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文教警察常任委員会(教育委員会関係)(平成27年9月29日)

1.開催日時

平成27年9月29日 10時00分開始 14時37分終了

2.開催場所

302委員会室

3.出席委員

委員長:岸善一郎、副委員長:高橋正
委員:中沢丈一、委員:松本耕司、委員:新井雅博、委員:福重隆浩、委員:後藤克己、委員:酒井宏明、委員:川野辺達也、委員:本郷高明

4.欠席委員

なし

5.主な質疑

(1)第127号議案「平成27年度群馬県一般会計補正予算」について

酒井委員
 高校生を対象とした「こころの教育事業」の内容について詳しく説明願いたい。

山口高校教育課長
 公立高校に配置しているスクールカウンセラーを講師として、講演会や体験活動を実施していく予定である。スクールカウンセラーについては、週1回、1日6時間という契約になっているが、それにプラスして講演会や体験活動の講師をしてもらう。予算は報酬を主としている。

酒井委員
 継続的に行う必要があると思うが、今後の計画を伺いたい。

山口高校教育課長
 スクールカウンセラーを中心として、講演会や体験活動の講師等、既に実施している学校もあるが、スクールカウンセラーの訪問が月1回程度の学校では、そこまでできないため、新たな予算を計上した。恒常的な生徒の心のケアとして継続して取り組んでいきたい。

中沢委員
 講演会のテーマはどのようなものか。また、カウンセリングを個々に受けている生徒はどのくらいいるのか、カウンセラーの業務実績について伺いたい。

山口高校教育課長
 生徒は様々なストレスを感じる社会的背景があると認識しており、どうやってストレスを発散したり、自分なりに理解し対処していくか、というストレスマネージメントについて講演してもらうものである。
 スクールカウンセラーの教育相談の実績については、平成26年度、県立学校64校で、合計8千件弱の相談があった。件数は延べ数で、生徒、保護者、教職員からの相談の合計である。

中沢委員
 カウンセリングの最近の特徴はどのようなものか。また、講演会の実施形態はどのようになるのか。

山口高校教育課長
 相談内容としては、友人関係の悩みに関するものが圧倒的に多い。いろいろな人間関係の中で、友人関係を築けないという相談が多い。
 講演会の実施形態については、学年集会や長期休業に入る前、全校集会など、学校の実態に応じて様々である。

(2)上毛学舎新築後の入寮募集及び入寮者の状況について

中沢委員
 上毛学舎の現在の入寮者の生活環境はどのような状況か。

吉澤管理課長
 4月から女子が入寮し、当初は男女ともお互い慣れない中、自治会活動などでも若干の戸惑いがあったようだが、半年経って、徐々に軌道に乗ってきている。
 なお、夏休みになって3名が退寮し、追加募集を実施した。退寮理由は、合格した大学が都内でも遠距離にあり通学が大変、部活動などで忙しくなかなか食事がとれないなどである。

新井委員
 平成27年度募集では、男子の一次選考通過者は約73パーセント、女子はほぼ全員が通過している。基準が異なるのか。

吉澤管理課長
 過去の最終的な入寮状況から、学舎から遠隔地への進学等による辞退者を見込んで、募集定員の2倍程度を一次選考通過者とした。男子は、募集人数45名程度の約2倍の97名を、女子は、80名の募集に対する124名の応募だったので、ほぼ全員が一次通過となった。

新井委員
 募集人数と応募者数により、一次選考通過の基準が年度により変わるのか。

吉澤管理課長
 定員拡大や女子の新規受入れなどもあり、今年の一次選考通過者の割合は例外だった。来年度からは平準化するため大きく変動はしない。

新井委員
 女子の1年間許可30名が延長を希望した場合はどうなるのか。

吉澤管理課長
 1年間限定の入寮許可を条件として入寮を認めた者であり延長は認められない。女子は今回新たに募集したため、延長を見越して募集すると空室が出てしまう。30名については1年間限定という条件付で入寮を許可した。

