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平成23年度 ぐんま農業新技術
1 キュウリ経営における県開発キュウリ小型自動選別機の導入効果
(農業技術センター:企画管理部・企画経営係、環境作物部・機械施設係 電話:0270-30-7799)
労働力3人の体系で、県開発キュウリ小型自動選別機を導入すると、選別調製の時間が2割削減される。また、経営面積30アールの場合、10アールあたり導入コストは75千円/年であるが、導入により労働時間が減るため、家族労働費に換算すると166千円/年の労働費が削減される。
2 小麦「さとのそら」の成熟期簡易指標
(農業技術センター:環境作物部・普通作物第一係 電話:027-269-9125)
「農林61号」の成熟期簡易指標「出穂期からの積算温度915度到達日-1日」は、「さとのそら」にも適応可能である。
3 ヤマトイモ新品種「ぐんまとろりん(仮称)」の特性
(農業技術センター:園芸部・野菜第一係 電話:0270-21-1021)
ヤマトイモ新品種「ぐんまとろりん(仮称)」は、現地在来系統と比較して、調理や加工がしやすい「棒」形状と「ばち」形状が合わせて約95%を占め、形状の乱れが少なく、揃いが良い。
4 家畜ふん堆肥利用によるヤマトイモ栽培
(農業技術センター:園芸部・野菜第二係 電話:0270-61-0066 、畜産試験場 :資源循環係 電話:027-288-2222)
ヤマトイモ栽培において、代表的な家畜ふん(豚、牛)を施用することにより、化成肥料単用と同等の収量、品質が得られる。肥料コストは化成肥料単用に比べ、豚ぷん堆肥で約8割、牛ふん堆肥で約6割削減できる。
5 冬どりキャベツの凍害発生の品種間差
(農業技術センター:園芸部・野菜第二係 電話:0270-61-0066)
冬どりキャベツの凍害の発生には品種間差がある。凍害のうち結球外葉壊死症状の発生は、「晩抽理想」、「夢ごろも」、「彩音」、「冬くぐり」が少ない。内部黒変症状の発生は「彩音」が少ない。
6 アジサイ斑点細菌病の発生確認とポリカーバメート剤散布の防除効果
(農業技術センター:園芸部・病害虫係、花き係 電話:0270-62-1021)
近年、鉢物アジサイで問題となっていた細菌病は、Acidovorax valerianellae(アシドボラックス バレリアネラ)によるアジサイ斑点細菌病である。また、本病原菌はアジサイ以外にメロンに感染する。本病害は秋季管理中にポリカーバメート剤を散布することによって被害を軽減できる。
7 県育成イチゴ品種「やよいひめ」におけるミヤコカブリダニによるハダニ類の生物的防除
(農業技術センター:園芸部・病害虫係 電話:0270-62-1021)
県育成イチゴ品種「やよいひめ」を栽培している施設圃場で、ハダニ類生息密度をゼロに近づけてからミヤコカブリダニ剤を11月中下旬に放飼する。その後、ミヤコカブリダニに影響の少ない殺ダニ剤を散布することで、少ない薬剤散布回数でハダニ類の発生を低密度に管理できる。
8 促成アスパラガスの春定植1年半株養成法
(農業技術センター:中山間地園芸研究センター 電話:0278-22-3358)
促成アスパラガス栽培での春定植1年半株養成法は、セル成型苗を秋に苗床に仮植し越冬させ、春に本圃に定植を行う。この方法は、従来の秋定植1年半株養成法(平成16年度農家に移しうる技術 「夏播き短期株養成法」)と同等の収量が得られ、コンニャクとの輪作に適した株養成法である。
9 県育成リンゴ新品種「おぜの紅(くれない)」の交雑和合性
(農業技術センター:中山間地園芸研究センター 電話:0278-22-3358)
群馬県で育成されたリンゴ早生新品種「おぜの紅」は、S遺伝子型がS7S24で、県内の主要品種による受粉で結実の安定化が可能である。
