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文教警察常任委員会(教育委員会関係:平成28年度)平成28年3月14日

1.開催日時

平成28年3月14日 10時00分開始 15時01分終了

2.開催場所

302委員会室

3.出席委員

委員長:岸善一郎、副委員長:高橋正
委員:中沢丈一、委員:松本耕司、委員:新井雅博、委員:福重隆浩、委員:後藤克己、委員:酒井宏明、委員:川野辺達也、委員:本郷高明

4.欠席委員

なし

5.主な質疑

(1)第1号議案「平成28年度群馬県一般会計予算」(被災児童生徒就学支援)について

中沢委員
 被災児童生徒就学支援について、事業の概要はどうか。

吉澤管理課長
 被災地から避難している幼児・児童・生徒に対して、幼稚園については保育料等、小・中学校については学用品費や給食費等を国の補助金を活用して支援する制度となっている。

中沢委員
 支援の対象は何人くらいか。

吉澤管理課長
 平成27年度はまだ見込みだが、幼稚園で7名、小学校で84名、中学校で36名である。

中沢委員
 支援対象者人数は年々減少しているのか。

吉澤管理課長
 平成26年度は、幼稚園で26名、小学校で80名、中学校で38名だった。幼稚園は減っているが、小・中学校では昨年度に比べてほぼ横ばいである。

中沢委員
 市町村を通じて、要望や課題が県へ伝わってきているか。

吉澤管理課長
 具体的な要望はこちらにはきていないが、できるだけ幅広く対象者を拾い上げてもらう必要があると考えている。

(2)第1号議案「平成28年度群馬県一般会計予算」(生涯学習センターのプラネタリウム)について

中沢委員
 平成28年度にプラネタリウムの機器がリースにより更新されるとのことだが、それによりどのような点が改善されるのか。

下田生涯学習課長
 現行の機器とは投影の方式が異なる。現行機器は年に2回のメンテナンスを要し、経費負担も大きかった。更新後は、3台のプロジェクターを使って上映する方式に改めることにより、ソフトの汎用性も広がり、これまでより多様なプログラムを上映できるようになるなどの利点がある。

中沢委員
 新たな機器は、いつ頃導入するのか。また、それに伴うプラネタリウム稼働休止期間はどのくらいになるのか。

下田生涯学習課長
 6月中旬頃から約2週間の上映休止期間を経て、6月末から7月初旬頃に上映を再開する予定である。

中沢委員
 リースに係る費用は、どのくらいか。

下田生涯学習課長
 年間のリース料金は約400万円である。

(3)第1号議案「平成28年度群馬県一般会計予算」(英語教育強化地域拠点事業)について

松本委員
 県内の5地域とはどこか。

三好義務教育課長
 前橋、高崎、太田、沼田、嬬恋の各小中学校にお願いしている。

松本委員
 これらの地域を選んだ理由は何か。

三好義務教育課長
 事業開始にあたり、平成26年度末に市町村の意向を確認し、以前から小学校の英語教育に力を入れていて、今後も先進的に取り組む意欲のある市町村にお願いした。

松本委員
 市町村からの強い申し出があったという捉え方でよいか。

三好義務教育課長:申し出もあったが、こちらからもお願いをしたものである。

(4)第1号議案「平成28年度群馬県一般会計予算」(いじめ問題対策)について

松本委員
 いじめ問題等対策連絡協議会の構成員や、開催回数など概要を伺いたい。

三好義務教育課長
 いじめ問題等対策連絡協議会は、県民総がかりでいじめ問題にあたろうとするもので、副知事を会長とし、小・中・高等学校の校長会、PTA、育成会や子ども会連合会、青少年健全育成推進協議会などの関係団体や、児童相談所、教育委員会関係機関など、30の団体等から構成される組織である。いじめ問題の現状についての情報共有や、各種取組についての情報交換などを目的に、年間1回程度実施している。本年度は昨年12月に開催し、いじめの中でも特に対応が難しいと言われているネット上のいじめについて協議し、県民向けのリーフレットを作成した。ネット問題の深刻さを伝えるとともに、ネットに依存しない生活や、子どもの発達段階に応じたスマホ等の利用上のルールをつくることなどを盛り込み、県民向けのメッセージとして電子配信した。

