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文教警察常任委員会(教育委員会関係)(平成27年6月4日)

1.開催日時

平成27年6月4日(木曜日)10時00分開始 15時02分終了

2.開催場所

302委員会室

3.出席委員

委員長:岸善一郎、副委員長:高橋正
委員:中沢丈一、委員:松本耕司、委員:新井雅博、委員:福重隆浩、委員:後藤克己、委員:酒井宏明、委員:川野辺達也、委員:本郷高明

4.欠席委員

なし

5.主な質疑

(1)承第2号「専決処分の承認(平成26年度群馬県一般会計補正予算)」について

酒井委員
 教職員退職手当の9億円あまりの減額について、見込みを大きく下回った原因は何か。退職の見込みが過大すぎるのではないか。

三田福利課長
 減額補正は、勧奨退職が42人分見込みを下回ったこと、その他、定年退職が給料の精査などによるものである。直近の過去3年間の平均を参考に見込みを立て、予算を計上したものである。また、(当初予算において)県債は毎年20億円を充当している。

酒井委員
 予算額に合わせるような形で勧奨を勧めることがあってはならないと考えるがどうか。

三田福利課長
 勧奨退職は個人の自由意志を尊重している。

(2)不登校児の実態とその対応について

中沢委員
 県下において不登校児が年々増加してるようであるが、その実態はどのようであるか、また、不登校児の対応に県としてどのように取り組んでいるか。

三好義務教育課長
 平成25年度の不登校者数は、小学校307人、中学校1,416人で、小学校が前年比でほぼ同じ、中学校は31人減少となっている。対策は、未然防止・早期対応に力を入れており、全校に配置しているスクールカウンセラーを中心としたサポートチームで対応している。また、不登校が長期化した子どもに対しては、19の市町・県内33箇所の適応指導教室で、体験学習も織り交ぜた学習支援を行いながら、学校復帰を目指し対応している。

中沢委員
 多様な教育機会の確保案として、超党派の議員連盟によりフリースクールでも義務教育の修学を可能とする等を内容とする法案を議員立法で出す動きがあるが、教育長の見解はどうか。

吉野教育長
 フリースクールによって、学校に通えない子どもに学習の場を与えるというねらいは良い。ただ、どのような指導者が指導するか、義務教育修了をどのようにみるかなどの課題も多い。個人としての意見だが、制度設計をきちんとするなど、慎重に議論を進めてほしいと考えている。

(3)「群馬県いじめ問題等対策委員会」について

中沢委員
 「群馬県いじめ問題等対策委員会」の役割と今後の対応・取組について伺いたい。

荒井総務課長
 役割としては、大きく3点ある。1点目は、群馬県いじめ防止基本方針に基づくいじめ防止等の対策を協議すること、2点目は、いじめによる重大事態が発生した場合に事実関係を明確にする調査を行うこと、3点目は、いじめ以外の生徒等に係る重大な事故等が発生した場合にも調査を行うことである。今後の対応については、いじめによる重大事態が発生し、県で調査を行う必要が生じた場合は、この委員会で調査を行うこととなる。重大事案が発生しない場合でも、いじめ防止対策等に係る情報共有や協議を行うための会議を年に1回ないし数回程度開催することになる。

中沢委員
 対策委員会が調査を行う場合、学校からの要請によるのか、県教委の判断によるのか。

荒井総務課長
 個々具体的に判断すべきものであると考える。一義的には、学校で調査を行うものと考えるが、例えば、保護者と学校との信頼関係が築けていないなど、学校で調査を行うと教育活動に支障が生じるような場合は、県教育委員会の判断で委員会が調査を実施することになると考えられる。

中沢委員
 調査主体を判断するに当たって、学校から情報を収集するのか。

荒井総務課長
 学校から様々な情報をもらったり、客観的な事実等を収集把握したりしながら、判断することとなる。

(4)スクールソーシャルワーカーについて

松本委員
 先だって一般質問での教育長答弁では5人のスクールソーシャルワーカーが3つの教育事務所に配置されているということであったが、勤務や活動の状況についてはどうか。

三好義務教育課長
 昨年度から配置を始めた。3つの教育事務所に一人ずつ配置し、年間30日・180時間という勤務条件の中、学校、市町村教育委員会、家庭、適応指導教室等からの要請を受け、年間105回の訪問を行った。活動の内容は、家庭訪問を行い現状を確認し、関係者によるサポート会議を開き、市町村の福祉関係部局や児童相談所、事案によっては警察の生活安全課等、関係機関と連携し問題の解決に当たるなどの取組を行った。