新井委員
 1年間限定許可の募集はこれからもあるのか。

吉澤管理課長
 新たにできた女子の入寮に対応する措置であるため、今年限りの制度である。

(3)群馬県青少年会館の企業等による利用状況について

中沢委員
 平日の利用者数増加のため、企業に会議室等を提供しているというが、どの程度利用されているか。

下田生涯学習課長
 昨年度、全体では約4万6千人の利用があり、約1割にあたる4千6百人が企業による利用であった。

(4)特別支援学校や小学校における手話に対する取組状況について

中沢委員
 手話言語条例制定後、特別支援学校における手話の普及、手話での教育はどのようか、また、これからの取組予定についてはどうか。

須藤特別支援教育室長
 聾学校では手話を使う子ども、手話と併せて口話を使う子どもとがいる。保護者のニーズやどういった教育環境がふさわしいかなど、全保護者にアンケートを実施し、意向調査をしながら、それぞれの子どもにあった指導内容、教育内容を工夫していくということで進めている。
 教育委員会としては、4月当初に学校を訪問し、校長をはじめとする学校経営に参画する主だった教職員に対して、条例制定の趣旨及び手話に関する取り組み方について、具体的な指導、助言を行った。
 7月の学校訪問では、幼稚部、小学部、中学部、高等部、それぞれの授業の様子や、学校経営に関する管理職の考え方について聴取し、現在の状況を確認したところ、手話や指文字などを積極的に使いながら、授業を行っている様子が見られたので、そういった取組を今後も継続するよう指導、助言を行った。

中沢委員
 アンケート結果では、口話法によって授業を進めてほしいという意見も多数あったか。

須藤特別支援教育室長
 手話を中心にという保護者は2割から3割であり、多くは、手話を使う場面と口話による言葉の習得を目指す場面の両方併用してほしいという意見であった。

松本委員
 小学校等で手話を使って授業をしているところもあるか。

須藤特別支援教育室長
 県内で手話を使って授業を行っているのは、小学校で2名である。渋川市と館林市の小学校に在籍し、手話ができる者を配置して、授業を行っている。

松本委員
 総合学習などの授業において手話の勉強会を取り入れていくのは難しいか。

須藤特別支援教育室長
 音楽発表会や総合的な学習の時間の福祉的学習において手話を学ぶ機会があるほか、児童会・生徒会活動やJRCなどで施設訪問や聾学校との交流など、そういった事例もある。

(5)いじめや暴力事件に対する対応について

松本委員
 本県における学校内暴力は211件で、中高生は減少している一方で、小学生は増加しているというが、なぜ小学校での暴力行為が増加しているのか、現状について伺いたい。

三好義務教育課長
 平成26年度の調査によると、本県では小学校での暴力行為が前年度より12件増加している。多いのは対教師暴力で、ささいなこと、ごく当たり前のことを注意をされた児童が、素直に受け止めることができず、突発的に教師に対して暴力を振るうといったものである。また、同じ児童が、その子に合わせた丁寧な対応をしているにもかかわらず、繰り返し暴力行為を行うこともあり、件数が増加している。

松本委員
 川崎市の中学生の事件のあと、2月に全県下に児童生徒の実態把握をするよう通知を出したということだが、その結果はどうか。

吉野教育長
 子どもたちが学校に来なくなっているのを見過ごして、1週間も10日も手を打たずにいたからこのような事件が起こったのであろうと思われる。本県ではそういう事例はないが、家庭と学校が連携を取りながら、子どもたちが所在不明になることのないようお願いした。その結果、夜、勝手に友達の家に泊まりに行ってしまうようなケースが減ったと聞いている。具体的な数字はないが、通知の効果はあったと認識している。

川野辺委員
 いじめ問題について、啓発などに尽力してもらっているところだが、悲惨な事件が報道されるなど、減少したという実感がもてない。現在の状況はどうか。

三好義務教育課長
 平成25年度調査によると、いじめの認知件数(いじめを発見して指導した件数)は、小学校461件、中学校413件と、それぞれ前年度よりも数は減ってきている。いじめがなくなることはないという前提で、学校が危機感をもって対応するよう指導している。各学校がいじめ防止基本方針を設定することは、いじめ防止推進基本法で定められており、それに基づき、早期発見・早期対応に努力しているところである。

