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厚生文化常任委員会(健康福祉部・病院局関係)(平成27年12月8日)

1.開催日時

平成27年12月8日 9時59分開始 15時17分終了

2.開催場所

402委員会室

3.出席委員

委員長:臂泰雄、副委員長:清水真人
委員:黒沢孝行、委員:星野寛、委員:狩野浩志、委員:星名建市、委員:水野俊雄、委員:金子渡、委員:荒木恵司、委員:加賀谷富士子

4.欠席委員

なし

5.主な質疑

(1)認定看護師の確保対策について

狩野委員
 高崎健康福祉大学で認定看護師の研修が受けられるようになると聞いたが、認定看護師の現状と課題、今後の方針について伺いたい。

北爪医務課長
 県内ではこれまで認定看護師の養成施設が無く、その確保については課題であったが、この度、高崎健康福祉大学において、新規に教育課程を開設することとなった。今回の補正予算では、開設に伴う初度設備整備の支援を計上しているが、今後、他大学等で開設する場合があれば同様に支援する考えである。

狩野委員
 高崎健康福祉大学を皮切りに、県内何か所に研修を受けられる場所を設けると、認定看護師の研修を順調に実施できるのか。また、高崎健康福祉大学での研修に何か特徴はあるか。

北爪医務課長
 認定看護師は21分野あるが、県内7大学と調整した結果、地域包括ケアシステムの構築等を推進する中でニーズの高い「認知症看護分野」を養成することとなった。7大学にすべて設置するのは難しいと思うが、さらに養成課程を増やしていきたい。

狩野委員
 認定看護師になるためにどのような研修を受けるのか。また、研修費用に対しても助成するということでよいか。

北爪医務課長
 受験資格は5年以上の実務経験等が必要であり、教育期間は実技を含めて6箇月となっている。認定看護師の取得の経費ついては、派遣する病院側が負担する場合には、その経費を支援することとしており、昨年度から実施している。補正予算でお願いするのは、受け入れる施設の設備に対する経費を補助するものである。

狩野委員
 どのようなものを整備するのか。福井大学附属病院にあったようなシミュレーターを整備する必要があると思うがどうか。

北爪医務課長
 高崎健康福祉大学においては、福井大学附属病院にあったような高度な医療に対応するシミュレーターは想定していないが、今後開設する認定看護師養成校から、シミュレーター整備の支援要請があった場合は、個別に検討して参りたい。

狩野委員
 県民健康科学大学では、認定看護師を養成するのか。

設樂県民健康科学大学管理部長
 認定看護師養成課程について、平成30年度設置を目指して検討している。

狩野委員
 平成30年度といわず、早期に開設をしてもらいたい。

(2)群馬県食品衛生法施行条例の一部を改正する条例案について

黒沢委員
 食品衛生法を施行するための条例であるにもかかわらず、条文が「健康被害が生ずるおそれがないとはいえない」という曖昧な表現になっており、危惧するところであるが、どのように運用するのか。

下田衛生食品課長
 食品衛生法施行条例の改正内容は、国のガイドラインに基づくものであり、基本的に改正条文についてもガイドラインの表現に基づいている。従来から、事業者には、食品に係る健康被害について、医師の診断に基づき知事に報告する義務を条例で課してきたところだが、今回は、消費者等からの自己申告による健康被害等を広く拾い上げるために、この様な表現としたもので、事業者が個別具体的に判断することになる。

黒沢委員
 追加した条文に違反した場合、罰則はあるのか。

下田衛生食品課長
 直接の罰則はないが、食中毒などの健康被害が発生している場合は、営業停止等の処分となる。

黒沢委員
 この規定は、努力規定だと思うが、つまり何かあったら県民はすぐに通報してくださいということか。

下田衛生食品課長
 事業者からの報告は、努力規定ではなく義務規定である。

(3)小児等在宅医療連携拠点事業について

水野委員
 小児等在宅医療連携拠点事業は医療介護総合確保基金のどの区分に含まれるのか。

北爪医務課長
 医療介護総合確保基金の医療分の在宅医療・介護サービスの充実に係る事業に位置付けられている。

水野委員
 小児の在宅医療と高齢者の在宅医療との違いは何か。

北爪医務課長
 高齢者の在宅医療については提供基盤が徐々に整備されつつあるが、小児についてはそもそも対応可能な医療機関やその情報が限られている。本県では、他県に先駆けて国のモデル事業等に取り組んできたところだが、引き続き、対応可能な医療機関等の確保や情報提供、関係者による連携体制の構築等に取り組んで参りたい。

水野委員
 小児等在宅医療のイメージがつかみづらいのだが、重症心身障害のある方や県立小児医療センター等で長期の療養されている方が対象というイメージでよいか。

北爪医務課長
 重症心身障害児やNICU等で長期療養されている小児等が対象となる。家族にとっては大変な負担であるので、住み慣れた在宅、地域で療養生活を送れるようにすることが小児等在宅医療の目的である。

水野委員
 専門家チームの派遣は、県立小児医療センターを起点としながら行うということか。専門家チームの運用について伺いたい。

北爪医務課長
 県立小児医療センターに限らず、NICUを有する地域の基幹病院やかかりつけ医、訪問看護師等の関係者による連携体制を構築し支援して参りたい。

(4)医療介護総合確保基金の区分間流用について

金子委員
 地域医療介護総合確保基金について伺う。今年度基金の内示において、「各事業区分間での基金の調整(流用)を認めない方針」と記載されている。基金については、年度や時期によって重点的に取り組みたい事業もあると思われる。基金運営上、問題ないか。

