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環境農林常任委員会(農政部関係)(平成28年6月9日)

1.開催日時

平成28年6月9日(木曜日)9時58分開始 15時21分終了

2.開催場所

403委員会室

3.出席委員

委員長:金井康夫、副委員長:高橋正
委員:関根圀男、委員:黒沢孝行、委員:須藤昭男、委員:新井雅博、委員:星名建市、委員:伊藤祐司、委員:金子渡、委員:井田泰彦

4.欠席委員

なし

5.主な質疑

(1)農業者育成対策費について

井田(泰)委員
 平成27年度補正予算で農業者育成対策費が大きな減額となっている。「青年就農給付金」の関係だと思うが、説明してほしい。

今井技術支援課長
 「青年就農給付金」は、新たに就農した人の所得が250万円以上になると給付されなくなる。給付対象が減ったこと等による減額である。

(2)特産果樹の振興について

高橋副委員長
 特産果樹について、どんな品目が栽培されているのか。

吉野蚕糸園芸課長
 特産は、こんにゃく、果樹は、りんご、日本なし、うめ、ぶどう、ブルーベリー、さくらんぼが主として栽培されている。

高橋副委員長
 いちじくの栽培状況はどうか。

吉野蚕糸園芸課長
 最近では、横ばいから減少傾向となっている。

(3)「ぐんまのすき焼き」について

伊藤(祐)委員
 「ぐんまのすき焼き」の認知度を高めるため、自虐的でネットで話題になるような情報発信を行ってはどうか。

真下ぐんまブランド推進課長
 「ぐんまのすき焼き」の認知度を高めるためには、目立っていかに普及していくかが重要だと思う。自虐的なものとするか、正統派のものとするか、今後、関係者と中身を検討する中で、効果的な方法で作っていきたい。

井田(泰)委員
 「ぐんまのすき焼き」については、昨年の調査結果では県民に浸透していなかったようだ。現在どのように考えているか。

真下ぐんまブランド推進課長
 量販店や旅館などが自主的にフェアを開催する等、すき焼きをネタにした取組が徐々に出てきており、3年目ということもあり浸透してきていると感じている。

井田(泰)委員
 「ぐんまのすき焼き」のCMについて、内容はどうか。

真下ぐんまブランド推進課長
 県民への普及という位置づけでCMを作成するが、ターゲットや放映時間、内容について、今後研究し、関係者とも協議しながら良いものを作っていきたい。

井田(泰)委員
 県としては、こういうCMにしたいという意見、要望はあるのか。

真下ぐんまブランド推進課長
 限られた予算を効率良く活用する中で、記憶に残るものを作りたいとの思いが強い。色々な意見を聞き、良いものを作っていきたい。

井田(泰)委員
 CM制作予算の内訳はどうか。

真下ぐんまブランド推進課長
 製作費用と人件費、放映費の3つが大きく占めている。

(4)鳥獣被害対策について

関根委員
 鳥獣被害対策に係る現状と課題はどうか。

須川鳥獣被害担当参事
 平成26年度の農林業被害金額は8億3,800万円であり、近年のピークであった平成24年度の12億2,400万円に比べ3億8,600万円、32%の減であった。獣種別では、カモシカ、シカ、クマ、イノシシ、サルの順で被害額が大きい。平成24年度比では、カモシカ、シカ、クマは1億円以上、イノシシは4千万円、サルは1,400万円の減少であった。平成26年度の捕獲頭数は、シカ6,650頭、イノシシ8,042頭、主な野生獣類合計で1万6千頭ほどであった。平成24年度比では、シカ2,393頭、イノシシ1,000頭の増となった。一方、これまで被害のなかった地域での被害が発生しており、今後も捕獲強化や人材育成に取り組んでいきたい。

関根委員
 生息数は増えているのか。また、獣種別に把握できているのか。

須川鳥獣被害担当参事
 平成25年度現在で、環境省の調査があり、シカ、イノシシ等を中心に生息数を把握した。平成27年度に群馬県独自で推定したところ、生息数は増加していた。シカ、イノシシのみならず、クマも増加傾向にあると思う。

関根委員
 今年度、新たな捕獲目標頭数を定めるということだが、シカやイノシシの捕獲目標を何頭にするのか。

須川鳥獣被害担当参事
 シカは平成27、28年度の捕獲目標5,500頭を平成29、30年度は1万頭に、イノシシは同じく7,500頭を1万3千頭にすることを考えている。