松本委員
 深刻ないじめの事案が発生したとき、この協議会が開催され、対応することになるのか。

三好義務教育課長
 個々のいじめの事案については、市町村教育委員会が中心となって対応している。いじめにより子どもが亡くなるとか、長期にわたり登校ができなくなるなどの重大事態が発生した場合は、この協議会とは別に各市町村教育委員会の附属機関として「いじめ問題対策会議」があり、そちらで対応することになる。

本郷委員
 いじめ防止フォーラムの開催地域、内容、対象者及び人数等、概要を伺いたい。

三好義務教育課長
 高校の生徒指導対策協議会の地区が県内に12あり、その各地区において実施している。小・中・高校、特別支援学校の代表の児童生徒たちが参集し、各学校で取り組んでいる生徒会や児童会、学級活動等で行っている活動について発表したり、ネットのいじめについて自分たちでどういうルールを作ったらよいかなど、いじめをなくすための方法について子どもたちの代表が話し合い、その地区のフォーラムとしてのメッセージを作成している。そしてそれを各学校で実践するという取組である。

本郷委員
 年に何回くらい実施しているか。また、参加人数についてはどうか。

三好義務教育課長
 高校の生徒会が中心となって事務局を運営しており、小・中学生の面倒を非常によく見ている。高校、中学校の生徒会代表1名、中学校区にある小学校の代表校の児童で構成されており、地域によって人数は様々である。

本郷委員
 いじめ問題等対策連絡協議会において、ネットいじめ問題防止のため、どのような議論が行われたか。近年、通信機器の利用によりいじめが誘発される事態が多く、PTA等においても警鐘を鳴らしているが、改善策等あれば伺いたい。

三好義務教育課長
 ネット上でのいじめが深刻な問題であることについて、具体的な事例を伝えたり、関係者と情報を共有したりしている。この問題については、子どもだけで解決することはできないということを前提に、取組を進めていくことが大切である。
 学校においては、教員がネットいじめの問題、解決の難しさについて児童生徒に伝え、それらについて児童生徒で話し合うなどの教育活動を展開している。家庭においては、フィルタリングをかけることはもちろんのこと、子どもの発達段階に応じたスマートフォンを使うためのルールづくりなどについて話し合うことが大切である。

(5)第1号議案「平成28年度群馬県一般会計予算」(PCB廃棄物処理)について

新井委員
 PCB廃棄物処理について、全体計画と内容はどのようか。

吉澤管理課長
 PCB特別措置法により、現在、保管しているPCB廃棄物は、平成36年3月31日までに処理することになっている。現在、学校で保管しているPCBが含まれるトランスや安定器の処分については、年次計画を立て、平成34年度末までに処理していきたいと考えている。

新井委員
 全体としてかなり大量になるのではないかと思われるが、学校での保管状況は、どのようになっているのか。

吉澤管理課長
 現在保管しているPCB廃棄物については、高濃度及び低濃度の2種類がある。高濃度についてはトランス4個及び安定器2,965個、低濃度についてはトランス90個を保管しているが、既に処分を始めているので、現在、35校で保管している状況である。

新井委員
 できるだけ早く処分した方がよいと思うが、どうか。

吉澤管理課長
 PCBの処理については、中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)が全国に何か所か持つ工場で処分する方法しかとれない。本県は北海道の室蘭にある同社のPCB処理事業所のエリアに入っている。同事業所にエリア内からPCBを順次送ることになっているため、すぐに全てを処分することはできないと聞いている。

(6)第1号議案「平成28年度群馬県一般会計予算」(県立高等学校空調設備整備)について

福重委員
 県立高等学校空調設備整備等については、3年計画で実施すると聞いているが、エアコンの導入スケジュールはどのようか。

吉澤管理課長
 平成28年度は3年生の教室、平成29年度は2年生の教室、平成30年度は1年生の教室に整備をする計画である。

福重委員
 設置教室数は、どのくらいか。

吉澤管理課長
 今のところ、各年度ともに設置教室数は164室の予定であるが、若干、変動する可能性はある。

福重委員
 来年度の設置スケジュールは、具体的にはどのようになるのか。

吉澤管理課長
 4月に実施設計を発注し、6月中旬までに実施設計の成果品を受領、6月末までに予定価格の積算及び入札等を実施したいと考えている。なお、工事については、基本的には学校の夏季休業期間中を予定している。

