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令和7年度群馬県インクルーシブ教育推進有識者会議(第2回)結果
1 期日
令和7年12月23日(火曜日)午後6時から午後8時
2 場所
県庁24階 教育委員会会議室(対面・オンライン併用)
3 出席者
委員(11名中11名出席)
霜田浩信委員、中邑賢龍委員、滝坂信一委員、是永かな子委員、伊藤駿委員、飯島邦敏委員、藤澤都茂子委員、代田秋子委員、高木沙祐里委員、清田和泉委員、酒井暁彦委員
オブザーバー(玉村町立上陽小学校長)
増田眞次様
事務局
(職員21名出席)
4 内容
(1) 開会
開会
(2) あいさつ
平田教育長によるあいさつ
(3) 次年度の活動計画
配付資料により下記3点について、事務局が説明した。
- モデル校の取組
- 調査研究
- 理解啓発イベント
(4)協議
- 上記説明への質疑応答
- 群馬県が目指すインクルーシブ教育について説明
- 各委員より意見
- 各委員より情報提供
5 委員の主な意見(要旨)
(事務局説明)
(1)モデル校の取組
- 上陽小学校と伊勢崎特別支援学校において、4年生を中心に交流及び共同学習を継続して実施している。直接交流4回に加え、事前のオンライン交流を行い、図工や総合的な学習、レクリエーション等を通して、子どもたちの主体的な関わりと一体感のある活動が見られた。
(オブザーバー)
- 多様な子どもを多様な大人で支える体制として、ブロックチーム担任制を導入しており、教職員の多面的な子ども理解も進んでいる。通常学級等をフラットにつなぐことを基盤に交流及び共同学習を進めており、今後は教科での学習への展開を検討している。
(2)調査研究
- スウェーデン・マルメ市を視察した。すべての子どもを対象とした支援計画(IUP)を作成し、通常学級への参加を前提としたインクルーシブ教育を実践している。校長のリーダーシップのもと健康チームが組織され、多職種で子どもを支えている。通常の支援を充実させることで特別な支援の必要性を減らす考え方が共有されていた。
- マルメ市では、不登校支援において初期段階から福祉部局が介入し、早期支援を重視している。また、幼児期から小学校への円滑な接続や、子どもが教材や学び方を選択する学習の様子が見られた。
- マルメ市では、校長を中心に多職種が連携し、地域の学校で共に学ぶことを重視している。本県においても、この多様性の包摂の考え方を踏まえ、国内先進事例の知見も生かしながら、施策検討を進めている。
(3)理解啓発イベント
- 昨年度の助言を踏まえ、今年度は8月にイオンモール高崎・太田で同時開催し、特別支援学校や高等学校の取組を発信した。作業製品販売や各種体験、ステージでの生徒による「ダイバーシティとインクルーシブな社会」をテーマとした意見交換を実施し、多くの一般来場者が訪れた。
- 12月に実施した県庁会場では演奏発表等を行い、アンケート結果から一般参加者の増加や理解の広がりが確認された。翌日には、「群馬県の目指すインクルーシブな学校」をテーマにシンポジウムを開催し、視察報告や学校における取組発表、不登校支援や日本語指導等について意見交換を行った。
委員からの質疑および意見と事務局からの応答
(A委員)
国内視察先の選定意図と、理解啓発イベントの位置づけについて確認したい。インクルーシブフェスタは地域づくりとして整理できるのではないかと考えている。
(事務局)
国内視察先は、文部科学省の委託を受けている地域や学校を基本に選定している。
(A委員)
まとめの際でよいが、事業名とそこでの学びがまとめられると分かりやすい。
(事務局)
イベントは理解啓発を目的とした地域づくりの一環と位置づけている。教員向け取組は関係機関と連携し、学校の授業を軸に継続したい。
(B委員)
これより、群馬県が目指すインクルーシブ教育についての協議に入る。
(事務局)
検討の整理として、「インクルーシブな学校」と「インクルーシブな授業」の二つに区分する。本日は「インクルーシブな学校」を中心に協議し、授業については来年度に改めて検討する。