川野辺委員
 携帯電話を持つ前の小学校低学年から保護者を交えて、携帯電話は便利なツールではあるが、使い方を間違うと、相手を死に至らしめることもあるという、踏み込んだ指導が必要と考えるがどうか。

三好義務教育課長
 LINEが子どもたちの問題行動の背景にあることが多く、その危険性についての啓発活動や講習会を全小中学校で行っている。今後は、講習の対象学年を下げていく予定である。また、講習会で教師が講師を務められるように、小中学校の全生徒指導担当に対する講習を行ったり、県警サイバー犯罪対策室から講師を派遣してもらい、小中学校での講習を実施している。子どもにスマホを持たせないという指導は不可能なので、ルールをきちんと設けてスマホ等を利用させることが重要と考えるが、そのような家庭は2割程度しかなく、今後は県のPTA連合会や青少年健全育成推進員などとも連携し、保護者への啓発を進めていきたい。

(6)県外の高校進学に対する公立、私立の協調について

松本委員
 東毛地区では、高等学校進学時に半数近くの生徒が県外の高校を受験するため、公立同様に私立高校も生徒募集に苦慮しており、過日、私立中学高等学校協会から教育長へ陳情書が提出されたと思うが、教育長の考えを伺いたい。

吉野教育長
 本県では私立学校と公立学校の関係が非常に良好で、公立・私立間で協調した取組が行われている。公立高校の募集定員については、中学校卒業生の状況を勘案し、県民のニーズを踏まえながら、公立と私立とで事前に協議を行った上で策定してきた。今後も、公私の協力関係を大切にしたいと考えている。特に、館林・邑楽地区では、公私が連携し、県外への学生の流出を防ぐため、中学生に配るパンフレットを共同で作成したり、説明会を開催するなど、地域ぐるみの取組を行っている。

(7)子どもの貧困問題の現状と対策について

福重委員
 国及び市町村の事業で、義務教育における経済的支援として就学援助制度があるが、県内における受給人数と割合について、直近の数字と5年前の数字との比較を教えてほしい。

吉澤管理課長
 公表されている直近の実績では、平成24年度の支給対象人数は、要保護児童生徒就学援助が小学生67名、中学生75名、準要保護就学援助が小学生6,216名、中学生4,188名である。平成20年度では、要保護が小学生68名、中学生61名、準要保護が小学生5,905名、中学生3,809名である。

福重委員
 生活保護基準で対象者が決まる要保護に対し、市町村事業として行われる準要保護就学援助事業は、市町村によって収入の基準額や適用品目、金額にばらつきが生じていると思うが、県教育委員会では捉えているか。

吉澤管理課長
 市町村によって援助の幅にばらつきがあることは承知している。そのため、毎年度、国の通知と合わせて、制度の周知徹底を図るよう、市町村へ通知しているが、準要保護就学援助は市町村事業であるため、ばらつきについての指導は行っていない。

福重委員
 県内で義務教育を修了した生徒のうち1.6パーセント、約300人程度の生徒が進学していないが、進学しない理由は把握しているか。

三好義務教育課長
 進学しない原因として主なものは、中学校3年生段階で不登校になったことが挙げられる。その背景に貧困があるケースもある。しかし、本人の意思で進学しない者もいる。

福重委員
 前橋市で実施しているM-Changeのような、経済的な理由で遅れを取り戻すことができないような子どもたちに対して、福祉的な視点で支援していくことが大切であると考えるがどうか。

三好義務教育課長
 学校、家庭、福祉がそれぞれ得意な分野で連携することが必要であり、前橋市のM-Changeは良い例だと思う。家庭が貧困であっても学習の機会が保障されるよう、今まで学校教育で取り組んできたことに、更に福祉的なアプローチを加え、福祉と教育が一体的に取り組んでいくことを目指していきたい。

福重委員
 現場の教員や相談員の経験をもつ教育委員長は、子どもの貧困問題についてどのような認識であるか伺いたい。

坂本教育委員長
 子どもの貧困問題については、子どもや保護者にとって非常に悲しいこと、つらいことだと思う。子どもたちが、自由に、はつらつと学校生活が送れるようにするためにも、貧困問題への対応は非常に重要なことだと思う。

