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海外調査報告書(平成24年 国際戦略対策特別委員 舘野 英一)

 国際戦略対策特別委員 舘野 英一

 中国全土で展開される反日運動、押し寄せるデモ隊に燃やされる日本の国旗や、倒され、破壊された日本車、略奪される日本のスーパーや企業、目を覆いたくなる光景がTVに映し出される。
 群馬県が上海事務所開設の直前ということで、委員会として確認の責務を重く感じて今回の調査に参加した。
 最初に訪問した在上海日本国総領事館の総領事の話では、「上海の人達は皆、日本の事を好きです。日本に旅行して温泉に入り、美味しい日本食を頂き、信頼できる日本の製品を買って帰る。」これを希望しているとのこと。
 また、訪問した日系企業では、日本の経営者と中国人幹部の方々が温かく出迎えてくれて、多くの青年が働く工場内を見学した。「日系企業で働く若者は先端技術を身に付けたい思いと、日系企業で働くのはステータスです。」とも言っていた。日本からの進出企業約8,800社、群馬からも180社にのぼる。金融や保険、観光業も訪問したが、その活動は中国社会の大きな部分を占め始めている。
 街に出ても、寿司屋だけでなく、ファミリーマートやセブンイレブン、ファーストフード、たい焼き屋さんまである。若者は、音楽やファッションも日本風が大好きなようだ。
 上海は日本人家族が多く住んでおり、日本人学校の生徒数も約3,000人にのぼる。また、外国との交流の窓口にもなっており、中国発給ビザの4割を占めている。貿易立国日本としては、中国は欠くことのできないマーケットであり、アジアの隣国としてよい関係を作り付き合っていかなくてはならない国だと思う。
 他県と比較して遅いといわれる事務所の設置だが、現在の日中関係の再構築を考えると、この時期の開設は新鮮度があって、取組みやすさも出てくるかも知れないとのこと。
 
<戦略3本柱>

  • 観光誘客の促進(具体的には、温泉:良質な成分や効能の明記、ゴルフ:ゴルフ人口は急激に増えている状況への対応、医療:重粒子治療や高度な医療)
    群馬を何で売り込むか、富裕層のターゲットを絞り込む必要がある。
  • 農畜産物等の販路拡大
  • 企業のビジネス展開の支援

 等は、上海事務所の業務として早急に取り組むべき課題だと思う。
 それにしても、長年かけて築いてきた日中関係が、なぜこの様な状態になってしまったのか?
 中国にも急速な発展途上においていろいろな問題が出ている。
 貧富の差による底辺社会の不満の要因として、失業問題や住宅・医療をはじめとする生活上の安定感が全くない人たちの急増、中国社会全体がピリピリしている状態なのだ。
 誰もが判っている・理解している問題を知らなかったとしか言いようのない対応をしたのが、日本の政治・今の政権だったのかもしれない。
 漁業や海洋資源を含む領土問題に揺れる東シナ海を「友愛の海」と呼び、何の裏づけもない東アジア経済圏、沖縄の基地問題についても、なんとも軽率な発言、日本が間違いだらけの発信をしてしまった結果だと思う。修復には多くの努力が必要とされるが、今、群馬県が出来る事は何か。
 今まで進出した多くの企業を支援し、中国に暮らす人達に安心感を与えると共に、更なる交流の輪を広げ貿易往来と国際経済に貢献するべきだと思う。
 そのための拠点たる群馬県上海事務所を設置し、地方都市としての役割を具体的に果たすべき重要な時期に来ている事を自覚し、委員会活動に活かして行きたい。


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