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地球温暖化・電力システム改革に関する特別委員会平成28年10月6日(木曜日)

1.開催日時

平成28年10月6日(木曜日)10時開始 13時48分終了

2.開催場所

401委員会室

3.出席委員

委員長:新井雅博、副委員長:萩原渉
委員:腰塚誠、委員:久保田順一郎、委員:角倉邦良、委員:水野俊雄、委員:後藤克己、委員:酒井宏明、委員:原和隆、委員:金子渡、委員:金井秀樹、委員:川野辺達也

4.欠席委員

なし

5.主な質疑

(1)CO2の削減に向けての取組について

久保田委員
 過日も川場村の木質バイオマス発電を視察した。今後、どのような取組を行いながらCO2の削減にどう寄与するのか。

林業振興課長
 昨年度、川場村では第三セクターの(株)ウッドビレジ川場が製材施設を導入した。その施設の製材端材をチップ化して燃料にし、再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)を利用した発電施設を導入するものであり、発電所の規模は45キロワットである。本議会の補正予算では、チップを乾燥する施設の導入について審議をお願いしている。

久保田委員
 CO2の削減に向けての県内に占める割合について、木質バイオマスに関して検討はしているか。

中田環境エネルギー課長
 木質バイオマス発電でチップを燃やしても、木は成長過程でCO2を吸収しているため、CO2の排出量はゼロになり、その分CO2を削減することになると考えられる。

久保田委員
 群馬県はエネルギーの消費県である。そういう点ではどのくらいの寄与率を考えたらいいのか。水力発電等もあるが、エネルギーミックス的な考えの中ではどうか。

中田環境エネルギー課長
 調べて後日報告したい。

(2)電力買取制度について

久保田委員
 電力買取制度について従前から政府支援が継続しているが、一般県民にとって、どのような設備をしたら何年後に資金が回収できるか、典型的な例を示すことは可能か。

中田環境エネルギー課長
 住宅用太陽光発電は、場所や陽当たりなどの条件で異なるが、一般的な事例を示すことは可能であるので、検討したい。

久保田委員
 各省庁も、住宅系、産業系への予算には力を入れている。新たな住宅への補助を考えてもいいとは思うが、群馬県での住宅に対する補助体系があれば教えてほしい。

中田環境エネルギー課長
 住宅政策であり、現時点では行っていないが、国の支援制度を紹介していきたい。

(3)水力発電の売電について

角倉委員
 平成29・30年度の水力発電の売電交渉の進捗状況はどうなっているのか。

松田企業局技監(発電課長)
 現在は交渉に向けて、各発電所毎の発電原価の算定など資料の取りまとめ等を行っており、本格的な交渉は11月頃から行う予定としている。電力の市場価格の動向等も注視しながら、可能な限り多くの売電収入が得られるように交渉していきたい。

角倉委員
 一般的に、7億キロワットで約65億円というのは、安すぎるという客観的な評価があると思うが、それについての認識はどうか。

松田企業局技監(発電課長)
 企業局は昭和33年から事業を開始しており古い発電所も多く、発電所設備の減価償却が進み原価が低減していることや、渇水などの場合においても安定した売電収入の確保ができるように、基本料金と従量料金からなる二部料金制としていることなどから売電単価は7~8円となっているものである。その中でも従来から売電収入を増やす努力を行ってきたところである。

角倉委員
 長期契約は平成35年までとなっており、安定的に購入してもらえるので、東京電力と契約することになると思われるが、契約を解消した場合は違約金はどれくらい発生するのか。

松田企業局技監(発電課長)
 現時点における企業局の試算では、今年度末に契約を解消した場合、約150億円である。

角倉委員
 毎年65億円という料金収入は、ほぼ変わらないで推移しているということでよいか。

松田企業局技監(発電課長)
 大きな変動はなく、安定した売電収入を得ている。

角倉委員
 違約金が発生して、かつ安定的に電力が売れて、かつ平成35年までの契約が続くことを前提にして、交渉を進めていくと思うが、極端なことを言えば、東電以外で安定的に購入してもらえる、かつ150億円の違約金を超える利益が生める可能性があれば選択肢として有力になると思うがどうか。

