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環境農林常任委員会(農政部関係)平成29年6月9日(金曜日)

1.開催日時

平成29年6月9日(金曜日)9時59分開始 14時19分終了

2.開催場所

403委員会室

3.出席委員

委員長:清水真人、副委員長:穂積昌信
委員:久保田順一郎、委員:中島篤、委員:岸善一郎、委員:臂泰雄、委員:藥丸潔、委員:小川晶、委員:本間惠治

4.欠席委員

委員:狩野浩志

5.主な質疑

(1)産地パワーアップ事業について

本間委員
 産地パワーアップ事業について、詳しく説明していただきたい。

吉野蚕糸園芸課長
 当事業は、産地が高収益作物に転換するなどして、戦略的に販売額を1割以上拡大する取組に対し支援するもので、集出荷場や栽培用施設・機械の整備等を補助対象とし、補助率は2分の1である。現在、県内の十数産地が、野菜、花き等で取り組んでおり、既に、なす・きゅうり選果場や集出荷場、野菜栽培用機械、バラの環境制御設備等の整備が完了している。本年度についても、積極的に取り組んでいきたい。

(2)女性の担い手育成及び女性農業者・農村生活アドバイザーの活動状況について

小川委員
 女性の担い手育成について、女性農業者の活動の状況はどうか。また、農村生活アドバイザーについて、県内の現状や活動はどうか。

田島担い手対策主監
 女性の担い手育成について、県では、昨年度策定した「群馬県農業農村振興計画」と「ぐんま農業農村男女共同参画行動計画」に基づき、経営や社会への女性の参画を推進しており、県内各地に若手農業女子のグループができている。また、農村生活アドバイザーについては、魅力ある農業・農村の確立と農家生活の向上に主体的に取り組み、地域に積極的に参画していく農村女性を県が認定するもので、担い手となる人材の確保・育成、男女共同参画の推進、農産物の加工や直売、食と農の理解促進、家族経営協定の推進における実践的なリーダーとして、各地域において活躍している。

小川委員
 農村生活アドバイザーは、県内で何人活動しているか。

田島担い手対策主監
 4月1日現在で129名が活動している。

小川委員
 20年間で毎年増えているのか。

田島担い手対策主監
 65歳で定年という形を採っているが、県全体でおおむね140名を確保するため、定年により引退された方を補充する形で毎年新たに認定している。

小川委員
 前橋市の農村生活アドバイザーと前橋市選出の県議会議員との間で毎年1回意見交換を行っているが、その中で農村生活アドバイザーの活動に応じた経費を補助してもらえれば、活動がより活発になるのではないかという意見が出たが、検討する考えはあるか。

田島担い手対策主監
 研修会等の実施に必要な予算は確保しているが、農村生活アドバイザーの活動に必要な予算は確保していないのが現状である。県内各地から同様の要望があるので検討していきたい。

(3)「農畜産物ブランド力強化基本戦略」の指標・目標の進捗状況ついて

小川委員
 「農畜産物ブランド力強化基本戦略」に掲げる指標・目標の進捗状況はどうか。

新井ぐんまブランド推進課長
 統一ロゴマークの導入が昨年9月から直近までで14事業者、27品目、ぐんまアグリネットの昨年度のアクセス件数が53万件超であった。また、平成28年3月末時点の累計値で、すき焼きアクション賛同企業が217社、女性の視点を活かした新商品開発数が10件、生産と実需のマッチングによる商談成立件数が81件、地産地消優良店が36店舗、県産農畜産物販売協力店が97店舗であり、前倒しで達成している。

(4)ミートフェスタへの支援について

小川委員
 9月にグリーンドーム前橋でミートフェスタが開催される。本県畜産物のPRに絶好の機会と考えるが、支援を検討しているのか。

新井ぐんまブランド推進課長
 イベント開催の中心となっている民間事業者から、4月に後援依頼や出展者募集について相談があった。すき焼きアクション賛同企業でもあり、県としても積極的に支援していきたい。