松本委員
 学校よってはスクールカウンセラーがそういった問題に対応しているところもあると聞くが、スクールカウンセラーをスクールソーシャルワーカーとして同時に任用できるのか。

三好義務教育課長
 スクールカウンセラーが家庭を支援するために、関係機関との連携の必要性を校長に進言したり、自ら関係機関と連絡調整するなど、スクールソーシャルワーカーと同様の活動を行うケースもある。

松本委員
 県立高校等でのスクールカウンセラーの配置状況はどうなっているか。

山口高校教育課長
 全ての県立高校及び県立中等教育学校に、スクールカウンセラーを配置している。

松本委員
 予算が補正減となっているのだから、スクールソーシャルワーカーを増員してはどうか。

吉野教育長
 予算は不足が生じないように組んでいるため実績として減額となった。増やせるならばその方がいいと思うが、教職員が児童生徒と接しながら家庭にも入り込めるような技術を身につけてほしいと考えている。

松本委員
 教員には異動があり、異動した地域にうまく対応できない場合もある。そういった面も踏まえて、スクールソーシャルワーカーの配置を考える必要があると思うがどうか。

三好義務教育課長
 教員がスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーと、どのように協働して子どもたちの支援に当たるか等については、小中学校の生徒指導担当者の研修会を通じて資質向上を図ることにより、全県で一定の水準を確保できるよう努めている。

松本委員
 スクールソーシャルワーカーの配置は当面現在の5人体制とするのか。

三好義務教育課長
 現在様々なケースに対応しながら実績を積んでいるところである。学校のニーズ等に対応しながら、スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーを総合的に考えて適切な配置を検討していきたい。

(5)みやま文庫について

松本委員
 みやま文庫は、購読者が年々減少し運営が厳しい状況であり、今年度、6校が退会したとのことだが、購読料が払えないほど学校の予算は限られているのか。

下田生涯学習課長
 県立の普通高校は全て入会しており、中学校は、学校の減少数と退会数がほぼ一致している。小学校は、学校の減少数に比べ退会数のほうが多くなっている。

松本委員
 みやま文庫は、歴史、人物、産業など子どもたちに本県のことを教える教員の資料としても適していると思うがいかがか。

下田生涯学習課長
 教員にとっては、郷土の歴史を教える上で必要な資料であるとも考えている。昨年10月の市町村教育長会議で入会のお願いをしたところであるが、今年も、学校あるいは教員個人として入会してもらえるよう働きかけていきたいと考えている。

(6)館林特別支援学校について

松本委員
 館林特別支援学校は、県立学校となったことで生徒が増えて、教室が不足していると聞いているが、現状はどうなっているか。

須藤特別支援教育室長
 平成25年度に県に移管して以降、邑楽郡から入学する児童生徒が増えている。教室についても特別教室を普通教室に代えて対応しているため、本年度の予算で増改築工事に向けた設計を行っている。

(7)スクールカウンセラーについて

福重委員
 スクールカウンセラーの配置が十分とはいえない中で、スクールソーシャルワーカーの配置について、スクールカウンセラーの切り替えも検討するとのことだが、どう考えているのか。

三好義務教育課長
 子どもたちの抱えている問題はますます増えており、その子に必要な支援はどういうものかということを、教員とカウンセラーが相談しながら対応をしている。また、カウンセラーに研修の講師をしてもらったり、PTAの集会のような場で、母親向けの心理の話をしてもらうなど、限られた時間の中でも最大限の効果を上げるような努力をしている。現にスクールソーシャルワーカー的な役割を行っているスクールカウンセラーもおり、そういう実態も含めて、今後、スクールソーシャルワーカーをどう活用していくか、スクールカウンセラーを中心にチームを作って対応するなど、今ある人材を活用し、支援のあり方としてどのような方法が最も効果的か検討していきたい。

福重委員
 スクールカウンセラーの増員を望む学校現場の意見に対し、どう対応していくのか。

三好義務教育課長
 学校の体制づくりをしっかりと行い、現在配置されているスクールカウンセラーを最大限活用できるようにすることが大切である。対応困難な場合には、教育事務所配置のスーパーバイザーを活用するなど、現在配置されている中で効果を最大限に発揮できるよう努力していきたい。

