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厚生文化常任委員会(こども未来部・健康福祉部・病院局関係:平成29年度)平成29年3月14日(火曜日)

1.開催日時

平成29年3月14日(火曜日)9時58分開始 15時38分終了

2.開催場所

402委員会室

3.出席委員

委員長:原和隆、副委員長:川野辺達也
委員:橋爪洋介、委員:須藤和臣、委員:中島篤、委員:井下泰伸、委員:酒井宏明、委員:小川晶、委員:本間惠治、委員:穂積昌信

4.欠席委員

なし

5.主な質疑

(1)第1号議案「平成29年度群馬県一般会計予算」について

小川委員
 子どもの居場所づくり応援事業について、民間団体が実施している県内の子ども食堂や無料学習塾の現状はどうか。また、新年度の予算には、既に立ち上げている団体に対する支援も含まれているのか。

福田子育て・青少年課長
 県内の子ども食堂の状況であるが、現在、高崎市、館林市、安中市の3市3か所で民間団体が実施しており、自治体では太田市と大泉町が試行で実施している。無料学習塾は、9つの民間団体が6市1町で計14教室実施しており、このほか、生活困窮者自立支援事業として、県が町村部の7会場で、ほかに6市でも実施していると聞いている。29年度予算で子どもの居場所づくり応援事業として事業の立ち上げに係る補助を考えているが、既に事業を実施しているところについては、規模を拡大したり、事業内容を追加したりする場合に補助したいと考えている。

小川委員
 既に取り組んでいる団体から、取組を知ってもらい広めていくことが課題であると聞いているが、県として、何か支援できないか。

福田子育て・青少年課長
 色々なツールを使って事業の広報を手伝っていきたいと考えている。

小川委員
 次に、子どもの生活実態調査について、今年度の調査結果に基づいて、子どもの貧困対策に取り組んで行くとのことであったが、平成29年度予算の事業は、子どもの生活実態調査を踏まえてのものか。また、調査の実施状況や傾向はどうか。

福田子育て・青少年課長
 アンケートは12月~1月に886人の支援機関等職員とNPO法人・社会福祉法人550か所に対して行い、ヒアリングは、2月に支援機関等職員9か所10人、NPO法人・社会福祉法人等8か所に対して行った。経済的な面だけでなく、親子の関わりなどにも着目したため、青少年基本調査など家庭側へのアンケートだけでなく、客観的に親子関係を捉えられる支援機関へのヒアリングも交えて行った。概要であるが、貧困の連鎖につながる学力の遅れや生活力の不足等は、経済的貧困だけでなく、親子の関わりのあり方から生じていることがうかがわれる。NPO法人などへのアンケート結果からは、支援活動への意欲が結構あることが分かり、無料学習塾など学習支援を実施したいとする団体は34団体、子ども食堂は23団体あった。ヒアリングからは、子どもには信頼できる大人の存在が重要であり、子どもが安心できる居場所が必要という意見もいただいた。こうしたことから、親子の関わりの少なさを補完するため、来年度、子どもの居場所の充実に取り組みたいと考えている。

小川委員
 現在、結果を取りまとめているとのことだが、結果の報告は来年度になるか。

福田子育て・青少年課長
 今年度末までに結果を取りまとめ、来年度に入ってから公表する。

小川委員
 児童養護施設等退所者への貸付金について、新年度も予算化されているが、現在までの利用状況はどうか。

野村児童福祉課長
 本年1月から開始したところであり、実績はとりまとめていない。

小川委員
 次に、市民後見推進事業について、今後、市民後見人のニーズが高まっていくのではと思うが、市民後見人の養成状況や成年後見制度全体の利用状況はどうか。

尾池認知症対策主監
 市民後見人の養成数は、高崎市、玉村町及び館林市で合計98人となっている。また、成年後見制度利用状況について、前橋家庭裁判所によると、平成23年から27年度までの5年間で、後見が開始となった件数は2,146件であり、1年間で420件前後となっている。そのうち市民後見人による後見は、過去5年間で13件である。