福重委員
 夏季休業期間中に工事を実施するとなると、稼働は9月からになるのか。

吉澤管理課長
 設置できた高校については、9月から試験運転を開始したいと考えている。

福重委員
 地域経済活性化のためにも地元事業者の受注機会を確保することが望ましいと思うがどうか。

吉澤管理課長
 各高校が所在する土木事務所管内の地元事業者を中心に発注していきたいと考えている。

福重委員
 学校によってエアコンの稼働に差があるのは問題である。設定温度を決めるなどエアコンの稼働について一定のルールを設けるべきと思うがどうか。

吉澤管理課長
 エアコンの稼働について各高校でばらつきがあるのは好ましくないと思う。来年度の上期を目途に運用の指針となるものを策定したいと考えている。

福重委員
 エアコンには冷房機能のほか暖房機能も備えているが、暖房機能の運用については、どのように考えているか。

吉澤管理課長
 エアコンを導入するにあたって他県の状況を調査したところ、エアコンの導入を機に冬場の暖房をエアコンに統一したという県もあった。今後は、生徒の健康、運用コスト、環境負荷の問題などを総合的に検討し、エアコンに優位性が認められれば、エアコンに切り替えていくという方法もあると考えている。運用マニュアルを検討する中で勉強していきたい。

福重委員
 エアコンが設置されると電気代が増えることが予想されるが、新電力会社との契約について検討しているか。

吉澤管理課長
 平成25年度から県立学校の電気供給契約を取りまとめ、一括して入札し、PPS(新電力会社)と電気供給契約を締結している。

福重委員
 新電力会社と契約を締結した結果、どの程度の効果があったか。

吉澤管理課長
 あくまでも試算であるが、東京電力と従来型の契約を締結した場合と比較すると、平成25年度では約4,700万円の節減、平成26年度は約6,900万円の節減、平成27年度は約7,500万円の節減となっている。

福重委員
 エアコン設置の決断に至る過程の中で、教育委員会としてどのような判断をしたのか。

吉野教育長
 エアコンの設置は、非常に経費がかかるということが一番念頭にあったが、温度が36度、37度となるような人間の体温以上の気温の中で学習するのは好ましくない。そのため、知恵を出しながら、財政当局とも議論し、また、議会からの支援も得て、ここまで来たという感慨を持っている。有効に無駄なく活用できるようにしていきたいと考えている。

(7)第1号議案「平成28年度群馬県一般会計予算」(スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラー)について

後藤委員
 スクールソーシャルワーカーについて、予算額に大きな変化はないが、内容についてはどうか。

三好義務教育課長
 3つの教育事務所に、それぞれ年間180時間分の予算を計上しており、各事務所2名ずつのスクールソーシャルワーカーを配置する。社会福祉士、または精神保健福祉士の資格をもった者を配置し、学校現場で問題を抱える子どもたち、そして、その背景にある家庭環境等に働きかけられるように対応したいと考えている。

後藤委員
 県立高校等におけるスクールカウンセラー配置に関しては、前年度と比べて増加しているが、理由は何か。

山口高校教育課長
 増額の理由は2つある。1つ目は、県立高校等に配置するスクールカウンセラーの全校配置を維持しつつ、より専門性の高い臨床心理士の有資格者の割合を高め、質的向上を図るものである。質的な充実を図るもので、スクールカウンセラーには、臨床心理士と、それに準ずる者として相談の実務経験のある者とがいる。高等学校ではスクールカウンセラーが生徒と直接面談できることになっており、特に専門性の高い臨床心理士がカウンセリングを行うことで、生徒が抱える心理的課題に効果的に働きかけていくことが可能となる。
 2つ目は、生徒を対象とした「こころの教育事業」の拡充である。この事業は、9月補正により事業を開始したが、各校に配置されたスクールカウンセラーが、ストレスマネジメントに関わる講演や人間関係づくりのトレーニング等を行うものである。平成27年度は県立高校25校で実施したが、来年度は全ての県立高校等で実施できるようにした。

(8)第1号議案「平成28年度群馬県一般会計予算」(キャリア教育)について

後藤委員
 群馬で学んで育った若者が他県の大学等に進学し、再び群馬に戻ってきてもらうためには、高校段階でのキャリア教育が重要と考える。特に普通科において、来年度、どのような充実を図るか。