10 水稲奨励(認定)品種「ゆめまつり」の品種特性
(農業技術センター:東部地域研究センター、環境作物部・普通作物第一係 電話:0276-72-0355)
「ゆめまつり」は、「あさひの夢」並からやや遅い熟期であり、収量、外観品質が安定して良好で、縞葉枯病、穂いもち、ツマグロヨコバイ、セジロウンカに抵抗性を有する病害虫複合抵抗性品種である。
11 施設キュウリの整枝法による収量・作業時間の比較
(農業技術センター:東部地域研究センター 電話:0276-72-0355)
施設キュウリ栽培において、主枝の下段から発生する子づるを1~2本つり上げる整枝法は、慣行の摘心栽培に対し収穫の切れ目が軽減され、A品率が向上し、A品収量が増加する。作業時間は慣行摘心栽培と同等かやや多く、つる下ろし栽培に比べると少ない。
12 有用物質を生産する遺伝子組換えカイコの実用性の向上
(蚕糸技術センター:蚕糸研究係 電話:027-251-5142)
県内の民間企業により作出された繭で有用物質を生産する組換えカイコに、当センターで育成した実用蚕品種「ぐんま」や「200」を繰り返し交配して選抜し、有用物質の収量を格段に高めた実用レベルの組換えカイコに改良することができた。
13 有用物質生産を目的とした遺伝子組換えカイコの飼育技術
(蚕糸技術センター:蚕糸研究係 電話:027-251-5142)
有用物質生産を目的とした遺伝子組換えカイコ2品種(「ぐんま200(A系統)」、「ぐんま200(B系統)」)が安定して全齢人工飼料育でき、計画どおり繭層を納品できる飼育標準表を作成した。
14 有用物質生産を目的とした遺伝子組換えカイコ繭の繭層調整技術
(蚕糸技術センター:蚕糸研究係 電話:027-251-5142)
有用物質生産を目的とした遺伝子組換えカイコ繭から蛹と脱皮殻を排出し、汚染部分を除去した高品質な繭層に調整する作業マニュアルを作成した。
15 遺伝子組換えカイコの通年飼育に対応したふ化幼虫の供給体系
(蚕糸技術センター:蚕糸研究係 電話:027-251-5142)
全齢人工飼料育によって年1回製造した卵を、即時浸酸法、冷蔵浸酸法、人工越冬法、越年処理の各方法を用いて保護することで、遺伝子組換えカイコの通年飼育に対応したふ化幼虫の供給ができる。
16 カジカの丸瓦を用いた人工産卵床による増殖
(水産試験場:水産環境係 電話:027-231-2803)
カジカ人工産卵床設置試験を行ったところ、丸瓦を用いた人工産卵床の産卵状況が良好であった。丸瓦は重量が軽く、カジカの産卵場に適した空間を容易に創り出せるため、人工産卵床の材料として優れていた。
17 遺伝子検査法(PCR法)を用いた迅速な魚病検査体制の構築
(水産試験場:水産環境係 電話:027-231-2803)
PCR法を用いた迅速な魚病検査体制の構築を行い、アユの疾病:6種類、マス類の疾病:7種類、コイ等の疾病:4種類の合計17種類の迅速診断が可能となった。また、ビブリオ病の検出が可能なPCR法およびアユの細菌性疾病の同時検出が可能なマルチプレックスPCR法の開発を行った。
18 マス類のウイルス病(IHN)を診断する実用化技術の開発
(水産試験場:水産環境係 電話:027-231-2803)
IHNはサケ科魚類に大きな被害を与える疾病であり、効果的な防疫対策を講ずるために診断の迅速化が強く求められている。そこで、特異検出が可能なRT-PCR法の検出感度等について検討を行った結果、G遺伝子領域を標的とした方法が最も優れていた。本法の導入により従来法の半分以下の3日程度でIHNの診断が可能となり、被害を軽減を図ることが可能である。
19 環境評価手法の開発とアユ不漁原因の究明
(水産試験場:水産環境係 電話:027-231-2803)
