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観光・世界遺産に関する特別委員会(平成28年3月8日)
1.開催日時
平成28年3月8日(火曜日)9時59分開始 12時03分終了
2.開催場所
403委員会室
3.出席委員
委員長:松本耕司、副委員長:萩原 渉
委員:関根圀男、委員:角倉邦良、委員:大手治之、委員:金井康夫、委員:金井秀樹、委員:伊藤 清、委員:荒木恵司、委員:大和 勲、委員:加賀谷富士子
4.欠席委員
なし
5.主な質疑
(1)観光振興計画について
関根委員
今回の観光振興計画の中で人口減少社会への対応と地方創生はどのように反映されているのか。
戸塚観光局長
今回の計画は、人口減少への対応を念頭にして策定しており、その上で、観光消費をいかに取り込むかということを踏まえて「観光消費額」を初めて目標値に掲げた。中でも、海外からの誘客は効果が非常に積極的に取り組んでいく。そうした観点から、日本版DMOの組織を活かしながら、地域の多様な関係者を広く取り込む形で観光地域づくりに取り組んでいく。
関根委員
計画の中に目標数値があるが、具体的にどうやって目標を達成するのか。
福田観光物産課長
観光を県の基幹産業として位置づけ、観光消費額をいかに増やしていくかを考えて、取り組んでいく。観光消費額は、右肩下がりであるが、これを増加させるために、「稼ぐこと」を意識した観光地域づくりを進める。
関根委員
免税店制度活用店舗数の目標を300店舗としているが、現況と、どこにどのように増やすのか伺いたい。
福田観光物産課長
県内の免税店は現在150店舗で、都市部に多く、主にショッピングモール等である。本年5月から免税基準額が1万円から5千円になる予定であることから、これを好機として免税店制度活用店舗の増加に向け、商工団体と啓発活動に取り組んでいきたい。
伊藤(清)委員
観光振興計画の57頁に、富岡市、安中市、長野県軽井沢町で日本版DMOの設立を「考えている」とあるが、すでに取組が進んでおり「行っている」という表現でよいのではないか。また、「碓氷峠鉄道文化むら」の画像は、アーチ橋が入るものがよいと思うがどうか。
福田観光物産課長
57頁は、「皆さんの主な意見」を掲載しており、地域懇談会における出席者からの発言となっている。また、写真については、各市町村から提供のあったものを掲載しており、ご意見があったことは伝えたい。
萩原副委員長
群馬県観光振興計画には「観光人材の育成」が掲げられている。また、群馬よいとこ観光振興条例第九条では大学等との連携、第十二条では人材育成がうたわれている。現在の県内における高校や大学における人材育成の状況と連携についてはどのようになっているか。
福田観光物産課長
高崎経済大学には、観光分野を研究する学生がおり、同大学の佐々木教授には観光審議会の委員になっていただくなどの連携を図っている。また、富岡市と高崎商科大学との連携について承知している。
萩原副委員長
日本の学校でなかなか観光学は無いに等しい状況であるが、群馬県の中でも、大学を中心として観光学というものを推進して、人材育成を図っていくことが本格的に必要だと思う。また、観光人材の育成について、県も少しイニシアチブをとって学問的な部分で、高校や専門学校における推進強化を図っていただきたいがどうか。
福田観光物産課長
学問的な部分としては、DMOに取り組む中で、人材育成のセミナーや研究会を検討しており、観光物産国際協会を核に取り組んでいきたい。
萩原副委員長
道の駅の関係で、県内に31の拠点ができたということで、振興計画にも「物産振興と食の魅力向上」として道の駅の活用が載っている。観光ボランティアや観光インフォメーション機能を備えていくことが必要だと考えるがどうか。
塚越道路整備課次長
道の駅は、県内に31カ所、全国では1,079カ所ある。道の駅には休憩や地域連携、情報発信機能等がある。現在もそれぞれの道の駅に観光パンフレット等を置き情報発信しており、さらなる活用も考えられる。
萩原副委員長
富山の観光マップは、見ていて飽きないビジュアルのマップでどこに何があるか一目瞭然で分かる。群馬県が一目で分かるような全体のマップを道の駅で備え、また地域の特徴のあるマップ、さらにインバウンドのために外国語のものも備えていけば、いい状況につながっていくと思うがどうか。
高橋産業経済部長
富山県のマップは魅力的な内容になっており、参考にしながらより良いものを作っていきたい。他県との競争の中で、新たに設立するDMOの積極的な活用を通じて全国に本県の魅力を発信していきたい。また、プレミアム宿泊券については、全国最多規模の発行枚数で、全国から購入があった。しっかり分析して、データを活用した情報発信をしていきたい。
(2)新町紡績所について
関根委員
新町紡績所について、以前から世界遺産に追加登録をお願いしているが、地元でも盛り上がってきて、昨日も会議があったと聞いているが、現況を伺いたい。
布施世界遺産課長
昨年、国の文化財指定を受けたので、保存活用計画策定のための会議が昨日行われたと聞いている。