山口高校教育課長
 高校生のインターンシップについては、具体的な目標、指標を定め、積極的に取り組んでいるところである。高校在学3年間に1度インターンシップに参加する生徒の割合が、平成26年度は31.8パーセントであったが、これを平成31年度までに50パーセントまで引き上げるという目標を掲げている。職業系の専門高校ではインターンシップを実施する割合が高く、65パーセント程度の生徒が体験している一方、普通科の生徒については、15パーセント程度と非常に低調である。普通科の生徒が大学に進学したとしても、最終的には職業に就くことから、高校生のうちに職業観や勤労観を持たせることは必要であり、今後一層力を入れていきたい。教育委員会としては、企業等の講師を招いて、インターンシップを実施する生徒を対象とした講話を実施するなどの取組を行っている。
 また、県内の高校生が他県の大学へ進学し、4年後に群馬に戻ってきて就職する割合について、人口減少対策の観点からも非常に重要な課題と考えている。インターンシップは、高校生が地元の企業に出会うための機会と捉えており、群馬労働局の主催で、高校へ企業に来てもらい説明会を行うなど、4年後を見据えた事業を、最近は普通科高校でも実施している。
 なお、指導する教員が地元の企業についてあまり知らないとの指摘を踏まえ、来年度、進路指導担当者を対象とした会議において、教員の理解を促すための講義等を取り入れる予定である。

(9)第1号議案「平成28年度群馬県一般会計予算」(富岡・甘楽地区及び吾妻地区の高校再編整備)について

酒井委員
 富岡高校と富岡東高校が統合するとのことだが、一括方式を採用した理由と、そのメリットは何か。

山口高校教育課長
 メリットは、3学年がそろって新高校を開校できる点である。学年進行の場合は、新高校に1年生のみ入学し、3年かけて3学年が揃うことになる。校地・校舎として使用されない既存高校については、新入学生の募集が停止し、最後に3年生だけ残る形になる。その場合、教育活動や部活動の面で制約が大きくなるというデメリットがある。本県でこれまで一括統合方式を採用してこなかった理由の一つとして、高校の場合には入学者選抜があり、入学した学校に3年間在籍して卒業することを基本的な考え方としていたことが挙げられる。

酒井委員
 共学化となるため、施設整備も必要となってくるが、スケジュールについて伺いたい。

吉澤管理課長
 平成28年度は、設計と併せて既存校舎等の解体工事、文化財調査を実施する。平成29年度は、特別教室と武道場等を含めた新校舎を建設し、既存の教室棟や管理棟にエレベーター設置やトイレ改修などの工事を行い、平成29年度中に全ての工事を完了させる予定で、平成30年4月から新たな校舎で学校生活がスタートすることとなる。

酒井委員
 学級数が減るという話を聞いているが、減らさないことはできないか。

山口高校教育課長
 富岡・甘楽地区の新高校については、1学年6学級の普通科の男女共学校として平成30年4月に開校予定で準備を進めている。

酒井委員
 統合後の富岡東高校の跡地利用についてはどうか。

山口高校教育課長
 富岡東高校の跡地利用についても、新高校で活用できるのかも含め、幅広く検討していきたい。

酒井委員
 吾妻地区の高校再編整備について、部活動の交流なども含め、統合に向けた取組やスケジュールはどうか。

山口高校教育課長
 平成30年4月に一括統合方式で新高校を開校する予定である。準備については、例えば、教育課程を揃えておき、同じ教科書を利用するとか、生徒会やPTA等の組織、また修学旅行の行き先等、具体的なことについて、事前に両校が綿密に協議をしながら進めていくことが必要になる。

酒井委員
 地域住民の方や同窓会から、キャンパス方式などの要望も出されたと聞いているが、住民や関係者への説明は十分になされたか。

山口高校教育課長
 高校再編整備に関わっては地元の市町村長や市町村議会議長、市町村の教育長を含めた懇談会や、教育関係者、学校関係者の検討会を重ね、スモールステップで地元の方々の意見を聞きながら進めてきている。吾妻地区の新高校については県議会でも学校規模についての請願が出されており、一般質問で教育長が答弁したとおり、志願状況等が大きく変われば、柔軟に対応していきたい。

