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厚生文化常任委員会(こども未来部・健康福祉部・病院局関係)平成29年1月26日(木曜日)

1.開催日時

平成29年1月26日(木曜日)10時00分開始 11時30分終了

2.開催場所

402委員会室

3.出席委員

委員長:原和隆、副委員長:川野辺達也
委員:橋爪洋介、委員:須藤和臣、委員:中島篤、委員:井下泰伸、委員:酒井宏明、委員:小川晶、委員:本間惠治、委員:穂積昌信

4.欠席委員

なし

5.参考人

群馬県自閉症協会長:高森勉
群馬県自閉症協会事務局長:甘田恵子
群馬大学大学院講師:岡田恭典

6.質疑(テーマ:「自閉スペクトラム症」への理解促進)

橋爪委員
 発達障害のカテゴリーに入る方は、発生率が18%から20%であると説明いただいたが、2012年の文科省の「発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査」では、6.5%という調査結果であった。この差はどのように考えたらよいか。

岡田参考人
 正しい診断が日本の中ではまだ根付いていない。したがってデータがない。外に出て、困ったと感じる子と困っているけど周囲が気付かない子がおり、困ったと感じる子については、6.5%というデータが出てくるが、周囲が気付かない子はデータが出づらい。説明中の発生率は海外のデータである。日本もほぼ同様ではないかと言われている。

須藤(和)委員
 専門家の育成に関して、ストラクチャードティーチング実践者育成の研修はどこで受けることができるのか。

岡田参考人
 アメリカノースカロライナで開発されたものである。初期研修については、毎年1回、佐賀県にノースカロライナから講師に来てもらい、5日間にわたり実施する。

須藤(和)委員
 アドバンス研修はどうか。

岡田参考人
 アドバンス研修は、ステップアップの研修である。3本のDVDの作成と試験を受けて、スカイプを使って、口頭での面接を受けるという審査があり、それで初めてストラクチャードティーチングの実践家となる。館林市の例では、1名が取得済で、2名が取得を目指している。

須藤(和)委員
 1名がアドバンスまで終わっていて、2名がアドバンスを目指しているということか。

岡田参考人
 1名が審査まで通っていて、1名がアドバンスまで終わり、審査に向けて研鑽を積んでいる。初期研修を去年受けて、今年アドバンスを受ける方が1名いる。

須藤(和)委員
 アメリカとのスカイプでのやり取りがあるとのことだが、そこは英語なのか。

岡田参考人
 自閉症のことも分かっている英語の堪能な通訳がついている。したがって、審査料に通訳料も加わる。毎年、東京と大阪でスカイプにより審査を行っている。

須藤(和)委員
 多額の費用が掛かるわけであるが、これは館林市の事業なのか、それとも補助金という形か。

岡田参考人
 館林市発達障害者支援指導者育成事業という形で助成金をいただいている。

須藤(和)委員
 全額か。

岡田参考人
 全額である。ただし、貸与制度もある。

須藤(和)委員
 ストラクチャードティーチングは自閉スペクトラム症の実践者育成だと思うが、ADHDやLDについてはどのように対応しているか。

岡田参考人
 LDについては、専門職の知識・スキル向上の講習が教員に対して実施されている。LDは世界的な流れだと診断がついてから支援というよりも、その前にタッチするのがよいだろうと言われている。困ってからではなく、個々に応じた教育という観点で支援するという流れになっている。医療の現状だとLDの正確な診断はなかなかできない状況である。ADHDは、様々な投薬が開発されているが、薬だけでは解決できない部分もあり、その部分で課題はある。

須藤(和)委員
 参考人から見て、教育現場での対応は課題も多いのではとは思うが、どのように評価をしているか。

岡田参考人
 医療もそうだが、発達障害の教育をされてこなかったと教員の皆さんが言っている。診断の仕方も知らないし、その子に合った療育があることも知らないし、やはり知識不足が圧倒的にある。子どもたちのためにという気持ちはあるが、知識とどうすればよいかということが、まだまだ足りない。したがって、そこの教育研修は欠かせないと思う。

酒井委員
 早期発見や早期診断が非常に重要である中で、最初の踏み出しに親は困っていると思うが、その点、何か意見があれば伺いたい。

高森参考人
 一番最初の壁が、受容という点であり、親としては、まさかうちの子がというところをずっと引きずったまま、受け入れられずに来てしまうということがあり、早期発見・早期療育につながらない1つの問題だと思う。県内の各地域でも発達障害という言葉が広まってきたものの、実際にどういうことなのかを具体的に理解していただくような啓蒙活動をしていただきたいと思う。我々も毎年企画事業を実施しつつ、各地域で講演会等を実施しているが、県民がそのことを知ろうとする風潮になってきているとは感じる。まずは、草の根的だが、知っていただく取組にも力を注いでいただきたい。

酒井委員
 県には発達障害者支援センターがあるが、相談の予約は数ヶ月待ちの状況とのことで、すぐに相談に応じられるよう体制の強化が必要だと思う。発達障害者支援センター以外に相談窓口等があれば教えていただきたいがどうか。