(5)農業水利施設の保全対策について

小川委員
 農業水利施設の老朽化の現状と対策の取組状況について教えていただきたい。

片山農村整備課長
 農業水利施設の老朽化対策として、ストックマネジメント手法により、平成25年度までに32地区の機能保全計画を策定し、それに基づく対策工事を平成28年度までに13地区で事業着手している。

小川委員
 農村地域防災減災の前橋北部地区他8地区は32地区に含まれるということでよいか。

片山農村整備課長
 農村整備事業は色々あり、防災減災事業だけではなく、長寿命化の事業も含まれるが、農村地域防災減災はため池の整備や湛水被害の防止工事などが主な事業である。県内にある505箇所のため池のうち、126箇所が防災重点ため池に位置付けられており、耐震化について調査を行っている。

臂委員
 市町村・土地改良区等が管理している農業水利施設の老朽化対策の状況はどうか。

内藤水利保全対策主監
 市町村・土地改良区等に対して、ストックマネジメント手法による計画的な保全対策の必要性を周知しているが、市町村・土地改良区等が管理している中間水利施設が非常に多いことから、市町村単位での機能保全計画の策定は進んでいない状況にある。なお、市町村等が管理している中間水利施設については、平成28年度までに9地区で事業着手し、今年度は新たに2地区で事業着手しているほか、国の土地改良施設維持管理適正化事業や県の小規模農村整備事業を活用した保全対策を行っている。また、水利組合等が管理している末端水利施設については、今年度は137の水利組合等で実施する予定となっている。

臂委員
 中間水利施設や末端水利施設の保全対策を行っていくことは大変なことであると思うが、市町村から要望を受ける中で、どのように感じているか。

内藤水利保全対策主監
 施設が数多く存在しているため、全ての要望に対して速やかに対応することは予算の関係上厳しいところがある。市町村等に優先順位を付けていただいた上で対応していかざるを得ない状況である。

臂委員
 県として農業水利施設の実態をどの程度把握しているか。

内藤水利保全対策主監
 土地改良区が管理している施設については、維持管理計画等があることから、ある程度把握できるが、市町村や水利組合が管理している施設については、把握していない。

(6)グリーンツーリズムの推進について

小川委員
 グリーン・ツーリズム推進について、都市側住民ニーズが高まっているとのことであるが、これまでの推移や受け入れに当たっての課題について伺いたい。

片山農村整備課長
 県と35市町村で構成する「ぐんまグリーン・ツーリズム連絡協議会」を核として、パンフレット・ホームページを活用した広報宣伝、イベント等による理解促進、研修会の開催等による人材の育成、地域の受入体制整備等について支援している。

小川委員
 グリーン・ツーリズムを目的に来県する人はどのくらいいるのか。

片山農村整備課長
 平成28年の公設体験交流施設38施設の利用者(宿泊者数)は、339,692人である。

(7)農福連携の取組について

小川委員
 農福連携の取組について、農政部としてどのように捉え、どのような取組をしているのか伺いたい。

田島担い手対策主監
 農業と福祉との連携について期待が高まっており、農政部としては、そのような取組について情報収集を行っている段階である。障害者が農業に関わる例として、企業が特例子会社を設立して農作業に従事してもらう場合、障害者施設等が農家から農作業を受注する場合、障害者施設等が農地を借りて農業に取り組む場合のおおむね3つに分けられる。まずは、群馬県社会就労センター協議会の共同受注窓口と連携し、農業者、農業法人への周知を進め、障害者が活躍できるような支援を進めていく考えである。

小川委員
 前橋市のある種苗会社では、「農家と障害者をマッチングします」というチラシを配っているが、このような民間企業の取組について、県は情報を入手しているのか。

田島担い手対策主監
 情報収集が始まったばかりで窓口として機能していないことから、今年度はその辺について進めていきたい。

澁谷農政部長
 県の方で耕作放棄地対策の一環でサツマイモを栽培するプロジェクトを立ち上げている。サツマイモの苗木が大量に必要となるが、現在、苗木の生産がネックとなっている。このようなことから、当該種苗会社が苗木の生産を共同受注窓口を通して障害者施設等にお願いしているものと思われる。障害者が活躍する共生社会について、農政部としてもしっかり役割を果たしていきたい。

