ページの先頭です。
現在の位置 議会トップページ > 委員会活動 > 平成27年5月13日~平成28年5月26日常任委員会記録 > 文教警察常任委員会(警察本部関係:平成28年度)平成28年3月15日

本文

文教警察常任委員会(警察本部関係:平成28年度)平成28年3月15日

1.開催日時

平成28年3月15日 10時00分開始 13時43分終了

2.開催場所

302委員会室

3.出席委員

委員長:岸善一郎、副委員長:高橋正
委員:中沢丈一、委員:松本耕司、委員:新井雅博、委員:福重隆浩、委員:後藤克己、委員:酒井宏明、委員:川野辺達也、委員:本郷高明

4.欠席委員

なし

5.主な質疑

(1)第1号議案「平成28年度群馬県一般会計予算」(駐車違反取締り民間委託契約)について

中沢委員
 駐車違反取締民間委託事業について、概況を伺いたい。

高橋交通部長
 前橋・前橋東・高崎・伊勢崎・太田の4市5警察署において、4ユニット8人で駐車監視員を運用している。平成21年度にスタートし、当初の5ユニット10人から、現在は削減している。

中沢委員
 駐車監視員を削減した要因は何か。

高橋交通部長
 県民の方の駐車に対するルールが定着し守られつつあるのと、足りない部分は警察官も取締りを実施しているためである。

(2)第1号議案「平成28年度群馬県一般会計予算」(社会参加費)について

新井委員
 交番や駐在所に勤務される警察官は、日々、地域住民と向き合って、大変ではあるが、一番大切なのは、地域の人々と関係を深めていくことであり、そのためには社会参加費を担保する必要があると以前から申し上げている。執行額は決算ベースでどのくらいか。

佐藤会計参事官
 平成26年度は、当初予算額は1,040万円、執行額は約770万円で、執行率は約74パーセントである。

(3)第1号議案「平成28年度群馬県一般会計予算」(交番・駐在所 家族報償費)について

新井委員
 県内の交番・駐在所の数を伺いたい。

金田地域部長
 駐在所が119箇所、交番が71箇所である。

新井委員
 駐在所の単身の状況及び年齢や家族の状況について伺いたい。

金田地域部長
 平成27年度中の単身赴任駐在所は1箇所である。家族構成については正確に把握していないが、118箇所は配偶者との赴任で、全体的に見ると小さい子どものいる若い家族が多く、子どもがすでに就職し、夫婦のみで赴任している箇所もある。

新井委員
 交番・駐在所家族報償費は、署員の家族に何らかの業務をさせて報償費を支出するものだと思うが、誰に対して支払うものか。

金田地域部長
 駐在所及び駐在型交番3箇所では、同居する家族が署員不在時の来訪者の対応、警察署等との連絡、事件・事故発生に伴う緊急措置・通報等を行っており、こういった家族の警察活動への協力に報いるため、月額79,000円を、配偶者に対して報償費として支払っている。

新井委員
 駐在所の家族は、精神的にも負担が大きい。家族も含めて、駐在所が地域に根ざすことで地域の安全・安心につながるので、社会参加費と併せて家族報償費も含め必要な対応をしてほしいと思うがどうか。

金田地域部長
 駐在所の家族が地域に溶け込むための活動等を行う中で、精神的な負担を感じることがあることも承知しており、こうした家族の労苦に応えるための意味を含め家族報償費を支給している。
 また、県警察では駐在所の現在の形態を維持していくために、一定期間駐在所に勤務した同居家族に対する本部長感謝状の贈呈や、厚生会を通じた特地駐在所激励等を行い、同居する家族の精神的負担も含めた慰労に努めている。

新井委員
 駐在所で生活し、地域でしっかりと信頼を得ている駐在所に対し、改めて目を配ってほしいと思うがどうか。

小田部警察本部長
 勤務員とともに生活し、地域で活躍している駐在所家族の方々に対しては、これまでも駐在所の慰問や感謝状の贈呈など行っているところであるが、これからも継続していきたい。