有識者会議における議論、海外・国内調査やシンポジウムの知見を踏まえ、国の動向とも整合する形で検討を進めてきた。多様性を前提に、学び方や学ぶ場所を選べることが重要であり、群馬県が目指すインクルーシブな学校は、すべての子どもを包摂し、学校全体で支援を整える学校である。本日はこの点について意見を求めたい。
(C委員)
インクルーシブな教育を本気で進めるには、「特別支援教育の解体」という視点も必要ではないか。軽度の障害だけでなく、肢体不自由など重い障害のある子どもを地域でどう受け止めるかを考える必要がある。特別支援学校に集約される構造を踏まえ、将来的な目標を持って段階的に変えていく議論が求められる。
(B委員)
すぐに結論が出る問題ではないが、どこをゴールとしてインクルーシブを進めるのかと思う。
事務局の考えを示してほしい。
(事務局)
現時点では特別支援学校の解体までの議論は行っていない。まずは通常の学校において、インクルーシブな学校の在り方を整理し、多様性を包摂する仕組みを整えながら、一人一人に丁寧な支援を行う体制づくりを共通理解として進めたい。
(C委員)
通常校はすでに多様な子どもを含むインクルーシブな状態にあり、個別的な授業づくりが課題である。群馬県が先進モデルを目指すのであれば、国連勧告にある「特別支援教育の解体」を将来的な目標とすべきではないかと私自身は思う。今後、踏み込んだ検討をお願いしたい。
(D委員)
資料に関して五点指摘する。第一に「ターゲット」という表現から子どもの存在が見えにくい点、第二に学習指導要領の図を群馬県版として整理する必要性、第三に「多様性を包摂する必要性」という表現は権利の問題として不適切である点、第四に社会モデルの考え方を明示すべき点、第五に不登校を前提とする整理への違和感である。
(事務局)
ターゲットは、大人や環境へのアプローチを示したものである。本来のターゲットである子どもも入れるべきだった。資料を群馬県版として示すことは有効であり、県の目指す姿を示す根拠になる。
(D委員)
群馬県版とした場合、どのような傾向になるのか確認したい。
(事務局)
日本語指導が必要な子どもは多く、特に外国にルーツのある子どもが多いのは、東部地域
と考えられる。
群馬県版を作成することで地域特性が明確になる。日本語指導の必要性には地域差があり、不登校傾向のある子どもたちは全国と大きな差はないが、若干群馬の方が少ないか。今後、イメージ図を作るのか検討していきたい。
多様性が「特別なもの」と誤解されないよう、位置付けて進めていくことが重要である。
「多様性の包摂の必要性」という表現は検討が必要か。不登校については否定するものではないが、学校は多くのリソースを持つ場であり、可能であれば学校とつながることが望ましい。一方で、「YUMEルーム」や「フレックスルーム」のように、学校内外で子どもが安心して過ごせる多様な学びの場を用意する考え方は重要であり、上陽小学校の取組は評価できる。日本語指導や通級指導と不登校支援は性質が異なるため、整理や表現は再検討したい。
(D委員)
現在は、教育支援センター等で学ぶ子どもに特別な教育課程を認める方向で議論が進んでいると理解している。ギフテッドについても2階建て構想の中に位置付けることは可能であり、群馬県には先進的な取組があると評価している。
(E委員)
「インクルーシブな学校」や「インクルーシブな教育」の開発は、「インクルーシブな社会」の実現を考えたときに、「学校」はどうあったらいいかということに対する取組である。地域に住むすべての子どもたちが安心して通える地域の学校を地域社会が一緒に創る取組である。取組には、特別支援学級や特別支援学校の存在をどのように収束させていくのか、従来の「学級」や「授業」という発想や枠組みをどのように再構成していくかが含まれる。インクルーシブな学校が実現する過程で、質の高い『セイフティネット』としての特別支援学校、特別支援学級、通級による指導、あるいは国際教室は、欠かすことができない。なお、中教審のイメージ図は一部の子どもたちに限定して「多様性がある」としているが、本来すべての子どもたちは多様であるととらえられるべきである。
(B委員)
地域社会との関係性や、特別支援学校・特別支援教育の位置付けについて、事務局の考えを確認したい。
(事務局)
地域との関係性や特別支援学校との関係は、今後の整理において明確に示していく必要があると認識している。
