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議第5号議案(平成27年6月12日)

群馬大学医学部附属病院における重粒子線治療等の早期再開に関する意見書

 がんは、わが国の死因第1位であり、本県においても年間約6千人の方々ががんで亡くなっている。

 本県では、議員提案により群馬県がん対策推進条例を制定するなど、がん対策を県政の重点課題として推進するとともに、県内全市町村等の協力を得て、群馬県と群馬大学が共同で重粒子線治療施設を整備し、県民に高度で先進的ながん医療を提供しているところである。

 また、この重粒子線治療施設は、本県における医療産業の集積や医療人材の育成、地域経済の活性化等の牽引役として、産学官及び医療分野等の関係機関から大きな期待を寄せられているとともに、地域医療発展の象徴的施設として県民の希望のよりどころともなっている。

 こうした中、大変遺憾なことながら、昨秋、群馬大学医学部附属病院第二外科において腹腔鏡手術患者等の死亡事故が明らかとなり、社会保障審議会等から医療安全上の問題等が指摘されているとして、厚生労働省関東信越厚生局医療課から群馬大学に対し、重粒子線治療を含む先進医療の新規患者の組入れ停止が要請されたところである。群馬大学では停止要請を真摯に受け止め、直ちに自主点検を実施するとともに、病院のガバナンスを検証する改革委員会を設置するなど、医療安全管理体制の再構築に全力を挙げて取り組んでいるところである。このような状況の中で、県議会としても、県と協調して、群馬大学医学部附属病院の安全体制やガバナンス等の再構築及び再生に向けた取り組みを、より注視していくものである。

 その一方で、今回の停止要請により、予約患者の一部が治療の延期等を余儀なくされ、不安の中で日々を過ごすとともに、措置の継続によって、治療を希望する患者の不満や不信が更に広がることが懸念され、県民もこうした事態を憂慮していることから、治療の早期再開を切に望むものである。

 よって国においては、群馬大学医学部附属病院の重粒子線治療施設が地域の期待に引き続き応え、患者に必要な医療を提供できるよう、下記の事項について所要の措置を講じるよう強く要望する。

  1. 群馬大学の重粒子線治療施設では年間約500人の患者が治療を受けており、新規患者の組入れ停止要請は、患者や地域医療に与える影響が極めて大きいことから、同大学による自主点検等の対応を踏まえた上で、新規患者組入れの再開を早期に認めること。
  2. 重粒子線治療以外の先進医療(検査、診断等)についても同様に、必要とする患者への影響を最小限とするため、早期の再開を認めること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成27年6月12日

群馬県議会議長 岩井 均

 衆議院議長
 参議院議長
 内閣総理大臣
 厚生労働大臣
 内閣官房長官 あて