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環境農林常任委員会(農政部関係)(平成27年3月5日)

1.開催日時

平成27年3月5日 9時59分開始 15時02分終了

2.開催場所

403委員会室

3.出席議員

委員長:萩原 渉、副委員長:井下泰伸
委員:中沢丈一、委員:黒沢孝行、委員:松本耕司、委員:織田沢俊幸、委員:福重隆浩、委員:酒井宏明、委員:清水真人、委員:小川 晶

4.欠席委員

なし

5.主な質疑

(1)多面的機能支払交付金について

中沢委員
 多面的機能支払については、平成19年度から農地・水・保全管理支払交付金ということで取り組み始めている。その後、事業は進んでおり、農村において素晴らしい事業を展開している組織もある。今までの経過及び平成27年度の取組について伺いたい。

村上農村整備課長
 本年度から多面的機能支払交付金となった。本年度の制度改正は、農業者のみで組織する活動も支援対象となったため、現在の取組状況は、県内207組織で12,945ヘクタール、この農地を対象にそれぞれ活動を行っている。なお制度改正に伴い、本年度新たに16組織、650ヘクタールが取り組み始めた。そのうち農業者のみについては、6組織、319ヘクタールになっている。現時点で、平成27年度は新たに49組織、850ヘクタールが取組予定と把握している。

中沢委員
 事業の中で交付金の支払いが変わったということで、従来は直接支払われていたものが県経由となったが、その理由は何か。

村上農村整備課長
 昨年、日本型直接支払制度の法制化ということで法律が制定された。来年度から法律に基づきやっていくということで、法律の中で今まで国から協議会にお金が出て、それから各活動組織へお金を出すという形をとっていたが、全て県を通して各活動組織へ交付金を支払うことになったところである。

中沢委員
 地域を巻き込んでやっている活動組織も弱体化して、申請した事業内容を執行できない組織もでてきており、当然、交付金の返還も発生するかと思うが、そういった事態の時、事業内容等何か工夫して取り組んでいくことができるか。

村上農村整備課長
 県内では10年近く活動を続けている組織もある。継続して活動していくためには、世代交代が大事だと考えている。同時に役員の負担軽減を図る必要がある。また平成27年度から各農業事務所に専門指導員という嘱託を配置し、年間通じて活動組織のフォローアップをしていきたい。

(2)県産農産物の輸出戦略について

中沢委員
 ミラノ万博が今年開催される。改めてミラノ万博に対する事業概要を説明願いたい。

真下ぐんまブランド推進室長
 ミラノ万博は、今年5月から10月の6ヶ月間開催される。本県では10月末に、現在輸出している上州和牛、更にはヘルシーフードということで、欧州でも需要が伸びているこんにゃくを活用して、農畜産物のクオリティーの高さとともに魅力を発信していきたい。

中沢委員
 上州和牛をミラノ万博の日本館の中で提供するのか、それとも輸出して提供するのか。

真下ぐんまブランド推進室長
 ミラノ万博の日本館において、本県は10月29日、30日の2日間、出展する予定である。その中で上州和牛、こんにゃく料理を試食させたい。また日本館以外でも関係ホテルのシェフやバイヤーを招いて、商談会も実施したいと考えている。

(3)ニホンザル適正管理計画について

織田沢委員
 鳥獣害対策について、適正管理計画で、サルの加害群を80群から50群に減らすというが、30群減らすということは、どこの地域の群れを減らす想定なのか。

土屋鳥獣被害対策支援センター所長
 個々の群れ対策については、基本的には平成15年度時点の群れ数を目指し、市町村で問題としている群れに対する管理を優先して進めていく考え方である。また、基本的には群れのサイズを減少させていき、その先に山への追い込み返すのも可能ではないかと考えている。この計画を進めるにあたり、学識経験者の意見や平成27年度には日本獣医生命科学大学と共同研究を進めながら、複数の群れ管理に関する技術開発を考えている。

織田沢委員
 80群を50群にするということは相当の捕獲圧力をしていかないと、実現不可能だと思う。捕獲に際し、これから技術を開発と聞いているが、実現できるのか、さらに疑問が沸いてくるがどうか。

