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海外調査報告書(平成24年 国際戦略対策特別委員 大手 治之)

 国際戦略対策特別委員 大手 治之

 去る、11月6日~8日の日程で、中国・上海への海外調査が行われた。今後、上海において、群馬県事務所を設置する場合、参考となる様々な要素を模索することが調査の目的で、群馬県議会議長の命による調査であった。
 しかし、9月中旬、中国国内において日本に対する反感・略奪ともいえる大規模な暴動が発生した。このような時期に訪中して大丈夫なのかという不安と、このような時期だからこそ訪中する意義があるのではないかという使命感、種々の考えが交錯した。
 そして、国際戦略対策特別委員会の中で、議論を重ねた結果、海外事務所を持つ各自治体や企業の現地での状況を、我々の目で見、身体で触れ、見聞する必要があるとの結論に至り、いよいよ海外調査へ赴いたのである。
 私は、上海万博が開催されていた頃、『富岡製糸場を愛する会』のメンバーとして上海を訪れている。中国の人々に対し、世界遺産登録に向けて富岡製糸場のPR活動を行った。富岡製糸場の価値を、世界遺産に登録すべき意義を、是非とも理解してもらいたいとの強い願いから、万博会場内のワンブースを『富岡製糸場を愛する会』の資金で借り、行政に先駆けて行動した努力の日々を思い出した。当時と比較して、中国国内の現状や上海の日常の変化に強い関心を持っての調査であった。
 初日は、在上海日本国総領事館にて、泉裕泰総領事より上海の現状を詳細にご説明いただき、意見交換を行った。中国の暴動は過剰であるが、公安の規制の下で行われたという側面があるということ、企業支援や観光誘客に継続して努力していく必要があるということ等についてお話しいただき、群馬県上海事務所の開設についても力強いご支援をお願いした。
 2日目は、群馬県上海事務所設置予定地の調査を行った。今さら、上海に事務所を設置するのかという意見もあるが、中国国内には、すでに30以上の道府県が事務所を設置しており、そのうち24事務所が上海に設置されている現状を踏まえ、本県においても平成25年度開設を目指し、整備を進めているところである。実際に現地を訪れてみると、改めてその必要性を痛感し、早期の実現を願うものである。設置予定地は総領事館にも近く、付近には日本企業も多数ある。上海国際貿易センタービル内の24階の一室で、家賃は月額約30万円とのことである。立地環境がよく、治安の面でも安心で、中国との交流を推進するための出城として、設置に値する意義のあるものであると感じた。
 また、平成8年に開設した茨城県上海事務所では、ビジネス・経済・文化・教育等の幅広い分野で支援活動を行っていること。特に、雇用問題に関する法律相談、通訳、コンサルタントなど、今後の群馬県事務所の設置にかかわる問題解決に、大いに参考となるお話を、先輩県として的確にアドバイスしていただいた。
信泰鹿島電子の工場見学においては、無駄のない作業の行程や手順等、ここまでに至るには、さぞご苦労も多かったであろうと感慨しきりであった。
 さらに、東京海上日動火災保険では、中国に事業展開する企業に対してのリスクマネジメント等のサポートを行っているほか、中国の自動車保険への参入の難しさなどのお話を聞かせていただいた。
 最終日は、JTB(上海)国際旅行社において、将来的な観光誘客に向けて、9月に発生した反日デモが日本国内に及ぼす影響への懸念等についてお話いただいた。また、興味深い例として、日本は『温泉』を観光の目玉として売りにしているが、中国では、本当の温泉というものをよく知らない人が多く、温泉の成分や効能等を詳細にPRする必要があること、また、ゴルフや医療施設等を組み合わせたプランで、富裕層にターゲットを絞る等々、早速、施策に反映できそうなお話を多く伺うことができた。
 以上、行程の話であったが、今回の調査を総じて思うことは、「臆するばかりではなく、まずは一歩前へ歩を進めること」の大切さである。調査先のどの方のお話しでも、反日デモの件に関しては、日本のメディアが過剰すぎるのではとの意見が多数あった。「百聞は一見にしかず」というが、現地の状況を自身の五感で感じることができたことの意義を実感している。
 お世話になった関係の方々へ厚く感謝申し上げ、群馬県上海事務所の早期開設と成功を、さらに願うものである。


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