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令和7年度答申第12号

更新日:2026年2月18日 印刷ページ表示

第1 審査会の結論

 本件審査請求には、理由がないので、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第45条第2項の規定により審査請求を棄却すべきである。

第2 審査関係人の主張の要旨

1 審査請求人

 令和6年3月27日付け審査請求人に対する林地開発行為許可申請の不許可処分(以下「本件処分」という。)の取消し及び速やかな許可を求める。その理由は、不許可処分通知に記載された処分理由には反論があり、現状のままでは危険なので、早く作業を進めたいからである。

2 審査庁

 審理員意見書のとおり、本件審査請求を棄却すべきである。

第3 審理員意見書の要旨

 審査請求人は、本件林地開発許可申請(以下「本件申請」という。)に係る事業計画地において、森林法(昭和26年法律第249号。以下「法」という。)及び群馬県土砂等による埋立て等の規制に関する条例(平成25年群馬県条例第47号。以下「県土砂条例」という。)に違反した開発行為を行っており、過去において、群馬県及び○○からの指導等を繰り返し受けていることが判明した。また、審査請求外の企業における林地開発許可申請の手続において、偽造公文書行使等の疑いのある行為を行った。

 審査請求人は、処分庁が本件処分の理由として示した内容には反論があり、処分の取消しをすべきであると主張しているが、これらの反論には合理性がなく、認められない。

 また、審査請求人は、本件申請の事業計画地に関する違反行為に対して是正命令が発出されているにもかかわらず、これを履行せずに本件申請を行っている。このことは、法違反等を継続している状態であるといえ、法の規定に適合した開発行為が行われることへの期待が失われ、信用性に欠けると判断してもやむを得ないものと考える。さらに、偽造公文書行使等の疑いのある行為については、少なくとも○○土砂等による埋立て等の規制に関する条例(平成○年○○条例第○号。以下「○○土砂条例」という。)に基づく適正な管理を阻害した違法な行為と判断できる。そのような審査請求人に対して、遵法意識が低く開発行為を行うために必要な信用及び資質に欠ける事業者であると判断することは、やむを得ないものと考える。

 よって、処分庁が、審査請求人に対する申請書の内容に沿った開発行為が行われることへの期待を失い、法第10条の2第2項各号に規定するおそれが払拭できないと判断することは適切ではないとはいえない。

 以上のとおり、本件処分には違法又は不当な点はなく、本件審査請求には理由がないから、行政不服審査法第45条第2項の規定により棄却されるべきである。

第4 調査審議の経過

 当審査会は、本件諮問事件について、次のとおり、調査審議を行った。

 令和8年1月9日 審査庁から諮問書及び諮問説明書を収受

 令和8年1月16日 調査・審議

 令和8年2月18日 調査・審議

第5 審査会の判断の理由

1 審理手続の適正について

 本件審査請求について、審理員による適正な審理手続が行われたものと認められる。

2 本件に係る法令等の規定について

 法第10条の2第2項において、都道府県知事は、林地開発許可申請があった場合、次の各号のいずれにも該当しないと認めるときは、これを許可しなければならないと規定している。

一 当該開発行為をする森林の現に有する土地に関する災害の防止の機能からみて、当該開発行為により当該森林の周辺の地域において土砂の流出又は崩壊その他の災害を発生させるおそれがあること。

一の二 当該開発行為をする森林の現に有する水害の防止の機能からみて、当該開発行為により当該機能に依存する地域における水害を発生させるおそれがあること。

二 当該開発行為をする森林の現に有する水源のかん養の機能からみて、当該開発行為により当該機能に依存する地域における水の確保に著しい支障を及ぼすおそれがあること。

三 当該開発行為をする森林の現に有する環境の保全の機能からみて、当該開発行為により当該森林の周辺の地域における環境を著しく悪化させるおそれがあること。

3 本件処分の内容及び理由

 審査請求人は、本件申請に係る事業計画地において、下記のとおり法及び県土砂条例に違反した開発行為を行っており、過去において、群馬県及び○○からの指導等を繰り返し受けている。

(1) 届け出た造林計画の不履行(以下「行為(1)」という。)