土屋鳥獣被害対策支援センター所長
 群れのサイズを減少する方向で考えている。

織田沢委員
 80群という数字は、平成15年時点のものか。

土屋鳥獣被害対策支援センター所長
 現在の群れの数である。

織田沢委員
 適正管理計画そのものは何年ごとに見直すのか。

土屋鳥獣被害対策支援センター所長
 5カ年を1期として考えている。但し、調査結果及び地域の状況によって、その都度修正はしていく。

(4)鳥獣害に強い集落づくり支援事業について

織田沢委員
 鳥獣害に強い集落づくりへの支援を促しているが、県内でどのくらい事業を行っているところがあるか。

土屋鳥獣被害対策支援センター所長
 平成22年度から平成26年度までに、延べ65地域で取り組んできた。

織田沢委員
 鳥獣害に強い集落をつくれば、ずっと支援してもらえるのか。

土屋鳥獣被害対策支援センター所長
 地域での合意形成を図りながら、継続的に実施していくことを目的としている。支援をして、それが継続されているか、効果検証の中で確認し、必要があれば支援していく。

(5)小規模農村整備事業について

織田沢委員
 平成27年度から土地改良関連について補助率が、農業生産基盤整備保全に係る事業で、事業実施後、3年以内に農地集積率が10パーセント以上増加することが確実に見込まれる場合には、来年度から2分の1補助となるが、農地集積率が10パーセント以上増加するとは、具体的にどのような場合が想定されるか。

村上農村整備課長
 現在、要綱改正と、地域の方々に分かりやすい形のリーフレットを作成している。例えば、1ヘクタール農道の受益がある場合、1ヘクタールのうち1反を集積する、10パーセント以上集積ができたということになる。

織田沢委員
 よく分からないのだが、集積というのはどういう判断なのか。

村上農村整備課長
 受益地の中にA、B、Cが持っている土地がある場合、Aさんが1反つくっていたものをBさんに使ってもらう、それが利用集積と考えている。

織田沢委員
 1ヘクタールの中で、集積が10パーセント進めばよいということか。

村上農村整備課長
 その通りである。

(6)県産農畜産物のブランド化について

黒沢委員
 県産農畜産物のブランド化について、全国的にぐんまブランドはどのような作物を対象とするのか。

真下ぐんまブランド推進室長
 常に高品質のものを安定的に供給できる地域ということで、本県は位置づけられる。現在は、やよいひめや上州和牛などの知名度を高めていくと同時に、すき焼きなどの普及を通じて、本県の農畜産物の認知度を高めていきたい。

黒沢委員
 集中と選択と、必ずしも量にこだわらないと考えているか。

真下ぐんまブランド推進室長
 量で推すものと品質で認知度を上げるものと、それぞれあらゆる角度から推進していきたい。

黒沢委員
 例えば、本県が開発して、希少価値というか、ある意味食べられる場所が非常に限定的、東京に出荷せず本県に来ないと食べられない、これも含めてブランドとして売り出す予定はあるか。

真下ぐんまブランド推進室長
 ギンヒカリについては、生産者も自ら努力し、ぐんまちゃんを全面に押し出すポスターを作成するなどPRに努めている。
 ギンヒカリについては、本県ならではの品種であって、本県に来て食べていただくのも一つのPRの仕方だと思うし、東京などで認知され、生産量が増加すれば、需要に応じられる体制を作ることも必要と思われる。

黒沢委員
 上州和牛にしても、県外や国外へ出荷するにあたり、一定の生産量を確保しないと、市場の要請に応えられないと思うが、その辺は大丈夫なのか。

真下ぐんまブランド推進室長
 これから徐々にブランド力が高まる中で、需要が伸びてくる際には生産量も確保していかなくてはならない。生産振興や現場の方々と連携する中で、取組を続けていきたい。

黒沢委員
 面積なり個数がきちっと確保できる、長い目で見た産地化形成に対する施策はあるか。

高橋蚕糸園芸課長
 ブランド化と産地化は車の両輪であり、産地の育成にも力を入れているところである。ギンヒカリは、来年度、中山間地域で休んでいる養殖場などの調査を実施する予定であり、その結果を基に、増産に向けて既存施設の有効利用の検討を行いたい。野菜は、産地作りの施策として県単補助事業である「野菜王国・ぐんま」総合対策により、園芸用ハウスや高性能機械等の整備に対する支援を行っている。また、野菜生産農家のセーフティネットとして、「野菜価格安定制度」への加入を促進し、経営安定につなげるととともに、産地の維持・拡大をはかって参りたい。