関根委員
 捕獲を強化するための体制整備についてどう考えるか。

須川鳥獣被害対策担当参事
 捕獲目標数を上方に修正したが、体制がしっかりしていないと実現できないので、体制強化を考えていきたい。現状の有害鳥獣捕獲は、猟友会の会員中心となっているが、それに加え、民間の各事業者を育成、確保し、新たな担い手の育成に取り組んでいきたい。

関根委員
 技術開発や地域の核となる人材確保が必要だと思うが、どのように考えるか。

須川鳥獣被害対策担当参事
 技術開発は、大型囲いわなやカワウのシャープシューティングというような新たな技術の実証をしている。また、日本獣医生命科学大学と共同研究に取り組んでいく。また、地域の人材については、今まで県や市町村職員
の被害対策指導者育成ということで、人材育成をしてきたが、民間でも関心の高い企業があり、民間さらに関東森林管理局等と一緒に指導者育成に取り組んでいこうと考えている。

関根委員
 平成25年度に鳥獣害対策特別委員会で提言をしたが、その中のクレー射撃場の充実は、どのような状況にあるか

須川鳥獣被害対策担当参事
 クレー射撃場の充実については、環境森林部自然環境課が、現在、地域への説明等、準備をしていると聞いている。情報を共有し、被害対策に結びつけられるよう進めていきたい。

関根委員
 狩猟期間の延長はどの程度を考えているか。

須川鳥獣被害対策担当参事
 現在は11月15日から2月15日までとなっているが、2月末日まで延長したいと思う。

黒沢委員
 太田市金山のイノシシ対策について、どのように取り組んでいくのか。

須川鳥獣被害対策担当参事
 金山におけるイノシシ対策は、里山地域における野生動物対策の1つのモデルとして位置づけている。農業や林業等、様々な被害があるため、多様な人々で構成し、色々な意見を聞きながら、取り組みたいと考えている。昨年2月に、県、市、警察等の職員で構成する「金山イノシシ被害対策支援チーム」を設置し、具体的に取組を始めたところである。今後も住民と行政が協力し、地域ぐるみで被害対策を進めたい。

須藤(昭)委員
 農業や水産の鳥獣被害額の算出根拠はどうか。

今井技術支援課長
 農業被害は、市町村で各年度、獣種別、品目別の被害額を調査している。被害額の算出方法であるが、例えば、畑で作物の3割が食べられたとき、一般的にその面積全体から収穫できる作物の販売金額に3割を乗じた額が被害額となる。品目ごとに足し上げられ、最終的な金額が各市町村から報告され、それらを足し上げている。

吉野蚕糸園芸課長
 水産関係、特にカワウの被害の関係であるが、水産庁でカワウによる漁業被害の金額の算定方法を出しており、それに基づいて計算している。具体的な計算方法だが、カワウの飛来数かける日数、それに1日当たりの捕食量をかけ、さらに魚種別の比率と魚の単価をかけて被害額を算定している。27年度の被害額は、1億8,800万となっている。被害額の最近の推移としては、増加傾向にある。

須藤(昭)委員
 捕獲した野生鳥獣を地域資源と捉え、地域を活性化させる取組が求められていると思うが、どうか。

須川鳥獣被害対策担当参事
 捕獲した野生鳥獣を地域資源として有効利用し、地域振興を図るとともに、健全な形で次世代につなげていくことが必要である。食肉の利用のほか、部位の利用もあると思う。県庁の部局を越えた研究会等を設置して検討するとともに、地域住民や地域機関とも話をしながら、利活用に向けた方向性を見出していきたい。

須藤(昭)委員
 イノシシの放射線量がかなり下がっているとの数字もある。イノシシの出荷制限解除に向けたロードマップを作る方針はあるか。個体調節をするためには、出荷制限等を解除することが重要であると思う。県が主体的になって取り組むべきだと思うが、どうか。

須川鳥獣被害対策担当参事
 一部解除として、加工所に入荷するものについては、全頭検査して放射物質の基準を超えないものは流通して良いとの国の指導があり、研究会の中で、それも含めて検討していきたい。県としてできることを探しながら、できることがあれば、その第一歩を進められればと思っている。