松田企業局技監(発電課長)
 約150億円の補償金は、あくまでも現時点での企業局における試算であり、今後の電力市場価格の変動によっても変わってくる。また、小売電気事業者が増えている中で、倒産等の事例もあることから、小売電気事業者の経営状況も勘案し、市場価格の動向も見据えながら東電との基本契約の扱いを検討していく必要があると考えている。

角倉委員
 東電だけは絶対大丈夫という考え方はないと思うが、どうか。

松田企業局技監(発電課長)
 電力の小売は全面自由化されており、売電先として東電を特別扱いすることはない。

角倉委員
 平成29・30年度の契約締結はいつ頃を予定しているのか。

松田企業局技監(発電課長)
 今後交渉を進め最終的には、3月頃に締結したいと考えている。

(4)畜産バイオマスについて

後藤委員
 群馬県バイオマス活用推進計画が見直しされるということで、畜産資源についてはどのような見直しを考えているのか。

中田環境エネルギー課長
 本県は畜産県であり、畜産資源の活用は重要である。現時点ではほとんど堆肥として利用され、エネルギー利用は難しい状況である。ただ、堆肥を消費しきれない課題などもあるため、エネルギー利用を含めて、畜産資源の有効活用を進めていきたい。また、下水汚泥についても利用率を高めていきたい。

後藤委員
 畜産については、現計画だと燃料利用で10%となっていて、低温ガス化の技術に期待をしていたが、今足踏みしているという中で、見直しがせまられるのかと思うが、見通しはどうか。

中田環境エネルギー課長
 低温ガス化だけでなく、メタン発酵などの技術もあり、畜産資源のエネルギー利用の可能性はあると考えているので、導入が実現するよう環境整備をしていきたい。

(5)パリ協定への対応について

水野委員
 パリ協定に基づく国の温室効果ガス削減の目標値は2030年度に2013年度比で26%削減となっている。一方、県の目標が2007年比で14%削減となっているが、パリ協定に合わせるとどのようになるのか。

中田環境エネルギー課長
 平成22年度に策定した「群馬県地球温暖化対策実行計画」においては、2030年度の削減目標を2007年度比で3割程度としている。これを国の目標と同じ基準年の2013年度に置き換えると、約25%削減となることから、方向性に大きな差はない。

水野委員
 平成27年に改訂したばかりだと言うが、このあたりの数値について試算なり変更なりが求められると考えるがどうか。

中田環境エネルギー課長
 県計画の削減目標は、2020年度に14%の削減としているが、森林吸収分を除いた温室効果ガス排出量の削減目標は8%である。平成25年度の排出量は既に7%削減となっており達成に近づいている。見直しについては、今後の計画の進捗状況等を見極めながら検討をしていきたい。

(6)バイオマス発電について

水野委員
 白書の中でバイオマス発電は、平成31年度までに設備容量を43,144キロワットという目標を立てている。9月の補正予算案で川場と前橋において補助金を出すという予算が計上されている。こういった設備が整備されていくと目標値にどれくらい近づくのか。

山崎林業振興課長
 木質バイオマス発電の導入は、前橋バイオマスで6,700キロワット、上野村で180キロワット、川場村で45キロワットの合計6,925キロワットが計画されている。

水野委員
 現状の計画を踏まえても、目標まで発電設備容量が約3,000キロワット足りないが、どのうようにして目標達成をするのか。

山崎林業振興課長
 現状、13,600キロワットを吾妻バイオマスで発電しているが、これは建設廃材をほぼ利用している。また、県産材加工協同組合で265キロワットの発電を製材需要に含まれる端材を利用して行っている。川場も同様である。製材需要に使われる木材について発電も一緒に行っていることもある。製材端材の利用も含め、未利用材だけでなく、建設廃材の利用もあると聞いているので、3,000キロワットくらいは民間事業により目標を達成すると考えている。