(8)バイオマス利活用推進について

小川委員
 バイオマス利活用推進について、どのような取組をしているか伺いたい。

小茂田畜産課長
 畜産環境対策においては、畜産経営環境周辺整備として、悪臭が苦情の5割を占めていることから、脱臭装置や臭気防止に関わる施設の導入に対する支援を行っている。また、排水基準が非常に厳しくなってきていることから、高度化処理施設の導入に対する支援等を行っている。

小川委員
 バイオマス利活用推進も悪臭対策として行っているということでよいか。

小茂田畜産課長
 畜産バイオマスについては、本来であれば堆肥利用が一番良いが、地域によって需要と供給のアンバランスが生じる場合もあることから、これまで、バイオマス発電や鶏ふんボイラーなどの取組も行われてきた。しかし、施設整備やランニングコスト等に多大な経費がかかることから、普及定着が図られていない状況にある。今後も、堆肥利用を主に進めていくが、地域内で余るものについては、広域的な流通が必要であることから、その流通形態や支援について、検討を進めているところである。

小川委員
 前橋市でバイオマス発電やボイラー熱を使用したフルーツ団地をつくるという新聞報道が3月にあったが、これに関する相談等は来ているのか。

小茂田畜産課長
 相談等は来ていない。

(9)企業等農業参入促進・フォローアップについて

藥丸委員
 企業等農業参入促進・フォローアップについて、企業の農業参入の現状を伺いたい。

田島担い手対策主監
 平成29年3月末現在、農地所有適格法人が21社、一般法人が42社、計63社となっている。参入企業の本業は、食品産業が23社、建設業が13社、製造業が10社、その他が17社である。

藥丸委員
 参入件数の目標値はあるのか。

田島担い手対策主監
 群馬県農業農村振興計画では、平成31年度末までに90法人の参入を目標にしている。

(10)新規就農者確保について

藥丸委員
 新規就農者確保事業について、具体的な取組を伺いたい。

田島担い手対策主監
 就農前として就農相談と農業体験を、就農準備として農林大学校・農家での研修を、就農後のフォローとして技術や経営に関する相談・指導を行うとともに、青年就農給付金の給付等の支援も行っている。

藥丸委員
 農業に関心の低い方に対して、農業に関心を持たせる取組はあるのか。

田島担い手対策主監
 高校生向けに「農林業チャレンジセミナー」の実施、都会の若い女性向けに「ぐんま農業体験バスツアー」の開催などを行っている。

(11)鳥獣害対策に係る捕獲後の処理指針について

藥丸委員
 鳥獣害対策について、捕獲後の処理指針作成の内容を伺いたい。

倉澤技術支援課長
 市町村を対象としたアンケート調査結果を基に、捕獲個体処理の現状と課題を分析するとともに、有識者を交えた検討会を通じて、埋設や焼却の処理、食肉、皮、角等の利用方法や優良事例等を取りまとめ、捕獲後の処理指針を作成する予定である。この指針を活用し、適正かつ効率的な捕獲個体の処理・利活用を推進していきたい。

(12)市街地周辺のイノシシ被害対策実証について

藥丸委員
 市街地周辺のイノシシ被害対策実証について、具体的な内容を伺いたい。

曲沢鳥獣被害対策支援センター所長
 県内においてはイノシシの分布域の拡大傾向が見られ、最近は市街地への出没や人身被害も発生している。太田市金山地区では、市が国や県の事業等を活用して、侵入防止柵の設置や箱わなによる捕獲、下刈りによる生息範囲の縮小といった取組を行っており、県においても、平成26年度からセンサーカメラを設置して、市の捕獲対策を支援するとともに、独自に捕獲に取り組んできた。また、県・市・警察等からなる「金山イノシシ被害対策支援チーム」を設置し、地域におけるイノシシ対策に取り組んできた。今年度は、より効率的な捕獲を推進するために、生息状況調査等を実施し、既存データと併せて解析することで最適な実施計画を作成し、金山からのイノシシ排除を目指していきたいと考えている。

