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海外調査に関する委員長報告(平成24年11月定例会開会日)

 国際戦略対策特別委員長 久保田 順一郎

 国際戦略対策特別委員会では、去る11月6日から8日までの3日間、中国・上海市における海外調査を実施しましたので、これまでの経緯や実際の調査概要等についてご報告申し上げます。
 本委員会は、本年5月定例県議会に補正予算として予算計上された中国・上海事務所について、来年4月開所予定に向けて準備が進むなか、当該議案が今後の県内産業の活性化や県民生活の向上に、適切かつより効果的に働くかを審査することを第一義とし、群馬県の国際戦略の推進について、総合的かつ集中的に審査・提言を行うことを目的に、以下3つの観点を申し合わせ事項として委員会付議事項に掲げ、設置されたものであります。
 まず、「外国人観光客の誘客促進に関すること」、「農畜産物等の販路拡大に関すること」、「県内企業の海外ビジネス展開の支援に関すること」の以上3点であります。
 群馬県議会の特別委員会は、かつては群馬県行政に対して議会側からの広い知見を踏まえた政策提案・政策提言を行うことを目的に設置されてきた時期がありましたが、近年は「議会改革」の名のもとに、県の施策の中で特に重要と思われる案件について、所管組織をまたぐ事案や集中審議が必要とされる事案等、行政施策を各般に渡る観点からチェックすることを目的とした特別委員会設置と、その活動を行うものとして議会機能が推移しておる次第でございます。
 近年の県内産業活動を顧みますと、ここ十数年の間に中小企業も含め多くの県内企業が海外進出を果たしており、国内・県内の商取引ばかりでなく、生産活動は広くアジア圏に拡大し、海外からも多くの観光客を誘客するなど、国内のみならずアジア諸国を中心とした諸外国へも著しい広がりを見せております。
 そこで当委員会においては、そのような観点から当該事案の審査を行って来たと同時に、今後の国際戦略推進に係る多くの活発な議論も併せて行われてきたところであります。
 また、その議会活動をより明瞭にすべく、特に国境を越える海外調査に当たっては、昨年度以来の慎重な協議を重ね、その実施計画や立案手順をルール化し、入念な事前調査と第三者を構成員とする「委員会調査審査会」において、「調査の必要性」が認められたものに対して議長承認をいただき、実施計画を進めることを決定したところであります。
 なお、尖閣諸島の国有化問題を発端とした「反日デモ」が9月中旬より中国国内各地で起こり、情勢不安に見舞われたこともありましたので、既に上海に事業所を置く群馬銀行をはじめとし、多方面からの現地情報の収集を行い、直近の9月下旬には委員間での協議も行って、計画どおりに調査を実施することの是非について検討いたしました。
 結論としては、情勢も安定化に向かっていることや、多くの県内企業関係者等も中国に在住していることも事実であり、そのような状況下にあるからこそ、実際の現地を調査することに意義があるとの観点から、計画どおり調査を実施することを決定し、過日の調査実施に至った次第であります。
 それでは、実際の調査概要についてご報告いたします。
 はじめに、初日に訪問した「在上海日本国総領事館」についてでありますが、当日は泉裕泰総領事から、上海市を含む1市4省の管轄地域の現況などについて説明を受けた後、先の反日デモによる影響やデモ発生の要因、観光誘客に係る他県等の動向、中国国内における格差の実態、農産物の販路拡大のためのアプローチ方法などさまざまな質疑がされるなど、活発な調査が行われました。
 また、総領事からは、いろいろと厳しさもある中国であるが、今後も間違いなく増大していく市場に対し、「将来、この国において一定のシェアを占めてやろう」というような、強い意気込みをもって企業にはチャレンジしてほしいとの見解も伺い、まさしくそのとおりであると感じた次第であります。
 次に、2日目の午前中には、まず「群馬県上海事務所予定場所」を訪れ、現場の確認を行うとともに、準備室長及び関係事業者から概要説明を受けました。その後、施工や事務所運営のための経費面や、ビルの管理上での安全面、在籍する職員の処遇面、開設許可の進捗状況などについて質疑が行われました。
 なお、事務所を設置する上海国際貿易センタービルは、24階にある事務所の窓から総領事館が眼下に見えるほど近く、また、既に15道府県の上海事務所や、関係団体の事務所なども入居しており、開設後の事務所運営にあたり、しっかりと連携が図っていけるものと認識したところであります。