岡田参考人
 最初のアクセスはご指摘の通り非常に重要だと思うが、相談だけでは解決せず、困らない地域をどのように作るかという部分も合わせてやっていただく必要があると思う。

甘田参考人
 診断だけでは足りず、診断と療育がセットとなることが必要である。母親が受容しにくいという話しも聞くが、知的に遅れのない子どもを持っている親にとっては当然だと思う。だからこそ、早く発見し、母親の気持ちが変わってくるのを待つことも必要だと思う。やはり療育の場が一番必要である。

酒井委員
 発達障害者支援センターの体制強化は是非行っていただきたいが、その点どうか。

岡部障害政策課長
 平成28年度に発達障害者支援センターの職員体制を充実させ、できるだけ早期に相談を受けられるよう体制整備に努めている。一方で、身近な市町村でも相談ができる体制を築いていくことも必要であることから、市町村職員、保健師、保育所・幼稚園職員に対する研修を行い、身近な地域で早い段階から相談できる体制づくりを進めている。

井下委員
 アメリカが先んじて、システムやカリキュラムを作っているとのことだが、今現在のアメリカの状況がどうか。

岡田参考人
 エビデンスのある療育が非常に重要であるということで、欧米では、エビデンスのある教育・療育をやっているところにお金を出すという形をとっているようだ。科学的根拠のある療育を取り入れて、その子に応じた支援を行うというのが主流だと思う。

井下委員
 地域や社会が知識を共有することが大切であるとのことだが、アメリカなどではどのような過程を経て、現在の状況になっているのか。

岡田参考人
 アメリカでも課題はあると思うが、専門家の育成については先んじていると思う。

小川委員
 専門家の育成について、館林市には3名の方がいるとのことであるが、館林市の規模で考えると、3名の育成ができれば、今後、支援ができるということでよいか。

岡田参考人
 正直3名では足りない。

小川委員
 館林市の事業を見ると、早期発見から診断告知まで、幅広い保健師の関わり方が非常に重要だと感じたがどうか。

岡田参考人
 保健師は本当に重要で、早期発見だけではなく、母親との関係づくりや二次診断においても非常に重要である。

小川委員
 館林市で事業を実施する上で、保健師を今までよりも増やすなどの対応はあったのか。

岡田参考人
 支援者会議で関係課から増やしてほしいとの意見があるようだが、どのように対応されたかは分からない。ただ、頑張りきれないので人を増やしてほしいとの声は現場からは出ている。

穂積委員
 2次障害について詳しく教えてほしい。

岡田参考人
 2次障害は体に症状として様々に出てくる。学校に行けないから始まり、慢性の頭痛がとれない、体が動かない、慢性の腹痛が治まらない、いきなり倒れるなど、様々な症状が出てくる。現在は、基礎に脳の働きに違いがあり、不適切な関わりが、体に症状として出てくるということがようやく気付かれ始めたという状況である。

穂積委員
 今まで発達障害と分からずに、生活していて、体の不調を訴えて、分かるということがあるということか。

岡田参考人
 それが後を絶たなかったので、現在、早期発見・早期療育の必要が叫ばれている状況である。

穂積委員
 職場等において、本人が発達障害と公になることについてどう考えるか。

甘田参考人
 発達障害ということはさておき、私はこのようにしてもらったら分かる、仕事がやりやすいということがあると思うので、そこの部分を周りの方に伝える方が話が早いと思う。

穂積委員
 本人が自分のできないことを職場の方に伝えるということか。

岡田参考人
 こうすればできるというのがあるので、そちらの方が重要だと思う。労働の部分も重要で、群馬県でも障害者の雇用を頑張っている企業がある。そこの工場長や社長と話をすると、発達障害の知識はないが、その方々が働きやすい環境を整えることはできると仰る。どうして分かりやすい環境ができるのかと聞くと、メキシコ工場の工場長をやっていたことがあったとのことであった。言葉が通じない中、分かりやすい環境を作ることで仕事がしやすくなるのは、どこの企業でも同じだと思う。ここができないではなくこうすればできるということが重要で、それがストラクチャードティーチングの手法であったりする。

甘田参考人
 視覚的に情報を与えるというところが重要である。

岡田参考人
 そこは肝である。言語での指示がイメージできないだけで、こうすればよいというマニュアルなり手順書があれば、働きがまったく変わってくる。そのような先進的な企業が増えてくることが重要かと思う。

穂積委員
 科学的根拠に基づいた教育は、期間はあるのか。成人になってからもそのような教育を受ける必要があるのか。

岡田参考人
 成人になっていると、仕事が課題になってくると思うので、さきほどの話のような環境の調整が必要になってくると思う。ただ、私たちは自己認知支援と言っているが、自分のことを知るという支援は非常に重要である。ずっと人との違いや、どうして同じようにできないのかと言われ続け、思い悩んでいた人が、違っていていいと言われることは非常に重要だと言っている。子どもと大人の課題は少し違うかもしれない。


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