(13)太田市大久保地区における排水事業について

藥丸委員
 太田市大久保地区における排水事業の進捗状況はどうか。

片山農村整備課長
 平成28年度から県営事業として、全体事業費4億8,500万円、受益面積125ヘクタール、平成32年度までの工期で、調整池5箇所、排水路8.4キロメートルの整備を予定している。平成28年度には、測量設計を実施し、今年度は、調整池1箇所の本体工事と次年度以降の対策工事に向けた測量設計を予定している。

藥丸委員
 事業は順調に進んでいるということでよいか。

片山農村整備課長
 農業農村整備事業に係る国費の割当てが厳しい状況であるが、早期に完成させて、湛水被害の解消に努めていきたい。

(14)黄砂の影響と対策について

中島委員
 最近、本県でも黄砂が見られるようだが、その影響や対策について聞きたい。

吉野蚕糸園芸課長
 黄砂が確認されていることは、承知している。生産現場への影響については現時点では聞いておらず、対策もとっていない。

小茂田畜産課長
 特に影響は出ていない。

(15)園芸作物研究について

臂委員
 園芸作物研究について、環境制御技術の確立による収量増に取り組んでいるが、味や見栄えはどうか。

田村農業技術センター所長
 現在、収量増のための研究を進めているところであり、味などについては、次の段階で検討していきたい。

(16)農産物のブランド戦略について

臂委員
 農産物のブランド戦略は販売に力点が置かれていると思うが、安定的に供給するためには品質や収量の確保が必要となることから、その辺りの連携を進めているか。

新井ぐんまブランド推進課長
 県においては、常日頃から生産振興担当課と情報を共有し、連携してブランド戦略を推進している。また、農業事務所等においても生産者や市町村等と連携を図っている。

臂委員
 1つの農産物をブランド化するだけでは、地域の活性化にもつながらないし、農家の収入向上にもつながらない。ブランド化を大きな柱として、観光などとの連携を視点に入れて、これからやっていただければと考えている。市町村においてもブランド化に取り組んでいるが、市町村との連携についても進めているということでよいか。

新井ぐんまブランド推進課長
 ブランド化された産品が一品でもあれば、他の産品へも波及効果があると考えている。市町村がブランド認証するにあたり、農業事務所や行政県税事務所等の職員が関わったり、生産に関して普及組織が後方支援することなどにより協力している。また、市町村におけるブランド情報を集約して発信する予定であり、優良事例を他市町村の参考にしていただきたいと考えている。

(17)旧境町トレーニングセンターについて

臂委員
 旧境町トレーニングセンターについて、現状と今後の対応はどうか。

高橋農政課長
 平成16年12月末に高崎競馬が廃止された後、県は競走馬の育成事業を行う境共同トレーニングセンター株式会社に土地・建物の一部を単年度契約で貸し付けており、今年度は、全体の敷地面積28.6ヘクタールのうち、8.1ヘクタールを貸し付けている。境共同トレーニングセンター株式会社では、約50名が従事しており、80頭から130頭の競走馬の調教を行っている。今後の対応について、廃止から10年以上が経過し、厩舎等施設が老朽化していることから、県としては、境共同トレーニングセンター株式会社、地元の伊勢崎市、地権者等の意向を踏まえ、今後の利活用を検討していきたいと考えている。

(18)肉牛振興について

岸委員
 肉牛振興について、交雑種も対象となっているか。

小茂田畜産課長
 肉牛振興には、和牛のほか、交雑種も含まれている。現在、和牛の需要と子牛価格が非常に高くなっていることから、全国的に和牛の生産に重点が置かれている。しかし、本県は酪農が盛んであり、乳用雌牛を利用した交雑種生産及び肥育についても県として積極的に推進している。