(7)蚕糸の推進について

黒沢委員
 蚕糸業について、蚕糸業として成り立たないのであれば、養蚕は文化的遺産だという支援をしていけば、もっと大きな支援ができると思うがどうか。

毛利絹主監
 蚕糸業は本県の中山間地域の畑作地帯の複合作物であり、本県農業を特色づけるものと考えている。従って蚕糸業を、業として農政部としては維持していきたい。そうすることが富岡製糸場と絹産業遺産群の文化的価値を農業の面からも押し上げると考えている。

黒沢委員
 最も若い後継者はどの位の人がいるか。

毛利絹主監
 昨年の新聞報道でも話題になった23歳の人がいる。

黒沢委員
 業として成り立つかは、疑問が残る。今のままの業としての支援で、5年経過したとき、本当に良いのか。業ではなく、文化として捉えて支援に変換すべきでないか。部長に基本的な見解を伺いたい。

宮崎農政部長
 養蚕業は非常に厳しい状況であり、今回、県としては新たな補助制度を講じようとしているところである。碓氷製糸や農家の方々も、業としてプライドを持っている。県では、今現在の状況を維持して、少しでも発展させていく形で取り組んでいきたい。

黒沢委員
 今の蚕糸技術センターや構想中の世界遺産センター、トータルとしての養蚕業の文化としての位置づけをどうするか検討が必要と思われるので、再度、部長の見解を伺いたい。

宮崎農政部長
 養蚕業の方々が繭生産を維持する施策を、来年度は講じた。その効果をしっかり検証した上で、必要な施策を講じていきたい。

黒沢委員
 私の住んでいる太田市では養蚕農家は5軒。それは主たる生計でなく、趣味の延長線上でしか飼っていない。そういう状況も143戸に入っている訳なので、本当にこれで良いのか。大胆な方針転換をして基本的な議論を、来年度はやって欲しいと思うがどうか。

宮崎農政部長
 今後の施策効果を見極めながら検討していきたい。

(8)農振除外審査・事務処理の迅速化について

黒沢委員
 農振除外の審査の遅れの最大要因は何か。

石坂構造政策室長
 最も大きな要因は、平成21年に農振法が改正され、今まで4つの要件が5つに増えたこと、また農振除外をするにあたり農地転用できることが条件であるので、転用条件の第1種農地について、従来20ヘクタール以上であったものが、10ヘクタール以上に引き下げられ、農地転用が認められない農地の範囲が拡大したことである。また、第1種農地の例外規定に該当するか、除外の可否判断に時間を要することが、事務処理の遅れにつながっている。また農心除外の申出件数が、ここ数年増加傾向にあることや、平成24年7月から再生可能エネルギー買取制度が開始されたことで、太陽光発電施設用地の申出件数が増えていることも要因となっている。

黒沢委員
 申請者に対して進捗状況を連絡することも、行政サービスの一環だと思うがどうか。

石坂構造政策室長
 農地転用に比べて、農振除外については制度上、市町村の農業振興計画の変更ということで、全体の市町村の計画があり、トータルでこの場所は農業振興をはかる地域でないという、計画から抜く作業を全体でおこなうものであるから、特定の人に対応することは難しい状況である。

(9)農地中間管理事業について

福重委員
 平成26年度に農地中間管理事業が開始されたが、進捗状況と課題、対応はどうか。

石坂構造政策室長
 群馬県農業公社を群馬県農地中間管理機構として指定し、農地の貸し借りの新しい仕組みとしてスタートした。農地の受け手の公募は、7月と9月に2回実施し、合計で238件、1,141ヘクタール農地が欲しいと手があがった。逆に農地の出し手は随時受け付けているが、9月30日現在で88.9ヘクタールであった。現在の貸付け実績は2経営体、80ヘクタールであり、受け手に対して出し手が少ないことが課題である。

福重委員
 需給バランスが全然違う状況で、農地の集積を図っていくことが課題となっているか。

石坂構造政策室長
 受け手に対して出し手が極端に少ないのが一番の課題である。

福重委員
 本県全体の耕作放棄地はどの位あるのか。

石坂構造政策室長
 国で調査している平成25年の荒廃農地という資料があり、A分類(再生可能な荒廃農地)B分類(再生不可能な荒廃農地)合計で、7,980ヘクタールあり、A分類が3,800ヘクタール、B分類が4,180ヘクタールとなっている。