(4)第1号議案「平成28年度群馬県一般会計予算」(警察施設整備)について

新井委員
 警察施設維持管理経費とは施設管理に関するものなのか。

佐藤会計参事官
 施設管理に要する維持管理経費のほか、土地・建物等の賃借料や修繕料等が含まれている。

新井委員
 警察の宿舎は、老朽化して誰も住んでいないように見える施設も多く見受けられるが、職員宿舎の数量、入居状況はどうか。また、警察官になると入寮しなければならないような決まりはあるのか。

佐藤会計参事官
 現在、県内には宿舎が146箇所あり、入居率は約73%となっている。過去5年間の推移を見ると年々入居率は低下している状況である。その理由としては、以前は管内居住が原則であったが、道路や通信網の整備など時代の変化に伴い、現在は居住区域が緩和されているため、自宅からの通勤が可能となっていることが考えられる。
 なお、入居については、事件指揮を行う警察署長、副署長、刑事課長等は、管内居住が原則であるが、自宅が管内に隣接するような場合については、臨機応変に対応している。

新井委員
 今後、改修や統廃合による保有数量縮減を進めていくべきと考えるがどうか。

佐藤会計参事官
 群馬県県有財産活用基本方針が平成25年3月に策定され、県有財産の適切な維持保全と財政負担の軽減を両立するため、取組の3本柱の1つに保有総量の縮減が掲げられている。このほかにも、長寿命化の推進、効率的利活用の推進が掲げられていることから、宿舎等の施設の現状をよく確認し、取壊しが可能な施設については、取壊しを実施したいと考えている。
 なお、保有数量縮減対策として三ツ寺宿舎の解体を行うが、これは耐震性の問題や隣接道路の拡幅のため解体を行うものである。

(5)第1号議案「平成28年度群馬県一般会計予算」(警察事務)について

酒井委員
 警察事務費について、28年度予算額が前年度、前々年度に比してかなり増えているが、事務経費が増えているのか。

佐藤会計参事官
 警察事務の事業費が2億6千万円増えているが、その主な要因はGP-WANシステムの最適化改修経費である。庁舎等高熱水費については、約800万円の減額となっている。

酒井委員
 節減方策はどのようになっているか。

佐藤会計参事官
 大きく分けて、消耗品関係と電気料がある。消耗品関係は、用紙の節減、物品の一括購入契約等を行って経費の節減対策に努めており、電気料関係については、平成23年3月11日の東日本大震災以降、毎年組織を挙げて積極的な省エネ・節電対策を推進しているところである。なお、目標数値については、節電は大幅にクリアしており、用紙の削減目標については、用紙の両面印刷、反故紙の裏面活用等を各所属に指示し、削減に取り組んでいる。

酒井委員
 目標の達成度はどうか。

佐藤会計参事官
 用紙の削減目標については、平成28年1月末現在、前年同期と比較すると約140万円の節減が図られている。また、省エネ対策については、夏期においては、使用最大電力の対平成22年度比15パーセント削減、秋から春期においては、電力使用総量の対平成22年度比5パーセント削減を目標に定めて実施した結果、各期とも目標数値はクリアしている

(6)第1号議案「平成28年度群馬県一般会計予算」(職員の健康診断や健康相談等)について

後藤委員
 以前の委員会で、精神疾患が増えているという話があったが、職員に対するメンタルヘルス対策の実施状況はどうか。

田島警務部長
 健康管理対策として、メンタルヘルスチェック、幹部職員に対するメンタルヘルスセミナー、臨床心理士によるカウンセリング、外部機関のカウンセリング等を実施している。

後藤委員
 ストレスチェックは県警では実施していないのか。

田島警務部長
 ストレスチェックについては、平成27年12月から法定化されたことから、これからも実施していく。

後藤委員
 月いち委員会で県警の交通管制センター等を視察したが、強い光で健康被害があると思われる。目に対する予防対策は何か行っているか。

田島警務部長
 厚生労働省のVDT作業における労働衛生管理のためのガイドラインがあり、全職員に対して、作業の際の正しい姿勢や明るさ等の環境整備、適正作業時間、心身のリラックス法等、予防啓発・周知を図っている。