(E委員)
「特別な教育的ニーズ」という概念自体が、国連の「障害者の権利条約」などの提起する障害観とは相容れないものであり、「一人ひとりの教育的ニーズ」もしくは「一人ひとりの学習ニーズ」と考えられるべきである。なお、一部の子どもたちを「ギフテッド」と呼称することは差別的な認識だと考える。すべての子どもたちは「ギフテッド」だと理解すべきである。
(B委員)
学級の在り方や、「多様性を包摂する」という考え方の中ですべての子どもをどう位置付けるかは重要な論点であり、事務局で改めて検討してほしい。
(事務局)
学級と学校の関係、教材や授業の在り方も含めて整理が必要である。上陽小学校のモデル校の取組から得られる知見を踏まえ、今後さらに検討・研究を進めたい。
(A委員)
文科省の方向性を踏まえつつ、よりインクルーシブな仕組みを目指すべきだと思う。パッケージ支援の具体像はどうなるのか。スウェーデン視察では、ニーズ教育への転換があり、日本語指導や不登校対応、発達障害支援を同じ場で柔軟に行う仕組み、さらにリソース学校や特別支援学校という階層があった。どこを目指すのか。また、教育以外の専門家はどこに所属するのか、『健康チーム』は校内委員会に統合されるのか。学校裁量で地域に応じたインクルーシブな学級づくりを進める方向でよいのか。
(B委員)
まず、パッケージ支援について、現時点での事務局の考えを示してほしい。
(事務局)
支援は一律ではなく、地域や学校の実情に応じて組み合わせる必要があると考えている。日本語指導や支援ニーズなど地域差が大きいため、地域ごとにパッケージで考えて、必要な支援を考えていく方が効果的ではないかと考えている。
(B委員)
現在は学校の仕組みづくりを中心に検討しているが、パッケージという考え方を進めることで、学びの在り方にもつながると感じている。学びを含めた適切な表現について、委員の意見を求めたい。
(E委員)
国が用語を「一人一人の教育的ニーズに応える仕組み」と整理したことは妥当であり、国際的にも「特別」という考え方は乗り越えられている。特定の区分を設けるのではなく、一人一人の教育的・学習的ニーズに応じて仕組みを整えると表現すればよい。
(B委員)
その考え方は、学びをパッケージとして組み立てる議論にも通じる。心理士等の専門家をどのように位置付けるか、事務局の考えを確認したい。
(事務局)
専門家の関わり方は検討中であり、巡回型や常駐型など複数の形を想定している。スウェーデンの健康チームを参考に、必要が生じてか個別に派遣するのではなく、チームとして機能する仕組みを検討したい。
(E委員)
「教育以外の専門家との連携」ではなく「多職種連携」と表現した方がよい。また、特別支援学校を巡回している医療職が、特別支援学校のセンター的な機能の一環として、インクルーシブな学校開発に取り組む学校に関わるという方法があるのではないか。
(B委員)
「多職種連携」という表現や既存のしくみの中での位置づけなど事務局から意見はあるか。
(事務局)
その表現や考え方は、今後も大切にしていきたい。
(E委員)
上陽小学校の取組について、教員の負担やメンタルヘルス、従来の交流教育との違いを確認したい。
(オブザーバー)
負担はあるが、チームで役割分担し子どもの変化を実感できることが教員のやりがいにつながっている。交流ついては、計画的・継続的に教科等と関連付けて行っており、単発的な交流とは異なる取組である。
(E委員)
教員の状況については安心した。異動後も上陽小学校での経験が生かされるよう、教育委員会として、また町内の全校での工夫が必要である。それが、上陽小学校の取組を拡げていくことにつながる。
(F委員)
インクルーシブな学校像は具体化してきたが、通常学級と特別支援学級の位置付けが今後どう整理されるのか、現場として懸念がある。
(E委員)
その点は、就学支援委員会等の機能をどう考え直すかということに関連する事であり、「インクルーシブな学校」開発をしていくうえで欠かせない論点である。
(G委員)
幼児教育ではインクルーシブが実現しているが、小学校進学後に分離していくことが課題である。学校に限らず、地域や社会教育と連携し、地域全体でインクルーシブな社会を考える視点が必要である。