福重委員
 財政当局に対してスクールカウンセラー増員配置を強力に要望していくべきと思うがどうか。

三好義務教育課長
 スクールカウンセラーの配置については、当初、数名の配置から始まり、努力を重ねて現在の全校配置となった経緯がある。今後も学校の応援団として、より適切で効果的な配置について検討を続けていきたい。

(8)生徒指導担当嘱託員について

福重委員
 生徒指導上、課題を抱える中学校24校に生徒指導担当嘱託員を配置するという非行防止プロジェクト推進事業について、24校の選定基準は何か。

三好義務教育課長
 暴力行為や逮捕者事案、暴走族などの不良集団との関係等、周囲の生徒への影響が心配され、教員がこれら生徒への対応に追われて、学校全体として生徒指導体制が築きづらくなっている学校や、指導主事による学校訪問で配置が必要と思われる学校、問題行動の数の多い学校に配置している。

福重委員
 地域的な偏在はみられるのか。

三好義務教育課長
 市町村教育委員会からの報告や指導主事が学校訪問で実際に見た中で、深刻なもので判断している。特別どこの地域にということはないが、結果的に山間部への配置はない。

福重委員
 大まかに東毛や中毛等の偏在はどうか。

三好義務教育課長
 中部、西部、東部にほぼ同数が配置されている。

福重委員
 生徒指導担当嘱託員は、どういう人に委嘱しているのか。

三好義務教育課長
 24名の嘱託員の経歴は、教員OB3名、警察官OB13名、学校相談員等経験者8名である。

福重委員
 生徒指導担当嘱託員の効果はどうか。

三好義務教育課長
 嘱託員の校内巡回や声かけにより、校内での問題行動の未然防止に効果があった。また、不良集団との関係が心配される生徒の生活指導については、地域警察等の関係機関との連携を図れたことなどで、暴力行為などの問題行動が減少した。

(9)教員の不祥事等と多忙感について

福重委員
 教員の不祥事、処分、不適格教員の問題、精神疾患で長期休業している教員等の推移について、10年前と大きな変化はないようだが、教育委員会ではどのように分析しているのか。

野村学校人事課長
 懲戒処分の件数については、ゼロを目指している。年度により件数の多少はあるが、指導が足りない部分はあると思う。

福重委員
 教員が忙しすぎてなかなか生徒と向き合う時間がないなど、精神的に追い詰められていることも多いのではないかと懸念されるが、精神疾患による長期休業について、年代別、職位別など、何らかの傾向は見られるか。

三田福利課長
 休職者の年代別では、50歳代37.4%、40歳代27.3%、30歳代25.9%、20歳代9.4%であった。

福重委員
 精神疾患で休職となった原因は分析しているか。

三田福利課長
 精神疾患の原因について、この3年間で一番多いのは転勤、続いて担当業務の変更、児童生徒への対応、家族の問題が毎年上位を占めている。

福重委員
 責任感の強い教員こそ、様々な問題を抱え込んで、苦しい立場に追い詰められることが多いように思うが、多忙感の解消に向けて、県教育委員会としてどう取り組んでいるか。

野村学校人事課長
 県教育委員会としては「勤務時間の適正な管理並びに総労働時間短縮のための指針」に基づき、校長に対し、各学校で効率的な学校運営を行えるよう指導助言している。また、モデル校で行った業務改善の成果を、リーフレット等により県内の全学校に紹介するなどの取組も行っている。さらに、校務を支援するためのシステム導入を推進しており、現在66%の小中学校で導入されているが、市町村教員委員会に働きかけて、より導入率を高めていきたいと考えている。

(10)特別支援学校の高等部設置や就労機会の拡大について

新井委員
 特別支援学校の小中高等部の現状はどうなっているのか。

須藤特別支援教育室長
 未設置地域の解消については、本年4月の吾妻特別支援学校の開校をもって終了した。特別支援学校の子どもたちの人数の推移を見ると、小中学部、高等部の生徒もまだわずかながら増加をしている傾向がある。それぞれの地域での高等部の必要性の需要等を把握して、また、保護者等の意見を伺いながら、高等部の設置について検討していきたい。