須藤(昭)委員
 カワウのシャープシューティングについて、これまでの実績等はどうか。
曲沢鳥獣被害対策支援センター所長
 みどり市高津戸、高崎市南陽台で年度内に各6回する予定であり、これまで各3回実施した。これまでの結果だが、高津戸ダムでは捕獲目標390羽に対し316羽を捕獲、南陽台では捕獲目標340羽に対し153羽を捕獲、合計で捕獲目標730羽に対し469羽を捕獲した。今後は捕獲効率、生息数の変化等を考慮しながら3年間実施する考えでいる。

須藤(昭)委員
 まだ途中であるが、現時点で明らかになったことがあれば教えてほしい。

曲沢鳥獣被害対策支援センター所長
 3回実施した中で、1回目は254羽、2回目は147羽、3回目は68羽と捕獲数が減ってきている。これは想定範囲内である。巣に戻ると撃たれることをカワウが学習していること、ヒナの数が減少していること、カラスが親のいない巣を狙うことなどがある。カワウの行動、生態を考慮しながら捕獲し、4回目終了後、年度末の捕獲実施について検討していきたい。

須藤(昭)委員
 シャープシューティングによってカワウが拡散し、他の場所にコロニーをいくつも作ってしまうことが心配されるが、どうか。

曲沢鳥獣被害対策支援センター所長
 今までの駆除では、散弾銃等の大きな音がカワウに対する威嚇になる部分があったが、シャープシューティングは、空気銃で音量が小さいため、拡散の状況は、今までに比べ少ないと考えている。4回目が終わった後、生息状況等の調査を実施するので、拡散具合やコロニーの状況等の結果を見ながら、5回目、6回目をどのように実施していくか検討したい。

須藤(昭)委員
 南陽台と高津戸では、高津戸の方が太ったカワウが多いと聞いたが、本当なのか。

曲沢鳥獣被害対策支援センター所長
 撃ったカワウは、10体の体重を量っているが、高津戸と南陽台では、1割程度高津戸の方が重い傾向がある。見た目も高津戸の方が重い個体が多い傾向にあった。

須藤(昭)委員
 カワウを地域資源として役立てる方策はないのか。鵜飼いで使うのはウミウであるが、カワウも鵜飼いに使えないのか。

須川鳥獣被害対策担当参事
 調べたところ、内陸では鵜飼いにカワウを使っていたこともあるようだ。ただし、ウミウの方が大型で獲る魚の量が多く、カワウは神経質で使いにくいため、現在はウミウを使っていると聞いている。カワウの有効活用について、イノシシやシカ等も含めて、地域資源として色々な面から検討していきたい。

(5)農地中間管理機構について

黒沢委員
 農地中間管理機構について、群馬県では農地の集積が思うように進んでいないが、農地集積における当初の目標と実績を伺いたい。

小林農業構造政策課長
 27年度の農地中間管理機構の転貸実績は、373ヘクタールとなっている。年間の集積目標は、27年度で2,620ヘクタールである。26年度実績は80ヘクタールであり、面積は5倍弱の伸びとなっている。国が発表した寄与度、目標に対する集積面積の割合で比較すると、全国で41番目と低位になっている。

黒沢委員
 実績が伸びなかった原因はどこにあると分析しているのか。

小林農業構造政策課長
 全体の実績が伸びなかった要因は、貸付を希望する農地が大幅に不足している状況がある。中山間地域等では、担い手不足から借り手の見通しがたたないという状況もあり、貸し借りのミスマッチが生じていることが大きいと考えている。平成27年度は、市町村が大雪の復旧に対する事務を優先させた状況があり、現場の取組が遅れたこともあると思う。また、群馬県は、集積が難しい畑の割合が62.3%と、他県に比べ高い状況であり、そういったことも要因の1つであると考えている。

黒沢委員
 農地中間管理機構ができる時には、「人・農地プラン」と連携するため、農地中間管理機構は機能すると説明をしていたが、どうか。

小林農業構造政策課長
 考え方としては、地域でその地域の農業について話し合い、農地の担い手と出し手を位置づけ、農地集積がスムーズに進むよう「人・農地プラン」を作る予定になっている。県内の状況としては、ほとんどの市町村で「人・農地プラン」は作られており、担い手の位置づけ、中心的な形態の位置づけはあるが、農地の出し手を位置づけている「人・農地プラン」は少ない。そういったことから、農地集積の実績が伸び悩んでいる状況と思う。

