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東京海上日動火災保険(中国)有限公司

1 調査先及び対応者

 東京海上日動火災保険(中国)有限公司 大野博仁董事長総経理、平塚隆之上海公司総経理

2 調査日時

 平成24年11月7日(水曜日)16時25分~17時30分

3 調査目的

 企業進出に係る危機管理面でのサポート体制についての参考とするため、保険事情の現状等について現地調査する。

4 調査先概要

 東京海上日動火災保険(中国)有限公司は、日本から最も早く中国に進出した損害保険会社として、上海をはじめ中国国内数カ所に支店等を開設しており、その豊富な情報量とノウハウでもって中国に事業展開をする企業に対してリスクマネジメント面などでのサポートを行っている。

5 説明要旨

  • 1980年、北京に事務所を設立。(外資系保険会社としては一番早く進出)
  • 2008年11月に法人化(さまざまな規制等もあり苦労した。)
  • 現在は本社の他、上海・北京・江蘇・広東の4支店と、北京・大連・杭州・成都の4代表処(事業所)で事業を展開
  • 従業員:日本人は34人、現地採用者は約300人
  • 元受保険料:4億7,400万元(約59億円)<外資系保険会社としては全体で3位>
  • これまでは右肩上がりで業績も伸びてきたが、今年ぐらいから中国経済自体に少し減速傾向が見えてきたことと、先の反日デモも重なって保険会社としても大変に厳しい現状となってきている。
  • 反日デモについては、日本でも相当報道されたが、実は、かなり公安が押さえ込んだこともあり、北京や上海などの大都市ではそれほどの酷い状況ではなかった。
  • 物的損害については、保険会社が担保するところであって、通常、日本では労働争議は保険対象とはしていなが、中国ではそうしたものも担保するケースが多い。
  • 当社としても物的被害にあったいくつかの企業の保険を受けており、今後それらの補償をしていくこととなる。また、今後は利益損害に係る補償も想定される。
  • 自動車や家電などの完成品の販売は、実際に大きく売上げは落ちて、かなり苦しんでいるのは新聞報道のとおりである。当社とすると、そうした企業の物流に係る保険に加入いただいており、影響もかなり出ているのが実情である。
  • 一方で、中国やアメリカ、ヨーロッパ等の企業に部品供給している日系企業はそれ程の影響は受けていない。(自動車や家電の関連企業は同様に影響を受けている。)
  • 今後、どうなっていくのかだれにも分からないというのが現状である。近く中国の政治体制も大きく変わるが、いずれにしても先行きの不透明感は拭いきれていない。
  • 多くの企業で中国戦略の見直しをしていると思うが、人も多く、成長しているのは間違いない事実であり、「自分たちは何とか成功しよう」という積極的な企業もまだまだ多くあるなど、将来性があることは実感するところである。
  • グローバルに動く企業にとっては、この国での事業を諦めてしまうという決断もなかなか出来ない。「行くも帰るも茨の道」といった状況にあるのではないか。
  • 群馬県からの進出企業とも取引があり、また、群馬銀行の上海事業所(同ビル内18階に設置)ともタイアップして支援にあたっている。

中国における保険マーケットの実情

中国保険監督官庁について

  • 保険事業は中国保険監督官庁(日本での金融庁にあたる)からの認可事業である。
  • 中国でも5年計画で「監督指針」と「目標」を掲げるなど重要な施策となっている。
監督指針
  • 消費者保護:保険の普及、消費者保護の強化、サービス強化
  • 構造改革:市場の差別化競争の促進、商品・販売チャネル構造・サービス水準向上
  • 新しい創造:新商品・新販売チャネル・新サービス・新管理体制の創造を推進し、国際競争力を強化
  • リスク管理:保険会社のガバナンス態勢・内部統制の強化を通じた万全なリスク体制の構築

外資保険会社に対する主な規制について

  • 国内付保規制:保険法により、保険を付保(契約締結)する場合には、国内の保険会社とすることが義務付けられている。
  • 引受規制:大規模商業物件と貨物保険を除き、各省・直轄市単位で支店がないと元受業務が出来ない地域制限あり。また、自賠責保険は本年4月末まで外資系保険会社は引受けが出来なかったが5月に開放(現在認可申請中)。

中国の損害保険マーケットの現状について

  • 日本では年間で100~102%程度の伸び率だが、中国では110~120%になっている。
  • 損害保険の約4分の3は自動車保険である。
  • 損保のシェア:地元保険会社41社と外資系21社があるが、地元の大手会社3社(人民保険、平安保険、太平洋保険)だけで全体の約7割を占めているような寡占状態であり、外資系21社で全体の1.1%のシェアである。(外資系1.1%の内の9.1%が東京海上のシェア:日系としては1位、全体では3位)
  • 規制が厳しく自由に営業活動が出来ないのが実情である。

主な商品ラインナップ

 財産保険、地益保険、機械保険、貨物保険、公衆責任保険、産品責任保険、雇主工傷責任保険、団体意外傷害保険、自動車保険など

その他

  • 2009年からは全国青年連合会と協力し、青少年育成支援事業を実施している。

6 主な質疑応答

質問:市内に自動車が溢れ、事故も増えている状況のようであるが、自賠責保険の今後の見通しはどうか。

回答:現状は日系企業の社有車の保険の一部を扱っているのみで、現地の方の保険はほとんど受けられていないのが現状である。今後に向けていろいろと努力しようとしているが、大変に難しい現実問題もあり考えあぐねている。中国の自動車保有台数はまだまだ伸び、それに応じて保険が伸びるのも確実であるが、大手の地元保険会社が日本より進んだ自賠責保険(事故発生後30分以内に保険金を支払うといったもの)を始めているなど、太刀打ちができない状況もある。

質問:今回の反日デモにおける保険金の支払い額はどうなっているのか。

回答:各企業ともまだ損害額を算出中であり、支払いは今後となる。

質問:上海に進出してきている日系企業の損保加入率は分かるか。

回答:上海に進出してきている企業は大小併せて8千社ぐらいだろうと言われており、人数でも10万人ぐらいと言われているが、実際に登録されているのは約5万人程度である。大規模展開している企業から、1人事務所や共同事務所を持っている方までさまざまな中で、結論的には加入率は把握していないのが現状である。

質問:地方公共団体の事務所も多く設置されているが、何か連携しているのか。

回答:直接的な連携は今のところまだできておらず、今後進めていきたいと思っている。また、実際には地方銀行より先に企業側が進出して来ている現状もあるなど、後発になっている地方銀行とは情報提供を含めて提携させてもらっている。

中国の保険事情等について説明を受けるの画像
中国の保険事情等について説明を受ける


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