新井委員
 小中学部があれば、当然、高等部が必要になるわけで、富岡、藤岡、吾妻地域でも要請がある。群馬県における高等部の設置状況はどうなっているのか。

須藤特別支援教育室長
 群馬県内には21の特別支援学校があるが、いわゆる高等部相当の学びの場がある学校は14校あり、小中学部のみの7校のうち、伊勢崎特別支援学校と館林特別支援学校等については、近隣、あるいは隣接して伊勢崎高等特別支援学校、館林高等特別支援学校がある。利根沼田、甘楽富岡、多野藤岡、吾妻地域が高等部の設置されていない地域となる。

新井委員
 既設の特別支援学校に併設することで高等部を設置することができるものなのか。高等部のみの別の敷地を用意しなければならないのか。また、教員はどのくらいの人数が必要となるのか。

須藤特別支援教育室長
 高崎特別支援学校や渋川特別支援学校と同じように、小中学部で学び、その後にすぐ近くの高等部で学べる環境が望ましいと考えている。今ある小中学部がそもそも小学校、中学校の敷地を借用して、特別支援学校が設置されている場合もあり、高等部を設置するための敷地まで借用するのは難しい地域もある。また、教職員の人数については、高等部の生徒の想定として、1学年10名くらいの生徒で、3学年で30名、学級数で6クラスから9クラスと想定をしたときに、教職員は10数名の配置になるのではないかと考えている。

(11)離退任式について

後藤委員
 群馬県の小中学校では教員の離任式を新年度になってから実施しているが、教員の多忙化が叫ばれる中で、少しでも業務を省力化する意味でも、合理化を進めるべきではないか。高校では年度内に実施しているようであるし、同じ小中学校に勤める職員でも、教員ではない職員は年度内の実施と聞いているが、検討状況はどうか。

三好義務教育課長
 小中学校の離任式の実施時期については、市町村教育委員会が決定している。離任式は学校の儀式的行事であるので、校長等の意見を聴取しながら決定しているものと思われる。また、県内の小中学校の離任式が同日に設定されているのは、市町村教育長協議会等で調整を行っているものと承知している。

後藤委員
 授業の振り替えや旅費が発生することについて、県教育委員会として問題意識はないのか。

三好義務教育課長
 離任式は、先生とのお別れに向けた準備等を通じた児童・生徒に対する教育的効果といった長い伝統の中で培ってきたものもあり、効率化だけで一律に判断できないと考える。

後藤委員
 新年度の実施の方がいいという考え方なのか。

野村学校人事課長
 県教育委員会としては、県市町村教育長人事会議で、年度内実施についての提案をしたが、多くの市町村教育長が新年度に実施するという意見であった。

後藤委員
 全国的に見直しの流れがあるということや、他県の状況を把握しているか。

三好義務教育課長
 長野県は卒業式後に実施、栃木県は地域によって違いがあるなど、近隣の状況は把握している。

(12)生涯学習関連施設の運営に係る予算について

後藤委員
 図書館資料費が最高時の7,000万円に比べて、今年度は2,600万円に減額されてきたが、購入冊数等、どのような変化があったのか。

下田生涯学習課長
 資料の選定には優先順位を付けている。25年度の見直し委員会で県立図書館が要改善という指摘をいただき、中核的図書館であるとか、専門的機能を強化するとか、そういった取組の中で、図書資料の整備をしてきたところである。県立図書館としてあるべき姿を目指して、必要な資料費については計上できるよう努力していきたい。

後藤委員
 資料の数はどう変わってきているか。

下田生涯学習課長
 図書資料の冊数について、資料費が7,000万円であったときには、約2万6,000冊を購入し、2,600万円であったときには、約1万冊を購入している。

後藤委員
 昆虫の森は、開館当時、人件費、事業費合わせて4億2,000万円くらいで予算化されてきたが、現在は1億9,000万円と半減されている。それにより、どういう部分が対応できなくなっているのか。

下田生涯学習課長
 予算の縮減によって、展示等の更新、フィールド管理に係る職員の減員、西表島を再現する温室等に影響があった。

(13)主権者教育について

後藤委員
 選挙権の18歳引き下げに伴い、投票率を高めるための啓発や投票の意義などは授業でも教えていると思うが、どんな問題にも賛成・反対の意見があり、対立する意見をフェアに伝えてディスカッションするなど、投票の質を高めるために、自分なりに分析・判断できるよう、もう一歩踏み込んだ指導が必要になると思うがどうか。

