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議第9号議案(平成30年12月17日)

林野公共事業の推進に関する意見書

 日本の国土は、地形が急峻かつ地質が脆弱であることに加え、前線や台風に伴う豪雨や地震・火山活動等の自然現象が頻発することから、毎年、全国的に多くの山地災害が発生している。かつてより森林整備・治山事業によって、国土の保全はもとより、荒廃した森林の再生や保全等に取り組み、安全で安心して暮らせる社会を支えてきた。しかしながら、近年、局地的な集中豪雨や台風、地震等の自然災害により未曾有の被害を受けている。
 このような状況を受け、国民生活や山村地域を脅かす危機的な状況から脱却するためには、地域の社会経済基盤である森林を守っていくことが不可欠である。
 このため、復旧対策はもとより、事前防災・減災、災害に強い森林づくり等による「緑の国土強靱化」を強力に推進していく必要がある。
 さらに、今般成立した「森林経営管理法」に基づく新たな森林管理システムの創設も踏まえ、主伐の増加に対応する確実な再造林をはじめ、森林資源の循環利用を通じた林業の成長産業化の実現に向けた路網整備の推進や、国際的に表明した温室効果ガスの削減目標達成のための森林吸収源対策の推進が不可欠となっている。
 森林・林業・林産業は、国民の安全・安心な暮らしと地域経済を支える山村の存続基盤に他ならない。そのためにも林野公共事業に全力で取り組んでいく必要があることから次の事項について強く要望する。

  1. 森林環境譲与税(仮称)は、これまでの仕組みで整備できなかった森林の整備を推進するという新たな需要に対応するものであり、この措置とこれまで実施されている林野公共事業は区別すること。その上で、林野公共事業を一層強力に推進するため、平成31年度当初予算において予算の大幅な拡充を図ること。
  2. 西日本七月豪雨、台風21号、北海道胆振東部地震等の災害の発生等を踏まえ、復旧対策はもとより、事前防災・減災、災害に強い森林づくり等による緑の国土強靱化を、補正予算等の緊急の財政措置も含めて一層強力に推進すること。
  3. 森林吸収源対策を着実に推進するため、平成31年度当初予算において、森林整備事業をはじめとする森林整備や木材利用等の推進のための予算を十分に確保すること。また、平成28年度から創設された、森林吸収源対策に係る地方財政措置については、今後の森林整備を推進する上での条件整備として欠かせないものであるため、平成31年度以降も引き続き継続すること。
  4. 林業の生産性向上による林業成長産業化等の実現に向け、木材の効果的・効率的な安定供給に不可欠な幹線となる林道等路網整備を一層強力に推進すること。

以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

平成30年12月17日

群馬県議会議長 橋爪 洋介

 衆議院議長
 参議院議長
 内閣総理大臣
 総務大臣
 財務大臣
 農林水産大臣
 環境大臣
 内閣官房長官 あて