黒沢委員
 現場では、誰に貸すのか分からない不安がある。また、10年は長すぎるということもあると思う。貸し手が出てこない問題点をどう分析しているのか。

小林農業構造政策課長
 10年は長いということは現場の意見としてあり、今では、5年という取組もある。地主が農地中間管理機構の取組を見極めようとしている状況もあると思う。着実に事業を推進し、成果を出すことが1番のPRになると思っている。

(6)農協改革について

黒沢委員
 農協改革の中で、員外利用に一定の制限をするとの動きがあると聞いている。員外利用の制限により、農協の地域貢献の部分が台無しになることを危惧している。農協の地域貢献は大事であり、このことに対して、声を上げてもらいたいと思うが、どうか。

篠原農業検査指導室長
 農協は協同組合なので、組合員の利用が第一である。農協法においては、組合員以外が利用する率が決められている。農協改革では員外利用の他、准組合員についても利用規制を国が検討しているところである。現状では、農村地域におけるJAのインフラに対する役割は非常に大きいと考えている。県としては、農協が自己改革として進めている農業所得の増大や農業生産の拡大、地域の活性化などの取組を農協と連携して進めていきたい。また、国に対しては、機会を通じて農協の役割を発信し、自己改革の状況等もつないでいきたいと考えている。

(7)水産振興について

新井委員
 群馬県の水産振興に対する考え方はどうか。

吉野蚕糸園芸課長
 群馬県の内水面漁業は、河川、湖沼の漁業と養殖の漁業の2つに大別できる。最近は、カワウと外来魚による食害、世界気温の変化により、アユ等の漁獲量は減少傾向にあり、漁協は厳しい運営状況にある。県としては、カワウや外来魚の駆除、魚病検査体制の充実、魚道整備等を行い、魅力的な漁場の再生を図りたいと考えている。また、ギンヒカリやハコスチなど付加価値の高い魚の推進をしたい。ハコスチやギンヒカリは県外からも誘客ができる可能性があり、関係者と連携し、水産の振興を図っていきたいと考えている。

新井委員
 神流川流域では、河川を活かして、地域を再生させる取り組みがあるが、河川が一体化するためには、魚道整備が必要である。また、魚の研究開発は、観光や地域振興に結び付けるという大きな枠組みで取り組んでもらいたいが、どうか。

宮崎農政部長
 神流川における取組は望ましいと思うので、支援について検討していきたい。魚道は、関係者と協議しながら対応していきたい。水産試験場については、職員は頑張って取り組んでいる。ハコスチは観光の目玉になり得る魚だと思っており、それらを地域振興に結びつけていくのが水産試験場であるという考え方を持って、できる限り計画的に施設整備を考えていきたい。

金子委員
 ハコスチを釣りに活用するとのことだが、放流など、今後どのような取組をしていくのか。

重田水産試験場長
 遊漁系のニジマス「ハコスチ」は、ハコシマ系のメスとスチールヘッド系のオスを交配して開発し、今年の1月「ハコスチ」の名称で商業登録した。釣り人からは、引きの強さに関して優良との評価をもらっている。今年度は、20万粒を採卵し、養魚場で飼育してもらって、希望する漁協組合、あるいは管理釣り場に出荷して供給するよう調整中である。新たな系統のため、今後も研究を進め、安定的に効率的な生産ができるよう技術開発に取り組んでいきたい。

金子委員
 最近、釣り人の間で大型ヤマメのサクラマスに人気が集まっている。今後どのような取組をしていくのか。

重田水産試験場長
 大型ヤマメのサクラマスは、利根マスとか戻りヤマメと呼ばれ、釣り人に人気がある。利根川で捕獲した大型ヤマメを調べたところ、降海型のサクラマスということが確認できた。今後は遡上条件、遡上の時期や場所、産卵場所等の生態を解明し、漁協や関係団体と協力して増殖研究に取り組み、アユやハコスチとともに、河川の周年利用、漁業振興につなげていきたい。

(8)農畜産物の海外販路拡大について

須藤(昭)委員
 「群馬県農業農村振興計画」の重点プロジェクトで、「輸出重点国・地域・品目を明確にした海外販路拡大」と掲げられている。新たな青果物の輸出の品目数、平成31年には6品目ということになっているが、この6品目とは何か。

真下ぐんまブランド推進課長
 海外に向けた6品目として、キャベツ、ホウレンソウ、レタス、ヤマトイモ、イチゴの「やよいひめ」、ネギを選定した。

須藤(昭)委員
 どうしてこの6品目にしぼったのか。

真下ぐんまブランド推進課長
 青果物で輸出の中心になるのは加工品であるが、近隣の東アジアをターゲットにして、台湾等でアンケートをすると、ホウレンソウやキャベツは日本産の野菜で買いたいものとして、上位にある。