小川委員
 市町村によっては、市民後見人の養成を実施していないところもあるが、何か課題があるのか。

尾池認知症対策主監
 市町村では、市民後見推進事業を行う人員や予算等の確保まで手が回らないのが現状であり、また、市民後見を推進する上では、市民後見をバックアップする専門職による支援体制が必要で、市町村ではなかなか整備ができていない。県社協や市町村社協の体制が整備されれば、市町村も市民後見のバックアップの体制を整えることができると思うが、まだできていない状況である。

小川委員
 次に、骨髄移植ドナー支援事業について、県の骨髄バンクドナー助成事業のねらいと近年の実施状況はどうか。

齊藤薬務課長
 骨髄バンクドナー助成事業は、骨髄提供者の負担軽減と収入減少を補うための制度で、休業補償という意味合いが大きい。実績について、県内の骨髄提供者の推移は、平成24年度が15人、25年度が15人、26年度が20人、27年度が14人となっており、今年度は1月末の時点で13人である。助成制度を実施している市町村は、今年度は3市村、29年4月からは更に13市町村が予定しており、県内の約半数の市町村が助成制度を実施することとなる。また、本事業は、市町村が実施する助成事業の1月2日を補助するものであるため、予算額については、約半数の市町村がまだ事業を実施していないことを考慮して、13人分で910千円を予定している。

小川委員
 今年度は1月末の時点で13人が提供しているとのことだが、そのうち県の助成を受けている方は何人か。

齊藤薬務課長
 今年度は、前橋市から2件の申請があった。

小川委員
 骨髄提供者の負担軽減のため、全市町村でドナー助成の事業を実施すべきと考えるがどうか。

齊藤薬務課長
 今後も全市町村の理解が得られるよう、個別に訪問するなどして、制度説明等をしっかりと行って参りたい。

酒井委員
 病床機能分化・連携事業について、回復期の病床の新設に100床、改修に100床、合わせて2億5千万円の予算が計上されているが、地域医療構想との関係では、どのような位置付けで予算計上されているのか。

武藤医務課長
 回復期病床への補助については、県内の状況を見たとき、急性期は多いが、回復期が少ないため、医療機関の自主的な判断が前提ではあるが、県としては急性期から回復期へ病床の転換を進めたいと考えており、それを支援するための制度である。

酒井委員
 急性期病床の削減が誘導されるのではないかと懸念するが、補助を申請する場合、急性期を減らすなどの条件があるのか。

武藤医務課長
 病床数の総数については、二次保健医療圏ごとに基準病床数という病床の上限があるので、現状では、基準病床数を超えて病床整備はできない。回復期病床を設置するためには、現在の病床を何らかの形で転換していただくことになる。

酒井委員
 急性期病床の削減を条件にせず、必要であれば回復期の病床も整備するが、急性期も残すという指導もすべきだと思うがどうか。

武藤医務課長
 地域の中で、いわゆる「病院完結型」ではなく「地域完結型」医療を進めていく上で、医療機関同士がどのような役割を担っていくのがより効率的で、患者の状態にふさわしい医療が提供できるかということから議論していただく。

井下委員
 子ども食堂に対しては、関心が高く、始めたいという人が大勢いる。音頭取りやボランティアを募るなど活動を広げていくための道筋についてどう考えるか。

中村こども未来部長
 本県でも、無料学習塾や子ども食堂を巡る人たちがネットワークづくりを始めているが、こうしたことも踏まえ、本県としてどういう形がいいのか、健康福祉部や産業経済部、教育委員会などと相談しながら考えていかなければならない。こども未来部では、実態調査の中で様々な現場の方々の話を聞いているところであり、来年度には、ネットワークづくりのためのフォーラムを開催する。それが一つのきっかけとなればよいと考えている。今、本県で取り組んでいる人たちをしっかり支援し、その方たちが動きやすい仕組みをこれから考えて行ければ良いと考えている。

橋爪委員
 市民後見推進事業は、いつから取り組んでいるのか。

尾池認知症対策主監
 県では、平成23年度から市町村地域包括支援センターの職員に対して、この事業の周知を図るために研修を開催している。また、23年度に玉村町が主体となった国のモデル事業を実施した。29年度については、高崎市及び館林市が実施する市民後見推進事業に対し補助する予定である。