 法第10条の7において、森林所有者その他権限に基づき森林の立木竹の使用又は収益をする者(以下「森林所有者等」という。)は、市町村森林整備計画に従って森林の施業及び保護を実施することを旨としなければならないと規定している。また、法第10条の8第1項において、森林所有者等は、地域森林計画の対象となっている民有林(保安林又は保安施設地区の区域内の森林を除く。)の立木を伐採するには、あらかじめ市町村の長に森林の所在場所、伐採面積、伐採方法、伐採齢、伐採後の造林の方法、期間及び樹種その他農林水産省令で定める事項を記載した伐採及び伐採後の造林の届出書を提出しなければならないとされている。

 審査請求人は、平成○年○月○日付けで、○○○○内の土地に所在する森林において、立木の伐採後に造林を行う内容の法第10条の8第1項の規定による届出書を○○長宛て提出したが、現在に至るまで立木の伐採後の造林を行っていない。

(2) 無届での立木伐採(以下「行為(2)」という。)

 ○○○○内の土地に所在する森林において、法第10条の8第1項の規定による届出を行わずに立木の伐採を行った。

(3) ○○からの命令の不履行(以下「行為(3)」という。)

 法第10条の9第3項において、市町村の長は、第10条の8第1項の規定により届出書を提出した者の行っている伐採又は伐採後の造林が当該届出書に記載された伐採面積、伐採方法若しくは伐採齢又は伐採後の造林の方法、期間若しくは樹種に関する計画に従っていないと認めるときは、その者に対し、その伐採及び伐採後の造林の計画に従って伐採し、又は伐採後の造林をすべき旨を命ずることができると規定している。

 行為(1)について、○○長は、平成○年○月○日付けで法第10条の9第3項の規定による命令(以下「○○造林命令(1)」という。)を行ったが、審査請求人は、現在に至るまで○○長からの命令内容に従った造林を行っていない。

 法第10条の9第4項において、市町村の長は、第10条の8第1項の規定に違反して届出書の提出をしないで立木を伐採した者が伐採後の造林をしておらず、かつ、引き続き伐採後の造林をしないとしたならば次の各号のいずれかに該当すると認められる場合において、伐採後の造林をすることが当該各号に記載する事態の発生を防止するために必要かつ適当であると認めるときは、その者に対し、当該伐採跡地につき、期間、方法及び樹種を定めて伐採後の造林をすべき旨を命ずることができると規定している。

一 当該伐採跡地の周辺の地域における土砂の流出又は崩壊その他の災害を発生させるおそれがあること。

二 伐採前の森林が有していた水害の防止の機能に依存する地域における水害を発生させるおそれがあること。

三 伐採前の森林が有していた水源の涵養の機能に依存する地域における水の確保に著しい支障を及ぼすおそれがあること。

四 当該伐採跡地の周辺の地域における環境を著しく悪化させるおそれがあること。

 行為(2)について、○○長は、平成○年○月○日付けで法第10条の9第4項の規定による命令(以下「○○造林命令(2)」という。)を行ったが、審査請求人は、現在に至るまで○○長からの命令内容に従った造林を行っていない。

(4) 県からの行政指導の不履行(以下「行為(4)」という。)

 審査請求人が行った土砂の搬入により、○○○○内の土地に所在する保安林が窪地状の地形となり、雨水等がたまることで立木が枯損し、保安林の機能が失われた状態となっている。これに対し、県○○環境森林事務所から保安林の機能復旧を指導されている(以下「県保安林復旧指導」という。)が、現在に至るまで履行していない。

(5) 県土砂条例上の許可を超えた施工の実施(以下「行為(5)」という。)

 県土砂条例(本件処分当時のものをいう。以下同じ。)第8条第1項において、特定事業を行おうとする者は、特定事業の用に供する区域ごとに知事の許可を受けなければならないとされている。また、県土砂条例第10条第1項において、第8条第1項の許可を受けた者は、同条第2項第2号から第8号までに掲げる事項を変更しようとするときは、知事の許可を受けなければならないとされている。なお、「特定事業」とは、県土砂条例第2条第3号において、土砂等埋立等区域(土砂等による埋立て等を行う区域をいう。)以外の場所から排出され、又は採取された土砂等による埋立て等を行う事業であって、当該土砂等埋立等区域の面積が3,000平方メートル以上のものをいうと定義されている。