山口高校教育課長
 全ての教科・科目でアクティブ・ラーニング(課題解決型学習)を推進し、生徒が自ら課題を見つけ、その課題解決のために主体的に取り組む態度を育てたり、課題解決のために必要な知識・技能や情報を活用する力を身に付けさせたりする教育を推進している。政治的中立に配慮しながら、生徒が政治や社会に関心を持ち、自ら考え、判断し、行動していく力を育んでいきたい。

(14)八ッ場ダムに関する遺跡発掘調査について

酒井委員
 八ッ場ダム予定地の遺跡調査について、今年度の調査予定と、今後の調査残面積はどの程度か。

洞口文化財保護課長
 平成27年度は約9万平米の調査を予定している。試掘調査未実施の箇所が若干残っており、工事工程による変更もあるが、残りはおよそ30万平米ほどである。

酒井委員
 発掘調査に関する協定について、4回目の協定変更はいつ頃なのか。どのくらいの予算を見積もっているのか。また、国とはどのような協議をしているのか。

洞口文化財保護課長
 協定は今年度中に変更する予定である。天明3年の浅間山の噴火による泥流をかなり厚く被っており、非常に大きな部分を占めている。どう効率的に進めていくか、水没地の調査なので、今まで生活再建の状況に合わせて細切れに調査をしてきたが、かなり広い面積を効率よくできるのではないか、新しい方法を取り込むことはできないか、細かな積算をしているところである。所要額については増えるのは確実だが、どのくらいかは確定していない。上期中には経費の積算を終え、国交省と協議する予定である。

酒井委員
 時代考証に非常に重要な遺跡が、予備調査でそれまで見つかっていないところからも出土していると聞いている。こういった遺跡の価値について、どのように考えているか。

洞口文化財保護課長
 八ッ場ダム地域では、縄文時代の遺跡、地域の中心となるような遺跡が見つかっており、特に、天明泥流下の江戸時代の遺跡が注目されている。八ッ場ダム地域以外でも、例えば、嬬恋村鎌原で、石段の途中で母を背負った嫁が倒れていたという、非常に印象的な遺跡が発掘されたり、渋川インターチェンジのところでは、田んぼの畦のところで青いままの枝豆が見つかっているほか、玉村ではそのまま埋まっていた民家が発掘されている。このように、他の地域には見られない重要な遺跡であるが、一方このような火山災害遺跡は、県土の広い範囲に広がっており、点としての評価は難しい。全体としてしっかり調査し、今後の研究や防災に役立つデータを取っていくことが重要と考えている。

酒井委員
 これからどういう発見があるかわからないが、徹底的に調査して、決してランク付けしないでほしい。恣意的に対象面積を限定・縮小してはもったいない。「科学者の会」のこういった指摘を重く受け止める必要があると考えるがいかがか。

洞口文化財保護課長
 教育委員会や埋蔵文化財調査事業団で遺跡のランク付けをして、掘る、掘らないということは一切ない。この点については、科学者の会の方も了承している。どこの遺跡だからということではなく、すべての遺跡について、最良の方法で調査し、最高の成果を上げたいと考えている。天明3年の泥流の下(の遺跡)というのは群馬県を特徴付ける史料であるので、国では埋蔵文化財は中世までという意識があるが、群馬の場合は非常に重要なものであるということで、調査に取り組んでいる。

(15)学校給食費の無償化について

酒井委員
 子どもの貧困問題なども踏まえ、食育の一環として、学校給食の意義をどう認識しているか。

高田健康体育課長
 食育のねらいは、「食に関する知識と食を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てる」ことであり、各教科や学級活動など学校生活全般を通じて食育に取り組んでいる。学校給食も、食料の生産から加工、流通、調理、配送といった「社会的つながり」を学ぶための重要な教材の一つであると認識している。

酒井委員
 食育の意義をあらためて振り返るならば、給食費を無償とするのが重要だと思う。子どもの学習権を保障することは行政の責任と思うが、どう考えているか。

高田健康体育課長
 食育の重要性と費用の無償化の是非とは別の課題であると考えている。経済的理由によって就学困難と認められる児童生徒の保護者に対しては、生活保護法に基づく教育扶助や市町村が実施する就学援助事業により、学校給食費の援助や補助が行われている。