橋爪委員
 市民後見制度はまだまだの状況である。弁護士や司法書士等の人材がいる高崎市や前橋市と町村などとの間には地域間格差が生じると思うが、そういった町村に対しては、人的支援などの中核的役割を県が担うべきではないかと考える。そうでないと現在立ち上がっていない町村はずっとそのままになってしまうと思うがどうか。

尾池認知症対策主監
 町村では、市民後見人を支援する専門職が少ないという課題がある。今後、成年後見制度に対するニーズは高まっていくので、社会福祉協議会、市町村、地域包括支援センターと連携しながら推進していきたい。

橋爪委員
 次に、県民健康科学大学の今年度の入試結果はどうか。

大嶋県民健康科学大学管理部長
 推薦入試は昨年12月に実施し、一般入試は3月3日に合格発表を行った。看護学部については、募集定員45名に対し195名が応募し、志願倍率は4.3倍であった。また、診療放射線学部については、募集定員20名に対し85名が応募し、志願倍率は4.3倍であった。

橋爪委員
 例年と比べて、どのような状況か。

大嶋県民健康科学大学管理部長
 昨年度の志願倍率は、看護学部が3.4倍、診療放射線学部が3.6倍であったが今年度は両学部とも4.3倍であり、若干倍率が上がった。

橋爪委員
 県内・県外別の就職率はどうか。

大嶋県民健康科学大学管理部長
 昨年度の県内就職率は、看護学部が58.4%、診療放射線学部が31.3%であった。今年度は一部未確定であるが、現時点では、看護学部が54.8%、診療放射線学部が43.8%となっている。

橋爪委員
 診療放射線技師は県内の就職先が限定されてしまうので、県内就職率を上げることが難しいと思うが、どうか。

大嶋県民健康科学大学管理部長
 診療放射線技師は、病院ごとの募集人数が少なく、また、毎年求人があるわけではないことから、県内就職率を上げることが難しい状況である。

橋爪委員
 次に、児童相談所については、平成27年度までの資料を見ると、右肩上がりに件数が増えている。また、こどものホットラインの相談件数も右肩上がりである。このような状況の中、今後の児童相談所の課題について、説明をお願いしたい。

野村児童福祉課長
 虐待通告件数等の増加に対応するため、児童相談所では体制を強化している。具体的には、北部支所は支所長以下9名の体制であるが、平成29年度は心理判定員を1名増員して、2係体制にする。さらに、中央児相の一時保護所で保護児童が増加しているので、トラブル等に対応するため、嘱託職員を1名増員する。また、昨年、児童福祉法の改正があり、児童福祉司は、平成31年4月1日から人口4万人に1人の配置基準となることに対応するため、増員を行っていきたい。

橋爪委員
 限られた人材を集約して相談機能を充実させるという考えと、利用者の身近な場所でという考えがある中で、前者の考えにより北部支所は開設されたのだと思うが、現在の場所で機能強化をしていくということか。

野村児童福祉課長
 現状では、北部支所を機能強化していくという考えである。以前は、利根沼田と吾妻に数人配置していたが、児童虐待等では組織的な対応も必要なことから、北部支所に集約したものである。

橋爪委員
 こどもホットラインの相談件数はどうか。

野村児童福祉課長
 平成27年度の、こどもホットラインを含む全体の相談件数は11,090件で、内訳は、養護相談3,222件、非行相談330件、障害相談3,864件、その他となっている。

橋爪委員
 現況の相談件数に対して、組織として対応できているか。

野村児童福祉課長
 相談は電話相談で終わるものもあるが、通告後、児童の安全確認が必要な場合もあり、現場の職員が頑張って対応している。

橋爪委員
 子どもの数は減っているが、相談は増加しているということでよいか。

野村児童福祉課長
 児童虐待については、世の中の関心が高まって通告等が増加している。

須藤(和)委員
 危険ドラッグの買上検査について、平成28年度における実施状況はどうか。

齊藤薬務課長
 現在、実店舗は存在していないため、インターネットを活用して、危険ドラッグ販売サイトの監視を行ったものの、検査に適当な商品を見つけることができず、検査することはできなかった。