水野委員
 バイオマスでも山の現場を熟知した林業振興課なり民間と協働しながら発表するのも一つのやり方と思うがどうか。

山崎林業振興課長
 木質バイオマス発電は、最近注目が高まっており、当課にも頻繁に問い合わせがある。県の支援は無くても、民間ベースで取り組みが進んでいくと考えている。

水野委員
 具体的に民間の事業者がどんなところにつまづくのか、ケースを積み上げて、一つでも事業が進むように応援していただきたいがどうか。

中田環境エネルギー課長
 再生可能エネルギー全般については当課が窓口となっている。事業者の話を聞いた上で、担当部署につなげるとともに、連携を図っていきたい。

(7)太陽光発電パネルについて

水野委員
 昨年、太陽光発電パネルについて、外部不経済のようなものが起きているのではないかという指摘をした。その後、県の取組があれば示していただきたい。

中田環境エネルギー課長
 問題となっている事例があることは承知している。今回のFIT法改正により、保守管理に係る規制が強化されるため、一定の安全確保につながると考えている。

水野委員
 災害のみならず、急傾斜地の開発や、別荘地域の景観の問題、農地に雨水が流入して表土が流れるといった話も聞いている。自然エネルギーを促進することも大事なことだが、一方で外部不経済、周辺に悪影響を及ぼす可能性が指摘されていると思う。実態を県として把握すべきだと思うがいかがか。

中田環境エネルギー課長
 再生可能エネルギー設備が災害などの原因となってはならないので、市町村への調査により状況を把握したい。

(8)環境GS認定制度について

水野委員
 温暖化防止活動に関して、環境GS認定事業者が著しく増加しているようだが、どのように普及に取り組んでいるのか。

中田環境エネルギー課長
 今年度になって、群馬銀行や高崎信用金庫といった金融機関など、10社程度の本社を直接訪問し、制度の概要やメリットなどの説明を行った。その結果、9月末現在の新規認定事業者は280社となっている。

水野委員
 認定を取得した事業者からは、感想やその後の次の取組などについて紹介できるものはあるか。

中田環境エネルギー課長
 環境GS認定制度は、取組の自由度が高く、様々なサポートが受けられるところに特徴がある。省エネ・節電などの環境配慮活動を始めるよいきっかけとなったという意見は聞いている。

水野委員
 県民運動というものは難しいと感じているが、事業者向けの取組として頑張っていると思う。一方で、家庭向け、個人向けの取組が難しい。温暖化防止活動推進員が200人くらいで活動しているようだが、こういった方々に具体的なツールやアプローチするきっかけを提供した方がいいと思うがどうか。

中田環境エネルギー課長
 群馬県地球温暖化防止活動推進センターを中心に推進員をサポートしている。様々なパンフレットなど普及ツールも用意しており、スキルアップのための研修会も開催している。

水野委員
 推進員が減る一方だと困るので、人員の拡充にも取り組むべきだと思うがどうか。

中田環境エネルギー課長
 制度が始まってから10年以上が経つことから、当初からいる推進員の高齢化が進んできており、ベテランの推進員がいなくなっていく状況にある。新しい人材を補っていく必要があると考えており、対応していきたい。

(9)再生エネルギーの地産地消について

原委員
 再生エネルギーの地産地消について、いろいろな自治体、市町村などで取組が行われているが、群馬県はどのように考えているのか。

中田環境エネルギー課長
 地域にあるエネルギー資源を地域で活用していくことにより、地域に資金が循環するような仕組みを作っていくことが大切である。中之条町では、全国で初めて自治体主導による新電力を立ち上げ、公共施設に電力を供給しており、今年から一般家庭への供給にも取り組んでいる。このような事例なども紹介し、地産地消の取組を進めていきたい。

