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循環型社会構築に関する提言 循環型社会構築に関する特別委員会(令和7年3月14日)

 ​地球温暖化、または地球沸騰化とも言われる、気候変動の影響によると考えられる、異常気象による水害や土砂災害といった大きな被害が毎年発生し、生態系の変化、農作物への被害など、県民の暮らしに密接なところで影響が発生している。国は2050 年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言し、2030 年度までの温室効果ガス削減目標を表明した。
 本県では、2022 年3月に2050 年に向けた「ぐんま5つのゼロ宣言」実現条例を制定し、災害に強く、持続可能な社会の構築に向けた取組を進めている。また、再生可能エネルギー・グリーンイノベーションに関しては、県内への再生可能エネルギー導入や産業分野でのグリーンイノベーション創出を促進するため、特に民間投資を呼び込む観点から、⾧期的な目標と、そこに向けた2035 年までの戦略を策定する「グリーンイノベーション群馬戦略2035」の策定や、森林の造成・保育、路網整備などによる森林資源の循環利用、「ぐんまゼロ宣言住宅促進事業」等による県産木材の利用拡大、「ぐんまエコファーマー制度」等による環境負荷低減・資源循環型農業の推進、パートナーシップ構築宣言の推進による物価高騰対策など、積極的に取り組みを進めている。
 一方で、近年、プラスチックや使用済み金属などの再生資源を集めて保管する屋外事業場「ヤード」に関し、盗難自動車が持ち込まれ解体される事案や、太陽光発電施設で盗まれた銅線が持ち込まれる事案が生じており、県警察でいわゆる「自動車ヤード条例」及び「金属くず条例」の2つの条例の制定に着手しており、県民の不安、危機感を踏まえた対応が求められている。
 県当局におかれては、次の事項に留意され、循環型社会構築に関する施策の推進に取り組まれるよう、強く要望する。

  1. 廃棄物処理に関すること
    ●ヤード問題について
    (1)県警察は、条例制定に向け、さらに踏み込んでいくとともに、県警察と環境森林部が足並みを揃えて対応すること。
    (2)県警察が危機感を持って条例制定に向けて取り組んでいるように、環境森林部も危機感を共有すること。
    (3)生活環境への影響の実態を把握する調査については、抜き打ちでの実施など、調査方法をよく検討すること。
    (4)事業者が有価物と申し立てた場合でも指導等ができるよう、条例を制定すること。
    (5)生活環境に影響のある施設が規制対象外となっており、他県の規制から逃れて設置が増加すると考えられるため、規制に前向きに取り組むこと。
    (6)条例の制定に当たっては、群馬県内での不適正ヤードの設置に対して、抑止力のあるものとすること。
    (7)コミュニケーションや接触が難しい事業者との連絡体制について、しっかりとしたルールづくりを行うこと。
    (8)条例制定に際し、生活環境への影響に係る基準の規定を定めるに当たり、既存事業者との調整なども含め、必要な規制について踏み込んだ検討を行うこと。
    (9)ヤード対策と廃棄物対策については、県民の心配、不安、危機感が大きい。そうしたことを踏まえた上で対応を行うこと。
    (10)住民目線では、問題が起きてからの対応ではなく、事前に条例でコントロールすることが不安解消に一定の効果があると考える。事業者のモラルに頼るのではなく、条例による規制を希望し、住民の安心・安全のための条例を制定すること。
    (11)性善説に立ち過ぎた考え方をしているので、県民の不安感に立った対応を検討すること。
    (12)ヤードは増えており、そこで犯罪が起きると思われるのは既存業者にとって迷惑である。県として住民不安に対応しているというサインも必要であり、今回の特別委員会の設置目的から環境部局として問われることを考えること。
    (13)他県の条例や既存法令とのバランスも踏まえ、実質的に事業者が周辺住民等との合意形成を図っていくような仕組みを検討すること。
    ●桐生市における産業廃棄物等の不適正処理事案について
    (1)川内町及び新里町について、リスクを確認し、迅速にありとあらゆる対応を行うこと。
    ●ごみ問題について
    (1)桐生市では学校給食の残渣を事業者が肥料化し、その肥料を使って生産された農作物を給食用食材として使用する地産地消の取組が行われている。このような取組が県内に広がるよう、県が後押しを行うこと。
    (2)温泉地のごみ排出量が多いなど、傾向を踏まえて削減に取り組むことが有効と考えられるため、温泉地のごみの実態把握や削減の働きかけを行うこと。
  2. 再生可能エネルギー・グリーンイノベーションに関すること
    (1)バイオマス発電については、木質バイオマスだけでなく、食品残渣や家畜排せつ物の活用についても、研究機関等としっかり連携し、県として取組を推進すること。
  3. 森林資源の活用に関すること
    (1)ぐんまゼロ宣言住宅促進事業の制度で、環境対策と木材利用を別に考え、林業木材産業が業として成り立つよう考えること。
    (2)ぐんまゼロ宣言住宅促進事業について、外皮性能等の環境性能などによる段階的な加算の検討に当たっては、子育て世代に加算するなど、県産木材で家を建てるモチベーションを上げる補助金の制度を検討すること。
    (3)県産木材の利用促進に向けて、CLT等の製材工場の誘致を含めた整備を積極的に進め、生産量の拡大を図ること。
  4. 環境負荷低減・資源循環型農業に関すること
    (1)有機農業者の増加に向け、経営のアドバイスを行うなどの支援メニューを積極的に考え、施策の充実を図ること。
    (2)有機農産物の学校給食での提供について、県内市町村でも取組が進むよう、市町村や農業者と連携すること。
  5. 物価高騰対策に関すること
    (1)原材料費の上昇や円安などにより、今後も物価高騰が続くことが懸念されるため、国に対してスピード感のある適切な政策の実行を働きかけるとともに、群馬県ができる対策は速やかに行うこと。
    (2)市町村による一般廃棄物処理業務に係る委託料の適正化など、適切な価格転嫁を促進すること。その上昇分については、労務費や賃金に反映されるよう事業者に促していくこと。

 令和7年3月14日

群馬県議会循環型社会構築に関する特別委員会

 群馬県知事 山本 一太  様


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