後藤委員
 画面を注視している職員が不調を訴えることはないか。

田島警務部長
 モニターを注視する機会の多い業務に従事する職員は64人いるが、通常の定期検診の他に、眼科、整形外科等において健康診断を実施しており、受診した64名人全員、健康被害はない。

(7)第1号議案「平成28年度群馬県一般会計予算」(育児休業)について

福重委員
 育児休業取得警察官の定員外措置を平成20年度から認めてもらって、現在は、この枠を拡大してほしいという要望を出しているが、現在の育児休業取得警察官の定員外措置の状況はどうか。

田島警務部長
 育児休業取得警察官の定員外措置は、平成20年度から段階的に拡大運用され、平成27年度からは、実数分の定員外運用が容認されている。

福重委員
 育児休業取得者数はどのくらいか。

田島警務部長
 40人である。

福重委員
 女性活躍推進法の施行に伴う県警の計画概要について、女性の社会進出にはダブルケアの問題など様々な阻害要因があるが、今後の警察の取組を具体的に伺いたい。

田島警務部長
 平成28年4月から、女性活躍推進法に基づく計画として、群馬県警察男女共同参画推進計画を施行することとしており、3項目の数値目標を掲げている。1点目は、女性警察官の採用目標で、平成33年4月までに警察官総数に占める割合を10パーセント以上にする従来目標を継承している。2点目は、働き方改革に関する目標で、平成32年度までに年次有給休暇の平均取得日数を年間10日以上とするもので、現状値は、平成26年度の5.9日である。3点目は、仕事と子育ての両立のための環境整備に関する目標で、平成32年度までに男性職員の配偶者出産休暇の取得率を100パーセントにするものである。男性職員が子育てに参画する最初のきっかけとなるため、現状値の、平成26年度の数値で77.7パーセントを引き上げ、男女共同参画及び仕事と子育ての両立という意識を高めていきたい。

(8)第51号議案「群馬県警察本部の組織及び定員に関する条例の一部を改正する条例」について

酒井委員
 全国で994人中、本県は20人の警察官が増員されるとのことであるが、県として増員の必要性はあるのか。増員の理由は何か。

田島警務部長
 今回の増員は、警察庁が、治安情勢に的確に対処するため、平成27年度から3年間で全国の地方警察官3,000人の増員を図るという計画に基づき行われており、平成28年度は、全国で994人の増員が認められ、本県に20人の配分があったものである。

酒井委員
 全国で増員が認められたから県も増員するというのは、住民の理解を得られるのか。教職員や県職員は減らされ続けている。増員される20人の配置先はどうか。

田島警務部長
 本県の警察官一人あたりの負担人口は、平成28年度見込みで575人と全国平均の490人を大きく上回っており、県警察における増員は必要であると認識している。
 増員となる20人の内訳は、人身安全関連事案対策の強化として8人、我が国を取り巻く国際情勢の変化に対応するための事案対処能力の強化(いわゆる国際テロ対策)として12人である。いずれも本県にとって重要性の高いものと考えている。

酒井委員
 国際テロ対策の12人は、どこに配置されるのか。

田島警務部長
 警備部外事課に国際テロリズム対策室を新設し、配置する。

酒井委員
 サイバー犯罪や特殊詐欺事案も増えていると思うが、サイバー犯罪対策等は増員しないのか。

田島警務部長
 サイバー犯罪対策強化のために、平成28年度の組織改正において、生活安全部にサイバー犯罪対策課を新設する。様々な課題に適切に対処できるよう、人員及び組織体制強化を考えている。