 審査請求人は、平成○年○月○日付けで県土砂条例第8条第1項の規定による特定事業許可を受け、平成○年○月○日付けで県土砂条例第10条第1項の規定による変更許可を受けて実施した土砂等の埋立て等において、許可を受けた区域及び土砂量を超えた施工を行った。(許可内容 面積○○平方メートル、土量○○立方メートルに対し、面積○○平方メートル、土量○○立方メートルの土砂を搬入)

(6) 偽造公文書行使等の疑い(以下「行為(6)」という。)

 審査請求外○○、○○及び○○(以下「申請者」という。)が令和○年○月○日付けで行った○○○○地内における太陽光発電設備の設置に係る法第10条の2第1項に基づく林地開発許可申請の手続において、審査請求人は、令和○年○月○日付けで○○長宛て提出し受理された○○土砂条例第6条第2項の規定に基づく「小規模特定事業許可に関する届出書」の副本の記載内容を変造したものを、変造の事実を知らない申請者及びコンサル業者を通じて処分庁に対して行使する犯罪行為(刑法(明治40年法律第45号)第158条第1項の偽造公文書行使等罪に該当)を行った。

 このことについて、処分庁は、令和○年○月○日付けで○○警察署長に対して告訴状を提出している。

 以上の状況を踏まえ、処分庁は、審査請求人に対して、遵法意識が極めて低く、その資質及び社会的信用に重大な問題があると判断した。そのため、法第10条の2第2項各号の規定に適合する内容で開発行為を行う可能性は低く、更なる違反行為を繰り返すことが相当程度の蓋然性をもって予想されたことから、本件処分を行った。

4 本件処分の妥当性について

(1) 審査請求人の主張が、本件処分の理由に対してやむを得ない事情と判断できるものであって、本件処分の取消事由となり得るか

 審査請求人は、行為(1)から(6)までには下記のとおり理由があるので、本件処分の取消しをすべきであると主張している。審査請求人が主張している理由が、やむを得ない事情と判断されるか検討する。

ア 行為(2)について

 審査請求人は、○○、○○、○○、○○及び○○に所在する森林の伐採は、前所有者が行っており、審査請求人自身が行ったものではない旨主張している。

 本件審査請求を受け、処分庁が確認したところ、○○、○○及び○○については前所有者が伐採したこと、○○及び○○は無届伐採となっていることが分かった。

 法第10条の7の規定により、森林所有者は市町村森林整備計画に従って森林の施業及び保護を実施しなければならないこととされており、また、法第3条の規定により、土地所有者移転前の行為に瑕疵があれば、承継人がこの瑕疵による効果をそのまま引き継ぐこととなる。このため、審査請求人は、造林等の義務を負うところ、その義務を履行しなかったため、○○造林命令(2)が発出されたという経緯である。

 法第3条の規定により、前所有者の伐採であったとしても、現所有者である審査請求人は造林命令に従わなければならず、審査請求人が主張する内容は、○○造林命令(2)に従わない理由としては認められない。

イ 行為(1)、(3)及び(5)について

 審査請求人は、○○、○○、○○、○○、○○及び○○について、○○造林命令(1)が発出されたことを受けて造林を行ったものの、その後、県廃棄物・リサイクル課(以下「廃リ課」という。)から造林を停止するよう指示を受けたため、造林ができなかった旨主張している。

 処分庁の所有する資料によれば、○○造林命令(1)及び(2)が発出された後、行為(5)を理由として、廃リ課から改善指導を受けている。

 審査請求人は、廃リ課の指導により造林ができなかった旨主張するが、例えば、本件申請地とは異なる場所に土地を確保して、超過している土を搬入することも可能であり、必ずしも廃リ課の指導が造林命令を行えない理由にはならないと考える。そのため、審査請求人が主張する内容は、○○からの造林命令及び廃リ課からの改善指導に従うことができない理由としては認められないと判断する。