須藤(和)委員
 危険ドラッグは巧妙に流通していると考えられるが、平成29年度はどのように実施するのか。

齊藤薬務課長
 平成29年度は、検査・件数の見直しを行い、買上予定数を今年度の20製品から10製品にしたいと考えている。

須藤(和)委員
 危険ドラッグ防止の広報啓発についてであるが、例えば、小学6年生のときに、危険ドラッグとたばこについて講習を実施し、中学2年生のときに、次のステップとして危険ドラッグの講習を実施し、さらに高校2年生で、危険ドラッグとエイズについて講習をするというような、体系的な仕組みを作ることが課題だと感じている。是非、教育委員会に働きかけていただきたいがどうか。

齊藤薬務課長
 学校における薬物教育は、従前から、教育委員会と連携の上、実施しているところであるが、体系的に実施できる仕組みについて、教育委員会に提案していきたい。

須藤(和)委員
 次に、来年度、認知症疾患医療センターを新たに指定する予定はあるか。

尾池認知症対策主監
 現在13か所の認知症疾患医療センターを指定しており、すべての高齢者保健福祉圏域にある。館林地域については、太田館林圏域の中での対応となる。3年間の指定期間となっており、次回は31年度からの指定となる。本事業は国庫補助事業であり、指定に当たっては国との調整が必要となるため、次期募集に向けて国と協議していきたい。

(2)第21号議案「群馬県指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例」について

酒井委員
 条例改正の背景は何か。

岡部障害政策課長
 障害児療育に経験の浅い職員の配置や質の低い支援が行われているとの指摘が関係団体等からあったことを受け、一定の資格を有する職員の配置を要する厚生労働省令の改正が行われ、本年4月1日から施行されることとなった。

酒井委員
 資格が必要になったこと自体はよいことだと思うが、急な制度改正により資格者が確保できず、現場が混乱する懸念があるがどのように対応するのか。

岡部障害政策課長
 可能な限り事前に情報提供し、現場が混乱しないよう努めていきたい。適宜、各事業所に情報提供をさせていただいているところである。

酒井委員
 現場からの懸念の声にどう対応していくのか。

岡部障害政策課長
 今月中に事業者に対して説明会を開催するので、その点についてしっかり説明をさせていただく。

酒井委員
 経過措置が1年間ではあまりにも短い。県独自で経過措置の期間を延ばすことはできないか。

岡部障害政策課長
 全国一律の措置であり、県独自で延ばすことは難しい。現場で混乱が生じないよう十分相談対応をしていきたい。

(3)サービスステーション事業について

井下委員
 事業者から聞くところによると、事業者に対する委託費用が引き下げられているとのことで、2人の職員が介護しても1人分の費用請求しかできなかったり、キャンセル料が徴収できないなど、事業者にとって不利な面があるとのことであった。この点について、今後、県としてどのように対応するのか。

岡部障害政策課長
 サービスステーション事業は、障害者総合支援法に基づく法定サービスをカバーする事業として、平成12年度から始めているが、国が18年度に地域生活支援事業を創設し、補助事業に位置付けたことに伴い、本事業も見直しを行った経緯がある。その一環として委託費を減額した。見直しから10年が経過し、障害者を取り巻く環境も変化していることから、本事業に係る調査を、市町村に対して実施しているところであり、この調査結果を踏まえて、市町村とともに利用者の視点に立った対応を検討して参りたい。

(4)前立腺がん検診について

井下委員
 今年度の取組状況及び今後の取組はどうか。

中島がん対策推進室長
 具体的に二つの取組を実施した。一つは、県が毎年実施している市町村のがん検診担当者研修会において、群馬大学の前立腺がんの専門家に講義をしていただいた。もう一つは、昨年11月に伊勢崎市が単独で実施してきた前立腺がん講演会について、今年度から県が後援し、県のホームページや広報媒体を通して広く周知したところ、市外も含めた参加者の増加につながった。今後も、県医師会や群馬大学等と連携しながら、前立腺がん対策に努めて参りたい。

(5)がん患者に対する就労支援について

井下委員
 県が毎年作成している「ぐんまの安心がんサポートブック」に就労支援が取り上げられているが、少ないページ数しか割かれていない。今後、内容を充実する考えはあるか。