須藤(昭)委員
 市場調査をして、選んだのか。

真下ぐんまブランド推進課長
 そのとおりであり、有効なものを位置づけている。

須藤(昭)委員
 6品目は変わる可能性があるのか。

真下ぐんまブランド推進課長
 そのとおりであり、これからも随時対応していく。シンガポール等をターゲットにすると、富裕層が多いところであり、飛行機で持っていっても鮮度を失わないので、自信を持って味と品質を保てる。こういった食べ物を中心に考えてはいるが、これだけに限ったことではない。

須藤(昭)委員
 輸出実績はなく、試験的な販売なのか。

真下ぐんまブランド推進課長
 一昨年、昨年とシンガポールに向けてテスト販売をした中で、徐々に輸出入に結びつくような状況にある。特にやよいひめは、昨年度3トンほど輸出をした。レタス、ホウレンソウは、徐々に増えている。これからも売り込み、群馬県の良さや技術等を提供する中で、輸出に取り組んでいきたい。

須藤(昭)委員
 太田市にOICT(太田国際貨物ターミナル)あるが、OICTの税関を経由して出している実績はあるか。

真下ぐんまブランド推進課長
 今のところOICTでの実績はない。工業製品の部品等の輸出が中心になっているが、徐々に農産物の輸出にも取り組もうとしていることは承知している。

須藤(昭)委員
 産経土木常任委員会でOICTを調査した。工業製品が中心だが、農産物を群馬から直接OICT経由で海外にもっていきたいとの話をしていた。放射能の関係等もあるが、農産物を海外に積極的に売り込むような取組を始めてほしいと思うが、どうか。

真下ぐんまブランド推進課長
 OICTとは連携、情報共有し、今後に向け、前向きに検討していきたい。

須藤(昭)委員
 農業県を目指す群馬県として、実績を作り、OICT内に検疫所をつくるくらいの取組を、スピード感をもってやってもらいたいが、どうか。

宮崎農政部長
 OICTと意見交換をしたいと思う。色々な積極的な意見を聞いているので、今後とも協調してやっていきたいと考えている。

(9)養豚振興について

星名委員
 養豚振興について、県の養豚振興予算が減少し続けているが、どうしてか。養豚振興について、県はどう考えているのか。

小茂田畜産課長
 本県は、ブタのウイルス性伝染病である「オーエスキー病」が清浄化されていない。養豚振興の大きな障害となっているので、まずは対策に取り組んでいきたい。養豚振興予算が減少しているが、特に種豚改良を目的とした海外からの優良種豚の導入について、改良先進国の遺伝子保護の考えから輸入後の広域利用に制限がかかり、事業成果を十分に出せなくなってしまったことが原因である。生産コストの低減を図る上で、遺伝的な能力を改善させることが第一であり、今後積極的に取り組んでいく。県としては、中小規模の養豚農家も安心して経営を続けていけるような養豚政策にしっかり取り組んでいきたい。

星名委員
 養豚振興予算について、遺伝的能力評価は変わっていない金額で推移し、優良純粋種豚の導入などが極端に減っているが、どうしてか。

小茂田畜産課長
 遺伝的能力評価は、畜産試験場で能力検定を行うもので、予算額は変わっていない。優良種豚の整備については、畜産試験場にブタの導入に係る経費であり、予算額は変わっていない。養豚農家が直に導入する純粋種豚については、海外からの導入がなくなり国内から導入だけになり、ブタの価格差が大きいため、予算額が大きく減少した。

星名委員
 農業算出額に占める養豚の割合は18%であるが、県の農業算出額のうち、畜産の算出額はどのくらいになるのか。

小茂田畜産課長
 畜産算出額は1,040億円で、県の農業算出額の約44.5%を占めている。

(10)集落営農の組織化について

伊藤(祐)委員
 集落営農組織の現状はどうか。

田島担い手対策主監
 平成19年の「品目横断的経営対策」により、当時、集落営農組織が111組織できた。その後、法人化などが対策加入の要件とされたことや経営の安定化を図るため、県では、集落営農組織の法人化を進めてきたが、28年3月末で、111組織のうち9割の102組織が法人化された。合併等もあり、現在は79法人となっている。残った組織も、今年度以降、法人化や合併など方向性は決まっている。

