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社会基盤づくり特別委員会が県内調査を実施しました(平成25年7月10日)
1 調査目的
閉会中の委員会活動として、下記事項について県内調査を実施し、今後の本県施策の進展に役立てます。
「総合的公共交通環境の整備に関すること」
2 調査期日
平成25年7月10日(水曜日)
3 調査項目
地域鉄道は、地域住民の通学・通勤などの足として重要な役割を担うとともに、地域の経済活動の基盤ですが、近年の少子高齢化やモータリゼーションの進展等に伴い、極めて厳しい状況が続いています。
本県においても例外ではなく、中小私鉄等3路線では県や沿線自治体の支援を受けながら、乗降客確保に向けて懸命の取り組みを続けています。
そこで、社会基盤づくり特別委員会の付議事件のうち、「総合的公共交通環境の整備に関すること」について、県内中小私鉄等3路線を取り巻く現状を集中的に調査しました。
(1)上信電鉄株式会社(高崎市)
上信電鉄株式会社は、明治28年(1895年)に上野鉄道として設立され、30年(1897年)5月に開業、同年9月に高崎~下仁田間33.7キロメートルが全通しました。これは、現存する日本の地方民鉄路線の中では、伊予鉄道についで二番目に早い開業です。1980年代半ば頃には急行、快速、準急といった優等列車も運転されていましたが、現在は全列車がワンマン運転の普通(各駅停車)です。利用客を増やす試みとして、運行している電車、デキ型電気機関車を用途自由(イベント・写真撮影・車掌体験等)で貸切運行できるサービスなどを行っています。
また、世界遺産登録を目指す富岡製糸場への鉄道交通としても重要な意味を持つことから、国と県、沿線市町村の全額負担により、新車両を平成24年度と25年度に1両ずつ計2両導入します。上信電鉄の新車両導入は昭和56年(1981年)以来31年ぶりのことです。
上信電鉄(株)における調査
(2)上毛電気鉄道株式会社(前橋市)
上毛電気鉄道株式会社は、大正15年(1926年)に会社創立し、昭和3年(1928年)、中央前橋~西桐生間25.4キロメートルで営業を開始しました。県都前橋と生糸・織物で栄えた桐生を結ぶ路線として賑わいましたが、1960年代に入り急速に進展したモータリゼーションなどにより通学客以外の利用が減少しました。現在の主力は高校生の通学輸送ですが、大胡駅を最寄りとする県立前橋東商業高等学校が県立前橋商業高等学校との合併のため平成20年(2008年)度をもって閉校となるなど、厳しい状況が続いています。特徴的な取り組みとして、電車運賃のみで車内に自転車を持ち込むことができる「サイクルトレイン」を全線で実施しています。
上毛電鉄(株)の「水族館電車」に乗車
(3)わたらせ渓谷鐵道株式会社(みどり市)
わたらせ渓谷鐵道は、桐生~間藤(栃木県日光市)間44.1キロメートルを営業路線とします。前身は東日本旅客鉄道(JR東日本)足尾線であり、往時は足尾銅山から産出される銅の輸送などで賑わいましたが、昭和48年(1973年)の閉山に伴い、旅客・貨物ともに輸送量が大きく減少しました。廃線の危機もありましたが、沿線市民の存続活動により平成元年(1989年)までJR東日本足尾線として残りました。同年から第三セクターである、わたらせ渓谷鐵道株式会社が路線を引き継ぎ、現在に至っています。同社は観光客輸送に力を入れ、平成10年(1998年)からは、大間々~足尾間で観光列車「トロッコわたらせ渓谷号」を、さらに平成24年(2012年)からは、桐生~間藤間で「トロッコわっしー号」の運転を行っています。
わたらせ渓谷鐵道(株)大間々駅にて
4 出席委員
委員長:中沢丈一、副委員長:萩原渉
委員:橋爪洋介、委員:伊藤祐司、委員:茂木英子、委員:井田泉、委員:須藤和臣、委員:後藤克己、委員:井下泰伸、委員:桂川孝子、委員:藥丸潔、委員:小川晶