福重委員
 受け手と貸し手のミスマッチが大きい中で、今後、県としてどのように取り組んでいくのか。

石坂構造政策室長
 農地中間管理機構も馴染みがないし、PR不足も非常に大きいと思う。安心感を感じてもらえるPR活動が大事であり、市町村、JAの広報誌、新聞、ラジオ等を活用し、周知を図りながら、機構集積協力金の活用もPRしていきたい。また地域の農業者や農地の状況を把握している各市町村の農業委員に出し手の掘り起こしの協力をお願いしている。

(10)米価について

松本委員
 昨年の県産米の価格はどのくらいか。

高橋蚕糸園芸課長
 昨年の全農ぐんまの買取り価格は、品種により異なるが、1俵あたり7,000円から9,100円である。

松本委員
 6,000円ぐらいとの話があるが、現実にあったのか。

高橋蚕糸園芸課長
 JA等も手数料が発生するので、そのような価格になることもある。

松本委員
 米価下落に対して、県としてどのような対応をしたか。

高橋蚕糸園芸課長
 米価は民間流通で決まるため、県として対応に限りがあるが、来年度の作付けに向けて、米価が下落したときのナラシ対策への加入促進や、主食用米から飼料用米に切り替えるなど、米の需給調整を図り、米価が下がらないような取組に努めている。

(11)離農者について

松本委員
 毎年、新規就農者数は報告されるが、昨年、離農者は何人いたか。

澁谷技術支援課長
 2年に一回、青年事業者農業調査を行っている。一昨年の段階で新規就農者の定着率は96パーセントとなっている。残り4パーセントは離農している。離農原因としては病気などの体調面が主である。

松本委員
 新規就農者のうち離農した者で、もともと就農している人が高齢等により止めてしまう人がいると思うが、その人数は把握しているか。

澁谷技術支援課長
 その調査は行っていない。

(12)免税軽油の利用推進について

松本委員
 農業者の免税経由の件で、JA邑楽館林でも臨時申請窓口を開設したが、その状況はどうか。また他のJAでも開設したのか。

吉野生産環境室長
 JA邑楽館林では、2月に3日間、臨時窓口を開設し、延べ86名が申請、そのうち新規申請者が14名であり、その効果を確認したところである。新規申請者に理由を確認したところ、米価下落の折、少しでも経費削減のため申請に来たという人が、複数いた。他のJAについて、JA太田市藪塚支所で2月25日に1日開設し、9名が申請、JA碓氷安中で2月12日に半日開設し、5名が申請した。いずれも継続申請者であった。

松本委員
 少しでも原価を安くするため、使えるものは使おうという農業者がいるのは当然だと思う。これからもそのように推進していただけるのか。

吉野生産環境室長
 今年度については、国の税制改正の状況を見極めるため、周知が例年より遅れてしまったが、免税軽油制度が3年間延長される見通しとなったため、来年度は早くからJAに周知し、少しでも臨時窓口を開設できるよう努めていきたい。

宮崎農政部長
 免税軽油について、先ほど説明のあったとおり法制度の改正により、前もってのPRができなかった。
 来年度はしっかり準備期間をとって、取り組んでいきたい。

(13)ぐんま農業はばたけプランについて

小川委員
 本県全体の農家戸数の把握はできているのか。

澁谷技術支援課長
 把握している。

小川委員
 いつ時点で何件いるのか。

樋口農政課長
 平成22年度の農家戸数は、57,269戸である。

小川委員
 「ぐんま農業はばたけプラン」の中に主要指標として55,000戸と平成27年の数字が上がっているが、これはどういった数字なのか。

樋口農政課長
 農家戸数については、5年に一度国が行う農業センサス調査でしか把握することができない。

小川委員
 プランには目標年の数値も出ている。55,000戸というのは、平成27年度確保できるよう県として取り組んでいく目標値で良いのか。

樋口農政課長
 そういう位置づけの数値である。

小川委員
 それならば5年の間に農業を取り巻く環境は大雪しかり、TPPしかり大きく変わっている。それなのに5年に一回の調査でないと離農者も把握できないのは、対策が取れていないのではないか。

樋口農政課長
 当方が一番の目標としている数値は農業産出額であり、それを伸ばすことが農家所得の増加につながると考えている。

小川委員
 それならば新しく計画を策定する際、指標として農家戸数をあげなくても良いのではないか。また農家所得について、平成27年度目標値6あるが、現状はどうなっているか。