本郷委員
 子どもの貧困対策は、部局横断的な施策であるが、教育委員会の現状及び課題認識はどうか。また、今後、どのような対策を行おうとしているのか。

下田生涯学習課長
 子どもの貧困対策については、主に健康福祉部で取り組んでいるが、支援内容は大きく分けて、教育支援、生活支援、保護者への就労支援、経済的支援の4分野ある。教育委員会では文部科学省の補助事業を所管しており、大学生や教員OB等による無料の学習支援や、土曜日や放課後に補習等を行う事業など市町村独自の取組が実施されている。県では、教育支援活動を行うコーディネータ向けの研修などを実施しており、市町村において、これらの取組が一層推進されるよう働きかけていきたい。

(8)高校におけるスクールソーシャルワーカーの必要性について

福重委員
 昨年度から制度化された奨学のための給付金について、受給者数と給付額はどうか。

吉澤管理課長
 平成26年度の受給者数は1,802名である。給付額については、さまざまなランクがあるが、例えば、生活保護受給世帯は年間32,300円、生活保護受給世帯を除く市町村民税所得割非課税世帯では、第一子が年間37,400円、第二子以降が年間129,700円である。

福重委員
 高校においてもスクールソーシャルワーカーを活用する段階に来ていると思うがどうか。

山口高校教育課長
 高校においても、家庭が経済的に困窮している生徒は一定数おり、福祉的支援の観点からスクールソーシャルワーカーの取組は意義深いと認識している。高校におけるスクールソーシャルワーカーの導入については、配置の在り方や予算措置等、課題等について検討していきたい。現在、健康福祉部を中心に、子どもの貧困対策の推進に関する法律に基づく県計画を策定中であるので、その動きとも合わせながら、経済的に困窮している県内の高校生の支援について前向きに考えていきたい。

福重委員
 高校における中途退学者数と、そのうち経済的な理由で退学した生徒数はどうか。

山口高校教育課長
 過去5年間、県内公立高校における中途退学者数は、500から600名の間で推移しており、このうち、経済的な理由で退学した生徒はほぼ10名以内となっている。平成26年度においては、中退者571名中、経済的な理由で退学した生徒は7名であった。

(9)公立高校入学者選抜前期選抜における学力検査の導入について

新井委員
 平成29年度公立高校入学者選抜前期選抜に学力検査を導入することになった経緯を伺いたい。

山口高校教育課長
 公立高校入学者選抜については、不断に見直しを行っている。平成29年度入学者選抜から、前期選抜において英語、数学、国語の3教科の学力検査を実施することとし、各市町村教育委員会を通して当該年度の受検生への周知を図っているところである。今回の導入に関しては、県教育委員会において十分に検討を重ねた上で判断した。

新井委員
 前期選抜への学力検査の導入により、門戸を閉ざされる生徒が出る危惧があるが、どう考えるか。

山口高校教育課長
 前期選抜への学力検査導入の一番の目的は、中学校段階でしっかり学習を積み、一定の学力を身に付けた上で高校に進学してもらうことにある。中学校からの調査書、面接等を含めて総合的に判定するため、学力検査のみで合否が決定するわけではないが、学力検査が一つの基準になるというのは、制度上の大きな改革であると考えている。

(10)特別支援学校の高等部設置について

新井委員
 特別支援学校の高等部の設置計画と進捗状況はどのようになっているか。

須藤特別支援教育室長
 特別支援学校の高等部は、利根沼田、多野藤岡、甘楽富岡、吾妻地域に設置されていない。それぞれの地域の小中学部で学んでいる児童生徒数、設置された年数等を踏まえた中で、必要性や需要に応じて、できるところから早急に対応していきたい。

(11)スクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーの配置並びに体制整備について

後藤委員
 スクールカウンセラーの配置充実に向けて、今後どのように検討していくのか。

三好義務教育課長
 3週間に1回と設定しているが、学校側からもスクールカウンセラー側からも頻度を上げる要望はある。また、同一の中学校区内にある小学校と中学校とでスクールカウンセラーの勤務時間を融通し合えるようにする取組を行うことなどについて学校から提案も出されており、今後の配置の際に参考としたい。