(10)第1号議案「平成28年度群馬県一般会計予算」(学校体育振興)について

後藤委員
 スポーツエキスパート活用事業、地域スポーツ人材活用実践支援事業について、学校からの要望を増やし、さらに支援を進めるべきと考えるがどうか。

高田健康体育課長
 中学校への部活動の支援については地域スポーツ人材活用実践支援事業で行っているところである。県立高校に対しては県費で、中学校については国庫事業で支援を行っている。平成28年度については、地域スポーツ人材は若干減少、スポーツエキスパート事業については若干増加している状況である。中学校については、同様の事業を市町村が主体で行っているところもあることから、市町村と連携するとともに情報を収集していきたい。

高橋副委員長
 地域スポーツ人材活用実践支援事業は、どのような補助か。また、体育・運動部活動指導者支援は、どのような事業か。

高田健康体育課長
 中学校における運動部活動の外部指導者の活用について、県の事業として、30人に対して年間20回、単価2千円、1人に対して4万円程度の謝金を払っている。
 また、体育・運動部活動指導者支援は、実技の研修会であり、本年度は3種目について、専門的な技能を持つ指導者を講師に迎え、希望者を対象として実施した。

(11)第68号議案「群馬県の教育、文化、学術 及び スポーツの振興に関する大綱の策定について」について

酒井委員
 教育等大綱の基本目標では「社会全体で」取り組むことが強調されており、学校教育の位置づけが弱くなっている印象を受ける。学校教育は、公教育として行政が責任をもって取り組む必要があると思うが、教育委員会としてどう位置付けているか。

荒井総務課長
 教育施策は、学校だけで進めるものではなく、家庭や地域と連携していくことが大事である。大綱の基本目標は、部局横断的に総合行政を進めることも含めて、「社会全体で人を育てていく」ことが施策推進の前提であることを示したものである。

酒井委員
 「地域全体で」というのはわかるが、学校だけには任せられないということか。

荒井総務課長
 大綱の「施策の方向性」において「確かな学力の育成」や「信頼される魅力的な学校づくり」等が掲げられており、これらは学校が中心となって進めていくものではあるが、家庭や地域とも連携して社会全体で取り組んでいくものである。

(12)生徒指導、進路指導の現状等について

酒井委員
 広島の中学3年生の自殺問題に関連して、本県では、高校入試における推薦において非行歴はどう扱われているのか。

三好義務教育課長
 進路指導は、子どもたちの夢や希望をはぐくみ、子どもたちの個性や能力を最大限に発揮できるような、現実的な進路選択ができるように指導をしていくことを基本とする。
 また、生徒指導は、子どもたちは失敗や過ちを冒すこともあるが、そのことを通して成長していくのであり、可塑性に富んだ、可能性のある存在であることを指導の根本にしなければならない。
 このような考え方に基づけば、仮に中学1年生の時に万引きをした生徒であったとしても、3年生になって自分の将来を考えようというときに、過去を反省し前向きに生活している子どもについては、校長として自信をもって高校へ送り出すことが基本となる。

酒井委員
 本県における進路指導、生徒指導の現状はどうか。

三好義務教育課長
 学校においては子どもたちの問題行動に対して、指導するだけでなく、継続的に支援していくことが生徒指導上の重要な課題である。子どもたちが問題行動を起こしたときに、そのことについて一部の教員が承知しているだけでなく、学校全体で共有する仕組みが各学校でできている。各学校とも生徒指導委員会といった組織が設置され、校長、生徒指導担当教員、各学年の担当教員から構成されており、生徒指導に関して全校で情報を共有している。
 また、こういった各学校の組織的な取組を充実させていくために、義務教育課では、全中学校の生徒指導担当教員を対象とした協議会を実施し、生徒指導担当がリーダーシップを発揮して、組織的に進めていくことができるよう、継続的に研修をしている。

松本委員
 広島県での生徒の自殺問題については、報道を見聞きする限りでは、学校の体制がなってなかったのではないかと考えるが、もしこのようなことが本県で起きたとしたら、教育委員会としてどう対応するか。

吉野教育長
 起きたとしたら、ではなく、それ以前のこととしてお答えしたい。進路に関する事項は、生徒にとって一番重要なことであると考えている。県内の中学校においては、調査書作成委員会等を複数の職員で組織し、1年生のときからの教科の記録、出欠席の記録、特別活動の記録等をきちんと複数の目で点検をしながら引継ぎを行っている。3年生の進路指導では、担任だけでなく学年主任や副担任等と協力して複数の目で見ながら、しっかりとした指導をしている。非行歴や素行が悪い等の記録が仮に残っていたとしても、どこでどう扱うかは調査書作成委員会の中で、校長以下全員で決めており、公的な場面で出すことはない。