原委員
 群馬県では中之条町が全国に先駆けてやったわけだが、せっかく中之条が先進地域となったわけだから、群馬県はそれを積極的に進めていく必要があると思うがどうか。

中田環境エネルギー課長
 県としてどのような対応ができるかは、十分に検討していきたい。

原委員
 神奈川県では、地元で電力の小売業を立ち上げる人への支援として、再生エネルギーを使った売電に関して補助金を出していたり、また、山梨県では公共施設が使ってる電力を企業局から県が買い取って使っているという取組を行っている。このような事例を研究してはどうか。中田環境エネルギー課長
 これらは特徴ある事例として承知しているので、何をすべきか検討していきたい。

原委員
 電力を効率的に使っていく、システムを効率化していくスマートグリッドを、特に東日本大震災の被災地自治体では取組が進んでいて、隣の栃木県でもスマートグリッド通信インターフェイスの導入をやっていると聞いている。全国で様々な取組があるが、県の取組についてはどうか。

中田環境エネルギー課長
 スマートグリッドについては、国でバーチャルパワープラントの実証試験などに取り組んでいると承知している。県でも研究しているが、どういう形で支援できるかは考えていきたい。

(10)パリ協定への取組について

酒井委員
 パリ協定を日本もいよいよ批准するという報道があったが、パリ協定の批准の意義どう認識しているのか。

中田環境エネルギー課長
 京都議定書の後、国際的な合意がされなかった中で、196か国が協力して地球温暖化対策に取り組むことに合意したことに大きな意義がある。各国の状況によって基準年や目標値が異なるが、まずは各国が協調して地球温暖化対策に取り組むことが大切である。国の目標値は、県の次期温暖化対策計画目標値の指針として考えていきたい。

酒井委員
 世界の水準からみて、日本は本気でやる気があるのかと批判が高まっていることは押さえておく必要があると思う。国際的な責任を果たす議論が必要だと思うがどうか。

井田環境森林部長
 日本では、オイルショック以降、省エネに本気で取り組んできており、相当程度省エネが進んでいる。そういった中で26%を削減するのは、相当な覚悟を持って取り組まないといけない。また、本県の特長を活かしたバイオマス、太陽光、小水力を活かしていくことが必要であり、2030年を見据えて導入を進めていきたい。

(11)「クールシェア2015」について

酒井委員
 低エネルギー社会を実現する重要な柱となるのがエネルギー効率の引き上げ、つまり省エネの徹底だと思うが、県の取組ついて、「クールシェア2015」の効果はどうだったか。

中田環境エネルギー課長
 一定程度のCO2削減がはかられたと考えている。また、「クールシェア」という考えを知っていただくいいきっかけになったと考える。

酒井委員
 この夏の実施ということで、具体的な成果についてはまだ出ていないのか。

中田環境エネルギー課長
 登録施設は132箇所となっている。

酒井委員
 132施設が登録したということだが、果たしてそれで進んでいくのか少し疑問がある。個々の施設の取組に依存すると思うが、県として今後この教訓をどう生かしていくのか。

中田環境エネルギー課長
 クールシェアについては、その考え方を普及させることが目的である。家庭の取組に少しでも役立つと考えているので、引き続き取り組んでまいりたい。

(12)エネルギー利用の効率化への取組について

酒井委員
 消費電力のおよそ4分の3が業務や産業で占められているということだが、産業界でのエネルギー利用の効率化をはかることで、化石燃料の需要を減らすことができると思うが、そういったところへの普及啓発はどのように考えているか。

中田環境エネルギー課長
 県独自の環境マネジメントシステムである「環境GS認定制度」を運営している。環境GS事業者への支援として「省エネ診断」も実施しており、環境GSに数多くの事業者に参加してもらうことによって、事業者の省エネが進むと考えている。

酒井委員
 環境GS認定事業者の取組がなかなか見えない。コジェネレーションやヒートポンプなどの最新機器の更新について積極的に取り組んで行く必要があると考えるがどうか。