岸委員
 交雑種の輸出はできないのか。

新井ぐんまブランド推進課長
 交雑種も輸出されているが、和牛と交雑種では単価が大きく異なっている。

岸委員
 和牛と交雑種の出荷割合はどうか。

小茂田畜産課長
 平成27年度の県肉用牛出荷頭数は32,767頭、うち和牛が11,243頭で34.3パーセント、交雑種が13,715頭で41.9パーセント、乳用種が7,809頭で23.8パーセントとなっている。

岸委員
 子牛が高くなっているが利益幅はないという話を聞くが、実態はどうか。また、出荷時の税金について、分かれば教えていただきたい。

小茂田畜産課長
 繁殖雌牛の頭数が全国的に減少していることにより、子牛が少なくなっているため、子牛の価格がかなり値上がりしている状況である。また、肥育牛の出荷価格が100万円未満の場合は、税金が安くなるという話を聞いている。

岸委員
 県内の肥育農家は何戸あるのか。

小茂田畜産課長
 平成28年の肉用牛農家戸数は632戸で、繁殖農家は370戸、肥育農家は262戸であるが、繁殖農家の中には肥育まで一貫して行う農家も含まれていることから、実戸数は不明である。

(19)県内のTMRセンターの状況について

岸委員
 粗飼料と濃厚飼料を混合した飼料を供給するTMRセンターは、県内で増えているか。

小茂田畜産課長
 県内には現在6つのTMRセンターがある。うち1つは昨年、農家共同体のTMRセンターが新たに設立されたものであるが、全国的に見ると本県はまだ数が少ない。

岸委員
 TMRセンターはこれから増えてくると思っているが、畜産農家がTMRセンターを利用するメリットは何か。

小茂田畜産課長
 自給飼料とTMRセンターの飼料を組み合わせればコストダウンとなるが、TMRセンターから全量購入するとコストは大きくなる。しかし、飼料調整が分業化できれば、飼養管理が効率化できることから、生産性は上がると考えている。

(20)GAP(農業生産工程管理)教育の推進について

岸委員
 農林水産省と文部科学省が連名でGAPを農業高校の授業に採り入れるよう促す通知を各都道府県に発出したとのことであるが、どのように考えているか。

武井生産環境室長
 本県では、既に学校現場と連携した取組を始めており、昨年11月には農業高校の実習担当の教職員を対象とした研修会において、農政部のGAP担当者を派遣して、GAPの基礎と実践について講義を行った。農業高校の生徒がGAPを学び、自ら実践することは、農業生産技術の習得に加えて、経営感覚を兼ね備えた人材として必要な資質・能力の育成に資するものであり、また、実際にGAPに取り組んでいる農業経営者やGAP指導員による指導を通じて、GAPの実践レベルの向上を図る必要があると考えている。実践的なGAP教育を充実させ、持続可能な力強い農業を実現させていくため、引き続き教育委員会や学校現場と連携を図りながら、GAP教育の推進に協力していきたい。

岸委員
 どのGAPが楽に取れるのか。

武井生産環境室長
 どれとは言えないが、GAP認証を取得したいという話があれば支援していきたい。

岸委員
 農業高校でGAP認証を取得できるよう支援してもらいたいと思うがどうか。

武井生産環境室長
 昨年に引き続き、今年度も農業高校の教職員を対象とした研修会に、GAP担当者の講師派遣を予定しており、今後も、教育委員会や学校現場の取組を支援していきたい。

岸委員
 農林大学校におけるGAPの取組状況はどうか。

樋口農林大学校長
 これからの農業を担う若者がGAPを学び実践することは、生産技術の見える化により、よりよい農業生産につながることに加え、経営感覚を身に付ける面でも有効と考えている。農林大学校では後期の実習から取り組めるよう準備しているところである。また、農業高校からリーダーシップの発揮を期待する声もあることから、農業高校に先んじた取組を行うことで、農業高校のGAP教育の推進に少しでも力になれればと考えている。