松本委員
 本年4月1日から新教育長制度が導入されることに伴い、教育委員長の職がなくなるが、教育委員長としての感想を聞きたい。

眞保教育委員長
 これまでの多くの先達の方々も大きな責任をもって、教育長と力を合わせて群馬の子どもたちのために心を砕いてきた。これまでの教育委員長と比べ、任期が半年と短く、私自身、何ができたか心許ないが、子どもたちは、現場の先生方の愛情に恵まれてしっかりと育っていると思う。願わくは、一度はどこかに飛び立って、将来的には県内に戻って、それぞれの地域で中核となって活躍できる人材になってもらいたいと願っている。

(13)県立盲学校について

酒井委員
 盲学校の校舎も適宜、改修や改築がされているが、屋上プールは老朽化が進行している状況である。今後の施設整備についてどのように考えているのか。

吉澤管理課長
 盲学校の屋上プールは、昨年夏に薬液装置が故障したので更新した。その他については現在のところ改修予定はないが、学校側の意見を聞きながら対応していきたい。

酒井委員
 プールの改修にはかなりの費用がかかる。付近に民間の屋内型温水プールが2箇所あり、そちらを利用する方が生徒のためになると思う。教育委員会として、利用について配慮するべきと考えるがどうか。

吉澤管理課長
 学校側が、今後、屋上プールは利用せず、民間の温水プールを利用するとの方針であれば、屋上プールを廃止して、その維持費を温水プールの利用に係る送迎費用等に振り替えることも考えられるので、引き続き学校側の対応を注目していきたい。

酒井委員
 盲学校における職員のパソコンの活用等に関して、情報機器の進化や視覚障害者への広がりを踏まえ、職員に対する研修を実施する必要があると思うがどうか。

須藤特別支援教育室長
 盲学校では、生徒の視覚障害の状況に応じて、点字翻訳、拡大文字、音声、白黒反転等の教材作成や、タブレットを活用した指導等、様々な機器を使用しているため、年度当初を中心に、転入者等への研修を年間20回ほど実施し、盲教育の充実に努めているところである。

酒井委員
 図書の点訳等、ボランティアとの連携の状況はどうか。

須藤特別支援教育室長
 図書館の充実のため、点字翻訳や資料の立体化など、点訳奉仕の会の方に年間40回から50回ほど来てもらい、図書環境の整備を行っている。

(14)道徳教育について

本郷委員
 小・中学校の道徳の時間が、年間35時間の標準授業時数に満たない例があると聞くが、本県の現状はどうか。また、実施すべき時数に満たない場合、不足時間への対応はどうか。

三好義務教育課長
 道徳の授業時数は、小学1年生は34時間、2年生から中学3年生までが35時間とされており、内容についても学習指導要領で示されている。平成26年度は、標準時数を下回っている学校は報告されていない。行事等で道徳の時間がなくなったときは、別の日に振り替えるなどして、標準授業時数を確保するよう努めている。
 また、各学校においては、道徳教育についての全体計画、年間指導計画が作成されており、各学級担任は、これらに従って授業を行うことになっているので、適切に授業が行われているものと認識している。

本郷委員
 道徳の時間は、時間割の5・6時間目に設定されることが多い傾向にある。子どもたちにとって道徳は難しいという意識があり、1日の最後に組み込まれるのはどうかと思うが現状はどうか。

三好義務教育課長
 各学校が道徳の時間を何時間目で行っているかについては調査していない。
 いじめ等の問題が深刻な現状で、道徳の時間の確保は学校にとって大切な課題であり、教育委員会として重点的に指導してきている。例えば、集会等の延長で授業時間に影響がでる可能性がある、月曜日の第1校時に道徳の時間を設定するようなことは避け、時数を確保できるよう指導してきている。

(15)ICT教育について

本郷委員
 本県では、ICT教育についてどのように指導しているか。

三好義務教育課長
 情報活用能力または情報機器活用能力については、小学校3年生からあらゆる教育活動を通して取り組んでいる。例えば、理科や社会でネット検索から調べたいことの情報を得たり、得た情報をもとにプレゼンテーションソフトを使って自分の考えをまとめ、発表したりしている。こういった過程で、文字入力や表計算、プレゼンテーションソフトに触れるなど、教育活動全体を通して小学校3年生から中学校3年生まで系統的に指導を行っているところである。