中田環境エネルギー課長
 省エネ診断を行う「省エネ診断員」の他にも、事業者の様々な相談に応じる「環境GS推進員」がおり、最新の省エネ機器の情報も含めアドバイスを行っている。

(13)一般住宅への省エネルギー化の推進について

酒井委員
 県営住宅や一般の住宅への省エネルギー化の推進というところで、リフォームした際に補助を出すなどして、断熱効果を高めるなどで冷暖房のエネルギーの削減につながると思うが、一般住宅への県の取組ついてはいかがか。

中田環境エネルギー課長
 住宅の省エネは家庭の省エネの一環で、断熱効果を高めれば省エネにつながると普及啓発に努めているが、リフォームの補助という形では行っていない。

酒井委員
 取り組んでいる市町村もあると思う。県営住宅でも率先してやっていただきたいと思うがどうか。

石山建築課長
 住宅政策課の所管ではあるが、把握している範囲で答弁したい。県営住宅では、現在、新築は無く、改修工事を中心としている。改修時においては、コンクリートを残して解体を行い、断熱材の吹付、窓ガラスの2重化、高効率の省エネ設備等を設置して、省エネ効果の向上を図っている。一般住宅については、県内35市町村中、21市町村がリフォームに関する支援を行っている。県では、資金助成だけが支援とは考えておらず、群馬県住宅供給公社内に「ぐんま住まいの相談センター」を設置して、適切な断熱材料や施工業者の選定等に係る相談への対応を行っている。

(14)電力構成の表示について

酒井委員
 電力自由化の問題で、消費者が望んでいるのは、業者が供給する電力が何から生み出されたものかについての電力構成の表示である。政府は義務づけをしていないが、電力構成を表示している事業者がどれくらいいるか調べているか。

中田環境エネルギー課長
 質問の趣旨は消費者保護の観点かと思われるので、当部では所管していない事項である。電力自由化の状況については承知しているが、個々の事業者の電力サービスの内容については把握はしていない。

(15)小水力発電の有望地点調査について

金子委員
 渋川地区の送電部分の強化については来年の春に終了するわけだが、変電能力に余裕がなく、新たな接続制限となる可能性が高い。小水力は中山間地で比較的有望地点が多いと思うが、その中山間地でも接続制限がかかってしまうと難しい。有望地点調査の中でどの程度考慮しながら進めているのか。

中田環境エネルギー課長
 変電所の能力不足の状況については承知している。発電事業にとって接続問題は重要であるので、有望地点調査については、接続可能性の状況も含めて検討していきたい。

(16)再生可能エネルギーの依存バランスについて

金子委員
 再生可能エネルギーはどれくらいのバランスがいいのか。再生可能エネルギー推進計画では太陽光発電が平成42年には平成26年と比べて3.5倍になるとしているが、そこまで増やす必要があるのか。バランスを考えて、国の政策自体にも水源県・林業県ぐんまとして言っていくべきだと思うがどうか。

中田環境エネルギー課長
 太陽光発電だけではなく、24時間稼働できる小水力発電なども積極的に進めているところである。ただ、本県は日照時間が長いため、この地域特性を十分に活かしていく必要もある。そのほか、太陽光発電は電力需要のピークカットという働きもあり、これらのメリットも踏まえ、バランスを取りながら普及を図っていきたい。

(17)前橋の木質バイオマス発電について

酒井委員
 前橋の木質バイオマス発電について、チップの脱水液を地下浸透させるのはやめてほしいという地元住民の要望を受け、河川に放流するという説明が事業者からあったということだが、放射性物質に汚染された廃液を流していいのか県としてどのように考えているのか。

山崎林業振興課長
 公共用水域では、法令上の環境基準に基づいて処理することになる。

(18)「群馬県地球温暖化対策実行計画」の目標値について

萩原副委員長
 パリ協定については、日本としても批准手続きを進めているが、11月4日に発効となる見込みである。これにより、「群馬県地球温暖化対策実行計画」の目標値が変わると思うが、どのようなスケジュールか。