(21)蚕糸技術センターにおける取組について

岸委員
 蚕糸技術センターにおける取組について伺いたい。

須関蚕糸技術センター所長
 当センターは、全国唯一の蚕糸業の総合支援センターとして、群馬オリジナル蚕品種の性状維持及び遺伝子組換えカイコの実用化のための研究を行うほか、養蚕学校による多様な担い手の育成、製糸技術等の調査指導を行っている。また、蚕種製造業者やJAが撤退する中、蚕糸業を維持するために、蚕種及び稚蚕人工飼料の製造販売を行なっている。

岸委員
 昨年度、本県で繭は何トン生産されたか。

須関蚕糸技術センター所長
 平成28年度は、46トンの繭が生産された。

岸委員
 本県の繭は、どのようなものに使われているのか。

岡野絹主監
 本県の繭は、碓氷製糸で生糸となり、全国数十社の織物業者等に販売されている。主に使用されているのは和装であるが、スカーフ等の洋装にも使われている。

岸委員
 繭は化粧品として使われていると聞いたが、何が良いのか。

須関蚕糸技術センター所長
 繭の中には、フィブロイン、セリシンというタンパク質が含まれている。セリシンについては、人の肌に良いと言われていることから、繭から抽出したセリシンを使用した化粧品が製造されている。また、製糸工場で働いている方の手や肌が良いと言われているが、これも繭に含まれるセリシンによるものと言われている。

岸委員
 人工飼料による周年生産について、考えがあれば伺いたい。

須関蚕糸技術センター所長
 人工飼料による周年生産は、光熱費や飼料代のコストが課題となる。当センターの試算では、全齢人工飼料育した場合の飼料代が1頭当たり12円で繭代の約2倍になる。普通繭生産ではコストの回収ができないので、遺伝子組換えカイコによる有用物質生産のような高付加価値を生む体系が必要である。

岸委員
 桑の葉の通年栽培により、飼料代を下げるよう考えていただければと思うがどうか。

須関蚕糸技術センター所長
 桑を1年中育てるためにコストがかかってしまい、厳しいと思われる。1年中蚕が飼えて、1年中繭が生産できることは、糸繭生産で考えると、コスト面に大きな課題があるので、糸繭生産以外で更に付加価値の高い用途を検討しながら、研究しているところである。

(22)米減反廃止に伴う転作について

久保田委員
 平成30年産からの米の減反廃止に際して、「米ゲル」が麦に代わる新たな地位を占めるのではないかと考えているが、米の品種面から説明していただきたい。

吉野蚕糸園芸課長
 米を炊飯し、高速撹拌して作られる「米ゲル」は、農業・食品産業技術総合研究機構と筑波大学が共同開発した技術で、小麦粉の代替としての利用が期待されている。原料となる米は、米粉用米と同じ扱いで交付金の対象となり、米の需給調整に有効である。しかし、原料に適した高アミロース米の品種には、本県で栽培する上で、縞葉枯病に対する抵抗性の低さや成熟期の遅さなどにおいて、課題があることから、原料米の動向や商品開発の状況を見ながら対応を検討したい。

久保田委員
 水田転作に適した野菜の品目があれば紹介していただきたい。

吉野蚕糸園芸課長
 水田は水はけが悪いことから、野菜の作付に向かないが、水田地帯である明和町では、野菜の加工会社と提携して加工・業務用キャベツの生産計画が進んでいる。市場出荷は、産地間競争が激しいことから、予め販売先を決めた契約栽培も1つの方法である。水田地帯における野菜振興については、販売先の確保や、地域で栽培する体制をどう構築するかが課題と考えている。

久保田委員
 今後、政策的に推進できる品目があれば紹介していただきたい。

澁谷農政部長
 県では、露地なすを新規就農者等の入門品目として位置付け、作付の推進を図っており、なすを柱に裏作を組み合わせることにより、新規就農者等の経営を確立する取組を推進してきた。きゅうりについては、1ヘクタール規模の生産者が育ってきている。また、若い農業者や小さい産地では、イタリア野菜などニッチ商材で商品開発を進めるなどの取組もされている。今後とも、多様な担い手による地域特性等を活かした経営展開を県として支援していきたい。


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