武藤地域包括ケア推進室長
 平成26年度基金においては、区分間の流用を認めないというものではなかった。平成27年度基金は、区分1の病床の機能分化・連携に重点を置き、区分間の流用は認めないとされた。しかし、各年度の基金を複数年にわたり運用するなど、効率よく、効果の高い事業に取り組んで参りたい。

(5)地域医療構想について

黒沢委員
 地域医療構想について伺う。3,400床も減らせるのかということについて、きちんと議論をしていかないと受け皿としての病院機能を喪失しかねないと考えているが、まず、県域間の患者流出入の調整について説明をお願いする。

北爪医務課長
 隣接県との患者の流出入については、埼玉県との間では総ての医療機能において流入超過であり、栃木県との間では、高度急性期・急性期は流出超過、回復期・慢性期は流入超過の状況にある。患者の受療動向の地域医療構想への反映については、各県の役割分担や現状の医療機能等を踏まえて調整することとなるが、国のルールに基づき、最終的には流入超過数は本県で、流出超過数は流出先で必要病床数を推計することとなる。また、各地域保健医療対策協議会では、現状の医療提供体制を基本とすることが、地域に混乱がなく、患者の受療動向に沿い適当であるとの意見が多い。

黒沢委員
 県内の圏域ごとの調整であるが、群馬県の圏域はコンパクトであるために、圏域間の移動が頻繁に行われているのではないかと感じている。その点をしっかり把握しないで、単に医療機関所在地ベースだけで調整すると実態と合わなくなると思うが、圏域ごとの調整についてはどのような議論が行われているか。

北爪医務課長
 県としては、各地域で意見の多かった医療機関所在地ベースを基本としつつ、回復期や慢性期の医療については、地域包括ケアシステムの構築を念頭に、できるだけ住み慣れた地域で療養環境の整備を目指す観点から流出患者数にも一定の補正を加え必要病床数を推計することとし、県及び地域保健医療対策協議会において了解をいただいている。

黒沢委員
 保健医療計画の基準病床数は、それぞれの圏域で設置できる病床数の上限を定めているもので、現状の病床数を基準病床数まで減らすものではないと記載されているが、いくつかの病院で病床数が減っている。この理由は何か。

北爪医務課長
 太田記念病院においては医療施設耐震化支援事業を活用したことによるもの、武蔵野病院については、病室から作業療法室への変更によるもの、堀江病院については、基本的には医療施設耐震化支援事業を活用したことによるもの、太田協立病院においては有床診療所への転換によるもの、館林厚生病院においては、主に医療施設耐震化支援事業を活用したことによるものである。

黒沢委員
 病床数は減らすものではないとされているが、二次医療を担っている病院に病床数を減らすことを迫っていると思うがどうか。

北爪医務課長
 地域医療構想の目的は、将来の医療需要に的確に対応するために、病床機能・医療機能を再編するもので、病床の削減が目的ではない。

黒沢委員
 地域保健医療対策協議会で民間病院の代表者や地域の代表者がどのような意見を言っているか教えていただきたい。

北爪医務課長
 地域医療構想の必要病床数の推計にあたり、当初、病床削減に対する懸念が地域にあったが、地域保健医療対策協議会等において丁寧に説明し、概ね理解が得られたと考えている。

黒沢委員
 理解を得られているとは言えないのではないか。その旨を関係者本人から聞いている。部長はどのように理解しているか。

塚越健康福祉部長
 我々としては、2025年の病床数はあくまで国の一律の基準で算出された数字であり、必ずしも必要病床数まで減らさなければならないということではない。病院間で協議をしていくための1つの数字であると理解している。

黒沢委員
 必要病床数の算定においては、県立病院は例外ではないのか。

根岸病院局総務課長
 精神科は除外されているが、それ以外は一般病床としてカウントされている。

黒沢委員
 専門病院に特化している県立病院と他病院とを同じ次元で議論するのは問題でないか。

根岸病院局総務課長
 地域医療構想の中で議論をし、現状の患者数や今後の動向を踏まえて過不足を判断した上で、必要な病床数は確保していきたい。

黒沢委員
 県立病院の役割をしっかりと国に主張し、必要な病床数を確保してほしい。

(6)子どもの貧困対策推進計画について

黒沢委員
 子どもの貧困対策の推進にあたっては、市町村とも連携しながら個別的なケアが必要と考えるが、県の役割についてはどうか。また、補助金等の支援についてどう考えているか。

平井地域福祉推進室長
 子どもの貧困対策については、県においても関係機関が多く、教育、生活、就労支援など多面的な支援が必要となってくることから全庁的な取組が必要であると考えている。計画の策定にあたっては、教育環境整備、学習支援、生活支援、就労経済的支援の4つの検討部会を組織し、情報交換等を行ってきた。今後は各課で施策を展開していくとともに、必要なサービスへ確実につなげる支援体制の強化を図って行きたい。また、補助金については、子どもの貧困対策に関係するそれぞれの施策の中で、用意されている補助金等を活用していきたい。

黒沢委員
 すべての対策を浅く広く行うのでなく、各市町村の強みをいかした取組が出来たらいいと考えるが、どうか。

平井地域福祉推進室長
 それぞれの施策を行う中で、各市町村と情報交換等を行い、よりよいサービスの提供に努めて参りたい。

(7)発達障害児支援について

星野委員
 今年度の新規事業である発達障害者支援体制サポート事業や継続事業である発達障害者支援センターの運営など様々な施策が行われているが、発達障害児者への施策の実施状況はどうか。

岡部障害政策課長
 まず、第一義的に早期発見と早期療育が大事であるため、早期発見については保健予防課と協力し、市町村保健師を対象とした研修を実施しており、早期療育についてはマザー&チャイルド、コンサルテーション等による支援を実施している。また、関係機関への理解促進のための研修や、支援者向けの研修を実施している。