中田環境エネルギー課長
 群馬県地球温暖化対策実行計画は、2011年度から2020年度までの計画である。一方、パリ協定で約束した国の計画期間は、2021年度から2030年度までとなっている。県としては、まずは2020年度の目標達成に向けて努力していくことが重要と考える。2021年度以降の新計画については、国の取組状況等を踏まえて検討していきたい。

萩原副委員長
 目標数値が大きく変わることは考えられるか。

中田環境エネルギー課長
 森林吸収分を除いた、温室効果ガス排出量の削減目標は8%となっているが、計画の進捗を見て必要に応じて検討していきたい。

萩原副委員長
 「平成28年版環境白書」では、群馬県の再生可能エネルギー導入目標値は平成42年度で62億kWh/年となっているが、最大限導入した場合の自給率はどの程度か。

中田環境エネルギー課長
 あくまでも推計値であるが、群馬県の再生可能エネルギーの導入ポテンシャルは、113億kWh/年と推計されており、75%程度の自給率になると考えられる。

(19)送電網接続制限が解消について

萩原副委員長
 2016年に電力自由化が行われ、2020年に発送電分離が行われるが、送電網への接続が厳しいとなると大変な問題である。いつ頃、送電網接続制限が解消されていくのか。この目途が立たないと、民間も計画を進められないと思うがどうか。具体的に解消される時期を教えてほしい。

中田環境エネルギー課長
 群馬県の北部エリアは平成29年5月には工事が完了する。また、西部エリアは入札手続き中であり、工事が始まれば2~3年で完了する。その他の地域については今のところ解消の見込みはない。

萩原副委員長
 見込みがないのは大変困る。送電網への接続の調整はどこが責任を持ってやるのか。群馬県としてどのようにこの問題を解消していく考えか。

中田環境エネルギー課長
 平成27年4月に発足した「電力広域的運営推進機関」が一義的に責任を持っている。

萩原副委員長
 それは公の法人なのか。

中田環境エネルギー課長
 電気事業法に基づき設立された特殊法人であり、電力の融通も含めて役目を負っている。東電も電力広域的運営推進機関の指示で動かざるを得ないと聞いている。群馬県としても国に対し、国の責任において接続制限を計画的に解消して欲しい旨申し入れをしている。

萩原副委員長
 FITについても国のやり方はよくないと思う。県として国に何らかの方法で要望しないと、つなげないのではどうしようもない。対応策についてはどうか。

井田環境森林部長
 接続制限が再生可能エネルギーの支障となっていることは十分認識しており、今後、県として国に対して送電網の充実について申し入れていきたいと考えている。加えて、エネルギーの地産地消を積極的に推進できるような制度の整備をお願いしていきたい。

萩原副委員長
 今議会中に出していただきたい。この特別委員会でもこのことを国に要請することが大事だと思っている。是非強く要望したいので、時期についてもう一度うかがいたい。

井田環境森林部長
 時期について明言できないが、今、旧制度と大きく違う方向に舵が切られている。先を見通した上で、国に対する働きかけをやっていきたい。

(20)企業局の取組について

萩原副委員長
 企業局は東電と平成35年度までの長期の基本契約を締結しているが、電力の小売り自由化や平成32年の発送電分離などが進んでいるなかで、企業局自身で小売や電力の地産地消も進めるくらいの気概がないと、この厳しい状況を乗り切っていけないと思うがどうか。

松田企業局技監(発電課長)
 東電との契約については解約に伴う補償金の扱いなども含めて検討しているところである。また、地産地消についても、その方法等について研究・検討しているところであり、公営電気事業者として最適な売電方法を検討し、県民に利益の還元を図りたいと考えている。