(3)台湾からの観光誘客について
角倉委員
台湾からの誘客拡大に向けて、具体的に今後どうしていくのか。
戸塚観光局長
一昨年は台湾の旅行博に県として独自に参加したが、今年度は関東地方として一体で参加した。継続して参加することが大事であり、来年度は、県として単独で台湾の旅行博に参加し、誘客に努めたい。先日、台湾新竹縣の高校の来県があったが、教育旅行では、学生同士のつながりもできている。将来の再来県も期待できることから、教育旅行についても引き続き積極的に取り組んでいきたい。
角倉委員
県として政権交代を受けてどういった人脈づくりをしていこうとしているのか。
戸塚観光局長
難しい課題であるが、議員の方々が長年築き上げてきた人間関係、また、友好協力協定等も結んでいるので、そういう中の人間関係を生かしながら、政権が変わった後も引き続き台湾と友好で強固な関係を築いていけるよう取り組んで行きたい。
角倉委員
台湾観光の推進という観点から、上海事務所はどういうふうに関わるのか。
戸塚観光局長
上海事務所には、大陸を中心とした観光誘客を行ってもらっているほか、台湾についても旅行博出展等の協力を得ている。また、みなかみ町が台南市と人事交流を行っているので、その人脈も活用させていただくなど、県内関係者と連携し、観光誘客に努めていきたい。
(4)アメリカからの観光誘客について
大和委員
群馬県の外国人宿泊者の内訳で、アメリカが6%の8千5百人ということである。北関東3県を比較すると、栃木県では2万7千人が、茨城県では1万3千人が宿泊しているが、アメリカ向けのてこ入れをすると多少数字が上がってくると思うがどうか。
福田観光物産課長
外国人観光客の場合、一般的には初来日では東京~京都~大阪のいわゆるゴールデンルートを訪れ、本県への来訪は2回目以降となる。東アジアやASEAN諸国に比べると、アメリカは遠距離移動になり再来日の割合が低く、当県単体で費用対効果を考えると取組は難しいが、今年度は北陸新幹線沿線地域連携により、アメリカからメディアを招請し本県の観光情報を発信した。平成28年度も継続して実施を予定している。
(5)外国人観光客の受入体制整備について
大和委員
海外の方を受け入れるのに体制整備が重要だと思うが、28年度の本県の具体策があれば伺いたい。
福田観光物産課長
「外国人観光客受入マニュアル」を改訂し、宿泊施設や商業施設等において、接客する方が使いやすい実践的なものを整備したいと考えている。具体的には、指さしで会話できるシートや、コピーして使える施設内の案内表示等を考えている。
(6)海外から誘客に資する人材の育成について
角倉委員
県庁で観光に関わっている職員の人脈の蓄積が、後継の職員に継承されていかなければならない。人脈の蓄積なり、継承を県庁の中で作っていかなければならないと思うがどうか。
戸塚観光局長
日本政府観光局や自治体国際化協会に職員を派遣し、派遣後は国際関係業務に従事させることで人脈の形成の循環を図っていく中で、県職員として国際的な感覚を身につけ、海外との交流、観光誘客に生かせる能力を磨く必要があると思っている。
(7)委員会から発した提言への対応について
角倉委員
昨年も同じ特別委員会が設置されており、提言がされたが、どこまで生かされたいるのか。提言を出しても実施されないということであれば、我々も出した以上は県民に対して責任があるので、少なくとも一年たってこれだけのことがやれたということについて、報告をお願いしたいと思うがいかがか。
高橋産業経済部長
今回の観光振興計画は提言を踏まえ策定している。その上で、今回は少し高い目標値を設定し、取り組むこととしており、計画の終了する4年後に達成できるよう責任を持って取り組んでいきたい。また、日本版DMOなど新たな要素も盛り込んでおり、従来の観光物産国際協会だけでなく、多様な関係者と連携しながら、地域の稼ぐ力を成長させていきたいと考えている。
加賀谷委員
昨年、同委員会から発した提言で、6番目に「富岡製糸場と絹産業遺産群」の公開範囲の拡大に向けた支援や、本県の特徴である養蚕、製糸、織物業における、明治期からの女性の活躍に焦点を当てた展示も積極的に検討することとあるが、具体的にどのようなことがされたのか。
布施世界遺産課長
富岡製糸場を模範として設置された全国の製糸場の調査をしており、その中で、工女がどのような活躍をしたか調査している。次年度にさらなる調査を行うが、展示はまだ先になる。日本遺産に認定された「かかあ天下-ぐんまの絹物語-」は、女性の活躍を焦点にしており、パネル等を作成するほか、現代の「かかあ」の聞き取り調査を実施している。
加賀谷委員
以前、富岡製糸場の中の展示品は富岡市が管轄していて、県はあまり展示品については手をつけていないという話を聞いたが、実際、展示品は富岡市の管轄になるのか。
布施世界遺産課長
富岡製糸場は富岡市が所有者であり、展示には許可が必要になる。県では、東置繭所内で暫定展示を実施しており、模型やパネル展示を実施している。日本遺産を交えたPRについては、来年度に東置繭所の南側で企画展示として実施したいと考えている。
加賀谷委員