星野委員
 どの程度、早期に発見をし、支援をしているのか。

岡部障害政策課長
 発達障害者の方々がどれくらいいるか、統計的な数値はないが、例えば、平成26年度はマザー&チャイルド参加者は延べ1,638名であり、地域の療育相談では年間346人であり、そうした支援を通じて、発達障害者の療育に努めているところである。

星野委員
 発達障害であることを認識することがまず大切だと思う。そのためには発達障害がどういうもので、どのように支援すれば、子どもがしっかり育つのかを理解していただくことが重要であると考えるが、どのような取組をしているか。

岡部障害政策課長
 発達障害者支援センターが主催する保育園・幼稚園職員向けセミナーや、一般県民向けセミナー、また、教育委員会所管の研修等により支援者の理解を深めている。

星野委員
 家庭教育の支援・こどもの未来に関する特別委員会で先進地の埼玉県に視察に行った。埼玉県では平成23年度から全庁的な重要プロジェクトとして取り組んでおり、平成22年度の予算は4,100万円だったが、平成27年度には57,200万円の予算で取り組んでいる。中には学ぶべきものがあると思うが、いかがか。

岡部障害政策課長
 委員指摘のとおり、発達障害者に対する理解の促進という点では足りない部分があるので、市町村と連携して取り組む必要があると考えてる。こどもの発達支援センター等も県内で6か所6市しか設置されていないので、そういった部分を含めて、市町村と一緒になって取り組んでいきたい。

星野委員
 県が強力に市町村を巻き込むような形で、あるいは、部局横断的に対応しないと進まないのではないかと思うがどうか。

岡部障害政策課長
 発達障害者支援センターの相談状況からみると、当初は小中校生からの相談が多く、大人からの相談は約3割であった。平成26年度の状況をみると、19歳以上の相談が57パーセントと半数を超えており、その状況をみると、既に就労しているが、職場の理解を得ていない等の相談もある。労働サイドと連携をとることも必要と感じている。

星野委員
 発達障害に対して理解をして、どう支援をしていくかを総合的に協議する場が必要と思うがどうか。

塚越健康福祉部長
 支援の初期段階では市町村による支援、困難ケース等は県の発達障害者支援センターで対応というように役割を明確にするとともに、委員から指摘のあったとおり、庁内における連携強化を図りたい。

星野委員
 正しく診断するためには医師の力が必要であり、病院局との連携も必要だと思うが、県立病院に発達障害専門医はいるか。

根岸病院局総務課長
 精神医療センターに思春期病棟があり急性期の患者を受け入れている。また、小児医療センターでは群馬大学から小児精神科医を招聘しており、リハビリ等を実施している。

岡部障害政策課長
 補足で説明させていただきたいが、連携会議について、現在、医師、労働関係者、教育関係者などと発達障害者支援体制整備検討委員会を毎年開催している。その中で、年代別にどのような支援が必要なのか検討していただき、提言をいただいている。こういった中で、十分検討して、具体的な施策を進めていきたい。

(8)県民健康科学大学について

星名委員
 一般質問で、知事から県立大学を法人化し、1法人2大学でやっていくとの答弁があったが、県民健康科学大学としては、どう考えているか。

福田県民健康科学大学事務局長
 知事答弁のとおり、県民健康科学大学としても、平成30年度に円滑に公立大学法人へ移行できるようにしていきたい。また、1法人2大学の運営形態については、大学の役割である教育、研究、地域貢献の機能を十分に発揮できるよう、法人の組織・人員等の内部体制、財源、運営方法などについて、健康福祉部、総務部と協議し、県立女子大学と調整するとともに、議会のご意見を伺いながら、検討していきたいと考えている。

星名委員
 法人化によって、今後どのような大学を目指したいと考えているか。

福田県民健康科学大学事務局長
 法人化によって、少子化の中で大学間競争に生き残っていくために、より魅力のある大学を目指すとともに、県民の健康、医療、福祉環境の更なる向上に寄与できるよう、引き続き、県と密接に連携しながら県立大学としての役割を果たして参りたい。

星名委員
 来年4月に大学院博士課程が開設されるが、どのような内容か。

設樂県民健康科学大学管理部長
 来年4月に開設する博士課程の内容について、名称は「看護学研究科看護学専攻博士後期課程」と「診療放射線学研究科診療放射線学専攻博士後期課程」である。それぞれ入学定員2人、修学年限は3年、学位は看護学の博士と放射線学の博士である。これに伴い、今ある修士課程は「博士前期課程」と改称する。

星名委員
 保健医療人材の育成において、博士課程が果たす役割をどのように考えているか。

設樂県民健康科学大学管理部長
 高度医療専門職をさらに養成する必要が高まっており、本学としては、こうしたニーズに県立大学として応えるため、博士課程において、「県内病院現場においてチーム医療の指導者としての役割を担える看護管理者と診療放射線技師、そして臨床研究者」、また「高度な専門的知識・技術と教育指導力を兼ね備えた大学教員」を養成することを通じて、本県の保健医療福祉水準の向上に寄与したいと考えている。

星名委員
 博士課程設置の今後の予定はどうなっているか。

設樂県民健康科学大学管理部長
 今後の予定については、来年1月中旬に出願者の受付、2月中旬に入学試験、合格発表を行い、4月の開設に向けて準備したい。

(9)重粒子線治療に係る先進医療の枠組みの見直しについて

狩野委員
 12月8日付けで上毛新聞に掲載された重粒子線治療に係る先進医療の枠組みの見直しについて、県の考え方はどうか。

北爪医務課長
 日本放射線腫瘍学会は、12月3日開催の先進医療会議において、1 低リスクの前立腺がんや脳腫瘍等は引き続き先進医療A、2 他の根治療法のない骨軟部腫瘍は保険収載、3 高リスクの前立腺がんや切除できない肝臓がん等は先進医療Bとして報告した。県としては、先進医療会議の行方を注視して、本県と同様に重粒子線施設を抱えている自治体と連携して、先進医療Aの継続が可能となるよう努力したい。