ウ 行為(4)について

 審査請求人は、土砂の搬入を行っていない旨主張するが、処分庁は、これらの地番に所在する保安林が窪地状の地形となり、雨水等がたまることで立木が枯損し、保安林の機能が失われた状態となっていることを問題視しているのであり、土砂の搬入の有無は無関係であるといえる。

 審査請求人の主張は、県保安林復旧指導に従わない理由としては認められないと判断する。

エ 行為(6)について

 審査請求人は、審査請求外○○(申請者が行った林地開発許可申請において、審査請求人と申請者及びコンサル業者の仲介をした会社)から、小規模特定事業許可に関する届出書に不備があると言われ、修正するよう指示を受けたが、これを県からの指示と認識したため、違法行為とは思わず、指示のとおりに修正したものであると主張している。

 処分庁が提出した弁明書及び提出資料によれば、当該届出書は、令和○年○月○日に○○が受理したもので、○○が保管している届出書の本書と審査請求人から提出された届出書の写しでは、「小規模特定事業区域に搬入する土砂等の排出場所及び土砂等を排出する者」のうち、土砂等の排出場所の住所が異なっていることが確認できるため、審査請求人の主張にある修正は、この部分と推定できる。

 この修正は、土砂等の排出場所を変更するものであり、審査請求人の主張及び処分庁の提出資料等によれば、○○へ相談もなく行われたものであるから、刑法に抵触するか否かの判断はともかく、少なくとも土砂等の排出場所の把握等、○○土砂条例に基づく適正な管理を阻害したことに疑いの余地はなく、違法な行為といえる。よって、審査請求人の主張は認められない。

(2) 本件申請について、法第10条の2第2項の許可要件に適合しないと処分庁が判断したことは適当か

 処分庁が審査請求人の資質及び社会的信用性の観点から判断した要素として、3に記載のとおり、本件申請に係る事業計画地において、法及び県土砂条例に違反した開発行為を行い、過去において、群馬県及び○○からの指導等を繰り返し受けているが、その指導に従っていないこと(以下「要素(1)」という。)及び審査請求人が関係する林地開発許可申請において、審査請求人が刑法第158条第1項の偽造公文書行使等罪に該当する可能性のある行為を行ったと処分庁が判断し、告訴を行ったこと(以下「要素(2)」という。)が挙げられている。

 要素(1)については、3に記載のとおりであり、審査請求人は理由があって行った旨主張しているが、(1)のとおり理由があるとは認められず、本件処分を取り消す理由に該当しないと判断したところである。

 そして、本件申請の事業計画地に関する違反行為に対して、是正命令が発出されているにもかかわらず、それを履行せずに林地開発許可申請が行われている。このことは、法違反等を継続している状態であるといえ、法の規定に適合した開発行為が行われることへの期待が失われ、信用性に欠けると判断をしてもやむを得ないものと考える。

 また、要素(2)については、前述のとおり、刑法に抵触するか否かは司法の判断によるものの、少なくとも○○土砂条例に基づく適正な管理を阻害した違法な行為と判断できる。そのような審査請求人に対して、遵法意識が低く開発行為を行うために必要な信用及び資質に欠ける事業者であると判断することは、やむを得ないものと考える。

 これらを踏まえれば、処分庁が、審査請求人が提出した申請書の内容に沿った開発行為が行われることへの期待を失い、法第10条の2第2項各号に規定するおそれが払拭できないと判断することは、妥当と認められる。

 さらに、審査請求人が行った行為(1)から(5)までについては、本件申請における事業計画地で行われており、これらの行為により、事業計画地内の森林の機能は損なわれている状態にある。そして、本件処分通知においては、法第10条の2第2項各号に規定するおそれがあると判断した理由について詳細な説明がなされているところ、その記載内容については合理性が認められる。

 このように、機能が損なわれている森林における林地開発行為について、法第10条の2第2項各号に規定するおそれがあると判断することは、当該森林の現に有する機能に鑑みて、一定の妥当性と合理性を有すると考えられる。

 以上のことから、本件処分に違法又は不当な点はないと判断する。

第6 結論

 以上のとおり、本件審査請求には理由がないから、「第1 審査会の結論」のとおり、答申する。

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