酒井委員
 今回、増員される人員のうち、女性警察官は何人含まれているか。

田島警務部長
 男女別の定員はないので、今回の増員のうち女性が何人というのは決まっていない。

福重委員
 警察官の人員について、女性警察官の人数と全体に占める割合はどの程度か。

田島警務部長
 平成27年度当初において、女性警察官は304人、割合は8.8パーセントであり、全国第4位の状況である。

福重委員
 女性警察官の採用や登用に関する計画、目標等に対する進捗状況はどうか。

田島警務部長
 平成23年度に策定した女性警察官採用・登用拡大計画において、平成33年4月1日までに女性警察官の割合を10パーセント以上にすることを目標としており、平成23年度当初7.6パーセントだったものが、8.8パーセントまで向上しており、目標達成に向けて順調に推移している状況である。女性活躍推進法が施行されることに伴い、当該計画を男女共同参画推進計画としたが、その中でもこの目標を維持し、着実に推進していくこととしている。

福重委員
 政府において女性の管理職登用30パーセントという目標を掲げているが、女性警察官の警部補以上の幹部への登用状況はどうか。

田島警務部長
 警部補は、平成28年度には35人となる見込みで、平成23年度の21人から14人の増加予定で、警部は、平成28年度には10人となる見込みで、平成23年度の5人から倍増となる予定であり、幹部登用についても拡大されている。警視はまだいないが、今後、女性警視も誕生することを期待している。

(9)指定暴力団六代目山口組分裂以降の県内情勢と取締りについて

中沢委員
 昨年の指定暴力団六代目山口組の分裂以降、全国的には、両団体傘下組織構成員らによる対立抗争と思われる事案等が発生しているが、県内の暴力団勢力及び取締り体制はどうか。

北爪組織犯罪対策統括官
 平成27年末における県内の暴力団勢力は約840人で、このうち、六代目山口組傘下の構成員等が70人、六代目山口組から離脱した神戸山口組傘下に属する勢力が約80人と見ているが、それぞれの傘下組織の構成員が上位組織の意向に沿うとは限らず、未だ、流動的な動向が見られる。
 長野県、埼玉県、東京都、栃木県等の近県を含めて全国的に対立抗争と思われる事案が発生していることを踏まえ、本年3月8日、警察庁にて開催された緊急会議において六代目山口組・神戸山口組対立抗争集中取締本部の設置に関する指示を受け、本県警察では、3月10日付けで警察本部内に本部長を長とする集中取締本部を設置し、組織横断的な体制を構築するとともに、各警察署に対しても同様の体制を構築するよう指示したところである。

中沢委員
 全国的には対立抗争と思われる事案が発生しているが、県内の情勢はどうか。

北爪組織犯罪対策統括官
 県内では、現段階、対立抗争と認められる事案の発生はないが、県民の安全確保を最優先に、引き続き、両団体に関する情報収集の強化と関係場所の警戒、並びに取締りの強化に努めていきたい。

(10)県内の特殊詐欺の発生状況と被害防止策について

松本委員
 県内の振り込め詐欺を始めとする特殊詐欺について、平成27年中の被害発生状況、件数、手口、被害者の特徴などについて伺いたい。

羽鳥刑事部長
 平成27年中の振り込め詐欺を始めとする特殊詐欺の被害は、認知件数194件、前年比67件減、被害総額約6億7,350万円、前年比約1億8,960万円減と、前年に比べ認知件数・被害総額ともに大幅に減少した。
 また、その手口としては、振り込め詐欺では、オレオレ詐欺83件、前年比58件減、架空請求詐欺52件、前年比25件増、還付金等詐欺29件、前年比35件減、融資保証金詐欺5件、前年比1件減、振り込め詐欺以外の特殊詐欺では、金融商品取引名目の詐欺22件、前年比2件増、ギャンブル必勝情報提供名目3件、前年と同数であり、全体的に減少傾向にある中で、架空請求詐欺が増加している。
 現金の交付形態別では、手交型が91件、全体の46.9パーセント、振り込め型が59件、送付型が42件、現金の交付のなかったものが2件となっている。
 被害者の特徴について、男女別では特殊詐欺被害者194人中、女性142人で73.2パーセント、男性52人で26.8%と、圧倒的に女性の割合が大きく、男性の約3倍となっている。
 また、被害者の年齢層では、65歳以上の被害者が153人で全体の78.9パーセントを占め、平均年齢は71.3歳である。