中島がん対策推進室長
 現在作成中の新たな冊子では、ハローワーク太田と県立がんセンターとの連携に係る取組や、産業保健総合支援センターの情報を追加し、就労支援の内容を充実させる予定である。なお、平成29年度当初予算案には、離職防止のためのリーフレットの作成や社会保険労務士による相談員支援、相談員に対する外見ケア研修の実施、事業者に対する周知啓発セミナーの開催等に係る予算を計上している。

(6)県立障害者リハビリテーションセンターの就労支援部について

井下委員
 県立障害者リハビリテーションセンターの就労支援部は、平成29年度末をもって廃止の方向とのことであるが、利用者の理解を得るために、どのような取組を行ったか。

岡部障害政策課長
 就労支援部については、県内の民間就労支援事業所等が充実してきたことから、民間との役割分担を踏まえ、平成30年3月をもって県の事業としては終了することを検討している。今月中に利用者一人一人と面談し、今後の予定等について説明するととともに、それぞれの意向等の確認を行う予定である。利用者には様々な要望等があると思うが、丁寧に説明し、利用者が安心できるよう努めて参りたい。

(7)群馬大学医学部附属病院の再生に向けた取組について

中島委員
 群大病院の改革に対する部長の所見はどうか。

塚越健康福祉部長
 県としても、群大病院をがん診療連携中核病院や救命救急センターに指定し、群大病院の位置付けを評価する等、医療安全改革や地域医療への貢献の取組を後押ししてきた。さらに、今後、医師の適正配置のため、県医師会や病院協会と連携して、群大に地域医療研究・教育センターの設置を推進することとしており、そのための県予算を計上しているところである。一方で、これまでの群大病院の縦割り的な体制が医師派遣等の県内医療に様々な影響を与えてきたことから、県内医療界全体で見直す動きが出てきている。群大病院は大きな組織であり、意識改革にはまだ時間がかかると思うが、改革に向けて最大限努力をしてほしいと考えており、県としては、できるだけ早く群大病院が特定機能病院の再承認を受けられるよう支援していきたい。

(8)がん患者への外見ケア支援について

中島委員
 がん患者の外見ケアについては、医療用ウィッグに対する補助についても前向きに考えていただきたいがどうか。

塚越健康福祉部長
 がん患者の外見ケアについては、当面、がん相談支援センターの機能を高めていくことで対応を図って参りたい。また、経済的支援については、がん患者への直接的な補助は難しい課題があるため、医療保険や医療費控除の対象となるよう国に要望することを検討しているところである。

(9)食物アレルギー対策について

穂積委員
 子どもの食物アレルギーが増加していると聞くが、食物アレルギーの実態と食品安全の観点からの課題及び県の取組はどうか。

萩原食品安全推進室長
 県教育委員会が県内公立小中学校及び高校等の児童生徒を対象に実施した調査では、平成24年度の調査開始以来、食物アレルギーを自己申告する子どもは増加傾向にある。食物アレルギーによる食品事故は死亡事故につながる重篤な事案である一方、アレルギーのない人は関心が低い傾向にあり、県民全体への理解は広がっていない状況にある。県では、28年度からスタートした食品安全基本計画の重点施策の一つに食物アレルギー対策を位置付け、食品中のアレルギー物質検査数を増加するとともに、庁内関係課で構成する「食物アレルギー関係課連絡会議」を設置し、連携して対策を進める体制を整備した。さらに、食物アレルギー対策に取り組む市町村の保健師や管理栄養士などで構成する「食物アレルギー理解促進検討委員会」を設置し、県民向けの啓発資材を作成する準備を進めている。