狩野委員
 昨年の患者500人のうち、半数が前立腺がんであるが、前立腺がんはどうなるのか。

北爪医務課長
 高リスクの前立腺がんについては、先進医療Bということで、先進医療には変わりはなく、民間の先進医療保険は適用されるが、患者数や実施する期間に制限がある。低リスクの前立腺がんについては、今までどおり、先進医療Aというのが日本放射線腫瘍学会の報告である。

(10)研修医の確保について

狩野委員
 群大病院の医療事故を受け、研修医離れが進んでいるのではないかと言われているが、現状はどうか。

歌代医師確保対策室長
 今年度の臨床研修のマッチング結果は83人、昨年度に比べ20人の減であり、群大病院では昨年度の28人から14人に半減している。医療事故の影響が大きいと思われる。臨床研修を受けた研修医のうち8割は県内に残る傾向があるため、研修医確保に取り組んできた。このため、研修医の少ない状況が続くと、将来の指導者層の減少、ひいては研修医の受入可能数の減少という悪循環につながりかねず、懸念している。群大病院の信頼回復が一番の要素ではあるが、県としても群大病院のほか臨床研修病院とともに、危機感を持って研修医確保に取り組んでいきたい。

狩野委員
 医療についての県民の期待は大きく、県庁を挙げて医師確保に取り組む必要があると考えるが、部長の考えはどうか。

塚越健康福祉部長
 医療事故の影響を受け、残念ながら研修医の数が非常に落ち込んだが、しっかり受け止めて、医師の減少につながらないように今後も医師確保に取り組んでいきたい。

(11)がん対策における地域医療連携について

狩野委員
 がん対策について伺う。熊本県では平成22年度からがん診療の連携のため、県下共通の「私の健康ノート」を運用している。がん患者は、がん診療連携拠点病院等で治療を受けた後、地域の医療機関に戻って治療を継続すると思うが、本県の患者支援はどのようなものか。

山崎がん対策推進室長
 がんが見つかると、まずはがん診療連携拠点病院等の病院に入院治療し、その後地域の医療機関に移行していくと思われる。そのような状況から、県では「ぐんまの安心がんサポートブック」などを作成、活用し、在宅医療の情報提供をしている。また、地域の医療機関にクリティカルパスを持参すると診療報酬上の加点措置もある。患者がクリティカルパスを紛失することもあり得るので、さらに有効な方法がないか検討していきたい。

狩野委員
 前橋市ではICTによるマイナンバーと医療データの連携を検討している。このようにICTを活用した患者負担を軽減する取組を先進的に取り入れていただきたいがどうか。

山崎がん対策推進室長
 がん診療に携わる関係者には、そのような意見もある。患者負担の軽減に向けて検討していきたい。

(12)ナースセンターの機能強化について

狩野委員
 看護師確保対策について伺う。地域包括ケアシステムを実現するため、看護師を活用していかなければならないと考えるが、特にナースセンターの機能強化を図るため、看護協会、医師会、ハローワーク等による、看護師確保につながる協議会の設立が必要だと思うがどうか。

北爪医務課長
 ナースセンター事業を一層効果的に実施するためには、求人側、求職側、医療関係団体等をメンバーとする事業運営委員会をナースセンターの組織に明確に位置付け、関係機関が一体となって看護職の確保・養成に取り組んでいくことが重要であると認識している。そうしたことから、現在、群馬県看護協会が、医師会やハローワーク等によって組織する事業運営委員会をナースセンターの附属組織として明確に位置付けるべく準備を進めており、来月には正式に発足する見込みとなっている。県としてもナースセンターの指定監督者として、ナースセンターの機能強化に資するよう、引き続き必要な指導等に努めて参りたい。

(13)看護師確保対策の責任者について

狩野委員
 県庁内には、専属的な看護師確保対策の責任者はいるのか。

北爪医務課長
 専門職として、看護師確保にあたるものはいない。看護師確保対策の責任者は医務課長となる。これから看護職の活躍する場が広がる中で、医師確保と同様に非常に重要であるので検討したい。

狩野委員
 医師確保対策室と同様な体制とはならないか。

北爪医務課長
 組織担当課と協議し、しっかり取り組める体制について検討して参りたい。

(14)地域包括ケア総合推進センター構想について

狩野委員
 地域包括ケア総合推進センター構想について伺う。県内に地域包括支援センターは95箇所あるが、それを支援する地域包括ケア総合推進センター構想について、群馬県医師会、歯科医師会、薬剤師会から要望を受けた。県としてはどう考えているか。

武藤地域包括ケア推進室長
 県としては、地域包括ケアシステムを構築するため、主体である市町村の支援に取り組んできたところであり、各市町村における医療介護連携体制の充実に向け、これまで地域の医師会との話し合いの場を設定したり、市町村間の情報共有を図るなどの支援を行ってきた。また、市町村では確保が困難な専門職の派遣や、地域包括支援センター職員の研修にも取り組んできた。これらの施策は、専門家や関係団体を交えた協議組織で議論を経て実施されてきたものであり、当該要望内容についても、これらの協議組織での議論を踏まえ、その必要性を検討して参りたい。