伊藤(祐)委員
 集落営農組織の発展に向けた取組はどうか。

田島担い手対策主監
 当時は麦だけだったが、経営の安定化も含め、県として「ぐんま型集落営農」という形で、麦だけでなく、米、飼料用米、収益性の高い野菜の導入を推進することにより、全体的に経営が安定化できるよう努めている。104組織で米が導入され、そのうち75組織で飼料用米、22組織で野菜や加工部門を導入しており、着実に経営の体質強化が進められている。

伊藤(祐)委員
 今後、集落営農組織を、どこで、どののくらい増やしていくのか、目標はあるか。

田島担い手対策主監
 今までは平場の水田農業を中心に進めてきたが、担い手の減少が進む地域、特に中山間地域の農業を守る上で、集落営農組織が良いと思うので、今後は中山間地域に焦点を合せて進めていきたい。

伊藤(祐)委員
 中山間地域で集落営農組織を作るのは、平場と比べ、ハードルが高いと思うが、どうか。

田島担い手対策主監
 中山間地域は、傾斜地等が多く、基盤整備が進んでないので、面的集積は不利だと思われる。ただし、その地域しかできないものがあり、米についても良食味のものがとれる。地域特有の作物を中心にすえながら、集落営農の組織化を進めていきたい。

(11)企業参入について

伊藤(祐)委員
 農外企業の参入の現状はどうか。どういう職種が参入しているのか。

田島担い手対策主監
 本県の企業参入については、28年4月末現在、全体で51社であり、一般法人31社、農地まで所有できる農地所有適格法人20社で農業経営が行われている。参入企業の本業は、食品産業が23社、建設業が12社、製造業8社、その他となっている。商品産業では原料調達が多く、建設業では事業拡大、雇用対策等を含め、参入しているケースが多い。栽培している品目は、34社で比較的取り組みやすい野菜が多くなっている。

伊藤(祐)委員
 参入した農外企業が、作物を作るにあたってのノウハウはどのように得ているのか。

田島担い手対策主監
 それぞれの企業で、コンサルタント等を入れたりとか、地元の農家からのアドバイスを受けたりとか、県の技術講習等に参加したりとか、色々な方法で技術を習得している。

伊藤(祐)委員
 農外企業が撤退するリスクについて、どのように考えているのか。また、対策はどうか。

田島担い手対策主監
 撤退のリスクについて、リース方式で農地を借りている場合は、法律的に地権者に返される。所有した場合は、耕作放棄地という懸念はあるが、法律上、最終的に土地は国のものになる。その前に農業委員会に報告する等、いくつかの過程を踏まなければならないので、すぐに荒廃してしまうことにはならないと考えている。農地中間管理事業等を活用しながら、新たな耕作者へ農地をあっせんしていきたいと考えている。

(12)TPPについて

伊藤(祐)委員
 TPPについて、県が本県農業への影響額を試算したが、平成25年3月の試算では影響額635億円となっていた。今回平成28年2月の試算では影響額24.8億円から47.4億円となっているが、この違いはどうしてか。

高橋農政課長
 ともに国の試算方法に準じて行っているが、平成25年3月の試算は、TPP交渉参加の11ヵ国を対象に、関税を直ちに撤廃して、生産量の減少や価格低下等に対する追加的な対策をとらなかった場合の数字である。今回の試算は、経営安定対策等の国内対策により、国内生産量が維持されることを前提に試算したので、その差が数字に表れていると理解している。

伊藤(祐)委員
 米については、影響額はないとなっている。輸入する米は市場から隔離すると言うが、本当に影響しないと思うか。

高橋農政課長
 国は、輸入増分は備蓄米として、今の備蓄制度の中で処理し、価格には影響はないと試算している。

伊藤(祐)委員
 一昨年の米価暴落に、備蓄米の状況やミニマムアクセス米の影響はなかったのか。

高橋農政課長
 一昨年は、豊作であったこと、国の生産数量目標を超えて作ってしまったこと、米の消費が減ったこと等、様々な要因が重なって、米価が下落したと考えている。

伊藤(祐)委員
 豚肉については、50円に関税が下がるが、県の試算では影響額が9億円~18億となっている。この試算の中に、関税なしの調整品が入っているのか。

小茂田畜産課長
 関税が50円になる部分については、豚肉の並から等外といった部分になると思うが、現在国内で流通しているのは18%ですみ分けができていると思う。ハム、ベーコン、ソーセージなどの豚肉の調整品については、別の関税になる。それらは国産農産品との代替性は低いと考えている。