漁業協同組合において漁場環境の良否が判断できる手法を開発するとともに、放流依存型である内陸河川のアユ漁場では、釣り人が良好漁場に集中することによる漁獲圧で資源量が著しく減少し、短期間で不振漁場へと変移することを確認した。また、出水などで濁りが恒常的に発生する漁場ではアユが定着しにくく、不振漁場となっていた。
20 ギンヒカリの成熟遅延率を向上させる飼育技術
(水産試験場:川場養魚センター 電話:0278-52-2007)
ギンヒカリ1+魚の魚体重、飼育密度、および親魚の初成熟年度の違いによる2年成熟率と、0+魚の選別が雌雄比に与える影響を検討した。その結果、1+魚の魚体重が大きいほど2年成熟率が高くなること、飼育密度と親魚の初成熟年度の違いによる2年成熟率に差は認められないこと、0+魚の選別が雌雄比に影響を与えることが明らかとなった。
21 高泌乳牛への TMR飼料による飼料用米多給技術
(畜産試験場:大家畜係 電話:027-288-2222)
高泌乳牛の泌乳中後期において、濃厚飼料中に飼料用米を20.9%あるいは44.5%混合したTMR飼料を給与しても、乳生産に影響はみられないことから、飼料用米はトウモロコシの代替として活用できる。
22 生米ぬか給与によるオレイン酸割合の高い牛肉生産技術
(畜産試験場:大家畜係 電話:027-288-2222)
黒毛和種去勢牛に生米ぬかを濃厚飼料中8%添加したTMR飼料を出荷前12カ月間給与すると、飼料摂取量、発育および枝肉成績に差は見られないが、筋肉内脂肪の食味に関与するオレイン酸割合は高まり、脂肪酸組成の改善に有効である。
23 飼料用米の離乳子豚への給与効果
(畜産試験場:中小家畜係 電話:027-288-2222)
飼料用米をトウモロコシの代替として配合した飼料を4~8週齢の離乳子豚に給与すると、良好な発育成績が維持され、軟便が減る。
24 産卵後期の定量給餌による飼料節減技術
(畜産試験場:中小家畜係 電話:027-288-2222)
産卵後期において飼料摂取量110 グラム/日羽程度の鶏種に対し、100~105 グラム/日羽に減らして定量給餌しても生産性や卵殻質の低下は僅かで、飼料要求率は改善され飼料費が節減できる。
25 自給飼料サイレージと食品製造副産物を主原料とした発酵TMRの調製技術と特性
(畜産試験場:資源循環係 電話:027-288-2222)
自給飼料主体に調製された発酵TMRは、細断型ロールベーラで高密度にロール成形でき流通乾草主体のものと形状に差はない。有機酸生成は夏季調製で極めて多く、冬季調製では発酵に時間を要する。また発酵進度は、発酵粗飼料を主体とするTMRでは緩やかに進む。
26 小麦「さとのそら」の高品質安定生産のための栽培法
(農業技術センター:環境作物部・普通作物第一係、東部地域研究センター 電話:027-269-9125)
播種適期は11月20日前後とし、播種量は7.0キログラム/10アールを目安とする。施肥体系として基肥量は「農林61号」よりも多肥の10キログラム/10アール(窒素)を目安とし、収量と蛋白質含量を確保するため3~4月に2.0~4.0キログラム/10アール(窒素)の追肥を実施する。
27 キャベツ苗移植同時粒剤植穴施用装置の開発
(農業技術センター:高冷地野菜研究センター 電話:0279-96-1011)
キャベツ苗の定植と同時に殺虫粒剤を植穴に施用できる装置(移植同時粒剤植穴施用装置)を開発した。本装置は、ゴム製ディスク式のキャベツ用半自動移植機に取り付ける装置である。本装置は移植機と連動し、定植しながら植穴位置に粒剤を定量施用することができる。
注)1~25の技術については、平成23年4月に公表、26・27の技術については、平成23年10月に追加公表されたものです。