後藤委員
 スクールソーシャルワーカーの需要が伸びていく中で、体制整備について今後の対応はどう考えるか。

三好義務教育課長
 1つ1つのケース全てにスクールソーシャルワーカーが対応するのは不可能であるため、教職員の研修に力を入れている。また、福祉的な対応が必要なケースには、市町村の福祉関係部局との連携が必要になることから、今後は、市町村教育委員会とも連携し、福祉的な視点を学校がもち、教育現場と福祉関係機関が連携していけるよう取り組んでいきたい。

(12)天文台の大型機器の維持管理や昆虫の森の常設展示に対する考え方について

後藤委員
 天文台は、専門性の高い施設でもあり、そうした設備を維持していかないと設置の趣旨が失われると思うがどうか。

下田生涯学習課長
 150センチ望遠鏡は天文台の要であり、きちんとしたメンテナンスが必要だと考えており、計画的な整備をしていく必要があると考えている。天文台と連携しながらやっていきたい。

後藤委員
 昆虫の森は、学校の課外授業などによる利用が伸びている一方、一般利用者は減っている。予算や人員の余裕がなく常設展示等を新しいものにできないなどの要因があると思うが、どう考えるか。

下田生涯学習課長
 昆虫の森についても、施設として対外的にお客様を迎えるためには、展示物が、何年も同じというのは時代の要請についていけなくなる。県民の理解を得られる予算の水準を維持しながら、できる範囲で工夫しながら魅力ある体制整備を進めていきたい。

(13)キャリアアップ教育に地元での就職や起業の視点を入れる取組について

後藤委員
 教育の段階において、勤労観を醸成すると同時に、地元指向を高める必要があると思うが、キャリア教育に、地元で就職、起業するという視点を取り入れることについてどう考えるか。

山口高校教育課長
 公立高校を卒業して就職する生徒は毎年約3,000人、そのうちの9割以上が県内に就職している。一方、県外に進学した生徒が4年後に県内に戻る率は低く、その要因の一つが県内に就職先があるかどうかということである。
 現在、高校ではインターンシップに取り組んでいるが、県内の企業で体験することは、企業と生徒の出会いの場でもあるとともに、体験した企業の社風や理念を理解する機会となっている。また、高校生の段階で県内の企業の状況を理解させることも必要ではないかと思う。

(14)選挙権年齢引き下げに伴う学校における主権者教育について

酒井委員
 来年の参議院選挙から18歳選挙権が実現し、18から19歳の若者が政治に直接参加することになるが、教育委員会としてその意義をどのように受けとめているのか。また、主権者教育では何が肝要と考えるか。

山口高校教育課長
 このたびの公職選挙法改正の趣旨は、若者の意見を国政に反映させることであると認識している。若者の政治参加意識をこれまで以上に促進させることが求められていると考える。
 高等学校における主権者教育については、これまでも政治経済、現代社会の科目で主権者としての主体的な政治参加の重要性について指導している。選挙権年齢の引き下げを契機として、さらに政治や選挙への関心を高めたり、政治的教養を豊かにするため、主権者教育の充実を図っていくことが求められていると認識している。

酒井委員
 高校生の表現の自由、政治活動の自由というものを学校現場で最大限保障すべきものと考えるがどうか。

山口高校教育課長
 現在、文部科学省では、昭和44年に出した高校生の政治活動に関する通知の見直しについて検討を行っている。その中に高校生の政治活動について基本的な方針が出されると思っている。今後、それを踏まえて適切に対応していきたい。

酒井委員
 学校内での活動について、ガイドラインのような規制づくりをするのではなく、憲法21条の表現の自由を最大限保障することを真剣に考える必要があると思うが、再度見解を伺いたい。