松本委員
 特殊詐欺のさらなる減少に向けた今後の被害防止対策について伺いたい。

永井生活安全部長
 これまでの対策が一定の成果を挙げてきていると考えられることから、さらに内容を充実させて、地道に推進するとともに、新たな対策についても取り入れていきたい。
 1つ目として、昨年5月15日に、県と連携して発足させた「群馬県振り込め詐欺等根絶協議会」に参画する各種事業者・団体の、それぞれの業態に応じた被害防止対策の推進であり、その1つは、金融機関等との連携による被害防止対策の推進である。被害者が現金を用意する金融機関や現金の送付手段として利用される宅配事業者、コンビニエンスストア及び被害者や犯人が移動手段として利用するタクシー事業者等による声掛けを徹底していただき被害の未然防止を図るものである。2つ目が、効果的な広報啓発活動の推進であり、騙されないために、「パンフレット等各種資料の作成・活用」「歌と踊りで振り込め詐欺を防ぐ『NO!詐欺音頭』の普及・浸透」などを活用し、今後、予想される新たな手口による特殊詐欺も含め、その被害を防止するため、啓発活動を推進していくものである。
 大きい2つ目として、「NO!詐欺コールセンター」による被害防止のための注意喚起である。県内全域の一般家庭を対象として、振り込め詐欺を始めとする特殊詐欺などの被害防止に向けて、電話による指導を行う「NO!詐欺コールセンター」を効果的に運用して、被害防止のための注意喚起を図っていく。

(11)「NO!詐欺コールセンター」について

松本委員
 「NO!詐欺コールセンター」の事業内容について伺いたい。

永井生活安全部長
 平成23年度から「振り込め詐欺被害防止コールセンター」として運用を開始し、昨年10月からは、「NO!詐欺コールセンター」と名称変更して運用しており、県内全域の一般家庭を対象として、振り込め詐欺を始めとする特殊詐欺などの被害防止に向けて、その手口を周知するとともに、被害防止のポイント等に関する情報を発信し、騙されないための抵抗力の醸成を図っている。
 具体的な事業内容は、平成23年度の電話帳登載世帯387,133世帯を対象に、「特殊詐欺及び悪質商法について、被害実態の周知及び予防対策の指導」「振り込め詐欺被害防止ホットラインの周知」「情報提供、だまされた振り作戦への協力依頼」等を行っている。
 また、被害の発生や予兆電話を認知した際は、その地域に対して、集中的に電話をして注意喚起を図っている。

松本委員
 「NO!詐欺コールセンター」の事業の効果はどうか。

永井生活安全部長
 「NO!詐欺コールセンター」として運用を始めた昨年10月から本年2月末までの5か月間の実施結果では、架電件数は、対象世帯の44.7パーセントにあたる157,742件で、このうち、具体的な指導ができたのが、41,266件で、対象世帯の11.7パーセントにあたる。
 その中で、コールセンターからの架電により、被害の未然防止が図れたことが確認できた件数は412件であった。
 また、犯人からの電話を受けて正に騙されていたところに、コールセンターからの架電により詐欺と気付かされて、被害に遭わずに済んだというものも5件あった。