樋口農政課長
 この数値についても、平成27年度に目標とする数値である。

小川委員
 農家所得の現状は把握する術がないと言うことか。

樋口農政課長
 手元に資料がないので、後ほど回答したい。

樋口農政課長
 先ほどの農家戸数と所得について、再度確認したが農業センサス以外に確認する術がない。プランについては、委員の趣旨も踏まえて検討していきたい。

織田沢委員
 調べる術がないのに、検証することはできないのではないか。

樋口農政課長
 その通りである。

織田沢委員
 各市町村に依頼して、税務課に聞けば農家所得は分かる。農政部として、そういう努力は必要だと思うがどうか。

樋口農政課長
 委員ご指摘の点も踏まえて、検討していきたい。

(14)内水面漁業の振興について

小川委員
 漁業について、ワカサギ釣りの客が戻ってきた旨の話を聞いたのだが、現在の釣り客の状況はどうなっているか。

高橋蚕糸園芸課長
 漁業センサスによると、期間一年の遊漁承認証(年鑑札)の発行枚数は、平成20年度に比べて、平成25年度は約2割減少している。

小川委員
 減少している分は、漁業関係者の収入が減って困っているということか。

高橋蚕糸園芸課長
 遊漁承認証(年鑑札)の収益がないということは漁業関係者の収益も減少するが、釣り客が減少すれば、放流量も減少するので一概に収入に直結するわけではない。

小川委員
 今度遊漁券が値上がりすれば、更に釣り客も減少することになると思うが。

高橋蚕糸園芸課長
 放流種苗の値上がりや漁場の管理などで経費が増加したことにより、やむを得ず遊漁料金を値上げした漁協もある。県としても、釣り客の減少防止のために、事業を通して支援等したい。

(15)「ぐんま・すき焼きアクション」について

小川委員
 「ぐんま・すき焼きアクション」について、県民に対してすき焼きを盛り上げようと機運醸成がメインなのか、輸出も含めて県外や海外に対してすき焼きをツールにして売り込みたいのか分かりにくいので、現状の取組と今後について伺いたい。

真下ぐんまブランド推進室長
 「ぐんま・すき焼きアクション」は昨年9月から県産農畜産物の消費拡大・ブランド化のために取り組みはじめ、フェイスブック等で情報発信している。まずは、すき焼きを通じて県産農畜産物の認知度を上げていきたい、また多くの県民にすき焼きを食べていただくことが、スタートと考えている。

小川委員
 県内でも浸透しているわけではないし、県外の人も、ぐんまとすき焼きがつながらないところもあるので、どこに向かって発信するか絞って取り組んでいただきたい。

真下ぐんまブランド推進室長
 東京の老舗すき焼き店で知事のトップセールスや、県内温泉の58軒程度の宿泊施設で「すき焼き」を提供してもらうことで、県外誘客につなげるための取組も実施しているところである。

(16)県オリジナル品種の育成と県産農産物の海外モニター販売について

清水委員
 県オリジナル品種の早期育成で、現在、この研究はどの程度進んでいるのか。

下山農業技術センター所長
 農業技術センターでは、ウメ、リンゴ、ナシ等の果樹類をはじめとして、花、野菜、コムギ、コンニャクなど15品目の品種育成に取り組んでいる。このうち、今年度に品種登録となったヤマトイモ「ぐんまとろりん」については、増殖が順調に進み、平成26年秋から本格的に出荷されている。

清水委員
 一般質問の際、イチゴやヤマトイモも海外に出荷していきたいと答弁していたが、「ぐんまとろりん」がそうなのか。

真下ぐんまブランド推進室長
 2月26日から3月2日まで、シンガポールでやよいひめとヤマトイモのモニター販売をしてきた。ヤマトイモは棒状のA規格のものを販売した。品種については確認していない。ヤマトイモはシンガポールでは薬膳として位置づけられ、スープで食されるところ、生でも食べられる旨、PRしてきた。