酒井委員
 憲法第26条により「義務教育無償の原則」がある。各地で給食費の無償化が、県内でも、補助を含め、すでに12市町村で実施されていることは重く受け止める必要がある。給食費の無償化に伴う費用の試算はあるか。

高田健康体育課長
 県内すべての小中学校の給食に係る食材料費は、1年間で概ね80億円と試算している。

酒井委員
 給食費の無償化は少子化対策としても有効だと考えられるがどうか。

吉野教育長
 学校給食の実施主体である市町村の考え方を重視したい。

(16)高等学校入学者選抜前期選抜への学力検査導入について

酒井委員
 高等学校入学者選抜について、平成29年度入学者選抜前期選抜から学力検査が導入されるが、その理由やねらいは何か。

山口高校教育課長
 平成25年度「高校教育改革推進計画」有識者委員会において、入学者選抜制度について議論を続け、その結果、現行の前期・後期の複数の受験機会を維持しつつ、中学校段階における基礎的・基本的な内容についての学習到達度を評価する観点から、前期選抜で国語、数学、英語の3教科の学力検査を実施することが望ましいとの意見があったことから、平成29年度から前期選抜の学力検査導入に至った。

酒井委員
 今回の変更は、前期選抜を導入した意義や目的にそぐわないと思うが、導入時の趣旨をどう考えているか。

山口高校教育課長
 前期選抜では学力検査に加え、面接や作文なども実施し、多様な選抜尺度により、多面的な評価を行う前期選抜の趣旨はこれまでどおりである。

酒井委員
 前期・後期をなくして1回にするとか、29年度からの実施方針を撤回してはどうか。

山口高校教育課長
 中学生本人や保護者、中学校からは、2回の受験機会があることについてはある程度評価を受けている。採点する教員の負担感もあるが、受験生や保護者にとってより良い制度を考えた結果である。

酒井委員
 受験生を苦しめるような今回の変更は止めてほしいと思うがどうか。

吉野教育長
 様々な見解はあると思うが、中3のある時期までしっかり学習させ、一定の学力が身に付いているかどうかを確認する観点から、代表者ではあるが中学、高校の関係者等から話を聞いた上で、前期選抜における学力検査を実施することとしたところであり、よろしくお願いしたい。

(17)高校の統廃合について

松本委員
 桐生・みどり地区において動きがあるようだが、県立高校の統廃合の状況はどのようか。

山口高校教育課長
 平成23年に策定した「高校教育改革推進計画」に基づき、再編整備の推進に取り組んでいる。これまで学級数を減らして学校を維持してきたため、学校の規模が非常に小さくなってきている。学校の規模が小さくなると、学校の活力が失われてくるが、教育委員会としては、地域の中核となる高校を子どもたちのためにつくるという方針で、現在、富岡・甘楽地区、吾妻地区及び桐生・みどり地区において、検討を行っているところである。

川野辺委員
 山間地域では県立高校の統廃合により、通学に支障をきたす地区があると考えるがどうか。

山口高校教育課長
 他地域への通学が困難な地区にある小規模校にあっては、1学級定員を現行の40名から引き下げるなど、地元で高等教育を受ける機会の確保策として特別な配慮を行っている。

(18)人事評価制度について

川野辺委員
 教職員の人事評価制度について、地公臨も人事評価制度の対象となるのか。

野村学校人事課長
 正規職員のみを対象としており、地公臨は人事評価の対象とはしていない。ただし、同じ学校で働く教職員として、職能成長を図り、学校組織を活性化させるため、他の職員同様、目標を定め面談等行うことを妨げるものではない。

本郷委員
 新たな制度運用にあたり、これまでの経緯及び今後のスケジュールについてはどうか。

野村学校人事課長
 平成26年5月に改正された地方公務員法では、「発揮した能力及び挙げた業績を把握した上で行われる人事評価制度を導入し、これを任用、給与、分限その他の人事管理の基礎とする」としており、この4月から人事評価の試行を開始したところである。今後、関係団体との意見交換やアンケート調査を行うなど試行状況の把握に努め、人事評価制度検討委員会で検証し、本格実施につなげていきたいと考えている。