(10)衛生環境研究所における感染症対策について

穂積委員
 衛生環境研究所は感染症に対してどのような取組をしているか。

猿木衛生環境研究所長
 昨年11月、本県でも国内10例目となるジカウィルスが検出された。今回、ジカウィルス感染症が疑わしい患者の検体が、医療機関から保健所を通して当研究所に送られてきたことは、これまでの医療機関や保健所等の関係機関との連携、健康危機管理体制構築の成果の一つであると考えている。国境を越えて進入してくる感染症に対して、患者を早く発見し、適切に検査を行い、迅速に対策をとることが重要である。今後も、感染症対策、食中毒対策の一翼を担う地方衛生研究所として、関係機関と協力し、ウィルス・細菌などの病原体の検査体制を強化し、「頼りにされる研究所」、困ったときの「相談される研究所」を目指し、県民の命と健康を守る一助となるよう取り組んで参りたい。

穂積委員
 ちなみに、蚊の生息期間は昔と今では変わってきているのか。

猿木衛生環境研究所長
 群馬県は蚊の実態調査を今まで行っておらず、一昨年から開始したところである。来年度から調査地点を増やす方向で検討している。今後、データを蓄積し実態を把握して、蚊の対策に結び付けたい。

(11)障害者差別解消法を踏まえた取組について

小川委員
 障害者差別解消法が施行されて1年が経つが、合理的配慮を義務付けられている県職員に対しても研修等の取組が必要だと思うがどうか。

岡部障害政策課長
 職員対応要領を昨年3月に策定し、今年度、県庁や地域機関などで説明会を開催し、周知を図った。また、常任委員会の県外調査で視察した障害平等研修を9月に実施するなど、様々な形態の研修を行い、職員の理解を深めるよう努めている。29年度については、対象人数を拡大してより多くの職員が参加するようにしたい。

小川委員
 例えば、各部がそれぞれ実施している人材育成研修などでも、障害者差別解消について取り入れた方がよいと思うが、ほかの部局との連携状況はどうか。

岡部障害政策課長
 既に新規採用職員研修では、「障害福祉」という枠で実施しているが、例えば、今回の障害平等研修のような外部講師を招いての研修も重要だと思うので、人事サイドと協議をしていきたい。

小川委員
 障害者差別解消条例について、22道府県で制定済みであるが、県民全体に広く理念を普及させるには、本県においても条例制定が必要と考えるがどうか。

岡部障害政策課長
 過日開催した障害者差別解消支援地域協議会において、関係者から条例制定について意見を聞いた。今後も関係者及び関係団体から様々な機会を捉えて御意見を伺い、検討していきたい。

(12)世界ダウン症の日及び世界自閉症啓発デーについて

小川委員
 3月24日の世界ダウン症の日や4月2日の世界自閉症啓発デーはあまり知られていないと感じる。県は世界ダウン症の日や世界自閉症啓発デーに関して、何か取組をする予定はあるか。

岡部障害政策課長
 本県では、世界ダウン症の日の関連行事として、日本ダウン症協会群馬支部が開催しているセミナーを支援している。また、平成30年度の支部創立30周年記念事業についても支援を検討して参りたい。世界自閉症啓発デーについては、毎年4月1日から8日までの発達障害啓発週間と併せて、県民の発達障害への理解を深めるため、群馬県自閉症協会と共催で啓発イベントを開催している。まだ啓発不足であると思われるので、更なる啓発に努めて参りたい。

(13)ヘルプマークについて

小川委員
 東京都が推進しているヘルプマークは、3割ほどの自治体で利用されている。導入してほしいという当事者の方もいるので、本県でも導入してほしいと考えるがどうか。

岡部障害政策課長
 様々なマークを各自治体が推進している状況であり、関東知事会を通じて、国で統一的なマークやその活用方法を示すよう働きかけているところである。なお、東京都のヘルプマークは希望すれば誰でも使えることから適正利用が課題であるため、関係者の意見を聞きながら慎重に進めて参りたい。

(14)若年性認知症の人に対する支援について

酒井委員
 若年性認知症支援コーディネーター設置として新年度予算に400万円が計上されているが、どこにどのような体制で配置するのか。

尾池認知症対策主監
 現在13か所の認知症疾患医療センターから運営事業者を募集しており、今年度中に有識者による選定委員会で選定予定である。コーディネーターは1か所、1人の配置を想定しているが、選定された医療機関により複数配置となる場合もある。