清水委員
 来年度、シンガポールで国際見本市と記載があるが、どのような品目をどの程度出す予定か。

真下ぐんまブランド推進室長
 和牛、こんにゃく加工品、麺類、また開催時期が10月であればリンゴも持っていける可能性もあると考えている。

清水委員
 出すにあたり、どこの生産者のものを持っていくか判断はどう選定されているか。

真下ぐんまブランド推進室長
 群馬県農畜産物等輸出推進機構の構成団体であるこんにゃく組合、JA等の中で、意欲のある産地の農畜産物を選んでいる。

清水委員
 最終的には定期的に出荷できるのが理想だが、モニター販売はその一歩手前と見てよいのか。

真下ぐんまブランド推進室長
 シンガポールは輸入に頼っている国であるので、色々なものが入ってくる。その中、本県ならではのもので差別化を図ることが、販路拡大には必要と考えている。本県のおいしいものを持っていくことで、試験的な反応を見る形で、今後、定着するか検証する目的でモニター販売を実施している。

(17)アユの冷水病対策について

清水委員
アユの冷水病対策の研究をしているとのことだが、いつ頃までに実用化されるのか。

加藤水産試験場長
 平成23年に江戸川で採取した天然遡上アユに、冷水病に対する抵抗を強化するため、冷水病原因菌を接種して、生き残ったアユを親魚として種苗生産をおこなった。できた種苗に冷水病耐性が引き継がれているか、実際に釣れるアユなのか、遡上できるのかなどを検証しており、平成28年度の実用化を目指したい。

(18)豚流行性下痢(PED)について

酒井委員
 本県の畜産業に大きな打撃を与えていると思うが、影響額について伺いたい。

野呂畜産課長
 PEDについて、昨年、国が発出した「PED防疫マニュアル」により、特別防疫対策地域を指定して防疫体制の強化を図っている。子豚の死亡による経済的影響について、今後出荷頭数も元に戻っていくのはないかと考えている。

酒井委員
 PEDの原因や感染ルートは分かっているのか。

野呂畜産課長
 一般論として、感染ルートは交差汚染によるリスクが高いと考えられているので、養豚関係車両の集合施設における消毒の徹底をお願いし、県としての支援もおこなってきたところである。今年、特別防疫対策地域の設定に伴い、県が運営する消毒ポイントを2カ所設定し、昨年のような大発生に結びつかないような防疫体制を強化している。

酒井委員
 母豚へのワクチン接種が大変有効であるが、ワクチンが高くて十分行き届かないと聞く。また消毒機器も費用がかかると聞くが、県として支援策を検討しているか。

野呂畜産課長
 PEDについては国が定める撲滅対象の伝染病でなく、PEDワクチンは経済性を高めるものなので、ワクチンについては、農家の自助努力で接種するようお願いしている。消毒については、特別防疫対策地域の設定に伴い強化しているが、今後も感染が拡大することがあれば、何らかの対策を取っていきたい。

(19)遺伝子組換えカイコの実用化について

酒井委員
 遺伝子組み換えカイコの実用化について、一般農家に対しても遺伝子組み換えを考えている旨の報道があったが、詳しい内容とを教えていただきたいのと、生態系への影響が懸念されるがどうか。

毛利絹主監
 遺伝子組み換えカイコについて、現在、前橋市内の蚕産協同飼育所の中で、県内メーカーから委託を受けて飼育している。通称カルタヘナ法という法律に基づき、施設は外界の生物と交配しないような措置をとっている。

酒井委員
 蚕糸技術センターを訪問した際、防護服を着用し厳重に管理していたが、一般の農家が厳重にやるといっても、なかなか難しいと思う。その辺りの技術的な指導についてどう考えているか。

毛利絹主監
 通常2種といっているが、一般農家では外界と隔離しない方法で飼育する方法を進めている。こちらについても、実際に飼育してみて、外界の昆虫と交配、継代されないかモニタリング調査し、現在確認している。その結果、国の安全委員会で認められた後に農家飼育となる。そのため、検証されないうちに始めるというわけではない。

(20)群馬県有機農業推進計画について

酒井委員
 有機農業推進計画の改定について、有機農業をおこなうことは難しいと認識しているが、現在、県内で何件の方が、有機農業をおこなっているのか。

吉野生産環境室長
 有機農業について、県としては具体的な数字をつかんでいないのが実情である。平成21年度に県が調査したところ、274名、226ヘクタールとなっている。有機JASの認証を受けている数や、環境保全型農業直接支払交付金の有機農業での申請者数などもあり、実態の把握が難しい。そのため、計画の中で有機農業のネットワーク化を進めながら、実態を把握したいと考えている。