本郷委員
 教員の資質向上のために、県として、人事評価制度をどのような制度にしていく考えか。

野村学校人事課長
 人事評価制度は、平成18年度から導入しているが、制度の目的は、教職員の職能成長と能力開発、意欲や使命感の高揚、自己啓発の促進、学校組織の活性化、人材の活用としており、新たな制度運用においても、目的に変更はない。目的に沿って、意欲の高揚ややりがいにつながるような視点から、給与等処遇反映の方法等について検討していきたい。教職員が意欲を失う制度であってはならないと考えている。

本郷委員
 評価者と被評価者の年間の目標設定は初めの合意形成がうまくいかないとスタートからつまづいてしまう。また、最終面談において双方の納得が得られない場合、教職員のモチベーションにも影響があると思うがどうか。

野村学校人事課長
 手引において、教職員は人事評価について意見がある場合には、校長に意見を提出することができることとしている。また、評価結果等に納得できない場合も想定されるため、今後、苦情対応の仕組みについても検討していく予定である。

(19)教職員の時間外勤務について

本郷委員
 管理職等が所要時間を考慮せずに業務命令をすることがあると聞くが、明らかに時間外に勤務しないとできない業務を管理職が命令することはできるのか。

野村学校人事課長
 管理職が教員に時間外勤務を命じられるのは、臨時または緊急やむを得ない必要がある場合の生徒の実習、学校行事、緊急の場合の職員会議、非常災害等の4つの業務に限定されている。それ以外の場合は、命令できない規定となっている。

本郷委員
 管理職がいる席で、例えば、教務主任等、同僚教員が時間外に業務をするように提案している状況があり、それを管理職が黙認しているような場合はどうか。これを放置しておくと時間外勤務が減らないと思うがどうか。

野村学校人事課長
 委員の質問の具体的な状況が分からないので、即答はできない。ただし、例えば、安全主任が、春の交通安全運動週間に、時間外に街頭指導を行うとすれば、それは時間外であるが、児童生徒の安全に深くかかわるため必要な教育活動であると考える。こうした場合は、校長の適切な配慮により、勤務の時間的な軽減を図るように指導している。

(20)公立学校への労働安全衛生法の適用と長時間労働に対する体制整備について

本郷委員
 労働安全衛生法は市町村立の小中学校の職場にも適応されるのか。また、法律では、1か月の超過勤務が100時間を超える場合には、本人の希望により医師の面接を受けさせるとなっているが、勤務時間を記録するシステムはできているか。

三田福利課長
 労働安全衛生法は、学校現場にも適応される。昨年の5月1日現在の「市町村の労働安全衛生管理体制の整備状況」調査によると、労働時間を確認し、面接指導体制を整備している職場は、市町村立の学校で63.2%である。具体的な確認方法は、本人及び管理職の記録による確認93.1%、管理職の記録による確認4.4%、その他による確認2.5%である。

本郷委員
 長時間労働に対する医師面接指導体制は整備されているか。

三田福利課長
 県立学校については、「群馬県教育委員会県立学校職員・事務局等職員長時間労働等による健康障害防止対策実施要綱」に基づき100%面接指導体制が整っている。市町村立学校に対しては、「労働安全衛生管理に関する市町村教育委員会連絡会議」等で体制整備をお願いしている。また、平成26年2月に文部科学省の調査結果に基づき、市町村教育委員会に対し、労働安全衛生体制について万全を期すよう文書で依頼している。

本郷委員
 本年12月から50人以上の事業場にストレスチェックを行うことが義務づけられているが、県内の市町村の体制はどうか。県教育委員会として把握しているか。

三田福利課長
 50人以上の市町村の学校数は8教育委員会14校で、これらについては実施しなければならない。なお、50人未満は努力義務であるが、県としては、「市町村教育委員会連絡会議」において、12月1日のストレスチェック制度施行後、1年以内に実施する必要がある旨各教育委員会へ依頼している。また、昨年度、公立学校共済組合群馬支部で組合員に対しストレスチェックを実施、併せてフィードバックを行っている。

(21)学力向上特配教員の配置について

高橋副委員長
 学力向上特配教員の配置については、大変よい成果が出ていると感じている。数学、理科等の小中一貫校の希望校、学力向上特配の状況はいかがか。

吉野教育長
 小中一貫校に限らず、学力向上特配については、各学校の学力向上計画を精査して、子どもたちにとってよい実践ができる学校に教員を配置している。


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