(15)自殺対策について

狩野委員
 自殺対策について伺う。本県の自殺者数の現状はどうか。

津田精神保健室長
 本県の自殺者数は、人口動態統計によると、平成10年に急増して以降、500人前後で推移していたが、最近では平成21年の538人をピークに減少している。平成25年には492人と一時増加したが、平成26年には396人と、前年に比べ96人減少している。ただ、人口10万人あたりの自殺者数は、本県では20.4人だが、全国平均は19.5人で、上回っている状況である。そのため、県では、平成26から30年度を計画期間とする「第2次自殺総合対策行動計画」を策定のうえ、自殺予防や心の健康に関する普及啓発等、本県の実情に応じた対策を、県関係所属、市町村及び民間団体と協力のうえ実施している。

狩野委員
 「群馬いのちの電話」は自殺予防対策に非常に貢献していると強く感じているが、もう少し支援していただきたいがどうか。

津田精神保健室長
 「群馬いのちの電話」は行政や民間の諸機関と連携して、自殺予防に関する相談活動や啓発活動を実施している。平成26年の相談件数は19,675件、うち自殺傾向の相談件数は、平成26年度2,426件と、全体の12.3パーセントを占めており、深刻な状況が続いている。電話相談の対応は、2年間の研修を受けたボランティアによって行われているが、その確保が大きな課題となっている。県では、自殺対策緊急強化交付金等により、電話相談員の養成、研修、施設改修等支援してきたが、引き続き必要な支援を行って参りたい。

(16)家庭的養護推進計画について

水野委員
 次世代育成支援行動計画でも家庭的養護の内容が盛り込まれているか。

野村児童福祉課長
 次世代育成支援行動計画の内容の一部を成す子ども子育て未来プランに盛り込まれている。

水野委員
 今年の3月に家庭的養護推進計画が策定されたが、なぜ家庭的養護を推進するのか。

野村児童福祉課長
 施設養護は大勢の集団の中で養育されるが、愛着関係を築くためには特定の人との関わりが必要なことから、家庭的養護を推進していく必要がある。

水野委員
 計画の目標と現状はどうか。また、家庭的養護推進計画は15年という長期の計画となっているが、どうしてか。

野村児童福祉課長
 計画目標は、平成27年度から平成41年度までの15年間で、社会的養護が必要な児童のうち、里親及びファミリーホームへの委託児童数を3割超まで引き上げるというものである。現状については、乳児院等に入所又は委託されている児童数は、今年10月1日現在、乳児院43人、児童養護施設367人、里親48人、ファミリーホーム24人で、合計482人、里親等委託率は、14.9パーセントであり、計画を達成するためにはこれを倍にする必要がある。なお、長期の計画としたのは、里親制度の普及や施設整備などの問題があり、短期間で進めるには課題が多いためである。

水野委員
 計画期間15年を5年ごとに見直しとしているが、5年ごとの目標値は設定しているのか。

野村児童福祉課長
 設定していない。

水野委員
 例えば、里親の登録数は、各年度細かく設定しているが、具体的に、里親の委託率の推移をどれくらい見込むかまでは、描かれていない。15年間どのように進めていくか気になるところである。15年間で里親等委託率を倍に引き上げる目標とのことだが、具体的にどのような取組を考えているか。

野村児童福祉課長
 課題は3つ、1 実親の同意が得られにくいこと、2 子ども自身の問題(里親に行きたがらない)、3 子ども本人にあった里親を見つけにくいことである。1について、国の専門委員会では、保護者が同意しない理由の1つに「親」の名称が混乱を与えているという指摘があり、「里親」の名称について「養育家庭」「養護家庭」などへの変更を検討するとのことである。当面、児童相談所においては、実親への説明として、最終的には家族再統合を目指すものであり、それまで一時的に保護者に代わり、養育を行うものであることを説明し理解を求めていく。2について、小さいうちから里親委託を進めていくことが必要であり、乳児院入所中の段階での里親委託を進めていきたい。3について、里親登録者数を増やすことが課題となっており、里親制度の普及の取組としては、広報や制度説明会等で里親体験談を語ってもらうなどにより、里親制度の理解、普及に努めていきたい。

水野委員
 本県も、妊娠中の段階から、望まない妊娠等により相談を受け、出産直後の相談に応じ、新生児を出産した病院から直接里親宅に委託する「特別養子縁組を前提とした新生児の里親委託」を実施している愛知県方式を進めた方がよいのではないか。また、望まない妊娠への対応として、子育て世代包括支援センターとの連携を図りながら進めていくべきではないか。

野村児童福祉課長
 市町村毎に設置している要保護児童対策地域協議会において、児相を含めた関係機関で情報共有する中で、児相が必要なケースを調査し、特別養子縁組前提の里親委託を検討していきたい。

水野委員
 里親への委託を進めるために、不妊治療をしている医療機関の医師から治療を受けている方に里親委託を働きかける取組はどうか。家庭的養護を推進するためには、単に呼びかけるだけでなく、関係機関と連携することにより事業効果を上げていくことが必要と思うがどうか。

野村児童福祉課長
 不妊治療をしている医療機関の医師から意見を聴いたり、場合によっては協力を求めるなど、今までにない取組をやっていきたい。

水野委員
 里親確保について、計画では「1小学校区に1里親」という取組があったが、中期の取組として位置付けられている。最初の5年間は一般的な広報・PRを行い、中期において、「1小学校区に1里親」を目標にするとあるが、最初から行えばよいのではと思う。どんどん行えばよいのではないか。このほか、映像で訴えたり、メディア、報道、ライターの方々に現場に入ってもらい、実態をみてもらいメディアに載せてもらう取組も必要と思うが、どうか。

野村児童福祉課長
 計画にこだわることなく、できることは積極的に進めていきたい。ポスターやリーフレットとは違った媒体、映像や小説などによる普及についても効果的であると思うので、研究していきたい。