酒井委員
 群馬県有機農業推進計画に対して、パブリックコメントが1件あったとのことだが、どのような意見だったのか。

吉野生産環境室長
 パブリックコメントについては、昨年の11月20日から12月19日にかけておこなった。意見の内容は「都市住民は退職後に有機農業をおこないながら生活したい欲求が高いので、有機農園を整備すること」であった。新規就農希望者に対しては、計画の中にも農業改良普及指導員が支援することもあり、この意見に対して計画の変更はおこなっていない。

(21)鉄鋼スラグの撤去について

酒井委員
 鉄鋼スラグについて、東吾妻町の萩生川西地区の舗装実施の経過、規模、工事費について伺いたい。

村上農村整備課長
 萩生西川地区は、平成22年度、国の補助事業として採択され、平成28年度を完了年度として、現在、工事を実施中である。本事業は、田や畑の区画整理や道路、水路を造るほ場整備であるが、そのうち8路線の農道でスラグ砕石が使用されていた。使用に際しては、使用材料承認願の提出を受け、品質規格証明書により環境基準への適合を確認している。3路線は舗装工事を実施しており、残り5路線は、路盤状態であったものを、平成26年7月に舗装を完成させた。農道舗装の規模は、全体延長630メートル、実施額は税込み6,490,800円である。

酒井委員
 なぜ舗装したのか理由を伺いたい。

村上農村整備課長
 舗装は、管理など現場の状況により実施するものである。

酒井委員
 敷砂利として使われていて、指摘があって舗装したとのことであるが、指摘されなければ舗装しなかったのか。鉄鋼スラグが使われていて、風で飛散するから舗装したのか。

村上農村整備課長
 ほ場整備は、一度に完成させるものではなく、農家の方々に使っていただきながら、補完工事をおこない、段階的に完成させていくものである。農道も同様に、段階的な整備を実施する。

(22)TPPについて

酒井委員
 TPPの交渉が大詰めを迎えているが、県は、この問題に対して反対の立場を明確にすべきだと思うがどうか。また、本県の農業分野への影響額試算を、やり直すべきだと思うがどうか。

樋口農政課長
 TPP交渉は、交渉参加国が秘密保持契約を締結しており、政府から交渉に関する詳細な情報は提供されていない。そのため、県では昨年5月、国に対して、1 交渉で得られた情報をできる限り明らかにするとともに、国内産業のあるべき姿や進むべき将来像とその実現のための方策を明確に示すこと、2 大きな影響を受けることが懸念される農業分野においては、持続的に発展するために必要な国内対策を着実に実施することを要請したところである。引き続き動向を注視したい。また、試算については、交渉段階で内容が不明のため、現時点では考えていない。

酒井委員
 試算を考えていないとのことだが、妥結してからでは遅い。交渉からの撤退を求める声明を、知事として出すべきだと思う。県として確固たる反対の意思表示をすべきだと思うがどうか。

宮崎農政部長
 TPPは、活性化が図られる産業分野がある一方で、農業分野は大きな影響を受けるものと懸念しており、これまでも国等へ必要な要請をおこなってきたところである。今後も状況を見ながら機会を捉えて必要な要請等をおこないたい。

(23)飼料用米について

井下副委員長
 飼料用米に取組む生産者が増えると思うが、生産量急増に伴う対応や手続きはどうか。

高橋蚕糸園芸課長
 飼料用米の取組については、畜産農家とのマッチングによる地域内流通と、全農が買い取る全農スキームの2つの方法がある。全農スキームでは、全農が全国で60万トン、本県でも、7,500トン(面積で1,500ヘクタール)を、買い取る予定であるので、量的には心配ないと考えている。また、手続等については、経営所得安定対策等の助成金の関係があることから、4月末までに市町村等に、どの圃場で飼料用米を作付けするかを申請してもらうことになっている。なお、県としては、来週から主なJAに対して飼料用米の推進を図る予定である。

(24)全国和牛能力共進会について

井下副委員長
 全国和牛能力共進会に向けての意気込みを聞かせていただきたい。

野呂畜産課長
 関係団体と連絡を密にして、前回の長崎大会以上の成績を得るため、出品対策に取り組んで参りたい。

井下副委員長
 部長からもよろしくお願いしたい。

宮崎農政部長
 肥育試験をはじめ、畜産試験場を中心に緻密な対策をおこなっている。前回大会よりも上位の成績を目指し、関係者一丸となって取り組んで参りたい。


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