本郷委員
 主観であるが、今の30代は非常にパソコンに長けている一方、スマホ世代の20代はあまりパソコンが得意でない。パソコンだけでなく、通信体制を利用する能力開発についても小・中学校で指導してほしいがどうか。

三好義務教育課長
 小学校3年生から教科・領域の中で、また、総合学習の時間を含めて、パソコンを使って学習することに相当な時間をかけてきている。本県の子どもたちの学習・生活実態調査では、「コンピュータで漢字やひらがななどの文字を打つことができるかどうか」という設問について、小学6年生の95パーセント、中学3年生の98.5パーセントが「できる」と自信をもって回答している。したがって、今の学校におけるICTを活用した様々な教育活動は、一定水準の成果をあげていると考えている。

(16)高校生の自転車利用中のヘルメット着用について

高橋副委員長
 昨年6月に自転車運転に関するルールが改正されたが、高校生の自転車運転のマナーの悪さも指摘されている。高校生のヘルメット着用について、現状と県教育委員会の考え方はどうか。

高田健康体育課長
 詳細なデータはないが、中学校では、学校管理下となる通学時には、ヘルメットの着用を求めているケースが多いように思う。一方、高校では、通学時のヘルメット着用は基本的に任意であると考えているが、尾瀬高校のように地域性を考慮して、着用を義務づけている学校もある。
 小・中学生は、知識や体力を含め運転技能が未熟なため、自損事故対策としてヘルメットの着用を求めており、高校生は一般利用者と同様に、着用は任意としているものと認識している。
 今後は、各学校におけるヘルメット着用の状況を把握するとともに、交通安全に係る高校の関係者と意見交換を行うなど調査研究していきたい。

(17)障害者差別解消法施行に向けた準備状況について

本郷委員
 障害者差別解消法の施行に伴い、できる限り本人や保護者の考えを尊重し、就学先を決めることができる仕組みになるわけだが、施行に向けた準備状況はどうか。

須藤特別支援教育室長
 国の動きを受け、県立学校については10月の校長会において、また、市町村教育委員会については、11月の市町村教育長協議会や2月の担当者説明会等において、法の趣旨や対応要領の内容等について説明を行った。4月1日からの施行に間に合うように、各部局が対応している状況である。

(18)高校再編整備と男女共学化の関係について

新井委員
 本県の各地域において中核となっている学校はどのような高校か。

吉野教育長
 旧制の中学校から高等学校に変わった際に、男子校や女子校として残った学校が、地域の中核校となってきたと認識している。

新井委員
 生徒数が少なくなってくる中で共学化が進んできているが、中核校と言われれている男子校、女子校ともそれぞれに長い歴史がある。県立高校の男女共学化について、どう考えているか。

吉野教育長
 生徒が減少する中で学校の統廃合は避けられないため、有識者委員会の報告を受けて、高校教育改革に関わる再編整備に併せて共学化を推進することとしている。

新井委員
 再編を進める上で、生徒数を考慮すれば、現実的には男女共学化はやむを得ないことかも知れないが、現在策定中の第4次群馬県男女共同参画基本計画案において、「県立高校においては、地域、学校関係者、県民の理解を得ながら、男女共学化を推進します」とある。教育委員会が「再編整備に併せて」という表現を用いているのに、「男女共学化を推進する」と言い切るのは、いかがなものか。

吉野教育長
 第2次計画策定当時の状況は把握していない。また、第4次計画の記述内容も見ていない。

(19)公立高校の募集定員見直しについて

松本委員
 公立高校の募集定員の見直しについて、昨年の第3回後期定例会の一般質問で教育長に答弁いただいたが、その後の進展はどうか。

山口高校教育課長
 県立高校の募集定員については、全県及び地域ごとの中学校卒業見込者数に基づいて、志願状況も考慮しながら年度ごとに決めている。県立高校の募集定員を決定するにあたっては、これまでも私学関係者などと定期的に協議をしながら進めている。来年度の募集定員についても必要な協議をしながら6月に決定・公表していくというスケジュールである。


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