萩原副委員長
 東日本大震災のときに、停電していたため、企業局も発電できなかったと聞いているが、災害時に電気の供給ができるような方法について検討を行ったのか。

松田企業局技監(発電課長)
 計画停電時等の対応として企業局の発電所に自家発電装置を設置して発電所を運転する検討を行ったが、発電機が運転できても送り先の変電所が停電していると電気が送れない状況となることなどから、自家発電装置は設置していなかった。震災後の電力自由化に伴い、国は電力広域的運営推進機関を立ち上げ、全国で電力の融通が出来る体制となったため、災害時における安定供給は向上したと考えている。

萩原副委員長
 自家発電装置は設置していないということか。

松田企業局技監(発電課長)
 設置していない。

萩原副委員長
 いろいろな災害に対応していかなくてはならない。電気事業が発電、送配電、小売に分離したが、企業局がそれぞれの事業に積極的に取り組む発想はないのか。

松田企業局技監(発電課長)
 災害に対しては、災害に強いインフラづくりについて検討していきたい。企業局は「発電事業者」として事業を継続してくことが基本であると考えている。送電については、企業局は送電線を持っていないことから難しく、小売については、地産地消の研究の中で検討しているところである。

(21)再生可能エネルギーについて

萩原副委員長
 群馬県の風力について測定していると思うが状況はどうか。

中田環境エネルギー課長
 年々場所を変えて調査をしているが、残念ながら風力発電を実施できるレベルになっていない状況である。

萩原副委員長
 何メートルくらいになっているのか。

中田環境エネルギー課長
 1~2メートル/秒と聞いている。

萩原副委員長
 温泉熱を利用したバイナリー発電について、70℃以上の廃湯などがあれば、発電ができるということで、群馬は可能性があると思うがどうか。

中田環境エネルギー課長
 経済産業省の補助を受けて、民間事業者が実証事業を行っており、県としてもその協議会に参加している。引き続き推進に向けて取り組んでいきたい。

萩原副委員長
 木質バイオマス発電について、群馬県でも森林伐採や植林を含めて計画的に取り組んでいると思うが、発電のためには相当な木の原料が必要になってくる。群馬の森林バランスを見ながら計画的に進めることができるのか。

井田環境森林部長
 県土の3分の2が森林であり、人工林の多くが収穫の時期に来ている。本県の森林は、蓄積が9千万立方メートル、年間成長量が120万立方メートルである。年間90万立方メートル使っても100年以上利用可能である。しかし、蓄積はあっても、それを使える状態にしないと資源とはならない。森林を資源とするには林業の再生が必要である。丸太を製材にするだけではなく、エネルギーとして活用して行くためにも、木材の安定供給と林業の成長産業化が必要であると考えている。

(22)住宅政策について

萩原副委員長
 今度は出口対策が林業振興に必要になってくる。集成材を作っても需要が無いとできない。住宅供給公社は、現在、住宅の供給は行わず、公営住宅の管理しか行っていないとのことだがどうか。

石山建築課長
 住宅政策課の所管ではあるが、把握している範囲で答弁したい。住宅の分譲については、ほぼ終了している。現在の主な業務は、県内の公営住宅の7~8割についての管理業務である。

萩原副委員長
 住宅政策という中で、群馬の木で作る家づくり事業を振興していこうということは検討しているのか。

石山建築課長
 「ぐんまの家」という住宅の表彰制度を実施している。その中で、県産材を利用した住宅にはポイントを上乗せしている。県産材の利活用については、今後も林業振興課と協働し、推進して行きたい。

萩原副委員長
 住宅政策が必要になってくるので、森林部門だけでなく、住宅でもやっていかないと、群馬の木を普及させることにつながっていかない。需要戦略も合わせて、どういう組織をつくれば群馬の木を、県内で需要喚起していくことができるのか。

井田環境森林部長
 県産材利用の推進を図るため、現在でも林業振興課と住宅政策課が連携して取り組んでいる。新たな取組を行う場合、携わる人の意識が重要である。そのため、目指す方向をしっかりと決め、関係部署が同じ意識を持ち、目標に向けて対応をしていきたい。


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