(H委員)
インクルーシブ教育を本気で進めるのであれば、これまで60年かけて分けてきた教育の在り方そのものを問い直す必要があり、将来的には特別支援学校をなくす方向も考えるべき。当事者として、子どもから大人まで分け続ける仕組みは望ましくないと感じている。社会が多様な人が同じ職場で働く方向に変わりつつあるように、教育も教職員、子ども、保護者、地域が気づきを得ることが重要である。DET研修を通じ、社会モデルは教え込むものではなく、気づきによって理解されるものだと実感した。インクルーシブな学校づくりには、既存の延長ではなく、新しい学校をつくる覚悟と、専門職や当事者、ピアサポーターを仕組みに組み込むことが不可欠であり、差別が生じている現状への気づきから始めるべき。
(I委員)
インクルーシブな学校づくりに向け、子どもの支援ニーズを早期に把握する仕組みが必要。不登校は結果として表れる状態像であり、その前段階の兆しを捉えることが重要である。専門家を交え、すべての子どもを対象にニーズを把握する体制が求められる。また、貧困や情報格差など家庭・地域の影響も大きく、連携が不可欠である。学校生活は一時的であり、困りが顕在化する前に支える仕組みこそがインクルーシブ教育の本質である。
(B委員)
困ってから対応するのではなく、潜在的なニーズを捉えていく仕組みを整えることが、インクルーシブ教育の土台として重要だという意見だと受け止めた。そうした取組が、不登校の減少や、外国にルーツのある子どもへの支援にもつながっていく。
(J委員)
障害当事者として、地域の学校に通いたいという子どもの望みがあったら実現できる環境整備を強く望む。特別支援学校しか選択肢がない状況は変えられる可能性がある。一方で、特別支援学校をなくさなければいけない。学びの進度や方法は一人一人異なるため、それぞれに合った学びを保障しつつ、授業外も含めて互いを知り尊重することが重要。また、コラボレーターは学校や専門職では気づきにくい課題を早期に見つける存在として有効であり、各校に必要である。
(B委員)
互いに知り合い、尊重し合う関係づくりの大切さを改めて感じた。また、コラボレーターが潜在的なニーズを見つけ出すキーパーソンになり得るという具体的な話もあり、今後、学校としての仕組みを考える上で重要な視点だと受け止めた。
(K委員)
上陽小での取組を聞き、特に3・4年生という時期の重要性を感じた。この年代は子ども自身の意思が強くなり、インクルーシブの在り方についても迷いや葛藤が生まれる。自身の子どももその時期に特別支援学校へ転校したが、後に居住地校交流で「なぜ転校したの」と声をかけてもらい、もっと子どもたちの声を聞くべきだったと感じた。4年生の子どもの言葉や、保護者の考えを丁寧に聞くことが必要だと思う。
また、インクルーシブフェスタのトークセッションに外国人の生徒がいなかった点が気になった。外国人児童生徒への日本語指導の実際や、その視点も共有される場があればよかったと感じた。
(B委員)
子どもの声をより丁寧に拾い上げる必要性を強く感じた。あわせて、保護者の声も踏まえながら、インクルーシブの在り方を考えていくことが重要だと感じた。
(事務局)
議論を踏まえ、三点述べたい。一つ目は、群馬モデルの焦点で、学校を地域の窓口や保護者との接点として捉え、学校・学級・授業に焦点を当てて進める方向は妥当だと感じている。二つ目は、多様性の捉え方で、どこを多様と考えるのかについて、まだ整理と議論が必要だと感じている。来年度、学びの検討に入る中で、手前の学びをどう支えるかも含めて考えていきたい。三つ目は、パッケージとしての仕組みづくりで、限られた資源の中、YUMEルームのように誰もが気軽に使え、多機能で人がつながる場を、効率的に各校で整えていく必要があると考えている。
(B委員)
今日の議論を通して、何よりも子どもを中心に考えることが大切だと感じた。子どもの声を聞き、子どもを軸に学校や社会をどうつくるかを考えていくことが重要だと思う。今後も議論を重ね、群馬県としての考えを基に、インクルーシブ教育・社会の在り方を検討していきたい。
6 その他
事務局から事務連絡を行った。
7 あいさつ
平田教育長によるあいさつ
8 閉会
閉会