酒井委員
 全国的に人材不足であり、県として、コーディネーターの人材確保が必要と思うがどうか。

尾池認知症対策主監
 コーディネーターは誰でもよいというわけではなく、認知症の人に対する支援に理解のある看護師や作業療法士などの専門職を配置する必要があるが、医療機関であれば専門職の方はいるので対応可能であると思われる。ただし、1医療機関で県内全域をカバーするのは難しいので、13か所の認知症疾患医療センターが連携して対応できるようにしていきたい。

酒井委員
 現役世代で発症すると、仕事が続けられなくなり経済的にも不安定になるので、できる限り治療しながら働き続けるためのサポートが必要である。そのためには企業向けの研修会等も必要だと思うが、県の取組はどうか。

尾池認知症対策主監
 若年性認知症になっても就労が継続できるよう、来年度の新規事業として企業向けトップセミナーの開催を検討しているところであり、事業者の理解を深めていきたい。また、市町村の初期集中支援チームや認知症地域支援推進員の資質向上を図り、若年性認知症の人や家族に対する支援に力を入れていきたい。

(15)後期高齢者医療制度について

酒井委員
 後期高齢者医療の保険料軽減措置の見直しについて、本県全体の影響額はどの程度か。

大山国保援護課長
 見直しによる影響額は、後期高齢者医療制度の運営主体である後期高齢者医療広域連合の試算によると、29年度でおよそ4億円、被保険者数で55,000人と聞いている。

酒井委員
 県は、負担増に対して県独自の救済措置を考えているか。

大山国保援護課長
 平成27年1月に社会保障制度改革推進本部が決定した医療保険制度改革骨子において、後期高齢者医療の保険料軽減特例の29年度からの原則廃止が示されて以来、県としても、全国知事会を通じて、低所得者に配慮した適正な措置を講じるよう要望してきた。その結果もあって、特例措置の一部のみの見直しといった内容に落ち着いたものと認識している。県としての救済措置は困難であるが、今後の国の動向を注視していきたい。

(16)県立病院の今後の運営方針及び課題について

橋爪委員
 各県立病院において、平成29年度はどのような方針で病院運営に取り組むつもりか。また、どのような課題があるか。

大島心臓血管センター院長
 当院は引き続き心疾患の急性期病院としての役割を果たしていきたいと考えており、県内では当院でしかできない治療も数多くあるので、そのような特徴を生かした病院運営に努めて参りたい。

鹿沼がんセンター院長
 がんセンターは、県内唯一のがん専門病院として地域完結型の病院を目指しており、東京まで行かなくても日本で可能ながん治療が当院で全て受けられる病院でありたいと考えている。がん患者の就労支援にも力を入れており、関係機関と連携した取組を実施している。また、近年では、入院するより外来で治療を続けたいという要望が増えており、今年度通院治療センターを40床に拡充したことにより、最大で1日90人の利用が可能となっている。また、近年、入院期間が短くなっており、従前は平均2週間の入院期間が現在は11日まで短縮されている。患者負担は軽減されているが、病床利用率にはマイナスの影響があるのが課題である。

赤田精神医療センター院長
 精神医療センターは、精神科救急を特徴とする病院で、措置入院を実施する際の入院時や退院時の関わり、地域との連携を重視した群馬モデルを構築している。経営上は病床利用率の向上が望ましいが、精神科救急は強制入院のため、不必要な人まで入院させることがないよう、人権はしっかりと守る意識で行っている。また、地域の患者について、病状が悪化する前に早期入院につなげることが重要であるが、精神病院への入院はイメージが良くないため、いかに早めの予防的入院を可能にしていくかが課題である。医師不足が問題となっているが、精神科医師も不足しており、群馬大学と連携して県内に精神科医が定着するように努力しているところである。

丸山小児医療センター院長
 小児医療センターの患者は、ひと言で言うと重い、難しい、手がかかる患者である。群馬大学と協力しながら県内の小児3次医療を担っているが、昨今群馬大学もマンパワー不足であり、小児医療センターの役割が年々増してきている状況である。当院でも、循環器と新生児以外の医師は不足しており、人材確保が重要な課題である。医療安全については、ゼネラルリスクマネージャーが週一回カンファレンスを開催するなどしており、意識の向上がなされていると考えている。


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