(12)山岳遭難防止対策について

松本委員
 全国的な登山ブームの影響もあるが、今後も中高年の登山者を中心として遭難の多発が心配されるが、県警の山岳遭難防止対策はどのようか。

金田地域部長
 平成27年中の山岳遭難発生状況は、120件142人が遭難、うち死者は11人であり、件数・人員ともに記録の残る昭和61年以降で最多となった。発生状況では、5月から10月の間で約8割が発生し、場所別では尾瀬が48件で全体の約4割を占めている。また、年齢別では40歳以上が8割を占め、60歳以上に限定しても全体の52パーセントを占めている。居住地を見ると、県外者が116人81.7パーセントを占めている状況にある。登山届の提出は120件中24件、20パーセントにとどまっている
 山岳遭難防止対策としては、県警ホームページに登山情報を掲載して注意を呼び掛けているとともに、登山届の様式を掲載し電子申請を促しているほか、交番・駐在所等の警察広報紙や自治体広報誌、マスコミ等を通じた情報の発信を行っている。また、山岳会をはじめとした関係機関と連携し、現場における登山指導や登山道のパトロール、危険箇所の点検を実施している。

松本委員
 本年2月から日本山岳ガイド協会が運用しているオンライン登山届システム「コンパス」の利用協定を締結したということだが、概要を伺いたい。

金田地域部長
 県警では、本年2月2日に、長野県警や北海道警等に次いで、全国で7番目に利用協定を締結した。
 コンパスは、登山者がパソコンや携帯電話から、ルートマップを含めた登山計画及び下山予定時刻を登録し、登山者が指定する家族や友人と共有するシステムである。システムの特徴としては、登録された下山予定時刻を過ぎても登山者が下山した旨の情報を入力しない場合、登山者への督促と家族等に対する下山していない旨の通知がなされるものであり、警察への早期通報が期待される。また、登山ルート等の遭難情報を警察において早期に確認できることから、迅速な遭難者の捜索及び救助活動に効果が期待できる。

(13)自転車事故について

川野辺委員
 近年、マラソン人口と自転車人口は増加傾向にあると言われるが、平成27年中の自転車事故の発生件数はどのくらいか。

高橋交通部長
 平成27年中の自転車の関係する人身事故発生件数は、2,334件で前年比222件減、8.7%減であった。

川野辺委員
 自転車の関係する事故のうち約6割は自転車運転者の法令違反によるものと聞いており、自転車運転者のマナー違反が問題となっているが、昨年6月の自転車運転者講習制度施行後の検挙状況はどうか。

高橋交通部長
 平成27年12月末現在、危険行為として登録されたのは13人で、講習の対象となる3年間で2回以上危険行為を繰り返した者はいない。なお、13人の内訳は、ブレーキのないピストバイクを運転した交通違反2人、信号無視や、携帯電話使用等による前方不注意、一時不停止などの交通違反による自転車が加害者となる交通事故が11人となっている。また、13人のうち5人は少年である。

川野辺委員
 高校生の自転車事故防止を図るために県警と県私立中学高等学校協会とで自転車安全利用に関する協定を締結したと聞いたが、内容について伺いたい。

高橋交通部長
 本県の自転車事故に占める高校生の割合が全体の約3割と全国ワースト1位で推移していることから、高校生の自転車事故防止を図るために締結したものである。
 平素の街頭指導活動において自転車の法令違反を発見した際に交付する道路交通法違反警告書による指導警告状況を各校へ情報提供する。平成27年中は98,615件交付しており、このうち53,192件、全体の53.9パーセントが高校生に対するものであった。本年4月1日以降、この自転車警告書交付の集計結果を公立高校へは県教育委員会、私立高校へは知事部局学事法制課を通じて、学校別、学年別、違反別の情報を毎月提供し、交通安全教育に役立ててもらうなど、連携を図っていくものである。