伊藤(祐)委員
 群馬県の農産物に対するTPPの影響を、県独自で試算してほしいがどうか。

高橋農政課長
 試算は、一定の条件を仮定して行うが、前提条件によって影響額はかなり変わってくる。TPPの参加国の農業生産や輸出環境の変化、国内産地の動向等といった変動要因があり、現段階で実質的な本県の農業への影響を試算することは難しいと考えている。

伊藤(祐)委員
 「群馬県農業農村振興計画」重点プロジェクトの内容をみると、「TPP農業対策プロジェクト」だけが抽象的である。県の姿勢として、県独自に試算すべきと思うがどうか。

宮崎農政部長
 試算は前提条件により変わってくるが、本県の影響額47.4億円は、国の対策が効果を発揮した場合であり、効果がなければ、もっと大きな影響が出ることになる。47.4億円は決して少ない数字ではなく、農政部として対策に力を入れていきたいと考えている。重点プロジェクトについては、今後、国の対策が出されることになっており、そのような状況の変化を踏まえて、必要な対策を担っていくためのプロジェクトであると考えている。TPPの影響については、重く受け止めて、今後とも対応していきたい。

(13)旧境町トレーニングセンターについて

金子委員
 旧境町トレーニングセンターについて、現状はどうか。

高橋農政課長
 高崎競馬の廃止後、トレーニングセンター内で生活していた競馬関係者の生活再建支援の関係もあり、県が施設等の管理を行っていた。平成17年2月に一部の調教師が発起人となり、当該施設を利用する「競走馬育成事
業計画書」が県と県議会に提出され、県では関係者と協議し、事業計画を承認した。その後、法人化された境共同トレーニングセンター株式会社と毎年賃貸契約を締結し、土地・施設の一部を貸し付けている状況である。

金子委員
 土地については、民有地もあったと思うが、全体面積と、その中で民有地が占める割合はどうなっているのか。

高橋農政課長
 敷地全体が約28.6ヘクタールで、このうち民有地が約17.4ヘクタールで約61%を占めている。

金子委員
 民有地は、県が借りて、境共同トレーニングセンターに貸していることになるが、借上料と貸付料はどうなっているのか。

高橋農政課長
 平成28年度は、民有地の借上料が年間5,571万5千円、事業者への貸付は年間4,685万2千円となっている。

金子委員
 今後の利活用について、どのように考えているのか。

高橋農政課長
 厩舎等の施設が老朽化している。また、競走馬の育成事業がいつまで継続できるか不透明である。県としては、今後の利活用については、地元伊勢崎市や地権者等の意向を踏まえ検討していきたい。

(14)エコファーマー制度について

井田(泰)委員
 エコファーマー制度について、今までの推移と現状について伺いたい。

田村生産環境室長
 エコファーマーについて、本県では平成12年度から制度を開始しており、順調に認定者数を伸ばしてきたが、平成18年、19年の2千人をピークに減少傾向となっている。平成27年度末での認定者数は1,034人となっている。

井田(泰)委員
 平成18年頃のピークに比べれば半分くらいになってしまったが、その原因はどこにあると考えるか。

田村生産環境室長
 全国的に同じような傾向にあるが、5年間の計画期間が終了した後、高齢等により、再認定申請をしない人が増えてきていることが主な原因ではないかと考えている。

井田(泰)委員
 生産者のメリットはどうか。

田村生産環境室長
 無利子の農業改良資金を活用できること。エコファーマーマークを活用して消費者へのアピールが可能なこと、産地全体で取り組む場合は、産地のイメージアップを図れることがある。

井田(泰)委員
 消費者のためにも推進してほしいが、どうか。

田村生産環境室長
 エコファーマー制度は、環境にやさしい農業に取り組み始めるための意識づけに役立つ認定制度であり、これをきっかけとして、土壌診断に基づく適正施肥やIPM技術などの取組が着実に広がっている。昨年度から、エコファーマーを県のホームページ等で紹介する取組を始めており、引き続きエコファーマー制度について普及啓発に努めていきたい。