山口高校教育課長
 主権者教育の充実を図り、政治的素養を育成することが求められる一方で、教育基本法で定められている学校における政治的中立性の確保や、教育公務員特例法の制限に留意する必要がある。今後、文部科学省が配付を予定している高校生向けの補助教材や、ガイドラインを踏まえて対応していきたい。政治的課題については、様々な意見があることを前提として取り扱う必要がある。実際の政治の場では、様々な異なる意見がある中で合意形成を図っていく、そのプロセスの重要性を生徒に伝えていくことが必要だと考えている。

酒井委員
 憲法21条で教員にも表現の自由が保障されている。本会議での教育長の答弁は、政治的中立の名の下に多様な意見を排除するのは、主権者教育の趣旨に反することになるのではないかと思うが、答弁の真意を伺いたい。

吉野教育長
 法令に違反する行為を行っていれば、法のレベルにおいて当然罰せられると申し上げただけである。

酒井委員
 どういう行為が法令違反に当たるのか説明がなく、結論だけ言われたら教職員は萎縮してしまう。これでは主権者教育を行うことはできないと思うがどうか。

吉野教育長
 教職員に対してはきちんと説明する。答弁の場で、結論を求められたので、結論を申し上げたまでである。

酒井委員
 主権者教育を行うにあたり、シンポジウム等の多様な意見を多角的にとらえる場を設けることが大事と考えるがどうか。

吉野教育長
 そのとおりだと思う。

福重委員
 主権者教育は大切だと思うが、生徒、保護者の立場からは、教員は選べないのだから、教員が偏った思想を持って授業を行うとなると、親は安心できなくなる。教育長の答弁の中で一番大切な判断基準は、教員の政治的中立性があるか否かだと思うがどうか。

吉野教育長
 教員自身が中立的な判断ができ、的確に生徒の指導に活かせることが一番大事であると考えている。

(15)学校におけるLGBT(性的少数者)の現状と対応状況について

酒井委員
 学校でのLGBTの状況についてどのように把握しているのか。

三好義務教育課長
 LGBTの児童生徒数についての把握は困難である。平成25年度の文部科学省調査は、直接子どもに調査したのではなく、間接的に教師に対して行った調査であり、児童生徒のLGBTの実態について正確に把握することはできない。民間の調査では、LGBTの割合が約7%という結果もあり、学校にも存在するという前提で対応していくよう、5から6月に開催した、小中高校の人権教育担当者を集めた会議において周知したところである。

酒井委員
 LGBTに関連する国連決議等について、どのように受け止めているのか。

三好義務教育課長
 LGBTの悩みや不安についての周知は、まだ十分ではない。今年度の4月に出された文部科学省の通知を基に、研修会等でLGBTの児童生徒に対しての具体的な指導についての周知・啓発を始めているところである。

酒井委員
 LGBTに関する文部科学省通知(平成27年4月)の趣旨を学校現場に徹底させていくために、性的マイノリティについての正確な知識を伝えるパンフレットの作成や研修等を行う必要があるのではないか。

小笠原総合教育センター所長
 総合教育センターでは、人権問題に関しても様々な観点から研修を実施している。今年度は、高校 10年目経験者研修において、「性同一性障害-こころの健康問題をもった人とのかかわり方と少数者への理解という視点を通じて-」の題目で専門家による講義を開催した。参加した教員も理解が深まったという評価をしている。今後も研修を通して教員が多様な人権問題について理解を深め、意識の向上が図れるよう取り組んでいきたい。

(16)学校給食における遺伝子組換え食品等の使用の有無と対策について

酒井委員
 学校給食にトランス脂肪酸がどれくらい含まれているか把握しているのか。

高田健康体育課長
 WHO(世界保健機関)の定めた目標を下回っているとして、食品安全委員会は「通常の食生活では健康への影響は小さい」と結論づけており、文部科学省においても、トランス脂肪酸を多く含む食品が加工油脂及び加工油脂を用いた菓子類であること等を勘案し、学校給食摂取基準には基準値が設定されていない。また、トランス脂肪酸は日本食品標準成分表に記載されておらず、現時点で学校給食における摂取量の把握は困難である。