女性の友達と富岡製糸場を見たときに、工女さんたちがどういう生活を送っていたかを肌で感じることができないと感じた。工女さんの食事や服装、休日の過ごし方などの展示を検討していただきたいがどうか。
布施世界遺産課長
片倉期に富岡製糸場で勤務していた女工や関係者の勤務状況や生活について聞き取り調査を実施しており、年度末には資料にまとめる予定である。また、富岡市でも研究を進めている。
(8)群馬プレミアム宿泊券について
伊藤(清)委員
群馬プレミアム宿泊券について、追跡調査は実施しているか。
福田観光物産課長
現在集計中であるが、利用者及び宿泊施設に対して、アンケート調査を実施している。
(9)上野三碑について
荒木委員
3月6日に一般公開され、681人が訪れて非常に関心が高かったという報道を見たが、実際どのような印象だったか。
加藤文化振興課長
世界記憶遺産の国内候補に選ばれてから初めての一般公開となったが、多くの人が訪れ、関心が高まっている印象を受けた。また、当日は、一般公開とあわせて、もう一つの国内候補である「杉原リスト」の申請者である岐阜県八百津町と共同シンポジウムを開催し、300名を超える来場者があり、とても効果的なPRができたと考えている。
荒木委員
今後、碑自体の保存も大切にしなければならないが、一方では公開も大切になってくると思う。保存と公開の関係について、今後どのように進めていくのか。
加藤文化振興課長
毎年1回、3月上旬に一般公開している。上野三碑の保存と公開については、そのバランスに配慮することがとても重要であり、管理者である高崎市や所有者である国と相談しながら、公開日の拡大について検討したい。
荒木委員
観光ボランティアガイドについて、要件と募集は現在どのようになっているのか。
加藤文化振興課長
高崎市で上野三碑ボランティアを募集しており、定員が40名のところ応募者が66名あったが、抽選はせずに、応募者全員に養成講座を受講してもらっていると聞いている。
荒木委員
年代的には高齢者の方が多いのか。
加藤文化振興課長
これまでのボランティア養成講座では、高齢の方の参加が多くなっている。
荒木委員
ボランティアガイドの募集に高校生を入れたらどうかと思うがどうか。
加藤文化振興課長
高校生ボランティアについては、とてもいい社会勉強になることから、教育委員会や高崎市とも相談しながら活用を考えたい。
荒木委員
上野三碑が設置されたのが今から約1,300年くらい前で、織物が群馬県に伝えられたのも同じ1,300年くらい前である。これを連携しながら生かせるような考えも持ってほしいがどうか。
加藤文化振興課長
上野三碑、桐生織とも当時、東アジアから文化や技術が伝わってきたものであり、トータルで文化交流ということとして連携事業を考えたい。
(10)山の日やぐんま百名山等を活用した観光振興について
大和委員
今年から山の日が国民の祝日になり、また、ぐんま百名山は公募により平成15年に選定が終わったと聞いているが、これらを活用した観光振興についてどのように考えているか。また、山梨県にも百名山があり百名山手帳の作成や登頂証明書の発行に取り組んでいるが、群馬は考えているのか。さらに、ぐんま百名山で統一標識を作った方がよいという県民の声があるがどうか。
福田観光物産課長
近年の登山ブームや外国人観光客の増加を背景に、山岳を観光資源として活用し、誘客を図ることは重要と考えている。一方で、本県の山岳遭難事故は増加していることから、「山のグレーディング」の作成に取り組むこととしており、安心して楽しめる登山の観光情報発信に取り組みたい。
松下自然環境課長
手帳の作成や登頂証明書の発行、統一標識の設置については、観光部局と相談しながら、土地所有者との調整や維持管理などの課題、登山者の安全面などを考慮し検討したい。
(11)田島弥平旧宅周辺の道路標識設置について
大和委員
県道綿貫篠塚線世良田交差点付近と国道17号バイパス「おかべ道の駅」付近への道路標識設置の進捗状況はどうか。
生方道路管理課次長
県道綿貫篠塚線世良田交差点付近及び、新たに国道354号の交差点にも標識を設置することとし、今週中には完了する予定である。国道17号バイパス「おかべ道の駅」付近の案内標識については、設置に向けて引き続き大宮国道事務所に働きかけてまいりたい。
(12)観光振興等における部局連携について
松本委員長
観光局長は、昨年群馬県に台湾の雲林県の方が来たのは知っているか。
戸塚観光局長
私は面会していない。
松本委員長
明日、雲林県長が館林市を訪問する予定となっているが、聞いていないのか。部局間の横のつながりは全くないのか。
佐藤国際戦略課長
昨年、雲林県長が群馬県庁を訪問されたこともあり、今回の館林市の訪問にあたっては、親睦交流会への御招待を受けたことから企画部長とともに出席することにしている。特に庁内への連絡は行わなかった。
松本委員長
県庁は常に「一丸となって」というが、今のようなこと自体、横のつながりがないのは寂しいと思うがどうか。
高橋産業経済部長
人的なネットワークを作ることは大切であり、今回の件は反省し、しっかりと連携していきたい。