水野委員
 計画には家庭的養護推進会議の設置とあるが、理念を徹底するため、メンバーに学識経験者を増やした方がよいと思うがどうか。

野村児童福祉課長
 組織としては、里親委託等推進委員会を設置し、児相、施設、県里親の会を構成員として、委託可能な児童のリストアップをして、実務的な検討を行っている。学識経験者を含めることについては、現場で取り組んでいる児相等と相談しながら検討していきたい。

水野委員
 里親委託を推進するため、県の体制を強化するとともに、県民の理解を強力に求めるなどの取組を進める必要があると思うがどうか。

中村こども未来局長
 社会的養護の必要な児童は減る様子がない。また、養育できない保護者は増えている。さらに、保護される子どもは虐待により傷つき、関わり方が難しい。そのような子どもを養育するには相当な覚悟が必要である。このため、計画は時間をかけて進めていく必要がある。里親委託を進めていくには、県だけでは限界があり、皆さんの力添えを得ながら、覚悟を持った里親を1人でも多く見つけて里親委託を進めていきたい。

(17)ヤングケアラー支援について

水野委員
 子どもの貧困対策について伺う。前回の厚生文化常任委員会でヤングケアラーについて質問したが、その後の調査状況はどうか。

吉田介護高齢課長
 諸外国では、ヤングケアラーとは18歳未満で介護家族を担っている子どもという定義がある。市町村で困難事例を扱う地域ケア会議があり、いくつかの市町村に若者が介護を担って困難を抱えているケースがあるか聞いてみたが、思い当たる事例はないということであった。

水野委員
 若者の介護負担による学業や生活への影響が課題と捉えられていない場合があるので、現場のケアマネジャーに聞き取り調査をしてもらいたい。

(18)子どもの貧困対策推進計画について

水野委員
 生活困窮者自立支援法が施行され、子どもの貧困対策も事業として位置付けられたが、県としてどう推進していくのか。

平井地域福祉推進室長
 今年度計画を策定する中で、教育の支援をはじめ、様々な支援を検討している。それらを総合的に進めていきたい。

水野委員
 各市町村のソーシャルワーカーなどが、子どもの貧困の現状を把握しているのか。

平井地域福祉推進室長
 生活保護ケースワーカーや民生委員等、福祉サイドからの情報は把握しているが、学校現場での様子はわからず、スクールソーシャルワーカーの必要性を感じている。

水野委員
 子どもの現状を具体的に見ていくのであれば、スクールソーシャルワーカーを配置することが、一番近いのではと感じているが、スクールソーシャルワーカーの役割について、どう考えるか。

平井地域福祉推進室長
 スクールソーシャルワーカーの役割は、学校での子どもの状況から福祉的支援の必要性を判断し、しかるべき機関に繋げることだと考える。

水野委員
 スクールソーシャルワーカーが、県内で9人というのは少なすぎると思う。現状のスクールカウンセラーぐらいの配置までもっていっていただきたいが、どう考えるか。

塚越健康福祉部長
 子どもの貧困対策において、学校と福祉の連携は非常に重要であることから、教育委員会とも意見交換し、しっかりと連携していきたい。また、計画の中では目標値を設定することができなかったが、スクールソーシャルワーカーについても増やせるよう努力したい。

水野委員
 保護者に対する就労の支援ではなく、保護者に対する支援で、その中に就労支援があってもよいと思うが、保護者に対する相談の事業やカウンセリング的なものも含めて、支えていただくイメージがないと次の就労になかなか行かないと思うがどうか。

平井地域福祉推進室長
 生活困窮者自立相談支援事業の中で、包括的に相談を受け、具体的な支援に繋げていくなどしっかりと対応していきたいと考える。

(19)結核健康診断について

金子委員
 感染症について2点伺う。まず、結核健康診断についてだが、平成19年4月に結核予防法が感染症法に統合され、結核健康診断の対象施設が変更になったが、対象施設はどこか。

中村感染症対策主監
 対象施設は、感染症法に規定された刑事施設、救護施設、更正施設、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、障害者支援施設、婦人保護施設である。実績については、検診車「おぜ号」を使用し、県内対象施設の約70パーセントで結核健康診断を受託実施しており、平成26年度の実績は、173施設である。実施人数は8,283人である。平成25年度も同様の実績である。

金子委員
 結核健康診断実施後、高齢者施設で要精検者が出た場合、県としてどう対応しているのか。

中村感染症対策主監
 要精検者は、基本的に医療機関を受診してもらうが、受診困難者に対しては、施設の嘱託医等に施設内においてできる範囲で診察、検査など対応してもらい、その結果により専門医療機関を受診してもらうよう指導している。

金子委員
 以前は結核予防法の対象だった施設から結核健康診断の依頼があった場合、県としてどう対応するのか。

中村感染症対策主監
 県としては、希望のある施設については、現行法の対象施設でなくても、結核健康診断を受託していく考えである。

(20)新型インフルエンザ対策について

金子委員
 新型インフルエンザ対策について伺う。新型インフルエンザが発生した場合に医療関係者等に優先的にワクチンを接種する特定接種について、群馬県では医療関係者の登録状況はどうなっているか。

中村感染症対策主監
 現在、本県で登録されている医療分野に係る事業者は、病院、診療所、薬局、訪問看護事業所及び助産所であり、合計で1,160の事業所となっている。

金子委員
 医療関係者は優先順位でグループ1とされているが、グループ3である介護事業者やライフライン事業者等の登録状況はどうか。

中村感染症対策主監
 グループ3のいわゆる国民生活・経済安定分野については、国において登録を行うこととされており、来年度以降順次登録を行うとのことである。

金子委員
 抗インフルエンザウイルス薬の備蓄について、現在タミフルとリレンザを8対2の割合で備蓄していると思うが、国では他の薬剤の備蓄を検討しているとも聞いている。県としては今後どのような方針で追加備蓄を行っていくのか伺いたい。