(14)警察の職務執行に対する苦情について

酒井委員
 警察の職務執行に対する苦情の処理件数について伺いたい。

田中首席監察官
 平成27年中の警察官の職務執行に伴う苦情の受理件数は、公安委員会あてが32件、警察あてが99件の合計131件である。

酒井委員
 この10年間の件数の推移はどうか。

田中首席監察官
 過去10年を見ると、公安委員会あてが年平均17件、警察あてが100件程度である。

酒井委員
 この10年間の平均よりも平成27年はやや多くなっているが、苦情の内容はどのようなものか。

田中首席監察官
 苦情の内容は、交通指導取締りや捜査活動における警察官の言動等に対するものがほとんどである。

酒井委員
 苦情に対する改善策等について、どのように対処しているか。

田中首席監察官
 苦情については前向きに捉え、それぞれの案件について現場から状況を確認し、警察側に非があるものについては、今後の業務改善に役立てるべく、各現場に執務指導し、再発防止策を図っている。群馬県警察苦情等取扱い処理要綱により、相談処理報告書をまとめシステム化し、全件を本部長へ報告しており、処理状況を定期的に公安委員会に報告している。

酒井委員
 苦情の内容や処理状況等を全庁的に情報共有する必要があると思うが、会議などは行っているか。
田中首席監察官:全職員が閲覧可能な掲示板に執務資料を掲載し、注意喚起を図っているほか、各部の管理官の参集する監察担当会議を月いちで開催し、事案の情報共有を図り、再発防止策に努めている。

(15)「学校裏サイト」に関係する犯罪の発生状況等について

本郷委員
 インターネットにおける俗にいう「学校裏サイト」について、県警として実態をどれだけ把握しているのか。また、県内で「学校裏サイトに」に関係した犯罪は発生しているか。

永井生活安全部長:いわゆる「学校裏サイト」については、全国的にはさまざまなトラブルがあるが、県警察においては、このサイトに起因する相談、被害報告、事件検挙については、これまでのところない。

本郷委員
 この問題に関して教育委員会とどのような連携を図っているか。

永井生活安全部長
 学校非公式サイトだけでなく、教育委員会・学校等とは、青少年健全育成及び非行防止などの観点からさまざまな情報交換をしている。

本郷委員
 非公式サイトに関しては、これまでのところ被害はないとのことだが、公のサイトをめぐる問題はあるのか。

永井生活安全部長
 サイバー犯罪は年々増加しており、掲示板をめぐるトラブルは把握している。

本郷委員
 民間会社で「学校裏サイト」を発見する事業を行っている「サイブリッジ」という会社があるが、こういった民間企業への外部委託や、情報共有といった連携を行っているか。

永井生活安全部長
 県警察では、民間事業者との連携ということでは、警察庁が委託したインターネット・ホットラインセンターや、県警察の協力団体である「群馬県インターネットサービスプロバイダ防犯連絡協議会」等と連携し、情報共有を図っている。

(16)外国人に対する交通違反取締り等について

本郷委員
 これまでに、全く日本語が通じない外国人違反者に対し取締りができなかったという事例があるか。また、日本語が通じない外国人を取り締まるときの対応について伺いたい。

高橋交通部長
 昨年は、1,878人の外国人を道路交通法違反で検挙している。この数値は、全体の交通違反の約2パーセントになるが、言語のトラブルにより検挙できなかったという事例はない。
 過去の事例としては、これまで2件あり、1件は、沼田署管内における速度違反で片言の日本語しか話すことのできない中国籍の方に対し、現場の警察官が部内通訳者に携帯電話で連絡をとり、速度違反について説明した事例。もう1件は、高速道路における速度違反と無免許運転のオランダ国籍の方に対し、同様の方法で免許の有効期限切れについて説明した事例がある。
 この他、連絡手段としては、三者通話という制度があり、現場の警察官が所持している公的な携帯電話で通信指令課(110番通報)に電話をし、電話を受けた通信指令課が部内の通訳人に連絡をすることにより、3人で同時通話ができるものである。
 また、伊勢崎・太田・大泉署には、ポルトガル・ベトナム・スペイン語を話せる国際連絡員が配置されていることから、この職員の活用や、警察本部で作成した交通違反等を説明する外国語の会話集を活用するなどして適正な対応を図っている。


現在の位置 議会トップページ > 委員会活動 > 平成27年5月13日~平成28年5月26日常任委員会記録 > 文教警察常任委員会(警察本部関係:平成28年度)平成28年3月15日