除による等の記載がされている。
また、審査請求人のケース記録票によると、処分庁は、審査請求人に対し、本件処分により生活保護費を減額した理由について、〇年〇月から審査請求人の年金及び給付金の収入認定を開始したことによること、審査請求人の最低生活費の金額について説明しており、本件処分の理由の記載は、違法又は不当であるとはいえない。
(9) 本件処分は、法令等の定めるところに従って、適法かつ適正に行われたものであり、違法又は不当であるとはいえない。
第6 結論
以上のとおり、本件審査請求には理由がないから、「第1 審査会の結論」のとおり、答申する。