中村感染症対策主監
 新たに追加される薬剤等については、先般実施された内閣官房新型インフルエンザ等対策有識者会議での議論を踏まえ、重症者用のラピアクタや小児用タミフルドライシロップなどの新たな薬剤を備蓄するなどの検討がされているところである。国から詳細な方針が示され次第、当該方針に従って、本県においても更新分についての追加備蓄を行っていくこととしている。

(21)医師確保対策について

荒木委員
 平成25年10月に地域医療支援センターが設置され、そこを活用しながら、医療従事する若手医師のキャリアの形成や医師確保対策の推進に取り組んでいると聞いているが、事業の重点内容と実績はどうか。

歌代医師確保対策室長
 地域医療支援センターは、医師のキャリア形成支援と一体的に医師不足病院の医師確保支援等を行う事業であり、医師の偏在解消を図ることを目的としている。本県では県が実施主体であり、一部を群大病院に委託して実施している。事業内容は、1 医師不足状況等の把握・分析、2 医師不足病院の支援、3 医師のキャリア形成支援、4 情報発信と相談への対応、5 地域医療関係者との協力関係の構築である。これまでの実績としては、「ぐんま地域医療リーダー養成キャリアパス」の作成や、指導医養成講習会の開催、医学生地域医療体験セミナー等の開催、群馬大学医学部地域医療枠学生の支援等を実施している。

荒木委員
 医師確保のため県が実施している修学資金制度があると思うが、その概要について聞きたい。

歌代医師確保対策室長
 県で実施している修学資金には、小児科や産婦人科等の特定診療科に従事しようとする研修医等を対象とする「医師確保修学研修資金」と、群馬大学医学部地域医療枠学生を対象とする「緊急医師確保修学資金」がある。

荒木委員
 貸与額はいくらか。

歌代医師確保対策室長
 貸与額はいずれも月額15万円であるが、緊急医師確保修学資金では入学年度には入学金相当が追加になる。今年度の予算額は医師確保修学研修資金が25人分4,500万円であり、緊急医師確保修学資金が104人分1億9,227万6千円である。

荒木委員
 県内の医療機関に医師として勤務したときに、返済が免除、猶予されるようなことはあるのか。

歌代医師確保対策室長
 医師確保修学研修資金は貸与期間の1.5倍の期間、緊急医師確保修学資金は6年間貸与の場合10年間県内の特定病院に勤務すれば、返還が免除される。

(22)拉致問題の解決に向けた取組について

荒木委員
 去る11月14日に渋川市で開催された拉致問題講演会において、来場者にアンケートを実施したようだが、集計結果の概要について伺いたい。

川原健康福祉課長
 まず、「講演会の満足度」については、約86パーセントの方が「満足」と回答している。次に、「講演会参加による拉致問題の関心等の深まり」については、約94パーセントの方が「深まった」と回答しており、「講演会参加後の行動」については、約90パーセントの方が「何らかの行動をしたい」と回答している。また、「講演会開催の必要性」については、約81パーセントの方が「積極的に行うべき」と回答している。

荒木委員
 拉致問題の解決のためには、民意の後押しが重要だと考えるが、今後の県の取組について伺いたい。

川原健康福祉課長
 県としては、拉致問題の解決のためには、県民世論の高まりが不可欠と考えており、「拉致問題講演会」については、この問題が解決するまで開催していく予定である。また、今後の取組としては、毎年12月10日から16日が、「北朝鮮人権侵害問題啓発週間」と定められており、この期間に合わせて、県庁1階県民ホールで拉致問題に関する資料や写真等を展示する「拉致問題パネル展」を開催する。今回は、特別展示として、「横田めぐみさんの思い出の品」である「バレエ衣装」「浴衣」「人形」を展示する予定であり、多くの県民の皆さんに来場いただき、拉致問題への関心と理解を深めてもらいたいと考えている。

(23)動物愛護推進員について

加賀谷委員
 動物愛護について伺う。まず、動物愛護推進員の役割や活動はどのようなものか。

下田衛生食品課長
 動物の愛護及び管理に関する法律では、知事は動物愛護推進員を委嘱できることになっており、本県では平成20年度に群馬県動物愛護推進協議会を設置し、同協議会からの推薦及び公募により、現在、18人が委嘱されている。役割は、各地域において、適正飼養の助言・相談や動物愛護の普及啓発等の活動をしていただいている。

加賀谷委員
 動物愛護推進員に対して、県は今までどのような取組をしてきたか。

下田衛生食品課長
 県では年1から2回の研修会を開催し、動物愛護行政の紹介や協力依頼を行うとともに、推進員の方々からの活動報告や関係団体から講師を招いての講演会などを開催し、連携を図っている。

加賀谷委員
 委嘱された推進員の話では、平成22年の委嘱式と研修会は開催されたが、それ以降、研修会の開催は無く、県との取組はあまりないとのことであった。また、動物愛護センターの開所式の案内はあったが、開所されてからは特に連絡はなかったとのことである。これでは個人で活動しているのと同じであるので、推進員同士の横のつながりをさらに広げたいと言っていたが、それについてどうか。

下田衛生食品課長
 平成22年度については、研修会を2回開催し、講師として優良家庭犬普及協会専務理事の佐良直美氏を招いた講演会を行った。ただ、横の連携を広げる機会を十分に提供できなかったことについては、真摯に受け止めたい。今後、動物愛護センターを中心に各種の普及啓発事業を行っていくので、その中で動物愛護推進員に協力等をお願いし、横の繋がりを広げていきたい。