(15)市民農園について

井田(泰)委員
 県内の市民農園の状況はどうか。

小林農業構造政策課長
 27年3月現在、県内で112箇所開設されている。内訳としては、「特定農地貸付法」によるのが75か所、「市民農園法」によるのが13箇所、農園の利用方式によるのが24か所となっている。実施主体であるが、市町村によるのが48か所、農協が18か所、個人が33か所、その他が13か所となっている。その他はNPO法人等である。

井田(泰)委員
 市民農園の推進について、県の考えはどうか。

小林農業構造政策課長
 市民農園は、農地の有効活用や県民が農業に親しむための入口の1つとして重要と考えている。27年3月の状況で、設置区画が3,700あり、契約区画数は3千区画となっている。県全体では一定程度の需要を満たしている状況にあるが、地域ごとの充足状況にばらつきがあると思うので、市町村等と連携し、必要に応じて関係機関の取組を支援していきたい。

井田(泰)委員
 県のホームページは、事業者に向けた情報提供になっている。見直してほしいが、どうか。

小林農業構造政策課長
 県のホームページでは、開設側に向けた情報を掲載している。利用者側に向けた情報については、国が市民農園の情報を公開しており、群馬県の情報も掲載されているので、県のホームページからそこにアクセスして、情報を取れるようにしたいと思う。

(16)農業技術センターについて

井田(泰)委員
 農業技術センターについて、開発体制はどうか。また、予算は他の都道府県と比べ、どのようになっているのか。

柏農業技術センター所長
 農農業技術センターは、3部13係、5地域研究センター体制により、「ぐんま農業研究基本計画」に基づき、生産現場が直面する課題に迅速な解決等、現地に直結した技術や将来の農業に革新的な技術に取り組んでいる。平成28年度は、品種育成など81の課題に取り組むとともに、農業農村振興計画の重点プロジェクトと連動したキュウリ、イチゴの収量50%アップの研究に取り組んでいる。さらに東洋大学との包括連携協定を締結する等、産学官の連携に積極的に取り組んでいる。他県の研究予算との比較であるが、研究員の規模が同程度の栃木県農業試験場に比べると予算は少なくなっているが、重点プロジェクトに関連する研究を進め、一般財源や外部資金を確保し、研究予算の増大を図っている。

(17)農業用減免軽油について

高橋副委員長
 農業用減免軽油の手続簡素化や推進の状況はどうか。また、農業委員会の耕作証明について、要件等を緩和することはできないか。

田村生産環境室長
 申請手続きについては、税務当局と協議し簡素化等についても引き続き検討していきたい。また、更なる農家への周知も必要と考えており、手続きの方法や免税の試算例を記載したチラシを作成し配布するとともに、様々な機会をとらえて周知を図っているところである。さらに、昨年度は常設窓口の5カ所に加え、臨時窓口を23カ所開設し、きめ細かく対応してきたところであり、これらの取り組みにより、使用者数は、前年度より54件増の879件となったところである。

小林農業構造政策課長
 農業委員会は、農地法や農業経営基盤強化促進法などの法律に基づいて、賃貸借、使用貸借等の手続きをしたものに耕作証明を出すことになっている。農業委員会としては、そのような手続を経ていないものについては、耕作証明を出せないことになっていると思う。

高橋副委員長
 農業委員会を通すと、農地が戻ってこないという不安があるようだが、どうか。

小林農業構造政策課長
 農地法に基づく権利設定は、借り手を手厚く保護する内容になっているが、規模拡大や農地流動化を推進するため、農業経営基盤強化促進法に基づく貸借では、期限がくれば自動的に地主に土地が戻ることになっている。ただし、長く農地法の時代が続いたので、そのようなことが頭にあるのではないかと思う。

(18)ソバの共済加入について

高橋副委員長
 県ではソバを共済の対象にするのか伺いたい。

澁谷農政副部長
 農業共済は、各県でどの品目を共済対象にするかは、共済の判断によるため、ソバを対象にするかどうかは、共済に確認しないと分からない。保険として成り立つことが前提になると思うので、共済が判断して取り組むことになっている。

高橋副委員長
 大きくソバを作っている場合、共済に入ることになると、掛け金だけで大変である。しかし、そういう人が共済に入らないと共済が成り立っていかないと思う。共済に入って安心して作れるような体制にしてもらいたいが、どうか。

澁谷農政副部長
 ソバはかなり自然災害の多い作物になると思うので、農家は共済があれば安心だと思うが、共済としてその辺をどうするか検討しないとならないと思うので、今後担当課と共済で情報交換をして、情報提供したい。


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