 続いて、同じビルの17階にある「茨城県上海事務所」を訪れ、所長から事務所業務の概要について説明を受け、また、去る9月18日のデモの状況についても、当日、事務所から撮影した写真も交え説明を受けました。その後の質疑では、平成8年に他県に先駆けて事務所を設置した経緯や、茨城県からの企業進出の状況、観光誘客イベントへの出展状況などついて詳細を伺いました。
 なお、茨城県上海事務所とは、来年度の本県事務所開設後も、北関東3県、あるいは、磐越を併せた5県の連携による事業展開も考えられることから、今後の事業協力について依頼を行ってまいりました。
 次に、午後は、本県からの進出企業で、市街地から少し離れた郊外の工業団地にあります「信泰鹿島電子(上海)有限公司」を訪れ、鹿島社長及び現地責任者から工場や事業の概要について説明を受けるとともに、工場内を案内していただき、生産現場の状況を調査してまいりました。質疑では、同社の上海進出や現在の場所に工場を設けた経緯、どのような企業から仕事を受託しているかといった状況、設備投資に対する考え方などについて伺いました。
 なお、工場には現在350人程の従業員がおり、その多くは中国の内陸出身者とのことでしたが、視力の良さが必要とされる精密部品を扱う仕事ということで、若年層が中心に働いている職場であり、「人力資源が要」との説明に納得をしたところであります。
 2日目の最後は、上海の新都心として、金融・貿易・経済の中心地となっている浦東新区にあります「東京海上日動火災保険(中国)有限公司」を訪ね、大野社長及び担当者から、同社の事業概要や中国における損害保険マーケットの現況と併せて、反日デモに係る保険面での状況などについて説明を受けた後、関連の質疑を行いました。
 なお、今回の騒動後に中国戦略を見直している企業も多いとのことでありましたが、まだまだ成長を続ける市場であり、企業側にとっても難しい判断を迫られることになるだろうとの見解も伺い、中国に進出する企業にとっては、リスク管理も大切な要因であることを改めて実感した次第であります。
 また、中国における損害保険全体の4分の3が自動車保険とのことでありましたが、実際に街中をバスで移動していても、道路には自動車が溢れて渋滞が発生するなど、交通事故の発生が多くなることは容易に想像できる状況であり、リスクの1つとして捉える必要性があると感じました。
 最後に、3日目の午前中には、「JTB(上海)国際旅行社有限公司」を訪ね、中村社長及び担当者から、同社の事業概要の他、反日デモの影響を踏まえた現在の訪日旅行者の動向や、今後の見通しなどについて説明がありましたが、去る10月の実績では、日本向けの団体ツアーに多数のキャンセルが発生するなど、本当に深刻な事態であったことも分かり、今後、お互いの国のためにも早期の関係修復が望まれると実感した次第であります。
 また、関連の質疑の中で、今後の観光誘客についての質問に対して、相互で旅行客を送り込むことや、富裕層に対する「健康」や「ゴルフ」などをテーマとした誘客が有効なのではないかとの考えと併せて、現在、中国において知名度が上がってきている北海道や九州、沖縄なども、かなり以前から地道なPR活動を行っていた経緯があるとの話を伺い、今後、ある程度の時間を掛けて、「群馬の魅力」を継続してPRしていくことが大切だと感じたところであります。
 なお、質疑終了後には、近くの地下鉄コンコースの日本食店(ファーストフード店等)が多く入っている場所もご案内いただきましたが、そこは反日デモの際にも、地元の中国人客で大変に賑わっていたそうであります。
 以上、3日間で6カ所の調査先を訪問した他、初日の夕食の際には、現地で活躍されている「上海ぐんまサポーターズ」の方々と意見交換も行うなど、大変に多忙な調査日程でありましたが、密度の濃い有意義な調査を実施することができたと考えております。
 今回の反日デモの件も含め、日本国内における報道では、現地の一部の象徴的な場面をクローズアップして取りあげていることも多く、やはり自らが現地に行ってみて、直接、生の情報を得たり、現地の情勢を実際に体感することが、いかに重要であるか強く再認識したところであります。
 なお、今回の調査で、各委員がそれぞれの視点でもって現地で得た成果については、今後の委員会審査等において大いに活用していただくとともに、調査の詳細と併せて報告書に取りまとめ、後日、議員各位にも配付することといたします。
 最後に、今回の調査にあたり、ご協力いただきました各関係の皆様に対し感謝を申し上げ、委員長報告といたします。


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