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群馬県家畜排せつ物利用促進プラン

更新日:2021年3月30日 印刷ページ表示

令和3年3月策定 「群馬県家畜排せつ物利用促進プラン」(PDFファイル:213KB)

「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」(平成11年法律112号。以下「法律」という。)に基づく管理基準は、すべての法適用対象農家において遵守されているものの、畜産経営の大規模化、地域的偏在により、生産した堆肥を経営内、又は地域内外において如何に有効に活用していくかが課題となっています。

 このため、県・市町村・農業関係団体・畜産農家・耕種農家等の関係者が一体となって、令和12年度を目標年度とし、家畜排せつ物の利用の促進を図るための、計画的な取組みを推進するものとします。

第1 家畜排せつ物の利用の目標

1 現状と課題

 本県における家畜排せつ物の発生量は、飼養頭羽数から推定すると、平成30年度現在、約2,917千トンになります。そのうち、肥料としての農業利用量が約1,740千トン(うち県内耕種農家利用716千トン、畜産農家利用866千トン)と推計され、尿浄化処理等が756千トン、発酵過程等での減量化量として421千トンが見込まれます。
 
 家畜排せつ物は畜産経営から発生する副産物ですが、自給飼料の生産や耕種農家の土づくりに不可欠な有機質資源であり、今後も、農業生産力の維持・増進を図る上で極めて大きな役割が期待されています。
 しかしながら、近年、飼養規模の拡大等がなされた結果、1 戸当たりの家畜排せつ物の発生量が増大しており、自己経営内、又は地域内における家畜排せつ物の循環型利用が困難になっています。

 多くの処理施設は、法律の施行当時に整備され、老朽化に伴う処理能力の低下と、施設の維持・補修に要する経費や労力の増加が課題となっています。利益が得にくい家畜排せつ物処理施設については、修繕や更新のための費用を計画的に留保し、適切な再投資を確保していくことが必要です。
 また、畜産経営の体質強化が求められる中で、規模拡大に取り組む畜産農家も多く、既存の処理施設では処理能力の不足が懸念されるため、増加する家畜排せつ物の適正な管理や利用を推進する必要があります。

 エネルギー利用については、再生可能エネルギー電力の固定価格買取制度が平成24年度から開始され、北海道を始めとした畜産業の盛んな地域において利用が増加していますが、高額な施設の維持・整備費や副産物の利用体系の確立等が課題であり、本県における利用はまだ進んでいない状況にあります。

2 基本的な対応方向と目標年度の利用量

 家畜排せつ物の利用促進と畜産環境周辺整備等を積極的に推進し、本県畜産業の健全な発展に努めます。

(1)家畜排せつ物の利用量

 令和12年度の家畜排せつ物の発生量は、酪農・肉用牛生産近代化計画等の飼養動向の推移から約2,901千トンと推定されます。発酵過程等で減量化される量として約409千トンが、また、養豚経営における尿の浄化処理等により約764千トンが肥料以外で処理されると見込まれます。このため、令和12年度における家畜排せつ物の肥料として農業利用に供給される量は、約1,728千トンと推計されます。

(2)堆肥の利用拡大

 ア 堆肥の地域内での利用促進
 畜産農家は、経営内で生産した良質な堆肥を適切に施用することにより、自給飼料生産に取り組むことが重要です。また、飼育規模の拡大により堆肥の生産量が増加する場合には、地域内における耕畜連携を強化し、堆肥利用の一層の拡大を推進します。
 イ 堆肥の広域的な流通の円滑化
 堆肥の生産量が需要量を上回る地域では、堆肥の広域流通が必要です。需要者ニーズに対応した堆肥の生産が重要であり、高品質化に加え、取扱性や運搬性の向上を図ることで広域利用を推進します。また、新たに施行された肥料の品質の確保等に関する法律により堆肥と化学肥料の混合に関する規制が緩和されたことを踏まえ、必要に応じて肥料メーカー等とも連携しつつ、堆肥需給のマッチングを推進します。

(3)家畜排せつ物のエネルギー利用

 畜産農家の飼養規模拡大等により、家畜排せつ物を肥料として地域内で利用することには限界があるため、バイオマスとしてのエネルギー利用を検討します。これらの技術導入に当たっては、経済性や副産物への対応を十分に考慮することが必要であり、今後の技術開発の動向や進展状況を踏まえた中で、有効な技術には導入支援を行い、エネルギー利用の推進と畜産環境問題の解決を図ります。

(4)畜産環境問題への対応

 畜産農家における適正な家畜の飼養管理、施設管理を指導します。また、機械・施設の整備、有効な処理技術の導入による臭気・汚水対策の強化を推進します。

第2 処理高度化施設の整備に関する目標

1 目標設定の基本的考え方

 整備を行う処理高度化施設は、堆肥の利用拡大や、畜産環境対策の推進を図るための施設とし、令和12年度を目標年度として、既に整備された施設の稼働状況等を踏まえ、更に処理機能の高度化を図ることを基本とします。また、地域内に広く普及すると見込まれるものであって、効率的で低コストなものとなるように努めます。

2 施設整備等の現状

 令和元年の家畜排せつ物法施行状況等調査では、法に基づく管理基準の適用を受ける農家は1,060戸ありますが、このうち98%以上の農家が簡易施設を含め、何らかの処理施設で家畜排せつ物を管理しています。

第3 家畜排せつ物の利用の促進に関する技術の研修の実施その他の技術の向上に関する事項

1 技術開発の推進

 家畜排せつ物の利用促進を図るためには、低コストで実用的な技術の開発を推進することが重要です。県畜産試験場では、関係機関や民間企業との連携を図りつつ、臭気対策や家畜ふん尿処理・利用に関する試験研究を実施し、新たな技術の普及・定着に取り組んできました。今後も、畜産農家が導入しやすい臭気対策や、耕種農家が利用し易い堆肥製造技術の開発に取り組み、畜産農家と地域との共存並びに、家畜排せつ物の利用促進を支援します。

2 情報提供及び指導に係る体制の整備

 開発された技術が速やかに生産現場に普及されるためには、関係機関担当者の資質向上が重要です。家畜排せつ物の利用の促進を図り資源循環型畜産を確立するために、「畜産環境保全対策推進事業」の取り組みを通じて、各種技術研修会の開催や現地実証ほの設置、啓発資料の作成・配布等を行い、新たな技術の普及・定着を図ります。
 また、これらの研修会等での技術を農家等への指導に資するため、県域・地域において、関係者を含めた指導協議会等を設置し、効果的な指導体制を確立します。

第4 その他家畜排せつ物の利用の促進に関し必要な事項

1 消費者等の理解の醸成

 本県畜産業の健全な発展を図るためには、畜産業に対する消費者や県民の理解を醸成することが必要です。
 このため、県・市町村及び関係団体は、畜産農家を始めとする関係者が一体となり畜産環境対策に取り組んでいる実情や、堆肥による土作り効果等の資源循環を基本とした畜産業の社会的意義について、消費者や県民への理解醸成に努めるものとします。

2 家畜防疫の観点からの堆肥化の徹底等による防除対策の強化

 家畜防疫の観点からも、堆肥化を適切に行うための対策を講じることが重要です。
 野生動物等による、病原体の家畜排せつ物を介した拡散や堆肥の汚染等の可能性について、定期的な巡回指導により注意喚起を図ります。また、堆肥運搬車両を通じて病原体が伝播する可能性があるため、堆肥運搬車両の消毒等を指導することで、家畜排せつ物の管理・運搬における防疫対策を強化します。