酒井委員
 少なくとも学校給食には使われないよう注意喚起が必要と思うがどうか。

高田健康体育課長
 食育の面からは啓発も必要と考えるが、規制は他の部局の所管事項である。情報については必要に応じて周知を行いたい。

酒井委員
 近年、遺伝子組換え食品の危険性が指摘されている。健康への影響のほか自然破壊にもつながっている。予防原則の観点から表示規制の緩さを改めるべきと考えるがどうか。

高田健康体育課長
 厚生労働省の資料によれば、国内においては遺伝子組換え作物は商業的には栽培されておらず、また、国内で流通している遺伝子組換え食品は、科学的知見に基づく安全性が確認されたもので、かつ、表示が義務づけられており、輸入品についても、安全が確認されていない食品が市場に出回らないようにしているものと認識している。関係者への聞き取りの結果では、学校給食における遺伝子組換え食品の使用は確認できなかったが、今後ともアンテナを高く張り情報の収集に努めたい。

(17)教職員の過労死等の防止に対する考え方及び今後の対策について

本郷委員
 本年7月に「過労死等の防止のための対策に関する大綱」が閣議決定されたが、教育委員会の考え方と今後の取組について伺いたい。

三田福利課長
 大綱に示された取組の本県の状況については、教職員のメンタルヘルス対策の窓口として、管理監督者や本人を対象に「精神科医等による相談事業」を実施している。
 また、公立学校共済組合群馬支部では「教職員カウンセリング事業」を5か所の民間のカウンセリング機関に委託し、平成26年度は765件の相談があった。平成24から25年度に教職員全員に啓発資料を配付した結果、相談件数は大きく伸びている。
 啓発については、10月1日から始まる全国労働衛生週間を啓発し、市町村教育委員会も含めて、「過労死等の防止のための対策に関する大綱」を踏まえた取組の充実を依頼している。
 今後も引き続き、県立学校における労働安全衛生管理体制の整備推進に向けて啓発に努めていきたい。また、市町村立学校における労働安全衛生体制の整備についても市町村教育委員会に対して機会を捉えて協力依頼に努めたい。

(18)特別支援学校の名称変更について

本郷委員
 2006年の学校教育法の一部改正に伴い、「特殊教育」が「特別支援教育」となり、「養護学校」から「特別支援学校」に学校名が変更されたが、インクルーシブ的な考え方に沿って、「特別」を取った「支援学校」の名称に改めるべきだと考えるがどうか。

須藤特別支援教育室長
 本県でも平成19年度以降に新設、県立移管した学校については、「特別支援学校」の名称を用いてきており、その結果、「養護学校」と「特別支援学校」が混在して、紛らわしかった。
 特別支援学校の未設置地域の解消が本年4月の吾妻特別支援学校の開校をもって終了し、また、分校の単独校化等とのタイミングとあわせて、名称を「(高等)特別支援学校」に変更した。
 校名変更に当たり、平成26年5月に校名変更に係る全国調査を行ったところ、校名変更した都道府県の半数以上は「特別支援学校」という名称を使用していることもあり、本県でも「特別支援学校」を選択したところである。当分はこの名称を使用させてほしい。

(19)外国語活動の取組について

高橋副委員長
 平成28年度の県教委の英語教育の取組について伺いたい。

三好義務教育課長
 現在、国では小学校5、6年生で教科としての英語を、3、4年生が外国語活動として英語を学んでいく準備を進めている。さらに、小中高の過程でグローバル化に対応した聞く、話す、読む、書くの英語の4つの技能をバランスよく育てていこうとしている。少なくとも、小学校低学年では単語等を詰め込むのではなく、英語に慣れ親しむ、英語を使ってコミュニケーションができることの楽しさを体験させることが大事であると考えている。
 現在、県内5か所に英語教育強化地域を設け、小中高が一体となった英語教育の改革に取り組んでいるが、来年度は、その成果を拠点地域だけではなく、県内全域の小中学校に普及していきたい。

高橋副委員長
 外国語活動の充実に向けて、学力向上特配は活用できるのか。

野村学校人事課長
 学力向上特配については、各学校で特配を活用して、重点的に取り組みたいことに対し、要望書を提出してもらい、実効性のあるものについて配置している。外国語活動や英語教育の充実に取り組みたい学校についても、積極的に配置していきたい。


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