(24)猫の殺処分について

加賀谷委員
 殺処分ゼロに向けた取組について伺う。動物愛護センターで引き取る猫はどういうケースが多いか。

下田衛生食品課長
 猫については犬のように係留義務が無く、所有権の問題もあり行政は捕獲できない。猫を引き取る場合は、動物の愛護及び管理に関する法律に基づいて、引き取ることになる。ただし、動物の終生飼養の努力義務に反する場合の引取は拒否できることとなっている。一方、近所からの苦情や、飼い主の病気や高齢と言った事情があり、生活環境の保全上支障を来す恐れがある場合は引き取らざるを得ないこととなっている。また、所有者不明の猫は引取のうち全体の6割以上にのぼり、問題となっている。これらの猫については、町内会等を通じて所有者がいない旨の確認を得たうえで引き取りを行っている。

加賀谷委員
 猫の譲渡率及び殺処分率の状況はどうか。

下田衛生食品課長
 犬については、譲渡率が顕著に上昇し、昨年度でおよそ30パーセントとなっているが、猫の譲渡率は、平成22年度は1.6パーセント、平成26年度は3.1パーセントと微増であり、全国的に低い数字で推移している。猫の殺処分は、平成22年度には1,579匹、平成26年度には1,098匹と減少しており、全国で多い方から30位前後となっている。猫は、繁殖力が強く、年に2から3回発情を迎え、1回に3から4匹を出産するので、避妊去勢や室内飼育を指導しているところである。

加賀谷委員
 殺処分ゼロに向けての取組を伺う。

下田衛生食品課長
 動物愛護センターでは殺処分を減らすための取組として、ボランティアと協働で啓発や、譲渡会を月2回開催している。今後も適正飼育の普及啓発により引取件数を減らし、譲渡を増やすことで殺処分率減少に努めたい。

加賀谷委員
 引き取られる猫の8割は生後まもない猫とのことだが、こうした状況に対しては避妊手術を施すことが殺処分ゼロに繋がると思うがどうか。

下田衛生食品課長
 繁殖制限は所有者の義務として法律に規定されている。また、県内では15の市町村で避妊手術に対する助成を行っている。県としては、適切な繁殖制限・避妊措置の必要性等について周知啓発に取り組んで参りたい。

加賀谷委員
 35市町村のうち15市町村が避妊手術の補助を出しているとのことで、県内でもばらつきがある状況である。高知県では、上限を決めて、補助金を出している。「殺処分ゼロ」を目指すのであれば、県として補助を行うべきではないか。

下田衛生食品課長
 県内各市町村それぞれの実情が違うので、補助については市町村にお願いし、県は普及啓発に努めたい。あわせて、引き取られる猫の数をできる限り減らすため、その大部分を占める所有者不明の猫への対策を検討し、「殺処分ゼロ」に繋げていきたい。

(25)学童保育の待機児童について

加賀谷委員
 学童保育の待機児童について伺う。新聞報道で、今年の県内の待機児童数は少なくとも58人いるとあったが、実態より少ないのではないかと感じるがどうか。

福田少子化対策・青少年課長
 県では、今年5月1日現在の学童保育の実施状況を調査し、市町村の回答により58人となっている。待機児童数の把握の方法については、各市町村の考え方や判断によるところである。

加賀谷委員
 私が住んでいる伊勢崎市で学童保育をしている方から話を聞いたところによると、市はどれくらいの子どもが学童保育に入所したくても入所できない状況にあるかまったくわかっておらず、通っている学校の学童がいっぱいで越境して他の学童に通っていると市に伝えても、そのような子がいるのかとびっくりされたとのことであった。また、カウントの方法だが、学童保育所が満所で断られただけだと、カウントされないそうで、登録すると待機児童としてカウントされるとのことであるが、そこをより詳しく調査すれば、58人ではなく、群馬県内でもっと待機児童はいると思う。少し詳しく調べて、実態を把握することが必要であると思うがどうか。

福田少子化対策・青少年課長
 適切な把握ができるよう、市町村と連携して取り組んでいきたい。

加賀谷委員
 学童に入れずに仕事を辞めた人や仕事を変えた人もおり、すべての人が安心して仕事をしながら子どもを預かってもらえるようにするためには、まずは、実態調査からだと思うので、よろしくお願いする。

(26)障害者スポーツの普及推進について

清水副委員長
 障害者スポーツの普及推進のためには、広く健常者の子どもや障害者に、障害者スポーツを知ってもらうことが重要であるが、県の取組はどうか。

岡部障害政策課長
 昨年度から、国際大会等で活躍しているトップアスリートが県内の特別支援学校を訪問し、児童生徒等がスポーツに興味を持つきっかけとなるような交流事業を実施している。昨年度は、特別支援学校への派遣のみであったが、本年度は、普通学校への派遣も実施予定である。

清水副委員長
 そのような取組により皆さんに理解していただくことは重要であると感じる。また、障害者スポーツが普及するため、障害者の方が自由にスポーツができるようなスポーツ施設の環境整備をしていただきたいと一般質問で話をしたが、実際は数もたくさんあり、すべてを整備することは大変である。そうであれば、一般スポーツのように、障害者がスポーツをする拠点を各地域に設置し、集中的に整備する必要があると考えるがどうか。

岡部障害政策課長
 現在、障害者スポーツの拠点施設として、県立ふれあいスポーツプラザ等がある。群馬県障害者スポーツ協会に設置した障害者スポーツコーディネーターの活用などにより、市町村施設における対応状況などの情報収集に取り組むとともに、施設職員を対象とした研修等にも取り組んで参りたい。

清水副委員長
 障害者の方にまずスポーツをしていただき、その中から競技を目指す人が出てきて、競技力の向上を図るというような環境を整備することに力を注いでいただきたい。


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